フランチャイズに加盟して飲食業を開業しようとしたとき発生する「ロイヤリティ」。毎月必ず支払わなくてはいけないため、負担に感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、ロイヤリティとは看板を使わせてもらう言わばブランド力利用の対価ともいえます。そんな飲食業のロイヤリティの相場はどれほどなのでしょうか。加盟する前に知っておきたい、飲食業のフランチャイズのロイヤリティの相場についてまとめていきます。
※2023年11月時点の情報です。最新は各企業のホームページなどで確認してください
フランチャイズのロイヤリティとは
そもそもフランチャイズとは、これまでに本部や他の店舗の先輩加盟者の方々が事業を運営していく中で培ったノウハウやブランド力を活かして、自身もフランチャイズ本部に加盟し事業を展開するビジネスモデルです。フランチャイズの看板がそのまま使えるので、地域の方にとって馴染みのある名前の店舗を構えられます。そのため開業初日からでも認知度があり、客足が期待できます。
フランチャイズにおいて支払わなくてはいけないロイヤリティは、この看板を使用するための費用です。ブランド力を活用できるのはもちろん、成功のためのノウハウも提供してもらえるので、経営や飲食の経験がなくてもスムーズに開業できる魅力があります。
ロイヤリティの種類
ロイヤリティと一言でいっても、フランチャイズ本部によって採用している支払い方式はさまざまです。代表的なロイヤリティの支払い方式を3種類ご紹介していきます。
売上歩合方式
売上歩合方式とは、売り上げによってロイヤリティの支払額が決定する方式です。ビジネスを始めたばかりや経営が傾いてしまっているときは支払うロイヤリティの額も少なくて済みます。
ただし、利益が大きくなればなるほど支払う額も大きくなるため、事業が成長してきてからはロイヤリティの支払額が負担に感じるようになるかもしれません。
粗利分配方式
粗利分配方式とは、粗利益によってロイヤリティの支払い額が決定される方式です。粗利益から算出されるため、経費分の費用は確実に差し引けます。そのため赤字が出てしまうリスクのないロイヤリティ支払い方式といえます。
ただし、売上歩合方式同様、粗利益が増えたときは支払額も増えるため、のちに負担に感じるようになってしまう可能性があります。
定額方式
定額方式とは、毎月決まった金額を支払うロイヤリティの方式です。売り上げが少なくても多くても毎月同じ額を支払うため、売り上げが高ければ利益を出しやすい支払い方式といえます。ただし、どんなに売り上げが少なくても同額を支払わなくてはいけないため、ビジネスを始めたばかりや経営が傾いてしまっているときはロイヤリティの支払いが負担になってしまうリスクがあります。
どの方式でロイヤリティを支払わなくてはいけないのか定められている本部もあれば、相談次第で好きな方式を選べるフランチャイズもあります。そのため、どの種類のロイヤリティを採用しているかはフランチャイズ本部を選ぶときの基準となるでしょう。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
飲食店のロイヤリティの相場とは【カテゴリー別】
フランチャイズ本部によって、採用しているロイヤリティの支払い方式や金額感は大きく異なります。さらに、同じフランチャイズ本部でも、契約するプランによってロイヤリティの金額や加盟金は異なります。そのため、「〇〇円」と言い切ることはできません。気になるフランチャイズ本部や契約内容があれば必ず事前に問い合わせるようにしましょう。
以下で、さまざまな飲食業のロイヤリティの相場をご紹介します。
飲食業におけるロイヤリティ相場一覧
居酒屋・バー | 3~5% |
---|---|
カフェ・喫茶店・レストラン | 3~10% |
ラーメン | 3~5% |
カレー | 3~10% |
ファーストフード・ハンバーガー | 1~4% |
弁当 | 3万(多いところで~9万)円 |
スイーツ(パン屋・ケーキ屋など) | 定額制:月額3万~14万円 変動制:1~8% |
から揚げ | 6%前後 |
キッチンカー(移動販売) | 定額制:月額3万~3.5万円 変動制:5~6% |
テイクアウト・デリバリー | 3~10% |
フランチャイズに加盟し、ロイヤリティを支払うメリット
ロイヤリティを支払うからには、それ相応のメリットが感じられないと「自力で開業すればよかった」と後悔につながってしまいます。そうならないためにも、ロイヤリティを支払うメリットをご紹介します。ロイヤリティを支払うことで、「経営の効率化」と「スケールメリットの恩恵」のようなメリットを受けられるようになります。
以下の3つのポイントから、どのように「経営の効率化」や「スケールメリットの恩恵」が受けられるのか、解説していきます。
経営や仕入れ、集客のサポートを受けられる
飲食業のフランチャイズに加盟してロイヤリティを支払うことで受けられる1つ目のメリットは、「経営や仕入れ、集客のサポートを受けられる」点です。
フランチャイズに加盟すると、実際に成功しているビジネスパッケージに倣って事業を展開できます。自力開業であればどのような道筋に沿って事業を展開すれば成功に近づけるか模索しながら事業を展開しなくてはいけません。しかし、フランチャイズに加盟してロイヤリティを支払うことで、勝ちパターンをすでに用意してもらった状態でスタートを切れるため、効率良く事業を運営していけます。
仕入れに関しても本部が一括で仕入れることで安定的かつ低コストで資材や材料を仕入れることができます。継続的に安価で安定した仕入れ先を、個人で探すのは時間がかかるかもしれません。
ブランド力や知名度を集客に活かせる
飲食業のフランチャイズに加盟してロイヤリティを支払うことで受けられる2つ目のメリットは、「ブランド力や知名度を集客に活かせる」点です。
フランチャイズの最大のメリットともいえるのが、すでに高い認知度やブランド力を使わせてもらえる点ではないでしょうか。飲食業において、お客様からの信頼は重要です。もちろん知名度がすべてではありませんが、知名度のある飲食店であればお客様としても安心して足を運びやすくなるのではないでしょうか。すでにお店のファンの方も「新しい店舗に行ってみたい」と興味を持ってくれるかもしれません。
知名度があることは信頼だけでなく、立地が悪くても集客ができるというメリットもあります。本部でWeb広告やテレビCMなどを実施してもらえれば、自分ではとても実施できない多額の予算を使った大規模な集客ができます。自力で集客するよりも多くの見込み顧客に対して集客ができるでしょう。
教育や研修を受けたり、マニュアルを活用させてもらえたりする
飲食業のフランチャイズに加盟してロイヤリティを支払うことで受けられる3つ目のメリットは、「教育や研修を受けたり、マニュアルを活用させてもらえたりする」点です。
一からスタッフを雇い、教育しようと思うとどのような手順に沿うのが適切なのかわからず手こずってしまうでしょう。飲食や経営の知識や経験があっても、人材の教育にはまったく別のスキルが必要になります。ロイヤリティを支払ってフランチャイズに加盟をしていれば、本部が人材教育のための研修や教育マニュアルを用意してくれます。過去の実績から培ったマニュアルなので、より効率よく人材教育ができるでしょう。
まとめ
フランチャイズで飲食業を始めようと色々と調べていると、ロイヤリティの負担が大きく、フランチャイズへの加盟に対して尻込みしそうになってしまう方は少なくないでしょう。たしかに、フランチャイズは加盟料がかかったり、ロイヤリティの支払いが発生したりと出費が多いように感じます。
しかし、自力で開業しようとすると開業前に経験やスキルを培うための修行が必要になったり、業界や経営について学ぶためのセミナーや研修への参加が必要になったりなど、時間、労力、費用がかかります。それでいてわからないことがあったときに相談できる先は簡単に見つけられないため、不安と隣り合わせの経営になるでしょう。
フランチャイズであれば経営における必要なサポートを提供してもらえます。サポート内容やロイヤリティなど、本部によって全く違いますので、それぞれの特徴や受けられるサポートを比較し、費用対効果をじっくりと考慮した上で、フランチャイズに加盟するべきか決めましょう。
<文/ちはる>