人生100年時代を迎え、定年を待たず早期退職を選択し、新たな道に踏み出す人が増えています。
しかし、早期退職を検討する際に「第二の人生を本当に楽しめるのだろうか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、早期退職後に安心して第二の人生をスタートできるよう、準備した方がいい内容について徹底的に解説します。
早期退職による第二の人生を歩み始めるのはアリ?
終身雇用が当たり前ではなくなった現代において、早期退職は珍しい選択肢ではありません。
会社の制度を利用したり、自らの意思で決断したりと、定年を待たずに第二の人生へ踏み出す人は年々増加傾向にあります。
しかし、勢いで決断するのは禁物です。経済的な基盤を固め、退職後の人生で「何をしたいのか」を明確にすることが、後悔しないための第一歩となります。
準備さえ怠らなければ、早期退職は間違いなく人生を豊かにする選択肢と言えるでしょう。
早期退職のメリット・デメリットを比較する
まずは、早期退職のメリットとデメリットを比較していきましょう。
メリット:自由な時間、ストレス軽減、新たな挑戦
早期退職すると会社員という立場から解放され、時間の使い方を自分で決められるようになります。
それにより仕事のプレッシャーや人間関係のストレスから解放され、心身ともに健康的な生活を送れるでしょう。
また、これまで時間がなくてできなかった趣味や学び直し、独立・起業など、新たな挑戦を始める絶好の機会となります。
デメリット:収入の減少、社会的信用の変化
早期退職の最大のデメリットは、収入が不安定になることです。
また、ローンの審査が通りにくくなるなど、社会的信用が下がるというデメリットもあります。
なので、早期退職する際は自己資金をしっかり準備しておき、クレジットカードの契約やローンの審査は在職中に終わらせるようにしましょう。
早期退職には綿密な資金計画が欠かせない
早期退職を考えたとき、誰もが最初に直面するのが「お金」の問題です。後悔しないためには、現実的な資金計画が不可欠です。
最低でも、以下の3つは試算しておきましょう。
生活費の25倍の資産を用意する“FIRE”とは?
近年注目される「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」は、経済的自立を果たして早期退職を実現するライフスタイルです。
これは、資産を年利4%で運用し、その利益の範囲内で生活することで、元本を減らさずに暮らし続けられるという考え方です。
もしも十分に資産がある場合は、FIREを検討してみましょう。
早期退職前に済ませたいお金に関する3つのポイント
資金計画を立てたら、次に行動へ移します。
こちらでは退職後のキャッシュフローを安定させるため、在職中に済ませておきたい3つのことについて解説します。
投資でも貯金でもなく“返済”こそが最優先
負債がある場合は、まずは返済することを最優先に考えましょう。
住宅ローン控除のメリットがある場合を除き、ローンの金利は現時点で借りている金額の〇%となるため、負債は可能な限り早めに無くしておくことをおすすめします。
特に金利の高いカードローンやクレジットカードのリボ払いなどが残っている場合は、最優先で返済しましょう。
生活レベルは下げておく
収入が途絶えた後、現役時代と同じ生活水準を維持するのは困難です。
退職後の生活にスムーズに移行したいなら、在職中から生活コストを見直しておきましょう。
「都心から郊外へ移る」「外食を減らす」など、低コストな生活に慣れておくと、移行時にストレスを感じづらくなります。
資産運用は手堅く、個別株よりもインデックスファンドを
低金利時代において、預貯金だけで資産を維持・増加させるのは至難の業です。
資産寿命を延ばしたいなら、投資による資産運用を考えましょう。
ただし、退職後の運用で大きなリスクは取れません。特定の企業に集中投資する個別株は避け、日経平均株価などの市場全体の値動きに連動する「インデックスファンド」を主軸に据えるのが賢明です。
リスクを分散し、長期的な視点で手堅く資産を育てていきましょう。
見落としがちな「健康」と「家族」について
早期退職をする際、お金のことばかり考えていると、足元をすくわれてしまいます。
こちらでは、見落としがちな問題として「健康」「家族」について解説します。
心身の健康を維持する
第二の人生を謳歌するための最大の資本は「健康」です。
自由な時間が増えることで生活リズムが乱れたり、運動不足にならないよう注意しましょう。
定期的な健康診断はもちろん、日々の食事や運動を管理する能力も求められます。
家族の理解と協力を得る
早期退職は自分一人の問題ではありません。ライフスタイルが大きく変わることで、配偶者や子どもにも影響が及びます。
そのまま仕事を辞めるにせよ、新しい事業を立ち上げるにしろ、必ず事前に家族と話し合い、理解と協力を得るようにしましょう。
早期退職前に人間関係も整えておく
早期退職すると、想像以上に社会とのつながりが希薄になりがちです。
豊かな第二の人生を送るためにも、人間関係の整理と構築も事前に進めておきましょう。
会社や取引先との人間関係は維持したい
これまでのキャリアで築いた人脈は、貴重な財産です。
退職後に「またあなたと仕事がしたい」と声がかかる可能性もあるので、良好な関係を維持しておくことをおすすめします。
退職は縁の切れ目ではなく、新たな関係性の始まりと捉えましょう。
SNSやオンラインサロンなども活用
SNSやオンラインサロンの活用は、第二の人生を歩もうとする人と関わるきっかけとなります。
特定の発信を行うインフルエンサーのオンラインサロンに加入し、参加者と情報交換・交流をすると、新しい関係を構築していけるでしょう。
これまでSNSに馴染みが無かった人は、しっかりとコミュニティのルールには従うようにし、トラブルをおこさない・巻き込まれないように注意しましょう。
第二の人生で後悔しがちな人の3つの特徴
こちらでは、早期退職を選択して後悔してしまう人の特徴を3つ紹介します。
特徴1:「なんとなく」で辞めてしまった人
「仕事が嫌だから」「上司と合わないから」などのネガティブな理由だけで、退職後のビジョンがないまま辞めてしまうと、時間を持て余し「こんなはずではなかった」と後悔しがちです。
退職を「逃げ」の手段にするのではなく、その先の人生で何を成し遂げたいのか、目的を明確にすることが重要です。
特徴2:お金の計算が甘かった人
退職金や貯蓄だけで安泰だと楽観視し、税金や社会保険料、インフレなどのリスクを考慮していない場合、早期退職を後悔する結果になりがちです。
資金計画の甘さはそのまま生活の困窮に直結するので、想定外の出費は必ずあるものと捉え、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
特徴3:プライドが捨てられない人
「元部長」「元課長」などの過去の肩書に固執し、新しい環境に馴染めない人も後悔しやすいタイプです。
年下から教えを請うたり、未経験の仕事に挑戦することに抵抗があると、活躍の場はどんどん狭まります。
変化を恐れず、謙虚に学び続ける姿勢がなければ、豊かなセカンドライフを築くことは難しいでしょう。
早期退職前に身に付けたい、第二の人生で役立つポータブルスキル
環境が大きく変わる第二の人生では、これまでの常識が通用しない場面も増えます。
どんな状況でも柔軟に対応して人生を楽しむために、以下の3つのスキル(心構え)を意識しておきましょう。
プライドや肩書きを捨て人生を楽しむ“マインドづくり”
前述の通り、元部長などの肩書は、新しい人間関係を築く上ではかえって邪魔になることがあります。
過去の栄光に固執せず、ゼロから新しい自分を始めるというマインドセットが、第二の人生を豊かにする鍵です。
肩の力を抜き、目の前のことを純粋に楽しむ姿勢が、新たな出会いや発見を引き寄せます。
人との対話で価値観を広げる“コミュニケーションスキル”
会社員時代は、黙っていても周囲とのコミュニケーションが自然に生まれました。しかし退職後は、自ら動かなければ誰とも話さない一日も珍しくありません。
なので、セカンドキャリアではこれまで培ったコミュニケーションスキルを活かし、年齢や経歴の異なる人との対話を積極的に楽しみましょう。
自分の考えを伝えるだけでなく、相手の話に真摯に耳を傾ける姿勢が、自身の価値観を広げ、信頼関係を築く土台となります。
自分の知らないことや分からないことを認める“無知の知”
長年のキャリアは、時に視野を狭める原因にもなります。
「自分は何でも知っている」という思い込みを捨て、知らないことを素直に認める謙虚さを持ちましょう。
「無知の知」を自覚すれば、新しい分野の学習や、年下からのアドバイスも素直に吸収できます。この探求心こそが、第二の人生をより面白く、奥深いものにしてくれるはずです。
生涯現役でいたい人へ、第二の人生のキャリアについて
早期退職後の時間は、想像以上に長いものです。
生涯現役を考えるのであれば、セカンドキャリアでも無理なくおこなえる事業・働き方を考えましょう。
大きく稼ぐことよりも、負担の小さい仕事を
セカンドキャリアでは、心身への負担が少ない仕事を選ぶのがポイントです。
通勤のないリモートワークや、期間の決まったプロジェクトへの参加など、趣味やプライベートと両立できる働き方を検討しましょう。
これまでの人脈を活かせば、好条件で業務委託の仕事が見つかる可能性もあります。
多様な人と関われるアルバイトという選択肢
あえて未経験の業界に、アルバイトとして飛び込んでみるのも面白い選択です。
学生からシニアまで、多様な世代と関わることで新たな視点が得られ、社会とのつながりを実感できるでしょう。
生活基盤が磐石なら“仕事”である必要はない
十分な資産があり、経済的に働く必要がないのであれば、選択肢はさらに広がります。
収入を目的とせず、やりがいを軸に活動の場を選びましょう。
趣味の延長で教室を開いたり、地域貢献のためのNPOやボランティア活動に参加したりと、充実感を優先した活動もセカンドキャリアの有力な選択肢です。
独立も視野に入れてみる(フランチャイズ)
自らの裁量で仕事を進めたいなら、独立・起業も有力な選択肢です。これまでの経験やスキルを活かせば、個人事業主として自分のペースで働けます。
もし経営経験がなくても、フランチャイズに加盟すれば、本部の確立されたノウハウやブランド力を活用して事業を始めることが可能です。在庫を持たない、小スペースで開業できるなど、低リスクで始められるビジネスモデルも数多く存在します。
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早期退職後に起業を考えるなら、スモールスタートとリスクヘッジを
本記事では、早期退職で第二の人生を考える人のために、退職後の働き方やポータブルスキルについて紹介しました。
昨今は退職後もセカンドキャリアとして事業を展開する人が多いため、もしやり残したと感じていることがあるなら、個人での独立・開業や、フランチャイズ加盟での開業を考えてみましょう。
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<文/赤塚元基>