2021年4月、政府が「選択的週休3日制」の導入に向け検討をしている、という報道がありました。
まだまだ続くコロナ禍によりテレワークが一般的になる中、この「選択的週休3日制」が導入されることで、今後さらに会社外の個人での活動は、増加していくことでしょう。
今回お話を伺った米田まりなさんは、会社員として働く傍ら、整理収納アドバイザー、作家として活動しています。
米田さんは「片付け」をテーマに、本業で培ったノウハウや知見を発信するために、個人で整理収納アドバイザーとして活動しているそうです。
都心での生活は、限られたスペースの中で「どれだけ捨てられるか」が重要であると言われている中、米田さんはあえて「捨てない片付け」を提唱しています。その理由は、一体なんでしょうか。
米田まりなさん
整理収納アドバイザー/作家脚本家の祖父・研究者の父の影響を受け、茨城県・宮城県でモノに囲まれた幼少期を過ごす。2014年に東京大学経済学部卒業後、大手商社に入社。Eコマース領域の事業投資を担当する。
2018年より株式会社サマリーに出向、資金調達とデータ解析を主に担当。
2020年4月から一橋大学修士課程(金融財務専攻)に在学。整理収納アドバイザー1級を保持する。
都市・地方の住宅状況格差に関する自身の経験や、100万人の“モノデータ”を扱う株式会社サマリーで行なってきた消費者調査結果を元に「捨てないお片づけ」を提唱。
作家・デザイナー・起業家など、“モノを愛してやまない人”を対象に、片づけのコンサルティングを行う。
著書に「モノが多い 部屋が狭い 時間がない でも、捨てられない人の捨てない片づけ」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「集中できないのは、部屋のせい。東大卒「収納コンサルタント」が開発!科学的片づけメソッド37」(PHP研究所)。
もともと片付けが苦手だった? 米田さんが「片付けのプロフェッショナル」になるまで
――会社に勤務しながらも、整理収納アドバイザーとして活動が多岐に渡る米田さん。「片付けのプロフェッショナル」に至るまで、どのような経緯があったのか教えてください。
今でこそ整理収納アドバイザーとして、コンサルティングや書籍の出版をいただいていますが、正直片付けは得意ではなかったんです(笑)。むしろ苦手だった、といってもいいくらいで。
――片付けが苦手だったのにも関わらず、整理収納アドバイザーに?
ええ、順を追って説明します。私は総合商社に勤めています。入社してすぐ行った業務は、数多くある投資先のデータを、会社ごとに分かりやすく「整理」すること。
PC内のデータを見やすいようにひたすら整理するトレーニングを積んだおかげで、部屋の片付けが苦手な私でも、PC内は綺麗に保つことができました。
しかし、なぜか自分の部屋を綺麗にすることはできなくて……。
そこから数年後。私は主にEコマース領域のスタートアップへの投資や、投資先のバリューアップといった業務を行っていました。
「どこかいい投資先はないか」と探していた時に出合ったのが、株式会社サマリー(※以下、サマリー)という会社だったんです。
サマリーが運営するサービス「サマリーポケット」に、衝撃を覚えました。
※月額275円〜の宅配収納サービス「サマリーポケット」を展開する企業。「サマリーポケット」では、季節外れの衣服や布団や趣味の道具など、自分の家のスペースで保管しきれないものを預けておくことができる。また、預けたものをアプリ上に写真で管理(必要な時に自宅へ配送したり、Yahoo!オークションなどに出品)することも可能。
――何が衝撃的だったのですか?
「サマリーポケット」では、ダンボール1箱単位で、自分の使っていない荷物を預けることができます。つまり自分の押し入れを好きなだけ拡張するような仕組みなのですが、それがまるで「フォルダをクラウドに上げている感覚」で使えるんです!
「このサービスを使えば、片付けが苦手な自分でも、部屋を綺麗にすることができるかもしれない……!」。
そう思った私はすぐに、社内でサマリーへの投資の検討を始めました。
入念な準備をした上で、出資することが正式決定。出資に伴い、私も出向することとなったんです。
――「片付けが苦手」という原体験があったこそ、投資につながったんですね。それから片付けの勉強を?
はい。片付けのメカニズムにはとても興味があったので、私個人の活動として、整理収納アドバイザー1級の資格を取得しました。関連書籍も数多く読みふけ、「片付け」に対する一般的な認識や「片付け法」を、徹底的に研究してみたんです。
さらに出向先のサマリーの社員としては、資金調達業務をやりながら「サマリーポケット」のユーザーの傾向や属性を解析し、数千人規模の調査を元に、より大きな視点から「片付け」における世の中の需要などを研究しています。
そうした調査で得た知見を活かして、書籍の執筆やメディア露出、コンサルティングも個人の活動として行っているんです。