【この記事でわかること】
- とんかつ屋の宅配(デリバリー)業をフランチャイズで開業する方法
- フランチャイズで開業する際のポイント
お弁当や惣菜のニーズが高まり、宅配・テイクアウト専門のとんかつ屋に注目が集まっています。宅配とんかつ屋には低コスト・低リスクで開業できるフランチャイズも多いです。本記事では宅配とんかつ屋でのフランチャイズ開業について、かかるコストや収益、成功のコツなどを解説します。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
こちらの記事も合わせて読むとフランチャイズの仕組みが詳しく解説されているので、宅配とんかつ屋の魅力もより深く理解できるようになりますのでぜひチェックしてみましょう。
2022年のデリバリー市場規模は8622億円!
2023年のデリバリー市場規模は8,622億円でした。
2023年3月には政府によるマスク不要の呼びかけもあり、コロナ禍は実質収束したともいえます。
そのため、デリバリー需要も一時期よりは落ち着きを取り戻しているところもありますが、コロナ前の水準に完全に元に戻ることはありませんでした。
テイクアウトやデリバリーへのニーズは今後も安定してあるものと考えられます。
参考:NPD|<外食・中食 調査レポート>2023年のデリバリー市場規模は8622億円、成長率は前年比11%増、コロナ前比106%増
とんかつ屋の宅配(デリバリー)業をフランチャイズで開業するには
とんかつはもともと惣菜として人気の料理で、外食だけでなく中食でのニーズも高いです。テイクアウトや宅配専門のとんかつ屋は街中からショッピングモールまで、いたるところで見かけます。
テイクアウト・宅配専門のとんかつ屋フランチャイズもあり、これを活用することでコストやリスクを抑えて開業することもできるでしょう。
とんかつ屋の宅配業をフランチャイズで開業するにはどんな手順を踏めばいいのか、必要な許認可やコスト、活用できる補助金などをまとめて紹介します。
開業手順・許認可や資格
宅配のとんかつ屋をフランチャイズで開業する手順は次の通りです。
- どんなチェーンがあるのかを調べる
- なるべく多くのチェーンの説明会に参加する
- 気になるチェーンは面談を申し込む
- 集めた情報をもとに加盟候補を絞り込む
- 立地や物件について本部と一緒に市場調査
- 本部と相談しながら事業計画を立てる
- 加盟のための最終審査を受ける
- 加盟契約を結ぶ
- 研修を受け、準備が整ったら開業する
宅配メインであるため出店エリアの地域特性や時間帯別の人口構成は重要です。出店エリアやターゲット層をおおまかに考えておくことで、説明会や面談がより有意義になるでしょう。
また、宅配のとんかつ屋を開業するには次のような許認可・手続きが必要です。
開業資金・ランニングコスト・平均年収
宅配とんかつ屋の開業資金は400万~500万円ほどを考えておくといいでしょう。宅配であるためイートインスペースが不要で、通常の飲食店よりも物件費を抑えられます。
フランチャイズでは一般的にロイヤリティがかかりますが、宅配系では0円のチェーンも多いです。ただし、異なる名目で実質的にロイヤリティがあるチェーンもあるのでよく確認しましょう。
また、通常の飲食店と異なり「宅配のためのガソリン代」「車両を停める駐車場代」といった配達用の車両の維持費もかかります。
開業に利用できる補助金
宅配とんかつ屋の開業に利用できる補助金制度はあるのでしょうか。
2024年4月時点では「IT導入補助金」や「インバウンド対応力強化支援補助金(※東京都内のみ)」が利用できる可能性があります。
IT導入補助金、は業務の効率化や売り上げアップのためのITツールの導入を支援する制度で、ツール導入にかかる経費の一部を補助してもらえます。
インバウンド対応力強化支援補助金は、訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性や快適性を向上させる目的で新たに実施する受入対応強化の取り組みを支援する制度です。多言語対応や外国人用グルメサイトへの掲載に要する費用などの経費が補助の対象で、テイクアウトやデリバリーなどの導入に活用する店舗も多いです。
以上の補助金以外にも、自治体や団体によって支援制度を設けているところもあります。入念に確認し、期日に間に合うように申請しましょう。
参考:IT導入補助金2024
参考:TCVB 公益財団法人 東京観光財団|インバウンド対応力強化支援補助金
とんかつ屋の宅配(デリバリー)業をフランチャイズで開業するメリット
宅配とんかつ屋に限らず、フランチャイズでの開業には次のようなメリットがあります。
ここからは宅配とんかつ屋ならではのメリットを紹介します。
開業場所に囚われず集客できる
宅配メインであるため、集客では「周辺の住宅やオフィスからの経路」をあまり意識する必要がありません。一等地でなくても、十分な集客ができるでしょう。
もちろん、どんな立地でも集客できるわけではありません。「お客さまにとっての来店しやすさ」はあまり考慮しなくていいかもしれませんが、出店エリアにどのくらいのニーズがあるのかは重要です。
省スペースで開業できる
宅配だけでなくテイクアウトを併設するとしても、イートインスペースは不要です。省スペースで開業できるためテナント代や什器代を抑えられるでしょう。
商品の提供やお客さまにとっての居心地の良さはあまり考慮せず、スタッフにとっての効率的な動線になるよう設計できるのもメリットです。
とんかつ屋の宅配(デリバリー)業をフランチャイズで開業するデメリット
宅配とんかつ屋に限らず、フランチャイズでの開業には次のようなデメリットがあります。
ただ、近年のフランチャイズのトレンドとして「SNS集客の自由度が高いチェーンが増えている」ことがあげられます。
SNS運用を工夫することで、チェーン全体ではなく「自分のお店」のファンになってくれる人も出てくるでしょう。自店舗のファンは他店舗のネガティブな口コミや本部の炎上などの影響を受けづらいです。
ブランドイメージの低下による売り上げダウンのリスクを抑えられるでしょう。契約前にSNS運用について制約はあるか、念のため確認しておくと安心です。
ここからは、宅配とんかつ屋ならではのデメリットを紹介します。
物件探しが困難なことも
とんかつ屋は「重飲食」であり、物件探しに苦労することもあるかもしれません。
重飲食とはとんかつ屋やラーメン、鉄板焼きなどの飲食業の総称です。
物件によっては重飲食は賃貸不可にしているところもあります。貸主がOKとしていても、油もののにおいを嫌がる近隣住民もいるかもしれません。
近隣住宅との距離も考え、物件探しを進めていきましょう。
店舗が暑くなりがち
小さな店舗で開業できるのは宅配とんかつ屋のメリットですが、揚げ物には「店内温度が上がり熱中症リスクが高まる」というデメリットもあります。
スタッフやオーナーの揚げ物の試食が増えれば、糖尿病や心臓病などの健康リスクも高まるかもしれません。
オーナー・スタッフの体調不良は人手不足による機会損失につながります。定期的な休憩や水分補給など、体調管理のための仕組みをつくっておきましょう。
フランチャイズであれば他店舗の情報から忙しい時間帯や曜日を予測できます。このようなデータを活用し、人員配置を工夫するといいでしょう。
とんかつ屋の宅配(デリバリー)業をフランチャイズで開業するポイント
宅配とんかつ屋をフランチャイズで開業し、成功するためのポイントを紹介します。
テイクアウトの併設も検討する
客層を広げるためや経費削減のためにも、宅配だけでなくテイクアウトでの提供も検討しましょう。
一等地はもちろん、繁華街から1本外れたような二等立地での出店であっても、自家用車で来店できるようであればテイクアウト需要が期待できます。
テイクアウトなら、宅配するためのドライバーとガソリンが不要になるため、その分利益が大きくなります。テイクアウト限定クーポンの配布や駐車場の準備など、テイクアウトの集客も考えておきましょう。
フランチャイズ本部には「テイクアウトの併設は可能か」「先輩オーナーの成功事例はないか」契約前に確認してみるのがおすすめです。
ターゲットに合った商品開発
フランチャイズには「マニュアルがあり縛りがキツい」「商品やメニューが決められている」というイメージがありますが、本部によっては商品開発がOKなこともあります。
このようなフランチャイズを選び、ターゲットに合った商品開発ができれば、注文が入りやすくなるでしょう。
ファミリー層向けには丼もの、ソースカツやカツとじなどが、女性客やシニア向けには小ぶりな丼、ヘルシーなサイドメニューなどがそれぞれ人気です。
美味しく食べられるような工夫
宅配やテイクアウトでは、基本的にできたて・揚げたてが食べられません。
しかし、美味しく食べるための工夫をすることはできます。冷めにくくするために包装に一工夫加えたり、温め方のメモを付けたりと、できることはいくらでもあります。アレンジメニューをチラシやSNSで伝えるのもいいでしょう。
商品の提供以上の付加価値がリピーター獲得につながります。フランチャイズであれば、他の加盟店での成功事例を聞き、自店舗に取り入れるのも容易です。
まとめ
コロナ禍を境に浸透した新しい生活スタイルにより、中食市場が盛り上がりを見せています。宅配・テイクアウト専門店はこの新しいニーズを拾えるだけでなく、「省スペースの店舗運営」「二等立地での開業」など、資金を抑えて開業できます。
宅配とんかつ屋は低コスト・低リスクのフランチャイズが多いです。開業資金やロイヤリティがかからないチェーン、業務委託として月給をもらいながら研修ができるチェーンなど、開業のハードルが低いフランチャイズもよく見られます。
かけられる資金やチェーンの強みなどをチェックし、自分に合ったフランチャイズを見極めましょう。
<文/赤塚元基>