“人生の節目はゴール”そんな風潮も落ち着きつつある昨今、節目こそ自分のキャリアを見直すチャンスとしてセカンドキャリアが注目されています。ライフステージの中で何かと節目の多い女性のセカンドキャリアとはどのようなものなのでしょうか。セカンドキャリアを成功させるためのポイントと女性ならではのセカンドキャリアに立ちはだかる壁、その対策を2つご紹介していきます。
セカンドキャリアとは
セカンドキャリアとは“第二の人生における職業”を意味し、英語の「second」と「career」を組み合わせた和製英語です。最初はプロスポーツ選手が引退後にキャリアを変えることや、育児や子育て後、定年退職後の職業を指すものでした。
しかし近年では終身雇用制度が事実上崩壊しつつあり、“人生100年時代”と呼ばれるようになりました。“人生100年時代”におけるセカンドキャリアとは、本来の言葉の意味よりも“キャリアアップ”や“将来を見据えたキャリアの転身”などの意味合いが強まりつつあります。また、“これまでの経験やスキルを活かし、中高年層が新たなキャリアを切り拓くこと”という意味でも、用いられるようになってきています。このような意味合いが持たれるようになったのには、これまでのように人生の節目をゴールとするのではなく、キャリアの転身や人生をより豊かなものにするための手段として広まりつつあるからでしょう。
特に女性の社会進出が進んでいる昨今、結婚後・出産後・育児後など、昔であれば退職してしまっていたであろう節目を超えても再びキャリアに戻る女性が増えてきています。社会的にも女性のキャリアアップは注目されており、女性がキャリアを積み上げてセカンドキャリアを築きやすい時代になってきているといえるでしょう。
女性のセカンドキャリアのタイミングとは
女性がセカンドキャリアを迎える時期はいつ頃なのでしょうか。男性に比べると、女性は結婚後に大きなライフステージに直面する機会が多いです。男性にも通ずる部分はあるものの、“出産”“産休明け”“子育て中”“子育て後”“定年退職”など女性の方が強く影響を受ける傾向にあります。これらのライフステージの中でも、“出産”は女性特有のステージであり、セカンドキャリアの構築を検討し始める時期は“出産後”である方は少なくありません。
“出産”以降にセカンドキャリアを迎えるタイミングをいくつか紹介していきます。
出産後
出産後にセカンドキャリアとして働き始める女性はかなり多いです。出産後のセカンドキャリアには、以下のようなものがあります。
・出産前と同じ職場に復帰して働く
・出産前と同じ会社ながら別部署に異動して働く
・出産前とは別の会社に転職して働く
・フリーランスになる
・独立や起業をする など
中でも多いセカンドキャリアの働き方は“出産前と同じ職場に復帰すること”でしょう。就業規則に出産休暇制度が定められている場合には、6ヵ月から2年間の産休を経て職場復帰することができます。ただし、同じ部署に復帰できるとは限らないため、事前に会社側に確認しておくことをおすすめします。
子育てが落ち着いてから
子育てが落ち着いてからも、セカンドキャリアとして働くタイミングの1つです。子育てが落ち着いた後でセカンドキャリアを築く方法には以下のようなものがあります。
・フリーランスとして働く
・パートタイム従業員として働く など
出産をしてから子育てが落ち着いたと感じるまでの期間は人によって異なりますが、数年~数十年ぶりにキャリアに復活することになるセカンドキャリアでは、就労時間を自由に決められるフリーランスとして働くケースやパートタイム従業員として働くケースが多い傾向にあるようです。
フリーランスで働く際には、インターネットを利用して不特定多数のユーザーや企業から業務を受託する「クラウドソーシング」を利用したり、人脈を活かしたりして業務を受託して働くケースがあります。
定年退職後
定年退職後でセカンドキャリアを築く方法には以下のようなものがあります。
・独立や起業をする
・パートタイム従業員として働く など
定年退職後のセカンドキャリアでは、起業する方も多いようです。
定年までは“会社のため”“家庭のため”“子どものため”など人のために働いてきたからこそ、定年退職後は自分のやりがいややりたいことのために働き、事業を展開したいと考える方がいるようです。起業はしなくても自分の本当にやりたいことに重きを置いて、今までとは異なる職種に就いてみたいと希望する方もいるでしょう。
女性のセカンドキャリアの築き方
続いて、女性のセカンドキャリアの働き方について説明します。
“出産前と同じ会社で働く”“出産前と別の会社や雇用形態で働く”“起業する”の3つの働き方を紹介します。
出産前と同じ会社で継続的に働く
出産後の働き方として、出産前と同じ会社で継続的に働くというのが、一番多いパターンといえるでしょう。しかし、必ずしも同じ部署で働き続けられるとは限らず、育休を経て別の部署に異動になることもあり得ます。
希望通りの部署に復職できないときは、育休中に転職先を見つけるケースも多くあるようです。出産後に同じ会社に復職しても、数年後に転職して活躍するセカンドキャリアの方法もあります。キャリアビジョンがしっかりしていれば、新しい可能性を求めることができるでしょう。
出産前と別の会社や別の雇用形態で働く
出産前とは別の会社や別の雇用形態で働く方法は、長時間労働や土日出勤が求められる、不規則勤務の職場に勤めていた方に多い選択肢といえます。
復職後、継続した就業が難しい場合には、他社や中小企業へ転職し、管理職などで活躍されているケースもあります。他にも、いきなりフルタイムで正社員として働くのには不安を感じている方も少なくないでしょう。そんな方は、まずは派遣社員や契約社員という雇用形態から働き始めてみてはいかがでしょうか。派遣社員や契約社員であれば正社員と異なり、残業が少なかったり、稼働日数や時間も融通が利いたりしやすいです。仕事に完全復活する前の準備期間と捉えて、雇用形態も工夫してみるとスムーズにセカンドキャリアを積めるようになるかもしれません。
起業する
最近は、フリーランスとして独立後、クラウドソーシングを活用して業務を受注することや業務委託でコネクションのある企業から複数の仕事を請け負うケースが増えました。
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女性がセカンドキャリアを成功させるためには
では、女性がセカンドキャリアを成功させるためには、どのようなポイントを踏まえておけば良いでしょうか。どのようなライフステージにいるのかによっても、とるべき対策は違ってきます。年代別に女性がセカンドキャリアで成功するためのポイントを紹介します。
30代女性のセカンドキャリア
女性にとって20代・30代は結婚・出産・子育てなど、さまざまなライフイベントを迎える人も多い時期です。最近では子育てをしながら働き続けることを希望している人も増えてきており、夫婦共働きをしている家庭も増えてきました。
子育てをしながら働き続けることを選ぶときに有効なのは、“資格を持っていること”です。特に国家資格や民間資格などの知識やスキルを持っていれば、再就職をしようと考えたときでも困ることはないでしょう。
40代女性のセカンドキャリア
女性がセカンドキャリアを形成する目安は40歳頃を目安にしましょう。40代くらいになると、子育ても一段落して、仕事に打ち込める時間の確保がしやすくなる人も多い時期です。また、1つのキャリアを長きにわたって築いてきた方にとっても、40代になると専門知識が十分についたり、管理職に就いて部下やチームをまとめたりする業務をしている人もいる頃合いでしょう。
セカンドキャリアを築くためには、まず1つ目のキャリアの形成が重要です。そのため、1つ目のキャリアが成熟するこれくらいのタイミングが、自分の強みを活かしたセカンドキャリア構築にベストといえるのです。セカンドキャリアと称して40代で転職するときは、それまでの経歴や資格をアピールして転職先を探しましょう。
50代・60代女性のセカンドキャリア
女性の定年退職後の働き方としては、“勤務継続”が一般的です。最近では定年退職時期の延長もありますが、嘱託社員や契約社員など雇用形態を変更して就業するケースが多いようです。セカンドキャリアというと職種が変わることを想定する方も多いでしょうが、契約形態が変更なることもキャリアの変換点といえます。
他にも、定年退職後、別の企業・団体・組織に再就職したケースや定年退職前に別の会社に再就職するケースもあるようです。
女性のセカンドキャリアを実現させるための事前準備とは
セカンドキャリアを実現させるために、やるべきこととはどのようなことなのでしょうか。セカンドキャリアを検討する際に準備しておきたいことを3点お伝えします。
1.転職エージェントに登録する
女性がセカンドキャリアを見つける1つ目の方法は、”転職エージェントに登録する”方法です。
転職エージェントでは現在の仕事に感じている不安や今後のキャリアプランについての相談ができます。そのため、今すぐに転職をする予定がなくても、新しい選択肢や可能性が見つかるかもしれません。
さらに、転職エージェントに登録しておくことで、客観的な視点から世の中にどれほど自分の経験やスキルが必要とされているのかを知ることができます。1人でどうしようか悩んでいるよりも、転職エージェントに登録して相談をしながら始めた方が、転職活動の選択肢が広がるでしょう。
2.就活支援セミナーに参加する
女性がセカンドキャリアを見つける2つ目の方法は、“就活支援セミナーに参加する”という方法です。
企業探し、履歴書や面接の際に気をつけたいことなど、“転職活動を始める前に押さえておくべきポイントやコツを知っておきたい!”という方におすすめなのが就活支援セミナーの活用です。思い切って転職活動を始めたとしても、どのような会社にどのように自分の経歴やスキルをアピールすれば良いか分からないという方は少なくないでしょう。
3.セカンドキャリアセンターを利用する
女性がセカンドキャリアを見つける3つ目の方法は、“セカンドキャリアセンターを利用する”方法です。
セカンドキャリアの形成は、近年、国からも支援されています。ハローワーク・シルバー人材センター・セカンドキャリアセンターなど、さまざまなセカンドキャリアの相談・支援施設があるので気になる方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
4.独立情報サイトに登録する
女性がセカンドキャリアを見つける4つ目の方法は、“独立情報サイトに登録する”方法です。
独立や起業というセカンドキャリアの方法を選ぶ女性は増えつつあります。経営の知識がなくて不安、未経験の仕事に挑戦したいけど転職は難しいという壁にぶつかる方も多いでしょう。独立情報サイトでは未経験でも独立に挑戦しやすい仕事やフランチャイズ本部を紹介していたり、先輩起業家の事例を紹介したり、参考にできる情報が無料で収集できます。登録は無料のことがほとんどなので、情報収集がてらのぞいてみると良いかもしれません。
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女性のセカンドキャリアに立ちはだかる壁とは
女性がセカンドキャリアを形成しようとすると、いくつかの壁に直面する人もいるでしょう。事前にどのような問題があるのかを理解しておくことで、自分がその節目に立たされたときに乗り越えやすくなるのではないでしょうか。
女性のセカンドキャリアに立ちはだかるケースが多い、2つの壁をご紹介します。
1.やりがいを感じられる仕事が見つけにくい
女性がセカンドキャリアを築くうえで立ちはだかる1つ目の壁とは、“憧れだった職業以外にやりたいことが見つからない”という壁です。退職後すぐは「職探しをしないといけない!」と焦ることもあるでしょう。しかし、次第にお金のために仕事をしたくないと感じてしまう方もいるかもしれません。
自分のスキルを活かして働くことで社会とつながったり、社会や人のために貢献したりなどの〝やりがい”を感じたくて仕事をしている人も多いのではないでしょうか。そのためファーストキャリアで成し遂げたものがあると、それを超えるものを見つけられずセカンドキャリアといっても自分が何をしたいのかがわ分からなくなってしまうのです。
そうならないためにも、まずは自分のライフプランを明確にすることから始めましょう。新しく興味があるものが見えてくるかもしれません。
2.縦のつながりが少ない
女性がセカンドキャリアを築くうえで立ちはだかる2つ目の壁とは、〝縦のつながりが少ない”という壁です。
男性が持つ社内外の人脈のことを「オールド・ボーイズ・ネットワーク」といいます。このネットワークは伝統的な男性中心社会で長年築かれてきた人的ネットワークで、情報交換をしたり、お互いの便宜を図ったりします。
男性には〝縦のつながり”があります。しかし、女性にはまだそのようなネットワークがないということも少なくありません。そもそも女性の社会進出は近年のことであるため、定年退職を迎えた先輩女性が圧倒的に少ないこともその原因の1つです。数少ない情報の中で自身の定年退職に向き合っていかなくてはならないのも、女性ならではの悩みです。
人生観を明確にして女性のセカンドキャリアを掴み取ろう!
女性のセカンドキャリアのタイミングはライフステージに影響されることが多く、どのような状況なのかによってもキャリアへの戻り方は異なります。女性がセカンドキャリアで成功するためには、自分の人生観を見つめ直して自分にとってどのようなキャリアが向いているのか、やりがいを感じられるのかを考えることが大切です。<文/ちはる>