「人生の大半は仕事で埋まる」
言い方は違えど、似たような格言だか名言だかは、しょっちゅうあちこちで耳にします。要するに「仕事が上手く言ってないと、人生しんどいよ」みたいな意味だと思うんですが、そうは言うものの...
- 仕事がしんどいのは当たり前
- 人間関係がめんどいのはしょうがない
- 辛いのは自分だけじゃない
こんな感じの仕事観を刷り込まれて育ってきてしまった僕らにとって、やっぱり仕事ってどこか若干ネガティブな要素として人生に組み込まれがち…だったりするんですよね。
めんどくさい人間関係をすり抜けて、なんとかタスクをこなしてお昼休みが唯一の癒やし…なんてことになってしまってる人、多分、少なくはないですよね?
今回の主人公は、丸の内OLから突如「ふすま屋」に転身した28歳女性
で、今回のゲストは元某テーマパークのショーパフォーマーにして元丸の内OLという村上さん。
そこからどうしたものか、ふすま屋フランチャイズ【金沢屋】で独立することを決断?!
「人生を大きく変えたら、思いっきり笑えるようになった」という、彼女にスポットライトを当て、お話を伺ってきました。
どうしても馴染めなかったOL時代。癒しは、木の枝を一つひとつ数えること
―さて、ザッとキャリア…というか経歴を拝見したんですが、相当、ムチャクチャですよね(笑)。村上さんは、なぜこんな(一般的には)無茶なキャリアになったのか。伺ってもいいですか?
―村上
あははは(笑)!
ですよね?ショーのパフォーマーにしたって、丸の内での仕事にしたって、結構な倍率だったって聞いてますし。普通に考えたら「なんで?!」て話ですよね。
そんな大層な理由なんて無いんですが、もう単純に「駄目だ!馴染めない!」て思っちゃったんですよ。本当、それだけだったんです。
もちろん、今の私を形成する大事な要素ですし、当時の仕事そのものを卑下するなんてことはしません。が、私にとって「楽しくない」と感じていたのも、また事実だったんです。
ほら、あるじゃないですか。職場の人間関係を見ながら、「誰それと飲みに行くなら○○さんも呼ばなきゃおかしい」とか、「さんに話を通すならまず△△さんと協議しなきゃ...」みたいな。
当たり前にできる人も、もちろんいっぱいいますし、それが『大人の常識』ってことはわかっています。でも、どうしてもそういう面倒くさいのが嫌いで(苦笑)
もう本当、お昼休みが唯一の癒やし。癒しと言っても、皇居に行って木の枝を一つひとつ数えたり...退社して自宅の最寄り駅につくと、自然に涙がツツーって出てきちゃう...みたいな。
―お、おおう。それはまた…結構限界までキてますね。それは、ショーのパフォーマーをやられてる時も?
―村上
うーん、やっぱり、似たような感じでしたね(笑)ショーのパフォーマンスって、本当に数秒なんですよ、キラキラしてるのって。
で、本気でショーに出てるその数秒以外が、ひたすら面倒くさくてしんどかったような気がします(笑)。正直、花形的なポジションについたら、もう上を目指すところなくて。あ、ここだけの話でお願いします。
そこでの経験や経緯、転職して丸の内OLになった後の凹み具合から考えても、私多分あんまり向いてないんでしょうね。いわゆる「会社員として自分の楽しさを2番め以降に置く生き方」みたいなのが。
―で、独立しちゃえ!と。
―村上
ですねー。今考えると、ずいぶん大胆で無鉄砲な感じもしますけど、結局よかったんだと思ってますよ。
「私って、なんか仕事向いてないんだ…」と落ち込んで、それを克服するために時間いーっぱい使って、気がついたら選択肢が狭くなっちゃって…なんてことにならずに済んだわけですしね。
仕事をする時間は長い=仕事がつまらないと、人生がつまらない、だから独立!
―しかし、「楽しめる生き方しよう!」で、ふすま屋。というのは、なんというか、ぶっ飛び過ぎててちょっとつながりが良くわからないんですが?どうしてなんでしょう?
―村上
いやー、それすごい良く聞かれるんですけどね。実際そんな大きな理由なんて無かったりするんです。
「イヤだなー」、「辛いなー」って思いながら転職サイトふらふら見てたら、たまたまアントレのバナーがあって(笑)。
で、うたい文句の、「雇われない生き方」ってのにまんまと釣られた形で(笑)
―おお。それはそれは。えーっと、ありがとうござい…ます?
―村上
で、今度はアントレのサイト内でふらふら見だして、その中で『あ、これ私でもいけそうだな』って。本当、そんなきっかけだったんですよ。
もちろん、完全な初心者&素人で、ましてや頼れる起業家な知人・友人もいないですし、なるべく資本を小さく、かつスピーディに開業できて、あんまり本部がうるさくないこと。
できれば初期の教育はちゃんとしてるとこ…なんて、下心ありありで探したってのはまぁ、やっぱりあるんですけどね。
ただ、仕事をしている時間は長いんだから、絶対に楽しい仕事をやりたい。そうじゃなきゃ働く意味がなくなっちゃう!なんて考えてたんで、私にとって「雇われない生き方」ってのはそもそもすごく魅力的に見えちゃってたんですよ。
―打算的でありながら、決断はやたら軽い…というか早かったんですねぇ
―村上
だって辛い時間を過ごすくらいなら、早くやった方が絶対にお得だと思ったんですよ。20代の何も知らない私と経験を積んだ年配の人とじゃ教えてもらう量が私の方が多いから絶対得でしょ?
昔はあーだこーだと、夢を話すだけで楽しかったんですけど、30代が近づいてくると『言っているだけ』だとタイムリミット迫ってる感じがあって。
友達とあれこれ話しているうちに、独立っていう選択肢を「ただの妄想」じゃなく「現実的な選択肢」として考えるようになっていったんですよね。
―わかる、分かります!まわりの環境で意識って変わってきますよね。村上さんのまわりは楽しそうな方が多そうですね。
―村上
はい。めっちゃおもしろい友達多いです(笑)。本音で語るから熱くなる事も多くて。仕事は仕事、プライベートはプライベートで仕事は楽しくなくても割り切ってやるってタイプの友達に、「楽しい仕事なんて儲からないでしょ」なんて、キッツイ事も言われたり。
で、つい「そんな事ない。楽しくて儲かる仕事は絶対あるよ」って朝まで言い合いしたりもありましたね(笑)。だって仕事している時間は長いんだから楽しくないと損じゃないですか。
何も知らないからこそ進めた。地域密着サービスの強み
―そうですね(笑)その通りだと思います。では、現在やられているふすま屋のお仕事は…そこそこ儲かってたり?
―村上
そんな自慢げに語るほどじゃないですけど(照)。悪くは無いと思いますよ。基本、在庫リスクもないんで。
地域に根付いた商売なんで、まわりと協力して仕事を紹介しあってるんです。ペンキ屋さんからふすま修理の依頼がきたり、私がペンキ塗りの仕事をとってきたりといった感じで。
もちろん仕事なので大変なことはありますが、雇われていた時代より楽しく仕事しています。
―いいですね。しかし、そんなに多くの仕事をひとりでこなせるもんなんですか?
―村上
せっかく自由業をしているのに、自分で仕事を請け負い過ぎてしまい、毎日忙しすぎて「心は赤字」の時があります。
しんどいです(笑)その時は立ち止まって「あれ、本当にやりたいことってなんだっけ?」と自問自答して自分らしさを失わないようにしています。
今後は「心の黒字」を目指す方法の一つとして若い子たちの育成を検討しています。
ここ、今が終わりじゃない。だから時間を作れる選択肢を選んだ。
―素敵な考え方ですね。時間を自由に使えるっていうのはOLの時とはずいぶん違いますね。今後、人に作業をまかせたら、空けた時間には何をしたいですか?
―村上
OL時代から考えると時間はずいぶん自由に使えるようになりましたね。好きな音楽を聴いたり、たまに大相撲を見ながら作業したり。色々と特権はあるかなー?
で、人に作業をまかせられるようになったら、ここは仕事場でありながらも地元なんで友達の集合場所になってて、色々とみんなで将来の話をするんですよね。
いつも、わたしが率先して話を進めてて、「これいつまでにやるよ」とか「次はいつ集合ね」なんてやっちゃうんですよね。
―具体的なプラン、聞いてもいいですか?
―村上
えっと…。ちょっと恥ずかしいんですけど、地元の仲の良い友達4人で集まってグループ作ったんですよ。
良い作品を作ってるのに商売にしないで、見せて満足しちゃったり、なんでそんなに良いもの作れるのに、アピールしないの?って。
そういった仲間をプロデュースしたり繋げられないかなって。
それで、「よにんよ我り」というクリエイティブを発表したりするグループを作ったんですよね。この「よにんよ我り」のうち一人でも成功したら助け合ってみんなで成功しようねって話してるんですよ。
まとめ:自分の未来と、自分が好きなことと、真っ直ぐに向き合うということ
もう見ていてこっちが元気になってしまうほど、キラッキラしていた村上さん。自分のやりたことを「好きなように生きる」に置き、そのための手段を型にはまらずに実行し続ける姿に取材陣一同、思いっきり感化されてしまいました。
確かに、自分の未来のために…と、歯をくいしばって頑張る生き方も格好いいとは思います。
が、未来のために現在の自分の時間と心を犠牲にするような生き方って、どうなんだろ?
誰もが一度は考えるそんな疑問に、「でも嫌なものは嫌だし、楽しく生きたいじゃん!」とシンプルに結論を出し、スピーディに決断をして進んでいく村上さんの姿は、なんだかサラリーマンな僕らにはちょっと眩しく感じられました。
忙しいから…。
とにかくこれやらなきゃ先に進めないから…。
だってこれが常識だから…。
もっともらしい言い訳で、自分の未来と向き合うことを諦めちゃってないか?そんなことすら感じさせられてしまった、素敵なインタビューでした。
村上さん!ありがとうございました!