本記事では、独立の基礎知識から、タイプ別に見た独立しやすい仕事、そして事業を成功に導くために必要な準備までを解説します。
自己資金が少ない状態からでも始められるビジネスの考え方も紹介するので、独立への一歩を踏み出すための参考にしてください。
※具体的なビジネスアイデアが思い浮かばない場合は、リスクを抑えながら開業できるフランチャイズも視野に入れてみましょう。
独立とは
独立とは、特定の組織に属さず、自身の事業を立ち上げて生計を立てる働き方を指します。
会社員と異なり、事業の方向性から日々の業務までのすべてを自分の裁量で決定できる一方、その結果に対する全責任を自身で負うことが大きな特徴です。
独立するメリット・デメリット
独立は魅力的な選択肢ですが、会社員時代にはなかったリスクも伴います。決断を下す前に、メリットとデメリットの両面を客観的に比較検討しましょう。
独立する4つのメリット
収入の上限がなくなる
独立すると会社員のような給与の上限がないので、自身の努力や成果次第で青天井の収入を目指せます。
働く時間や場所を自由に決められる
独立すると、満員電車での通勤や固定された勤務時間から解放され、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になります。
人間関係のストレスが軽減される
上司や同僚との人間関係に悩むことがなくなり、付き合う相手を自分で選べるため、精神的な負担が減ります。
やりたい仕事に集中できる
社内調整や雑務に時間を奪われることなく、自分が情熱を注げる事業に100%のエネルギーを投下できます。
独立する3つのデメリット
収入が不安定になるリスクがある
独立すると毎月決まった給料が保証されなくなるため、事業が軌道に乗るまでは収入が不安定になりがちです。
すべての責任を自分で負う必要がある
独立すると「営業」「経理」「実務」のすべてを自分でおこなう必要があるため、トラブルが発生した際の責任もすべて自身で負わなければなりません。
社会的信用を得にくい場合がある
独立直後は社会的信用度が低く見なされ、クレジットカードの作成やローンの審査で不利になることがあります。
【タイプ別】独立しやすいおすすめの仕事
ここでは、具体的な独立しやすい仕事を「未経験」「スキル活用」「店舗型」の3つのタイプに分けて15種類紹介します。
未経験から挑戦しやすい仕事
Webライター
ネットショップ運営
家事代行サービス
結婚相談所
スキルや経験を活かせる仕事
ITエンジニア
Webデザイナー
コンサルタント
オンライン講師・インストラクター
動画編集者
店舗や施設を構える仕事(フランチャイズ含む)
飲食店(カフェ・ラーメン店など)
学習塾
リラクゼーションサロン
ハウスクリーニング
フィットネスジム
コインランドリー
独立に向いている人の特徴
会社員として高い評価を得ている人が、必ずしも独立に向いているとは限りません。
ここでは、経営者として成功するために必要な2つの資質を解説します。
好奇心旺盛で行動的な人
経営者には、常に市場の動向や新しい技術にアンテナを張り、変化に対応していく主体性が求められます。
現状に満足せず、気になることをすぐに調べ、アイデアを試すフットワークの軽さが、ビジネスを成長させる原動力となります。
自責思考で考えられる人
自責思考とは、事業で起こるあらゆる問題を「自分ごと」として捉え、原因を他責にせず自分の中に求める思考法です。
この姿勢を持つ人は、失敗からも成功からも多くの学びを得て、改善のサイクルを高速で回すことができます。
結果として、事業の成長スピードが格段に上がります。
独立で必要な準備
思いつきで独立しても、事業を継続させることは困難です。
成功の確率を高めるために、以下の6つの準備を計画的に進めましょう。
自己分析
まずは「なぜ独立したいのか」「事業を通じて何を成し遂げたいのか」を明確にしましょう。
同時に、自身の強みと弱みを客観的に把握することで、自分に合った事業領域や戦略が見えてきます。
お金の勉強
事業における資金は、人間でいう「体力」です。資金が尽きれば事業はそこで終わりです。
少なくとも、会計の基礎、税金の仕組み、資金繰りの管理方法については、基本的な知識を身につけておく必要があります。
事業計画
「誰に」「何を」「どのように提供して」「どうやって収益を上げるのか」を記した、ビジネスの設計図の準備は必須です。
金融機関から融資を受ける際には、この事業計画の具体性と実現性が厳しく審査されます。
資金計画
事業を始めるための「開業資金」と、軌道に乗るまでの「運転資金」を、それぞれいくら用意すべきか計画しましょう。
不測の事態に備え、運転資金は最低でも半年分、できれば一年分を確保しておくと心強いでしょう。
資金調達とは?4種類の調達方法とメリット・デメリットをわかりやすく解説
家族の説得
独立は、家族の生活にも大きな影響を与えます。
事業計画や潜在的なリスクを誠実に説明し、理解と協力を得ることは、精神的な安定につながるだけでなく、事業の成功に不可欠な要素です。
人脈作り
独立前から人脈を築いておくことで、有益な情報を得られたり、将来の顧客や協力者が見つかる可能性があります。
異業種交流会やセミナーに顔を出すなど、会社員という立場を活かしてネットワークを広げておきましょう。
【失敗しない】独立・起業するため必要な準備とは|資金・事業計画などの注意点と開業事例10選
独立の際に気を付けたい注意点
独立すること自体は難しくありませんが、事業を継続させることは容易ではありません。
以下の3つの点に注意し、リスク管理を徹底しましょう。
資金計画
資金計画は「少し厳しいかもしれない」という悲観的なシナリオを想定して立てるのが鉄則です。
補助金や助成金は、支給の遅れや不採択の可能性を考慮し、あてにしない資金繰りを心がけましょう。
また、事業資金とは別に、自身の生活費を最低半年分は確保しておくべきです。
事業計画
初めから大規模な投資をするのではなく、まずは小規模な形で事業を始める「スモールスタート」でリスクを最小限に抑えましょう。
また、可能であれば事業以外の収入源を確保しておくと、焦らずに冷静な経営判断ができます。
その他
退職する際は、元の職場や取引先との関係を良好に保つことが重要です。将来、思わぬ形で協力関係が生まれる可能性もあります。
また、「独立すればすぐに稼げる」という幻想は捨て、地道に信頼を積み重ねていく謙虚な姿勢が成功を引き寄せます。
【失敗しない】独立・起業するため必要な準備とは|資金・事業計画などの注意点と開業事例10選
実際に独立した先輩起業家の成功例と失敗例
ここでは、様々な形で独立し、事業を軌道に乗せた先輩たちの成功事例を紹介します。
フリーランスで成功したWebデザイナー
Web制作会社での5年間の経験を活かし、2年前にフリーランスWebライターとして独立したAさんが独立を決意したきっかけは、会社員時代「時間に追われ、自分の裁量で仕事を進められない」ことへの不満でした。
独立当初は苦労も多かったようですが、徐々に実績を積み重ねることによって、クライアントからの依頼も増え、収入も安定してきます。
フリーランスの仕事でやりがいを感じるのは、「自分の好きなことを仕事にできている」ことと、「クライアントから感謝の言葉をいただいたとき」だそうです。
フリーランスとして成功するためには「納期を守る」「質の高い仕事を提供する」「積極的にコミュニケーションを取る」「常にスキルアップを意識する」 ことが大切と語っています。
副業で成功したイラストレーター
Bさんは絵を描く趣味を活かし、3年前から会社員と並行して副業としてイラストレーターを始めました。
副業の内容は、企業のWebサイトやSNS用イラスト、書籍の挿絵などです。
現在の副業月収は平均5万円ほどで、時間管理や効率的な作業で本業との両立を実現しています。
成功の秘訣は「質の高さ」「納期厳守」「積極的な営業」「SNSでの情報発信」「スキルアップへの意識」だそうです。
起業で成功したカフェオーナー
アパレル販売員として接客の喜びを経験したCさんは、「地域の人々が集える温かい空間」を作りたいという想いから、5年前にカフェをオープンしました。
「お客様がなかなか来ない」「スタッフの教育がうまくいかない」と当初は苦労も多かったものの、「諦めずに努力すること」をモットーに日々改善を続け、今では地域に愛される人気店となりました。
Cさんの成功の秘訣は「地域の人々が集えるような温かい空間を作りたい」という強い想い、「諦めずに努力すること」を貫く行動力、そしてお客様やスタッフへの真摯な姿勢だそうです。
フランチャイズ加盟で成功したラーメン屋店主
「自分の店を持ちたい」 という夢を叶えるため、サラリーマンだったDさんはラーメン屋のフランチャイズ加盟し、3年前に開業しました。
フランチャイズ加盟のメリットを活かし、本部や先輩店舗のノウハウを学びながら、「お客様の声に耳を傾け、常に改善を続ける」ことと、「従業員との良好な関係作り」に力を入れた結果、今では地域に愛される人気店となりました。
こちらの記事では、さらにたくさんの成功事例を紹介しています。
よくある質問
Q:独立・起業・開業の言葉の意味の違いを知りたい
A:違いは以下の通りです。
Q:個人事業主・社長・フリーランスの違いを知りたい
A:違いは以下の通りです。
個人事業主のメリット・デメリットを会社員や法人と比較!フリーランスとの違いや向き・不向きも解説
Q:独立に必要な知識・スキルは何?
A: 自身の専門分野の知識に加え、以下のスキルが共通して重要になります。
Q:起業したいけどアイデアがないときはどうしたらいい?
A:起業したいけどアイデアがないときは、以下の方法を試してみてください。
Q:独立に向いていない人の特徴は?
A:主に以下の2つの特徴を持つ人は、独立後に苦労する可能性が高いです。
まとめ
独立に成功するためには「自分に合った仕事選び」「入念な準備」「経営者としての自覚」が必要不可欠です。
なぜ独立したいのか、独立して何を成し遂げたいのかを深く見つめ直し、強い情熱を持って行動を起こすことが、困難を乗り越える力となるでしょう。
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<文/赤塚元基>