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事業承継補助金とは?受給対象者になるための条件を徹底解説!

【基礎知識】M&Aの意味や手法、知っておきたい用語を解説 事業承継

事業承継補助金とは、事業を承継する際、新たな取り組みをする承継者のための補助金制度です。

本記事では、事業承継補助金の基礎知識をわかりやすく解説しています。事業承継補助金の種類や補助対象者になるための要件、対象となる経費など、事業を承継する人なら知っておきたい情報ばかりです。

また、事業承継補助金を申請する流れについては、4つのステップに分けて紹介しています。事業承継補助金の公募要領を読んだだけではわかりにくいところも、本記事を読めば、しっかり理解できるでしょう。

事業承継補助金を活用したいと思っている方は、ぜひ最後までお読みください。

事業承継補助金とは何か

事業承継補助金とは、経営者の交代や会社合併などに伴う事業の承継を機に、新たな取り組みをする承継者を対象とした補助金制度です。
多額の投資というリスクを背負ってでも、事業を存続させようとする承継者を応援するための制度といえます。

事業承継補助金は、毎年実施されている制度です。
2020年11月現在、今年度の公募は終わってしまいましたが、2021年もまた同じように公募があるでしょう。

事業承継補助金には2つの種類がある

事業承継補助金には、2つの種類があります。

【事業承継補助金の種類】
1.事業承継補助金Ⅰ型
2.事業承継補助金Ⅱ型

2種類の事業承継補助金について、1つずつ解説していきます。

事業承継補助金Ⅰ型

1つ目は、「事業承継補助金Ⅰ型」です。「後継者承継支援型」とも呼ばれ、経営者の交代による事業承継を支援します。

Ⅰ型は、経営者交代に伴う、新たな取り組みに必要となる経費の一部を補助するものです。
補助金には、上限額が設けられており、小規模事業者には上限額200万円・補助率2/3までと定められています。

一方、小規模事業者以外は、上限額150万円・補助率1/2までです。
また、事業所の廃止や事業の集約が伴う場合は、廃業費用として最大300万円が補助金として上乗せされます。

事業承継補助金Ⅱ型

2つ目は、「事業承継補助金Ⅱ型」です。「事業再編・事業統合支援型」とも呼ばれ、会社の合併・分割や株式譲渡など、いわゆるM&Aによる事業承継を支援します。

Ⅱ型の役割は、M&Aに伴う新たな取り組みに必要な経費の一部を補助することです。また、Ⅱ型は審査結果によって、上位とそれ以外に分けられます。
両者の違いは、補助金の上限額です。

上位は、上限額600万円・補助率2/3、それ以外は上限額450万円・補助率1/2です。
そして、Ⅰ型と同じように廃業を伴う経費が存在する場合は、補助金が上乗せされます。
上位が最大600万円で、それ以外の場合は、最大450万円です。

事業承継補助金の補助対象者になる要件

事業承継補助金とは?受給対象者になるための条件を徹底解説!

事業承継補助金の補助対象者となるのは、下記の要件に該当する中小企業、個人事業主、特定非営利法人です。

【事業承継補助金の補助対象者】
・製造業:資本金額または出資の総額が3億円以下、もしくは従業員数が300人以下の会社及び個人事業主
・卸売業:資本金額または出資の総額が1億円以下、もしくは従業員数が100人以下の会社及び個人事業主
・小売業:資本金額または出資の総額が5,000万円以下の会社、もしくは従業員数が50人以下の会社及び個人事業主
・サービス業:資本金または出資の総額が5,000万円以下の会社、もしくは従業員数が100人以下の会社及び個人事業主

また、補助対象者になるには、下記の7つの要件も満たす必要があります。

1.日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
2.地域経済に貢献している中小企業者等であること。
3.暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会勢力との関係を有しないこと。
4.法令順守上の問題を抱えている中小企業者等でないこと。
5.経済産業省から補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていない中小企業者等であること。
6.補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国に報告された後、統計的な処理等をさ
れて匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
7.事務局が求める補助事業に係る調査やアンケート等に協力できること。

『令和元年度補正 事業承継補助金公募要領』より一部抜粋
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2020/200331shoukei.html

事業承継補助金を受給するための、事業承継における条件とは

事業承継補助金を受け取るには、事業承継の形態が、事業承継補助金事務局が定める形態でなければいけません。
事務業承継補助金事務局が求める、令和元年における事業承継の要件は下記の3点です。

【事業承継の3つの要件】
1.対象期間内(交付決定日から補助対象事業期間完了日または、2020年12月31日のいずれか早い日まで)に、事業承継を行うこと
2.対象の事業承継形態であること
3.承継者が「経営経験・同業種での実務経験・創業・承継に関する研修経験」のいずれかを満たしていること

対象の事業承継形態は、『令和元年度補正 事業承継補助金公募要領』のP7が参考になります。

また、承継者の代表者が、承継以前に代表権を有していない場合は注意が必要です。
代表権の有無は、3年以上の経営経験や6年以上の実務経験があるかなどの条件で判断されます。

ただ、お伝えした内容はあくまで令和元年の公募におけるものです。次の公募では、要領や要件が異なる可能性もあるので、必ず公式サイトを確認してください。

事業承継補助金の対象となる経費

補助金の対象となる経費には、新しい試みのための「事業費」と、今までの事業を転換するための「廃業費」があります。
ただし、下記の条件を満たしていないと、経費とは認められません。

【補助対象経費】
①使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
②承継者が交付決定日以降、補助事業期間内に契約・発注をおこない支払った経費(原則として、被承継者が取り扱った経費は対象外)
③補助事業期間完了後の実績報告で提出する証拠書類等によって金額、支払等が確認できる経費

引用:令和元年度補正 事業承継補助金公募要領
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2020/200331shoukei.html

事業承継補助金を申請する流れ

事業承継補助金の申請は、次のような流れで進められていきます。

【事業承継補助金申請の流れ】
1.事前準備をする
2.事業承継補助金の交付申請をする
3.事業承継補助金の交付決定
4.事業承継補助金の受領後

事業承継補助金の申請の流れに沿って、1つずつ解説していきます。

事業承継補助金を申請する流れ1:事前準備をする

まず、申請する前の事前準備を行います。事前準備というのは、補助金申請に必要な書類をそろえることです。

提出する書類の中でも、事業計画書は重要視される傾向があります。
そのため、補助金をどのような形で事業に活かすのかを、事業計画書内でわかりやすくアピールすることが重要です。

事業承継補助金事務局は、会社が提出する書類や、会社の地域への貢献度などをポイントで評価します。
つまり、申請時の書類や取り組みの評価で、もらえる補助金の額が変わってくるのです。

事業計画書を自社で用意するのが難しい場合は、専門家に依頼すると、精度の高い計画書を用意できるでしょう。

事業承継補助金を申請する流れ2:事業承継補助金の交付申請をする

申請要件を満たす書類が揃ったら、本格的な事業承継補助金の交付申請手続きに移ります。

事業承継補助金事務局に交付申請を提出する際は、郵送と電子申請のいずれかを選ぶことが可能です。
交付申請は、事業承継に伴う登記簿変更が完了していなくても申請することができます。

事業承継補助金の交付申請後は、審査が終わるまで、すべきことは特にありません。

事業承継補助金を申請する流れ3:事業承継補助金の交付決定

事業承継補助金の交付申請が採択されたら、補助金が受け取れることが仮確定します。
ただし、仮確定した時点では、まだ補助金を受け取ることはできません。

新しい取り組みを実施したことを報告して、はじめて補助金がもらえるからです。
補助金を受け取るには、技術を持つ人材を雇用して新たな事業や商品開発を始めるなど、新しい取り組みの成果を事務局に報告しなければなりません。

事業承継補助金を申請する流れ4:事業承継補助金の受給後にすること

新しい事業の実施と完了を報告すると、補助金交付手続きを行います。

必要な書類を提出したら、約2~3ヵ月の期間の後、事業承継補助金事務局より補助金が交付されます。
以上で事業承継補助金の申請の手続きは全て完了です。

なお、補助金交付後5年間は、事業の状況を事業承継補助金事務局に報告することが義務付けられています。報告を忘れないよう、注意しましょう。

事業承継補助金は、事業承継の救世主

事業承継補助金とは?受給対象者になるための条件を徹底解説!

本記事では、事業を承継したい人が知っておくべき、事業承継補助金の基礎知識を紹介してきました。

事業承継補助金には、Ⅰ型とⅡ型があるので、自分の事業承継の形態に合ったタイプを選んでください。
また、事業承継補助金の補助対象者になる条件や、事業の承継方法の条件に関しては少々複雑です。
公募の行われる年度によって内容が異なる可能性もあるので、申請する年度の事業承継補助金公募要領を、しっかり確認しましょう。

とはいえ、令和元年の公募要領は参考になります。準備として、令和元年の要領を読みこんでおくのもいいでしょう。

事業承継補助金の申請については、承継方法の条件ほど複雑ではないものの、事業計画書はとても重要です。
上手く書けるか不安な方は、費用はかかりますが、専門家に依頼するといいでしょう。

事業承継補助金を有効に活用して、新たな事業にチャレンジしてみましょう。

<文/三國鈴香>

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