ラーメン屋をフランチャイズで開業した場合、本当に儲かるのでしょうか。ラーメン屋は競争が激しく、廃業店が目立つのも気になりますよね。しかしフランチャイズで展開することで、儲かるお店に成長させることは十分に可能です。ラーメン屋のフランチャイズが儲かるとされる理由や成功するポイント、経営する上での注意点について紹介します。
フランチャイズ展開によるラーメン屋の現状について
フランチャイズのラーメン屋が儲かるかどうか理解する前に、フランチャイズ展開によるラーメン屋の現状について確認しておきましょう。
いまや「日本の国民食」ともいわれるラーメンですが、提供するラーメン店は平成28年時点で全国に18,041店、その市場規模はおよそ6,019億円といわれています。(「令和3年経済センサス」総務省統計局)
そのうちフランチャイズ展開しているものを調べると、2021年の段階で95のチェーン数、4,501店舗、売り上げ2,081億円となります。ラーメン業界の全体の1/3程度がチェーン店であることが予想できます。業界全体としても店舗間の競争が激しいといえます。
参考:日本フランチャイズチェーン協会2021年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」報告
コロナ禍であってもロードサイド店舗は堅調だったり、滞在時間も短いため居酒屋などの飲食店に比べると回復が早かったりと、他の飲食店にはない魅力があります。
「ラーメン店」というと有名店で修業から独立というルートが有名ですが、有名チェーンにフランチャイズ加盟するという独立方法もあるのです。
フランチャイズ経営のラーメン屋の平均年収
ラーメン店をフランチャイズで開業したオーナーの平均年収については、店舗により売り上げや利益、規模や店舗数も異なるため800万円~2,000万円くらいと振れ幅は大きいです。売り上げが伸びず赤字が続いてしまえば、儲かるどころかオーナーの手元に残るお金は少なくなってしまいます。しかし、何店舗も経営していれば年収1,000万円を軽く超えるオーナーもいるようです。
ラーメン屋のフランチャイズが儲かる理由
競争が激しい業界であるものの、「なぜラーメン屋のフランチャイズが儲かる」とされているのかについて考えてみましょう。
独自ルートで仕入れ費用などのコストを抑えられる
ラーメン屋は省スペースで客の滞在時間が短い分、サービス料を上乗せできないため、他の飲食店に比べて食材の原価が高くなりがちです。しかしフランチャイズであれば、本部から仕入れのルートを指定されるため効率的にスケールメリットが得られ、クオリティに対して原価を抑えられます。
ラーメン屋で使用する食材は麺、スープ、豚肉、卵、ネギなど比較的固定されていることが多いです。さらに本部でセントラルキッチンを構えている場合は、店頭で効率的に調理しやすい状態で仕入れることができるため、より無駄がないコストを抑えた仕入れができ、儲かるラーメン屋により近づくことができるでしょう。
フランチャイズ本部が実施する集客施策の効果を得られる
フランチャイズ本部が集客施策を行ってくれることもメリットです。チラシやクーポン券のデザインや印刷、公式アプリの提供や来店施策など、個人店ではなかなかできないようなマーケティング業務を費用をかけて行ってくれます。宣伝活動においてもスケールメリットが得られるため、効率的な集客施策となるでしょう。
フランチャイズ本部がスタッフ採用のサポートをしてくれる
近年問題となっている人材不足についても、フランチャイズならば本部からのサポートや採用ノウハウがあるので対応しやすいです。個人店に比べてフランチャイズのブランド力で求人広告も目立ちやすく、応募されやすいというメリットもあります。人手不足によって「店を開店できない」「顧客の回転数をあげられない」という事態を防げます。
効率的なオペレーションシステムがすでに出来上がっている
加盟店が多くなるにつれ店舗による味の違いが発生しないよう、フランチャイズ本部は商品の品質の維持やオペレーションの効率化を図っています。
ラーメンを制作する過程において、オーナーはオペレーションを遵守すれば「安定した味」を提供できるので、スタッフの教育コストをかけることなく商品提供ができるでしょう。オーナーとして提供する商品の作り方はこだわるポイントでもあるので、「どこからどこまでがフランチャイズ本部の担当なのか」は事前にしっかり確認するようにしましょう。
ラーメン屋に適した店舗設計になっている
フランチャイズ本部は店舗設計の段階から、店舗内の図面やキッチン設備の配置についてノウハウを提供してくれます。ラーメンを決められた時間内で品質を維持して提供するための効率的なオペレーションを知り、そのためのスタッフの動きを考慮した設計となります。
また店舗を運営していくための適切な人員配置や、快適な店内環境を作るためのノウハウも熟知しています。他加盟店での経験などから、店舗設計に関してアドバイスや指示がもらえるため、自身の知識が不十分でもラーメン屋に適した店舗設計になるでしょう。ラーメン店は限られたスペースで、いかに回転率や業務効率を上げるかによってどれだけ収益が上げられるかにも関わってきます。
フランチャイズ本部のブランド力で、オープン時から集客が見込める
フランチャイズ本部のブランド力やネームバリューで、開業時から集客が見込めます。個人店だと「どんな味なのかわからない」「口コミで判断したい」という意見もあがりそうですが、チェーン店ならば「聞いたことがあるお店だから食べてみたい」「SNSでも話題で気になっていた」という顧客も多いものです。
比較的低価格で楽しめるラーメンは、新規顧客の獲得に有利なビジネスです。さらに既に認知されているブランドネームと味のお陰で顧客は安心感を持って来店しやすく、数多く存在するラーメン屋の中で、ブランド力は大きな集客力となるでしょう。オープン時から集客が見込めると早くから収益化できるため、開業時に投資した費用の回収が早いのもメリットです。
しかし一度来店した顧客がリピーターになってくれるかどうかは、店次第でしょう。「麺がのびていた」「オーダーしてから提供まで長く待たされた」「店員の対応が悪かった」などは、オープン間もないラーメン屋で起こりがちな失敗事例です。提供するメニューの品質はもちろん、接客とオペレーション技術の向上を常に目指していくことで、リピーター確保=安定的な収入につながります。
加盟者同士の交流がもてる
フランチャイズに加盟することは、業界の大きなコミュニティに入れることになります。フランチャイズ本部からのサポートに加えて、他加盟店との「横のつながり」を築いて情報交換が出来るのも大きなメリットとなるでしょう。素直に他店舗事例を参考にしたり、さまざまな方向からアドバイスを受けることで、現状の改善ポイントを発見し失敗が減り、収益アップに導くことができるでしょう。
まずはフランチャイズの仕組みを知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
ラーメン屋のフランチャイズで儲けるためには?成功するカギ
フランチャイズが儲かる理由について紹介したところで、さらに成功するカギについても紹介します。
回転率を上げる
ラーメン屋は他の飲食店に比べて、回転率が死活問題となります。客単価も1,000円前後となり、比較的狭い店舗と限られた席数であることが多いので、回転率を上げないとトータルの客数が伸びず、収益も上げられません。顧客が来店してからオーダーをし、商品提供から食事を終えて会計するまでにタイムロスがないか、今一度分析してみましょう。券売機であればオーダーとともに会計が済んでいるため、タイムロスや人の手間を省けます。
ラーメンの製造工程についてはフランチャイズ本部に効率的な仕込みや提供方法を相談したり、ピーク時の提供メニューについて打診したりすることも良いでしょう。人気ラーメン店の証でもある「行列」も大きな「集客のためのカギ」にはなりますが、長すぎると近隣住民からの苦情や顧客同士のトラブルに発展するなど、常連離れが起こるリスクもあります。
口コミにも影響を及ぼすので、ダラダラと営業するのではなく行列のさばき方をしっかり確立し、顧客の総合的な満足度を上げる工夫をしましょう。
客単価を上げる
限られた席数でも売り上げを上げるため、客単価を上げることもポイントです。しかしこれは単純な「値段を上げる」ということではありません。
基本のラーメンにトッピングや餃子、半ライスなどの追加オーダーを促す仕組みが重要となります。ランチタイムなど時間を限定して特別感を出したり、夕方にハッピーアワーを作ってアルコール飲料をお得に提供したり、本部と相談しながら客単価を上げる施策を考えると良いでしょう。
【儲けも吹っ飛ぶ】ラーメン屋のフランチャイズ経営で気を付けたい注意点
フランチャイズ経営で失敗してしまいがちな注意点についても押さえておきましょう。
経営の自由度が低く、やりたいことができない可能性がある
フランチャイズ本部によって細かいことまでルールが決められていて、売り上げや利益に貢献すると思っても店独自の施策ができないことがあります。せっかくラーメン店のオーナーになったのに、フランチャイズ本部の方針に不満が募ると経営していくモチベーションが落ちてしまうこともあります。事前にどこまで決められているのか、契約内容を確認しましょう。
ブランドイメージの悪影響を受ける
他店舗での不正や迷惑行為など、ネガティブな印象がブランド全体に影響することもあります。自店では何も悪いことをしていなくても、フランチャイズだからこそ影響してしまうリスクは存在します。そのような場合のフランチャイズ本部のサポート体制についても確認しておきましょう。
【契約満了後】競合避止義務の影響
フランチャイズで開業しノウハウを学び、契約が満了となった後に、いつか自分のオリジナルの店舗をオープンさせたいと考えている方がいるかもしれません。しかしフランチャイズ本部との契約内容によっては、競合避止義務のため制限がされていることがあります。長期的にラーメン経営してどうなっていきたいかを考えて、契約内容を精査するようにしましょう。
まとめ:ラーメン屋のフランチャイズで儲けるためにはまず「自己分析」
「ラーメン屋は儲かる!」と期待して、勢いだけで始めてしまう人も多いのも事実です。しかし、「なぜラーメン屋なのか」「どういった商売をしたいのか」「将来的な目標は」など、自分が思っていることをしっかりと形にすることが大切です。そのうえで、その助けとなるようなフランチャイズ本部を探し、複数の本部から話を聞いて、互いに信頼しあえる本部を見つけることが成功への近道です。
自己分析を正しく行い、ラーメン屋の経営者としてどう進んでいくのか、フランチャイズという選択肢を入れながらぜひ検討してみてくださいね。
<文/北川美智子>