この2年ほどで、多くの会社で導入されることになり、一般化したテレワーク。
コロナ禍を機に、自宅など会社以外の場所で仕事をするようになった、という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、作編曲家の遠藤ナオキさん。
遠藤さんは、人気アーティストの楽曲を始め、近年ではアニメや舞台の伴奏音楽(劇伴)も担当されています。
そのほぼ全ての仕事を、自宅のスタジオで完結させているそうで、長い時は数カ月間も自宅スタジオにこもっていることもあると言います。
フリーランスの作編曲家として、10年以上自宅で仕事をされてきた、まさに“テレワークのプロフェッショナル”である遠藤さん。
今回はそんな遠藤さんのキャリア、そして自宅でどのように集中力を維持して仕事に臨んでいるのか、その方法を伺いました。
遠藤ナオキさん
作編曲家福島県富岡町出身。幼少期よりピアノ、サックス、ギター、バイオリン、ドラムなど様々な楽器に同時に触れながら育つ。
中学生の頃に音楽理論を独学で習得し、本格的に音楽に目覚める。
様々なバンドでの活動を経て、2015年にHOVERBOARDに加入。
作編曲、多種楽器演奏、録音、ミックスなど、音楽制作に関わるほぼ全ての工程を1人で手がけるオールラウンダー。
Hey!Say!JUMP、AKB48、乃木坂46、郷ひろみなど日本を代表するアーティストへの楽曲提供やアレンジを行い、近年では舞台音楽、アニメ劇伴制作まで幅広く手がけている。
音楽制作のほぼ全ての工程を行う、オールラウンダー。作編曲家・遠藤ナオキさんのキャリア
――まずは、現在のお仕事について聞かせてください。
音楽の作曲、編曲(楽曲のアレンジなど)をしています。音楽というのは、さまざまな工程で人の手が加えられ、聞き手へ届きます(楽曲を作る人、演奏する人、CDや音源を聞きやすいようにアレンジしたり調整する人etc…)。
僕の場合は、職業・作編曲家になる前に、バンド活動やレコーディングスタジオで働いていた経験がありました。
だから作編曲以外にも、楽器の演奏や録音、ミックスなど、その工程を一通り自分でも行うこともできます。音楽制作に関わることなら、比較的守備範囲を広くお仕事させていただいています。
――いわば音楽制作のプロフェッショナルなんですね。音楽にはいつ頃から興味があったのでしょう?
3歳くらいからですね。姉の影響で、ピアノ教室に通い始めたんです。ピアノから始まり、その後サックスを触ってみたり。中学時代以降は、新しくギターやドラムを勉強しました。学業はあんまり得意じゃなかったんですが、その分音楽に熱中した少年時代でした。
そして高校卒業後をする頃に、組んでいたバンドでCDデビューとツアーを回ることになって。以来10年くらいはバンド中心の生活を送っていたんです。
――そこからなぜ作編曲家業に?
福島から東京に出てきて、バンド活動をしながらリハーサルスタジオやレコーディングスタジオで働かせてもらっていたんです。そこで働いている中で「編曲とかアレンジってできる?」と、誘っていただいて。そこから編曲の仕事をいただけるようになったんです。
後にバンドは解散してしまうのですが、僕はそのまま作編曲家業を続けていって。作編曲家業もスタートして今年で10年くらいですね。それで今に至ります。
――仕事のきっかけが編曲だったとのことですが、今でも編曲をされることの方が多いのでしょうか?
そうですね。というのも僕は「世の中に対して、言葉で何かを伝えたい!」みたいなパッションがないんですよ(笑)。歌詞を書いて、歌にしてまで言いたいことがないというか……。「今こうして生きてるだけでラッキー」くらいに思っているので、歌詞が書けないんです。音楽を作るのはもちろん大好きなんですけどね。
ただここ最近は、インスト(ボーカルの入っていない楽曲)作曲の仕事が増えてきたんです。主にアニメや舞台の劇伴を担当しているのですが、そのシーンに起こる心情に合わせた楽曲を作るのが楽しくて。
なので今は、作曲も編曲も満遍なく行っていますね。