コロナ禍を経て「新しい生活様式」が取り入れられた昨今、コインランドリーはクリーニング店にとって変わる存在になりつつあります。そんなコインランドリーで独立・開業する際の選択肢の1つにフランチャイズに加盟するというものがあります。フランチャイズに加盟するのにはどのようなメリットがあり、主要なチェーンにはどのようなお店があるのか、まとめて解説していきます。
本記事の掲載内容は2023年11月時点のものとなります
コインランドリーのフランチャイズでの独立・開業
コインランドリーとはお金を払うと作動する自動の洗濯機、乾燥機を揃えた、セルフサービスで衣類など洗濯ができるお店のことで、コロナ禍を経て、非接触型のコインランドリーを選ぶ傾向が強まってきています。コインランドリーでは、洋服などの一般的な衣類はもちろん、シューズなどに対応している洗濯機もあります。ほかにも羽毛布団、敷布団、こたつ布団、絨毯、カーペット、毛布など大きなものでも洗濯できる機械もあります。
汚れの気になるものや大型の洗濯物はクリーニングに出すのが一般的です。しかし、クリーニングに出すと数日かかってしまうのに対し、コインランドリーで洗濯をすればその日のうちに持って帰れます。
コインランドリー経営での独立や開業を考えたとき、選択肢の1つにフランチャイズ加盟があります。開業や運営に専門的な知識がそこまで多く求められないものの、初期費用のかかるコインランドリー事業は、フランチャイズで始めることでお得に開業できるかもしれません。
まずはフランチャイズの仕組みを知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
コインランドリーのフランチャイズに加盟するメリット8選
フランチャイズと聞くと、「どこかの企業の傘下に入り、色々な縛りがあるのでは?」と煩わしいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、フランチャイズに加盟するメリットは少なくありません。フランチャイズの中でも、コインランドリー経営を選ぶメリットを8つご紹介します。
それぞれのメリットについて、詳しくご紹介していきます。
経営経験がなくても起業できる
フランチャイズに加盟してコインラインドリー事業を経営する最大のメリットは、経営の経験が全くなくても、比較的手軽に起業できる点です。
フランチャイズに加盟して起業すると、本部から経営ノウハウの提供やサポートが受けられます。ほかにも、開業する際の営業活動などを支援してもらえる場合もあるため、イチから個人で経営を始めるよりも成功する可能性は高くなるでしょう。
内外装のデザイン決めなどに時間をかけなくても良い
コインランドリーを個人で開業する場合、内外装のデザインなども自身で決めなくてはいけません。しかし、デザインにこだわりがない方や、インテリア雑貨などにあまり興味のない方だと、内外装のデザインを決めるのにもストレスがかかってしまうのではないでしょうか。
フランチャイズに加盟してコインランドリーを開業するのであれば、フランチャイズ本部から内外装はもちろん、設備なども指定やおススメがあります。こだわりがない方は、設備を選ぶ時間を経営戦略や別のことを考える時間にあてられるので開業準備の手間が省けます。
フランチャイズ本部にクレーム対応を相談できる
クレームやトラブルが発生した場合、個人で経営をしているとすべて自分で対処しなくてはいけません。それに対してフランチャイズに加盟している場合は、フランチャイズ本部にクレームやトラブルの相談ができます。企業によっては、フランチャイズ本部に対応を任せられることもあるので、より円満かつ迅速に対応ができ、経営のリスクを減らすことができるでしょう。
フランチャイズのブランド力を利用できる
コインランドリーを自身で開業・独立したとしても、お客さまが足を運んでくれない限りは売り上げがたちません。無名のコインランドリーがオープンしても、よほど立地が良くない限り、勝手にお客さまが足を運んでくれることは滅多にありません。そのため、開業間もない時期は、集客に注力しなくてはいけなくなります。
その点、フランチャイズに加盟しているのであれば、世間に屋号やサービス名が認知されていることも多いので、そのブランド力を活用して集客ができます。
固定客を獲得しやすい
コインランドリーを利用する方は「家の洗濯機で洗うには大き過ぎる洗濯物がある」「家の洗濯機で洗うのには抵抗がある」「家に乾燥機がない」などの理由がほとんどです。家の洗濯機で洗えない理由があり、コインランドリーを利用しているお客さまはリピーターになりやすい傾向にあります。定期的にコインランドリーを利用してくれる固定客を獲得できることは、収益を安定して上げ続けるのに非常に有効なポイントです。
特にコインランドリーは地域に根付いて事業を展開していくビジネスモデルです。地域密着型のビジネスモデルは新規顧客の流入が少ないため、リピートしてくれる固定客の獲得が重要となります。
ランニングコストを抑えられる
事業を展開するためにテナントを借りていると、アパートやマンションなどは経年劣化に伴いさまざまな修繕が必要となります。また、フランチャイズで事業を展開していると、毎月の経費、人件費、ロイヤリティなどさまざまな費用がかかるうえに、定期的に修繕が必要となると、支出が大きくなり過ぎてしまい事業が苦しくなってしまうリスクがあります。
もちろん、フランチャイズに加盟をしてコインランドリーを経営する場合にも最低限の補修は必要です。しかし、人が住んでいるわけではないため、賃貸としてアパートやマンションを貸し出すときほどは神経質に修繕を気にする必要がないことは、気軽に事業を運営していけるポイントといえるでしょう。
人件費がかからない
コンビニエンスストアやサロンなど、接客が必要なサービス業をフランチャイズに加盟して経営する場合、どうしても店舗運営をする従業員の雇用が必要になります。人件費は経費の中でも削れないものの1つであり、事業が赤字であっても支払いが必要になるものです。
その点コインランドリーは設備を導入するだけで、定期的な掃除が必要にはなるものの、従業員を常に店舗においておく必要がないため人件費を大幅に削減できます。また、賃貸経営のように入居者募集にかかる手数料を支払う必要もないため、必要経費を極限まで抑えられるのです。
節税効果がある
フランチャイズに加盟をしてコインランドリーを経営するのは、節税効果があるといわれています。個人事業主として、節税効果が望めることは嬉しいポイントではないでしょうか。コインランドリーの経営をすることで、相続税を低く抑える効果のある「小規模宅地等の特例」などの節税効果が期待できます。
小規模宅地等の特例について
小規模宅地等の特例とは、限度面積までの部分について相続税の減額を受けられるものです。コインランドリー経営の場合は、400平米までの部分について80%の減額が受けられます。
参照:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
コインランドリーのフランチャイズに加盟するデメリット6選
コインランドリーに限らず、フランチャイズに加盟するが故のデメリットというのもあります。フランチャイズに加盟した後に「こんなはずではなかった」と後悔することがないよう、事前にフランチャイズでコインランドリーを起業するデメリットもみておかなければいけません。コインランドリーのフランチャイズに加盟するデメリットは以下の6つです。
6つのデメリットがどのようなものなのか、詳しく解説していきます。
自由度が低い
フランチャイズでコインランドリーを起業すると、個人経営の場合に比べて自由度が低い点がデメリットに挙げられます。フランチャイズに加盟すると、加盟先によって大小の差はありますが、フランチャイズ本部で決められたルールに従わなくてはいけません。
同じフランチャイズ内で●●店舗ではこういうサービスがあったのに、△△店でそのサービスはない、となってしまうと「あのフランチャイズのお店だから」という理由でお店を選んでくれるお客さまも減ってしまいます。“フランチャイズのブランド力を活用している”という意識を十分に持ち、経営方針を合わせて進めていかなくてはいけません。
ロイヤリティを支払わなくてはいけないケースも
フランチャイズは、ブランド力を借り、全店舗で経営方針を揃えるためにも、フランチャイズ本部がさまざまなサポートをしてくれます。その経営ノウハウやサポートの対価として、加盟店はフランチャイズ本部にロイヤリティを支払います。
中にはロイヤリティや加盟金などが無料の企業もありますが、サポートしてくれる体制や内容についても企業により異なるので、ロイヤリティの金額だけではなくサポート内容を比較し、加盟前によく検討するようにしましょう。
初期費用が高額
フランチャイズに加盟してコインランドリーを経営する際、加盟金や研修費などがかかります。こちらは個人でイチから開業する際にはかからない費用のためその点は高いと言えます。
その他、物件については人が住むわけではないため建物自体は比較的安価に建てられます。その一方で、業務用の洗濯機や乾燥機などを導入するのに多額の費用がかかります。これらの設備以外にも、コインランドリーの経営には両替機や監視カメラなど必要な機器は多岐にわたります。こちらはフランチャイズでの開業に限らず個人でイチから開業する場合にもかかる費用になります。フランチャイズでの開業の場合、店舗規模が大きいケースが多いため、これらの額も高額になるという点からご紹介しています。
初期費用を抑えるために、設備は購入ではなくリースをすることも可能です。ただし、フランチャイズ本部によって購入やリースの規約はさまざまです。どのように用意するべきか、事前に確認しておくようにしましょう。
犯罪が起こるリスクがある
フランチャイズだけのデメリットではありませんが、コインランドリー経営に関するデメリットとしてご紹介します。コインランドリーの経営はフランチャイズに限らず無人経営となります。人が見ていないからこそ、両替機を狙った強盗や下着泥棒などの犯罪が起こるリスクがあります。このような犯罪が頻発したり、繰り返し行われてしまったりすると、固定客が離れていってしまうリスクもあります。
犯罪が起きるのを未然に防ぎ、万が一、何か起きてしまってもすぐに対処できるように、監視カメラを設置し犯罪対策を十分に行うようにしましょう。
高額の収益は見込めない
フランチャイズに加盟してコインランドリーを経営する以外の場合も当てはまりますが、口コミや評判が人々の間で広まり、客層を拡大していきます。広く認知されて事業が軌道に乗ることで、比較的安定した収益が期待できるでしょう。しかし、その一方でコインランドリーは地域密着型のビジネスモデルであることもあり、認知されるまでに時間がかかったり、事業が軌道に乗ったとしても認知の範囲内での収益しか見込めなくなってしまったりすることも理解しておきましょう。
このように、大きな収益が獲得しづらいコインランドリーの経営は、継続的にそこそこな収益を上げたい方には特に有効な業界といえるでしょう。逆に、大きな収益を求めるのであれば、コインランドリーはあまり適した業界ではないかもしれません。
競合店との差別化をするのが難しい
コインランドリーの経営は、事業内容ではほかの競合店との差別化は非常に難しく、立地が成功の鍵を握るポイントとなります。なるべく競合店との差別化を図るためにも、“ランドリー”以外のポイントで違いを感じてもらえる工夫が必要になります。検討するポイントは、以下のようなものがあります。
このように、洗濯の待ち時間をより快適に過ごしてもらえるための工夫や、子育て中の方でも気軽に利用してもらいやすくするための工夫ができると良いでしょう。どうすればリピーターが増えそうか、よく検討しながらサービス面を強化していきましょう。フランチャイズ本部がどのようなサービスを展開しているのか、また実際にこれらの設置や増設などを希望したときに断られることがないかといった点を事前に確認しておくようにすると安心です。
コインランドリーのフランチャイズ
次に、主要なコインランドリーのフランチャイズの特色を紹介していきます。
ジャンボランドリーふわふわ
千葉、茨城、埼玉、東京、静岡で展開されているフランチャイズのコインランドリーです。
ガラス張りを多用し手見通しの良いつくりにしたり、防犯カメラを導入したりすることで、犯罪抑止や防犯対策をしています。明るい雰囲気の店舗が特徴的で、女性でも安心して利用できるようになっています。自宅での洗濯が難しい羽毛布団やカーテンなども洗濯可能なほか、常駐のインストラクターを設置し、初めてのお客さまにも安心して使ってもらえます。
せんたっく
導入機器や設備のみのご契約、店舗施工工事までの一貫契約、設備導入方法も買い取り・リース方式など、希望に合わせて契約方法を選べます。また施行会社も自分で手配するか紹介してもらうか選ぶことができます。中部エリア100店舗以上の出店がありますが、対象は愛知県豊田市から高速道路を利用して約1時間以上のエリアです。
ホワイトピア
全国のコインランドリーのうち約1割は、運営会社であるFujitakaが手掛けているコインランドリーです。徹底した商圏調査を行い、地域に合わせた店舗を提案してもらえます。また、問題が起きた際のアフターフォローとしてコールセンターもあります。
これからのコインランドリーフランチャイズ
PM2.5や花粉などのアレルギー対策や、超高齢社会、女性の社会進出による家事代行の需要などにより、今後もコインランドリーのニーズは増えるといわれています。特に、大型の寝具などは自宅では洗濯できなかったり、乾燥機が必要になったりするため、自宅で洗濯をしないという方も少なくありません。
明るい雰囲気や防犯対策を行っているコインランドリーの店舗が増えたことにより、より安心して通えるようになり、利用率はここ数年で高まっている傾向にあります。
自分に合ったコインランドリー事業で独立しよう
初めて店舗運営に、不安はつきものです。そんな不安を払拭させてくれるのが、フランチャイズという形での独立・開業ではないでしょうか。
どのようなコインランドリーをつくりたいのか、自分が何をしたいのかを明確にし、自分にとって一番良い形での独立・開業を目指しましょう。
アントレではコインランドリーのフランチャイズも紹介しています。是非、覗いてみてください。
<文/ちはる>
監修
金融商品や不動産を活用した経営コンサルティングを得意とし、前職のプルデンシャル生命保険株式会社在籍時より担当したクライアント数は年間200社にのぼる。2013年クレディテック株式会社設立。金融と不動産を軸とし、税務・法務の観点から知識提供を行う、資産形成および財務のコンサルティングサービスを展開。海外不動産についても強いコネクションと発信力を持ち、これまでの取扱高は150MM以上。現在、「幻冬舎GOLD ONLINE」にて、幅広い資産形成ノウハウを連載中。【村上年範 運営】金融・不動産にまつわるYoutubeチャンネル