フリーランスにとって、年末調整や確定申告は、頭を悩ませる手続きの一つです。しかしこのような税務手続きは、避けることも出来ません。節税効果を最大限に活用するためにも、年末調整や確定申告の正確な計算は重要なポイントです。
フリーランスの税務手続きにおいては、一般的な会社員とは異なり、特有のルールがあります。結論を言うと、フリーランスは基本的に確定申告を通じて自らの税額を計算するため、年末調整は不要です。
しかし、例外的にフリーランスでも年末調整が必要となるケースもあります。本記事では、年末調整や確定申告の違いや、年末調整が必要となるフリーランスについての解説をしていきます。
この記事を監修した人
監修者プロフィール
上場企業の経理や事業管理として、10年以上業務に従事しながら税理士資格取得を目指す。2022年に税理士資格を取得し、2023年税理士登録をおこない、4月に独立開業をする。税理士業務もさることながら、企業での業務改善や学生に対する租税教室など、幅広く業務に携わっている。
年末調整とはフリーランスではなく会社員のための手続き
そもそも年末調整とは、会社員などの給与所得者を対象とした手続きです。会社員からフリーランスになるケースも少なくないため、「年末調整の基本的な仕組み」を理解した上で、フリーランスに必要な手続きを知っていきましょう。
年末調整の基本的な仕組み
会社員などの給与所得者は、毎月の給与から所得税が源泉徴収されています。実はこの金額は正確ではなく、あくまで見積もりです。実際には、生命保険料や扶養などさまざまな控除があるため、そのままでは本来払うべき税額よりも「払い過ぎている状態」となってしまいます。
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給与からの源泉徴収は、給与の収入および扶養人数等により、源泉徴収税額表というものを用いて、計算されています。
そこで、払い過ぎた税金を還付するために行う手続きが、年末調整です。毎年12月頃に企業が給与所得者を対象に、以下の流れで進めます。
- 従業員から必要な申告書を収集:「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」など
- 年間の給与総額と控除額を確認:控除額を適用して課税所得を出し、実際に納付すべき所得税額を計算
- 源泉徴収額との差を調整:納付すべき税額と年間で源泉徴収された税額の差額を清算
給与所得者が確定申告を行わなくても良いのは、年末調整があることにより、正しい納税額が算出されるからです。
フリーランスでも年末調整が関係するケースもある
自身で所得を管理するフリーランスや個人事業主にとって年末調整は、関係のない手続きです。ただし、以下のケースにおいては、フリーランスでも年末調整が関係してきます。
- 従業員を雇用している
- 給与所得を得ている
- 青色事業専従者
それぞれの詳細については後述しますが、上記したケースを除けば、フリーランスが所得税額を計算するのは、年末調整ではなく確定申告です。
フリーランスが年末調整を行う必要があるケースについて詳しく解説
フリーランス・個人事業主は基本的に年末調整の対象外です。しかし、前述のとおり、フリーランスでも年末調整が必要となるケースがあります。ここからは、具体的なケースと対応方法を詳しく解説していきましょう。
従業員を雇用しているフリーランス
フリーランスや個人事業主でも、パート・アルバイト・契約社員・正社員を雇用することは可能です。どのような雇用形態であっても、従業員に給与を支払っている雇用主である以上は、源泉徴収や年末調整を行う義務が生まれます。雇用主にあるフリーランス・個人事業主は、従業員の所得税を正しく計算し、過不足を調整しましょう。
年末調整を行う(払い過ぎている税金の還付)のは、12月の給与支給時が基本です。11月初旬頃から、従業員に必要書類の提出を求めていきましょう。年末調整の具体的な方法やスケジュール詳細については、後述します。
給与所得を得ている場合フリーランス
フリーランスが事業所得以外に給与所得を得ている場合、自分の年末調整が必要です。源泉徴収をされている場合、年末調整によって、納めすぎた所得税が還付される可能性があります。勤務先から配布された書類に必要事項を記入し、控除の適用や所得税の還付を受けることができます。
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源泉徴収がされていなくても、年末時点で給与の支払いを受けている場合、給与支払者は年末調整をおこなう義務があります。
途中で会社員になったフリーランス
フリーランス・個人事業主から、会社員になるケースもあるでしょう。この場合においても、年末までの雇用期間分の年末調整が必要です。もちろん、フリーランス・個人事業主としての事業所得も課税対象となりますので、源泉徴収票を持って確定申告を行いましょう。
青色事業専従者がいるフリーランス
フリーランス・個人事業主は、確定申告で「青色申告」か「白色申告」を選択できます。青色申告を行っているフリーランス・個人事業主が、自身の家族を青色事業専従者として雇用している場合、その家族への給与も年末調整の対象となります。
青色事業専従者への給与は必要経費として計上可能ですが、年末調整は必要です。年末調整の方法については、一般的な給与所得者と変わりません。ただし、税務署から青色事業専従者の給与額が適正かどうかについて確認されることもあるため、業務内容や給与額の正確な記録をし、妥当性を証明できるように準備しておくことが重要です。
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ただし、青色申告をおこなうことや青色事業専従者給与の適用を受けるためには、事前の届け出が必要となります。
フリーランスが従業員に対して行う年末調整の方法
従業員を雇用しているフリーランス・個人事業主は、従業員の年末調整を行う義務があります。「今年から従業員を雇用し始めた」など、初めての年末調整に直面する場合には、「いつから始めるのか」「何が必要なのか」など疑問が多く、戸惑うことでしょう。
そこでここからは、年末調整の基本的なスケジュール、必要書類、手続きの流れについて詳しく解説します。
年末調整の基本スケジュール
年末調整は、以下のようなスケジュールで進めるとスムーズです。なお、税務署への提出書類については、電子申告(e-Tax)を活用すると手続きが簡略化されます。
11月初旬~中旬:従業員への案内
遅くとも11月中旬には必要書類が揃うように、従業員に必要書類を記入・提出してもらうよう通知します。この際、扶養控除や保険料控除に関する書類を正しく揃えることと、提出期限を厳守することを伝えましょう。また、当年入社の従業員からは、前の会社での源泉徴収票も必要となるなど、1人ひとりの状況を確認しておくことも重要です。
12月上旬:税額の計算
従業員から提出された各書類を確認し、不備がある場合には早急に対応してください。控除証明書の出し忘れなど、追加提出が必要となるケースもあります。これらを揃えた上で、12月上旬には従業員それぞれの年間給与総額と控除額を計算し、正確な税額を出しましょう。
12月の給与支給日:税額の過不足清算
所得税の過不足について、12月中の給与支給で還付や追加徴収を行います。給与明細にも反映させることを忘れないようにしましょう。また、源泉徴収票の配布も行います。
翌年1月末まで:税務署と市町村に必要書類を提出
源泉徴収票と法定調書合計票を、管轄の税務署に提出します。また、従業員の住所地の市町村に給与支払報告書を提出します。
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税務署に提出する源泉徴収票は、その年の給与等の支払金額が年間500万円以下の者等は提出をしなくてもよいなど、一定のルールがあります。
年末調整に必要な書類
年末調整を行う際、従業員から提出してもらう必要書類は以下のとおりです。
注意点
フリーランス・個人事業主が従業員の年末調整を行う際には、以下2つの注意点を意識して進めましょう。
書類の不備を防ぐ
提出された申告書に不備がないか早めに確認しましょう。控除証明書の不足や記載ミスがある場合、税額計算に影響を及ぼします。
期限の厳守
各種書類の提出や源泉徴収票の交付には、厳密な期限が設定されています。遅れると税務署から指導や罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。
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税務署や市町村への提出期限は、給与支払日の翌年1月31日までになりますので、提出期限は守りましょう。
年末調整の方法を選ぶ:紙と電子申請の比較
年末調整を行う方法には「紙」か「電子申請」があります。それぞれのメリット・デメリットを解説しますので、事業規模などに応じて適切な方法を選択しましょう。
紙で行う年末調整
書類の準備や配布、回収など、作業工程が多くなりがちな紙ベースによる年末調整ですが、デジタルツールに不慣れな従業員も進めやすいメリットがあります。特にフリーランス・個人事業主に多い小規模な事業であれば、シンプルで負担が少ないかもしれません。
電子申請での年末調整
書類を廃止し、手続きをデジタル化することにより、コストと手間を大幅に削減できるのが電子申請のメリットです。計算も自動化されるため、人的ミスの防止にもつながります。一方で、ソフトの導入や設定、保険会社とのデータ連携などの準備が必要で、初期費用が発生する場合があります。
従業員がいるフリーランスは要チェック!年末調整をしない場合のリスクとペナルティ
繰り返しますが、フリーランス・個人事業主であっても、従業員を雇用している場合には年末調整を行うことが義務付けられています。万が一、年末調整の手続きをしなかった場合には、多大な悪影響を及ぼすリスクがありますので、その点についても知っておきましょう。
税務署から指摘や罰則を受ける可能性
年末調整がないと、従業員が支払うべき税金が正しく計算されません。本来還付されるべきものが受け取れない、あるいは不足分がそのままになってしまいます。また、源泉徴収や税務処理に一貫性が無くなるなど、税務調査の対象となる可能性が高まります。税務調査では、過去の税務処理までさかのぼっての精査が必要ですので、年末調整を行う以上の膨大な時間と労力がかかります。
また、延滞税や不納付加算税など、追加徴収されるリスクもあるでしょう。こうした罰則は、税務署の監査を受けた際に判明するケースが多く、さらに深刻なペナルティを科される可能性があります。悪質と判断された場合には、10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または併科となりますので、「年末調整は義務」という認識をしっかりと持ち対応することが重要です。
従業員からの信頼を失うリスク
従業員にとっての年末調整は、還付金を受け取るための重要な手続きです。この手続きを怠る雇用主に対して従業員は、「義務を果たさない経営者」として、不信感を抱くでしょう。特に小規模な事業においては、雇用主と従業員間における信頼関係が、業務上のパフォーマンスにも直結します。将来的な発展にも多大な悪影響となりますので、従業員の年末調整は忘れずに正しく行いましょう。
年末調整を正しく遂行するための実践的なポイント
年末調整を正しく行い、さまざまなリスクを避けるためには、以下のような方法を取り入れることも一つです。
年間スケジュールを作成する
年末調整の準備は12月に集中しがちですが、年間を通じたスケジュールを立てることで負担を分散できます。例えば、扶養控除や保険料控除に関する情報を早めに確認し、11月末までに必要書類を従業員から収集する計画を立てると良いでしょう。
クラウド会計ソフトを活用する
年末調整に関する手続きは、クラウド会計ソフトを活用することで効率化できます。多くのソフトが自動計算機能を備えており、源泉徴収税額や控除額を正確に計算してくれます。
税理士に相談する
税務に関する疑問や複雑な状況に対しては、専門家の意見を求めるのが最善です。税理士に相談することで、不備を未然に防ぎ、安心して年末調整を進めることができます。特に初めて従業員を雇用したフリーランス・個人事業主にとっては、これまでとは異なる税務処理が多くなります。
フリーランスの確定申告の流れ
フリーランスにとって、年末調整と確定申告の違いを理解することは、正確な税務手続きを行う上で非常に重要です。これまでの項目では年末調整について詳しく解説してきましたので、ここからは確定申告の基本的な流れをチェックしていきましょう。年末調整と確定申告の両方が必要となるケースについても解説します。
確定申告の基本的な流れ
フリーランスや個人事業主は、毎年の確定申告で所得税を計算し、納付します。確定申告の基本的な流れは以下の通りです。
必要書類の準備
収入・経費の計算
1年間の総収入を計算し、事業に関連する経費を差し引き、事業所得を算出します。フリーランス・個人事業主が経費として計上できるものには、通信費や交通費、業務用機器の購入費用などがあります。
各種控除の適用
事業所得の算出が出来たあとに、適用可能な控除を計算します。主な控除は以下のとおりです。
税額の計算
控除を差し引いた後の課税所得に所得税率を適用して税額を計算します。また、既に源泉徴収された金額があれば、それを差し引いた残額を納付します。
確定申告書の提出
必要事項を記入した確定申告書を、税務署に提出します。提出期間は通常、毎年2月16日から3月15日までです。電子申告(e-Tax)を利用すると手続きが簡略化され、特典が受けられる場合もあります。
納付
納税が決定した場合、現金納付であれば3月15日までに納付を行います。振込・振替にしておくと、4月下旬が引き落とし日となるため、1ヵ月以上納税が猶予されます。
両方が必要なケースの解説
以下に当てはまるフリーランス・個人事業主・会社員の方は、年末調整と確定申告の両方が必要です。
フリーランスが副業で給与所得を得ている場合
フリーランスとして事業所得を得る一方、アルバイトやパートタイムで給与所得を得ている場合、給与所得部分は雇用主が年末調整を行います。ただし、事業所得については確定申告が必要です。
年収が高額で追加申告が必要な場合
年収が2,000万円を超える給与所得者は、年末調整の対象とはならず、確定申告が求められます。
複数の会社で給与所得がある場合
2カ所以上から給与所得を得ている場合、年末調整を行うのはメインとなる勤務先です。その他での給与収入が20万円を超えるケースにおいて、個人での確定申告が必要となります。
不動産所得がある場合
不動産所得や配当所得がある場合、年末調整では対応できないため、確定申告で全体の税額を計算する必要があります。
控除を追加で申請する場合
年末調整では対応できない医療費控除・寄附金控除・雑損控除控除を申請する場合、確定申告が必要です。
このようにケースによっては両方の手続きが必要になることもあります。フリーランスとしては、これらの違いを正しく理解し、自分の状況に応じた対応を行うことが大切です。
フリーランスが支払うべき税金の種類をおさらいしよう
フリーランスが支払う税金は、主に所得税、住民税、個人事業税、消費税の4種類です。所得税については、確定申告の解説でお伝えしたとおりですので、その他3つの税金について解説をしていきましょう。
住民税
住民税とは、都道府県・市町村に納める税金です。前年度の所得に基づいて計算されるため、収入が多いほど翌年の住民税も上がる仕組みとなっています。確定申告のあとに各自治体から納付書が送付され、原則として年4回に分けて納付を行います。
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所得税の税率が累進課税に対し、住民税の標準税率は一律10%です。ただし、自治体によっては、若干前後することもあります。
個人事業税
フリーランス・個人事業主で年間所得が290万円を超える場合に課せられるのが、個人事業税です。小売業やサービス業、自由業(例:デザイナーやライター)など特定の業種が課税対象となり、3%~5%程度の税率がかかります。
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この場合の年間所得290万円は青色申告特別控除前の金額となるため、注意をしましょう。
消費税
フリーランスや個人事業主は、売上時に受け取った消費税から、経費や仕入れで支払った消費税を差し引き、その差額を納付する義務があります。ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は、「免税事業者」として消費税の申告・納付が免除されますが、2023年10月から導入されたインボイス制度では、課税事業者に限り登録が可能です。
すなわち、これまで免税事業者だったフリーランスが課税事業者になった場合には、消費税を納める義務が生まれます。
フリーランスのための節税対策
フリーランス・個人事業主は、適切な節税対策を講じることで、税金を抑えつつ、資産形成や将来への備えを強化することが出来ます。そこでここからは、具体的な節税対策として、青色申告の活用・必要経費の計上・各種控除の活用、・小規模企業共済やiDeCoの利用について詳しく解説します。
青色申告の活用
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。その内、青色申告は、フリーランスや個人事業主にとって、税制上の多くの優遇措置を受けられる申告方法です。
特に「青色申告特別控除」は最大65万円の控除が適用され、大きな節税効果をもたらします。控除額によって条件は異なりますが、もっともメジャーな節税対策でもあるため、積極的に活用していきましょう。また、青色申告にすると、赤字の繰越控除や、専従者給与の活用なども可能になります。
必要経費の適切な計上
フリーランスは、業務に関連する支出を「必要経費」として計上することで課税対象となる所得を減らせます。ただし、経費の適切な記録と管理が重要です。たとえば、以下のような項目が必要経費として計上可能です。
領収書やレシートを整理・保管するためにも、クラウド会計ソフトを活用して記録を簡便化するのがおすすめです。必要経費を正しく計上すれば、課税所得を減らすことができます。
控除の最大活用
フリーランスが利用できる控除を最大限に活用することで、所得税や住民税の負担を減らせます。所得税においては、15種類もの控除があるため、ぜひチェックしておいてください。
各種控除を受けるには、関連する証明書(保険料控除証明書や医療費の領収書など)の提出が必要です。これらの書類を年度末までに揃えておきましょう。
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年末調整をされていない場合、すべての所得控除を確定申告時に考慮する必要がありますので、事前に情報を整理しておきましょう。
1. 基礎控除
- 誰でも一律に適用
- 所得2,400万円以下の場合、控除額は48万円
2. 配偶者控除
- 配偶者の所得が一定額以下の場合に適用
- 最大38万円の控除が受けられる
3. 配偶者特別控除
- 配偶者控除を受けられない場合でも、配偶者の所得が133万円以下であれば適用可能
- 最大38万円の控除
4. 扶養控除
- 生計を一にする16歳以上の扶養親族がいる場合に適用
- 控除額は扶養親族の年齢により異なる(最大63万円)
5. 医療費控除
- 年間の医療費が一定額を超える場合に適用
- 超過分(通常10万円以上、所得によってはそれ以下)が控除対象
6. 社会保険料控除
- 健康保険料、年金保険料、介護保険料などが控除対象
- 支払った全額が控除される
7. 生命保険料控除
- 生命保険や介護医療保険に支払った保険料に適用
- 最大12万円の控除(新契約と旧契約で異なる)
8. 地震保険料控除
- 地震保険料の支払い額が控除対象
- 最大5万円まで控除可能
9. 小規模企業共済等掛金控除
- 小規模企業共済や確定拠出年金(iDeCo)の掛金が控除対象
- 支払った全額が控除可能
10. 障害者控除
- 自身または扶養親族が障害者の場合に適用
- 一般障害者は27万円、特別障害者は40万円の控除(同居している場合は75万円)
11. 寡婦控除
- 配偶者と死別または離婚し、一定条件を満たす場合に適用
- 控除額は27万円
12. 勤労学生控除
- 勤労収入があり、一定の所得以下の学生に適用
- 控除額は27万円
13. 雑損控除
- 災害や盗難、横領による損失があった場合に適用
- 損失額の一部が控除対象
14. 寄附金控除(ふるさと納税を含む)
- 国や地方公共団体への寄附金が控除対象
- ふるさと納税も含まれ、寄附額の一部が控除可能
15. ひとり親控除
- ひとり親で一定の条件を満たす場合に適用
- 控除額は35万円
小規模企業共済やiDeCoの活用
小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、フリーランスが節税しながら将来の資産形成を行うための効果的な方法です。
小規模企業共済
月額1,000円から7万円の範囲で掛金の設定ができ、掛金全額が所得控除の対象となります。大きな節税効果となるだけでなく、退職時に共済金として一括受け取りも可能なことがメリットです。経営者にとっての退職金制度とも呼ばれています。
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受取時も課税されますが、退職時に受け取れば、退職所得となり、年40万円の控除等、大きなメリットがあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
毎月の掛金が全額所得控除の対象で、運用益は非課税です。老後資金として60歳以降に受け取れる仕組みが人気を集めています。現在の税負担を減らしつつ、老後の資産形成を効率的に行うことが可能です。
まとめ
お伝えしてきたとおり、フリーランスが年末調整を行う必要があるケースは限られていますが、従業員を雇用している場合や青色事業専従者への給与支払いがある場合には、正確な手続きが求められます。
一方、フリーランス自身で行う手続きは確定申告が基本となり、適切な控除や節税対策を講じることで税負担を軽減できます。
年末調整や確定申告の違いを理解し、正しい手続き方法を知り、早めの準備を進めることが重要です。
この記事を監修した人
監修者プロフィール
上場企業の経理や事業管理として、10年以上業務に従事しながら税理士資格取得を目指す。2022年に税理士資格を取得し、2023年税理士登録をおこない、4月に独立開業をする。税理士業務もさることながら、企業での業務改善や学生に対する租税教室など、幅広く業務に携わっている。