フランチャイズに加盟して学習塾の経営を始めようと考えている方も多いのではないでしょうか。フランチャイズの加盟店になれば、フランチャイズ本部が持つ学習カリキュラムや教育ノウハウを活用したり、ブランド力を活用できるため保護者や生徒からの信頼を得たりしやすいというメリットがあります。
しかし安易な気持ちで学習塾のフランチャイズを始めてしまうと、思わぬ失敗をしてしまうリスクもあります。どのような人が学習塾のフランチャイズに失敗してしまうのでしょうか。この記事では、フランチャイズ加盟による学習塾を成功させるためのポイントについても解説します。
学習塾のフランチャイズ経営に失敗してしまう人の特徴
まず、学習塾のフランチャイズ経営に失敗してしまう人の特徴についてまとめます。学習塾の経営を検討するにあたり、自分が失敗してしまうタイプに当てはまっていないか、経営を安易に考えていないかを事前に確認しておきましょう。
学習塾の経営にやりがいや目標がない人
学習塾は学校で教わる学習内容を補ったり、受験合格などを目的としたり、集まる生徒の成長を目的としたものです。保護者も子どもの成績アップや学習習慣を身につけさせるためにお金を払っています。
学習塾の経営は、保護者や生徒の思いを尊重し、生徒の成長や進学、成績向上などの目的にやりがいを感じることができないと、失敗してしまう可能性が高いです。
授業や個別指導を行う講師のモチベーションを高めて、うまくマネジメントし、生徒の成長のためにチームワークを発揮できるタイプの人でないと、学習塾経営の難しさに直面してしまうこともあります。
フランチャイズ本部の経営ノウハウを活用できたとしても、加盟店のオーナーがやりがいや目標を持ち続けていなければ、生徒数が増えず利益が上がらないなど、結果として経営状況に表れてしまうでしょう。
十分な資金を用意できていない人
学習塾の開業は、飲食店や小売店などに比べると開業資金が低く抑えられることがあります。フランチャイズ本部にもよりますが、特別な設備投資や在庫の仕入れが必要ないためです。そのため、教室の内装工事などを入れても数百万円で開業できるビジネスです。
しかし、開業資金だけを気にして運転資金を想定せずにいて、赤字経営に陥ってしまう例もあります。
学習塾の経費としては、主に以下のものが挙げられます。
これらの費用のほか、自身の生活費も確保しておく必要があります。開業前に必要経費を事前にしっかりと把握し、中長期的な事業計画に反映させ、資金を用意することが大切です。開業後すぐは生徒数も十分に集められないことも多いため、収支は入念に見積もりましょう。
コミュニケーションが苦手な人
学習塾経営において、コミュニケーションスキルはとても重要になります。フランチャイズ本部から塾経営のサポートを受けられるといっても、実際に経営していくのはオーナーです。
生徒の入塾勧誘や保護者への入塾説明など営業活動もオーナーの役割です。加えて、授業や個別指導を行う講師への指示や連携、生徒への声がけ、オーナー自らが教鞭をとる場合の指導スキル、保護者との面談などコミュニケーションが大切な局面がたくさんあります。またフランチャイズ本部や、エリアのスーパーバイザーとのやりとりも多く発生します。フランチャイズに加盟していれば、マニュアル等はあるものの、使いこなすのは自身であることを自覚していないと厳しいでしょう。
学習塾は目に見えるものを販売するビジネスではなく、コミュニケーションがあって成り立つビジネスです。生徒や講師に困りごとがないか気を配り、経営者として解決するためのアクションがすぐにとれる姿勢が必要となります。
下記記事ではフランチャイズの仕組みを解説しています。参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
学習塾のフランチャイズで成功するポイント
ここまで学習塾のフランチャイズ経営で失敗してしまう人の例についてご紹介してきましたが、成功するためにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
フランチャイズ本部が持つ独立のノウハウを活用し、開業後もフランチャイズ本部のサポートを受けられるのがフランチャイズに加盟するメリットです。フランチャイズ本部によっては、加盟金やロイヤリティなどの費用は発生しますが、未経験でも失敗のリスクを下げられる点が大きな魅力です。
実際に学習塾に加盟した、フランチャイズオーナーの方の事例を3件ご紹介します。2023年5月時点の掲載情報です。また、紹介するフランチャイズオーナーの加盟当時と条件が異なる場合もありますので、詳細は各フランチャイズ本部に確認するようにしてください。
成功者の実例1:営業職で培ったスキルで3校を経営
30代で個別指導塾を3校経営している片岡 恵太さんは、副業からスタートしてその後、専業へ。もともと学習塾は未経験の分野でしたが、会社員時代に営業職として高い業績を上げてきた経験を活かし、生徒数を伸ばしてきました。
塾長として、フランチャイズ本部が提供する教材の豊富さや学習内容を保護者にプレゼンし、クロージングまでをスムーズに行えることで、保護者からの信頼を得てきました。講師を務める学生スタッフのマネジメントにも注力し、さらなる校舎数の拡大や新事業への展開も視野に入れているようです。
成功者の実例2:学ぶ楽しさを伝える方針で売り上げはトップクラス
50代でセカンドキャリアとして学習塾を開業した北川 順市さんは、もともと別業種の仕事に就いていました。3人の子どもを難関校へ進学させた経験を活かし、フランチャイズに加盟して独立しました。
数あるフランチャイズ本部の中でも、オーナーの経営方針を尊重してくれると感じたフランチャイズに加盟し、70名を超える教室もある中、50名の生徒数でも売り上げはトップクラスを誇るようになりました。「明るく、楽しく、元気よく」をモットーに、学ぶ楽しさを伝えたいという運営方針を掲げて、生徒の可能性を広げていくことをやりがいに感じているそうです。
セカンドキャリアとして独立する際には社会貢献も視野にいれていたため、学習塾経営が合っていたといえるでしょう。
成功者の実例3:立地にこだわって開業
40代の吉村 真さんは設計士でしたが、脱サラして未経験から学習塾を開業しました。フランチャイズ本部と協力して開業する立地にこだわり、競合塾が並ぶ激戦区を避け、最寄り駅からも近く、車の送迎がしやすい大きな通りに面している物件を選びました。口コミで生徒数は順調に伸び、市場の需要を見て生徒や保護者の目線で立地をこだわったことが成功のポイントと考えられます。
それぞれの生徒に合わせたアドバイスや、講師をしている学生の相談にのるなど、未来ある若者をコンサルティングしていく責任ややりがいを塾経営に見出しているそうです。
失敗しない学習塾のフランチャイズ本部を探そう
学習塾の業種はフランチャイズシステムが浸透し、フランチャイズの選択肢がたくさんあります。フランチャイズに加盟することで未経験でも安心して独立できるノウハウが得られますし、開業後もネームバリューを活かせます。何より、経営上で困ったことが出てきた際には、フランチャイズ本部やスーパーバイザーと呼ばれる担当者に相談できる点が心強いでしょう。
しかしフランチャイズ本部によって、経営の方向性や、必要な加盟金・ロイヤリティなどの条件が異なることも多いです。失敗しないためにも、加盟する前に調べて比較し、自分の意向に合ったところを見つけるようにしましょう。また、不明点は必ずフランチャイズ本部に確認するようにしましょう。
他の事業に比べて開業資金が低いとされている学習塾ではありますが、収支の見積もりはしっかりと行いましょう。かかる経費を把握したうえで、開業直後だけでなく中長期的な事業計画をしっかり立てることが大切です。
フランチャイズ本部のサポートを受ければ未経験でも十分独立は可能ですが、コミュニケーションスキルや、前向きに塾経営に携わっていく姿勢、塾経営にやりがいや目標を持ち続けることは、経営者として忘れずに持ち続けられると失敗することも少ないかもしれません。
<文/北川美智子>