【この記事でわかること】
- 介護用品レンタル事業とその市場性
- 介護用品のレンタル事業をフランチャイズで開業する方法
- 介護用品のレンタル事業を成功させるポイント
福祉業界のなかにもさまざまな事業があります。直接介護をするわけではなくても自分も社会のために何かしたいという方は、間接的なサポートができる介護用品を取り扱う事業を営んでみてはいかがでしょうか。
特に介護用品のレンタル事業はフランチャイズに加盟して開業ができるのでおすすめです。本記事では、事業成功のためのポイントやメリット・デメリットをお伝えしていきます。
介護用品レンタル事業とその市場性
介護用品レンタル事業とは行政用語で「福祉用具貸与」といい、社会保険による費用負担のある事業になります。そのため、事業を営む上でほかの介護系の事業同様、人命にかかわる器具を扱う事業を営んでいる自覚を持たなくてはいけません。
令和5年3月分(1月サービス分)で、在宅で介護または要支援者向けの介護予防サービスを受けた人は約413万人もいます。
介護施設でサービスを受ければ設備が整っているため介護用品について心配することもありません。しかし、自宅でサービスを受けるとなるとさまざまな介護用品の手配が必要になります。
このような背景から、介護用品のレンタルを検討する人は増加傾向にあるようです。
参照:公益財団法人|生命保険文化センター「介護を受けている人はどれくらい?」
介護用品のレンタル事業はフランチャイズで開業できるのか
介護用品のレンタル事業を開業するためには、事業を行う予定の都道府県または市町村に「介護事業者指定申請」を行い、「指定福祉用具貸与事業者」となる必要があります。その指定基準には以下の4つの要件があります。
それぞれの基準は各都道府県によって定められています。またこれらの準備には複雑なものが多いため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
フランチャイズに加盟することで開業前の準備から開業後もサポートを受けることができます。
参考:東京都福祉局|10 福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与(新規に指定を受けたい方へ)
開業資金・ランニングコスト
介護用品のレンタル事業を開業する際の費用にはどのようなものがあるのでしょうか。開業資金とランニングコストの内訳をお伝えしていきます。
・加盟金
・保証金
・事業所の物件取得費および内外装施工費
・法人設立費等(新規の場合)
・事業所内の設備・備品等の購入費用
・研修費
・保険料
・レンタル器具の仕入れ費用
・ロイヤリティ
・事業所の家賃及び水道光熱費
・人件費
・保険料
・事務用品などの備品代
・広告宣伝費
・会計・顧客管理ソフト利用料等
介護用品のレンタル事業をフランチャイズで開業するメリット
介護用品のレンタル事業を開業するにあたり、自力で開業するかフランチャイズに加盟するか迷っている方もいるでしょう。
そんな「どのように開業するべきか迷っている方」のために、フランチャイズに加盟して介護用品のレンタル事業を開業する際に得られる4つのメリットをご紹介します。
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
スタッフ採用サポートがある場合も
フランチャイズに加盟して介護用品のレンタル事業を開業する1つ目のメリットは、スタッフ採用サポートがある場合もある点です。
介護用品のレンタル事業は一般的な事業と違い、有資格者の採用が必要になります。しかし個人で開業する場合、求人を出してもなかなか人が集まらなかったり、「有資格者」の基準があやふやだったりして、人を雇うハードルが高いのが現状です。
また、スタッフを絶やすことなく安定して有資格者を雇うためには、それなりの知識が必要になります。フランチャイズに加盟することで本部から人員の採用のためのサポートが受けられるのは魅力的でしょう。
レンタル用器具などを低資金で仕入れられたり、取次レンタルできる
フランチャイズに加盟して介護用品のレンタル事業を開業する2つ目のメリットは、レンタル器具などを低資金で仕入れられたり、取次レンタルできたりする点です。
介護用品をレンタルするためには、まずは自社で貸し出すための在庫を確保する必要があります。自身で開業となると必要な用品を購入することから始めなくてはいけません。
一方、フランチャイズに加盟すれば、本部が提携している業者から安く介護用品の購入ができたり、フランチャイズ本部が持っている在庫や提携先の企業の持っている在庫を取次レンタルができたりします。
取次レンタルができると、「在庫がないためにレンタルできない」という機会損失のリスクにも対処できるでしょう。
開業前の申請・サポートが受けられる
フランチャイズに加盟して介護用品のレンタル事業を開業する3つ目のメリットは、開業前の申請・サポートが受けられる点です。
介護用品のレンタル事業は行政への申請が必要になるなど手続きが複雑です。
これから初めて事業を立ち上げる、ましてや介護業界ともなると1人で手続きを進めるハードルは極めて高いといえるでしょう。
そこでフランチャイズに加盟することで、本部から開業のための手続きや申請のサポートをしてもらえます。
その道のプロに手続きをサポートしてもらえるということは開業までのスピード感もアップするため、「とにかく早く事業を展開したい!」という方にはピッタリでしょう。
ブランドの知名度でビジネスが始められる
フランチャイズに加盟して介護用品のレンタル事業を開業する4つ目のメリットは、ブランドの知名度でビジネスが始められる点です。
介護用品のなかには人の命に関わるものも多くあります。そのため、昨日今日開業した名もなきレンタル屋さんから借りようと思ってくれるお客様は少ないでしょう。
「安心してレンタルできる」と無意識的に感じてもらいやすいのは、レンタル事業者として信頼を獲得している業者です。
フランチャイズに加盟してすでに知名度やブランド力のある看板をかかげることで、お客様から見たら馴染みのあるレンタル事業者から新しい店舗ができたように見えるため、開業初月から客足が期待できます。
介護用品のレンタル事業をフランチャイズで開業するデメリット
フランチャイズに加盟して介護用品のレンタル事業を開業するのには、さまざまなメリットがあります。フランチャイズならではのメリットはもちろん、介護用品のレンタル事業だからこそ欲しいサポートも万全に整っています。
介護に携わる仕事がしてみたい、でも自力で開業するには自信がないという方はフランチャイズに加盟することに魅力を感じるでしょう。
しかし、メリットがある反面デメリットもあることを理解していなくてはいけません。介護用品のレンタル事業をフランチャイズで開業するデメリットには、以下のようなものがあげられます。
- 介護用品のレンタル事業は、入居型支援施設と比較して収入を安定させるのが難しい
- 知名度のある看板を使わせてもらう対価に、毎月のロイヤリティの支払いがある
- フランチャイズ本部の方針に従わなくてはいけないため、経営の自由度が低い
レンタル業はストック型ビジネスの1つではありますが、入居型ビジネスと比較して単価が低く、顧客離れしやすい特徴があります。そのため、ある程度の顧客に安定して利用してもらうためには、集客に力を入れなくてはいけません。
フランチャイズのブランドネームによってある程度の集客力は見込めます。しかし、店舗で独自のキャンペーンやセールの開催ができなかったり、経営の自由度が低かったりなどフランチャイズ加盟店ならではのデメリットがあることは十分に理解しておきましょう。
介護用品のレンタル事業はフランチャイズで開業して成功させるポイント
フランチャイズに加盟して介護用品のレンタル事業を開業し、事業を成功させるためには以下の3つのポイントが重要です。
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
事業・本部の方針への理解
介護用品のレンタル事業とはどのようなものか、本部の経営方針はどういったものなのかについてはよく理解しておく必要があります。
事業や方針に対する理解は、介護系の事業を行うフランチャイズにとって最も重要といっても過言ではないでしょう。フランチャイズ本部のなかには加盟の第一条件に掲げる企業もあるので、よく確認しておくようにしましょう。
関連法案やニュースなど常に勉強しておく
介護用品のレンタル事業は直接要介護人と関わる仕事ではありません。しかし介護用品レンタルが社会保険適用である以上、介護事業の一端を担っており、間接的に人命を扱う事業であることを理解しておかなくてはいけません。
社会保険にまつわる関連法案や事業に関わる情報は変動も早く、日々のキャッチアップが重要になります。人命を扱っている自覚を持ち、常に勉強を怠らないようにしましょう。
介護用品に関する専門的な知識
介護用品のレンタル事業を営んでいると、お客様から使用感や口コミなどの問い合わせが来ることもあります。このとき、「わかりません」というわけにもいかないため、他の加盟店に相談できる体制を作るなど口コミを積極的に探しにいくことが必要です。
まとめ
介護用品のレンタル事業は、間接的に要介護人のためになる事業であるため「少しでも社会のためになる仕事がしたい!」という方におすすめです。
しかし信頼関係が重要な介護業界の事業では、自力で開業しても信頼関係の構築に時間がかかってしまい、最初は集客に苦労してしまうでしょう。その反面フランチャイズに加盟すれば、すでに知名度があるため初月からお客様に足を運んでもらえるかもしれません。
<文/ちはる>