本部ノウハウの実践を徹底することが基本
準備万端、いよいよ開業日を迎える。この日までに様々なことがあるだろうが、加盟オーナーのビジネスはこの日から始まるのだ。開業にこぎつけただけで満足してはならない。経営者として、できるだけ長きにわたって自分の店を繁盛し続けさせなければならないのだ。そして、1店舗目を軌道に乗せたら、2店舗目、3店舗目と多店舗化を目指すことも大きな夢となるに違いない。
そのために大切なポイントはいくつかあるが、FC加盟店オーナーとして最も重要なのは、マニュアルに記載されている本部のノウハウの実践を徹底し、その指導に素直に従うことである。それが「成功のノウハウを買う」FC加盟の本質であるからだ。
そして、接客サービスや店舗の清掃といった基本中の基本を徹底することだ。これらのことは一見簡単なように思えるが、毎日地道に継続するのは意外に難しいことなのである。
そういった基本を徹底したうえで、加盟店は本部に対して遠慮なく意見を言うことも大切。本部と加盟店は対等で、日々顧客に接しているのは加盟店であるからだ。
加盟店がつかんだ商品・サービスに対する顧客の要望や販売方法のアイデアなどは、ただちに本部にフィードバックすべき。それが商売を磨き上げることに反映され、加盟店の繁盛に直結するはずだ。
つまり、本部と加盟店はお互いに切磋琢磨し、ともに成長を目指す互恵関係なのである。そのベースとなるのは信頼関係。加盟FCを決めるに当たり、本部の理念や目標を最重視しなければならないのは、ここに理由があるのである。
そして、多店舗の経営を目指す場合、最難関なのが2店舗目、3店舗目を任せられる人材を育成すること。これができれば、成功は約束されたも同然だ。「企業は人なり」なのである。
お役立ちコラム:FC加盟・ありがちな失敗
加盟金が低い、で加盟したものの……
加盟金の低さを決め手に、ある新業態の本部に加盟したCさん。ところが、開業後本部のフォローは電話で済ますだけ。新業態であるだけに、マニュアルにないオペレーションを強いられて客の前でまごつくことも。客足は次第に遠のいていった……。
事業拡大のためのヒント
- 本部の指示・指導を厳守する
- 本部とのコミュニケーションを徹底し、可能な限り本部を活用する
- 先行的に従業員の育成を図る
- 地域に密着したマーケティング活動を徹底する
- 資金回収のスピードに対応して、早期に多店舗展開を目指す
- エリア内の物件情報と立地の変化の情報収集を怠らない
- 自分独自の立地判定の基準を構築する
- 事業拡大によって、オーナーだけでなく従業員の夢の実現にも寄与できることを目指す
FCコンサルからアドバイス:成功する加盟オーナーとは
成功する加盟オーナーは、「最後のリスクは自分が取る」と、経営者の自覚と成長志向を持つ人です。
フランチャイズとは、基本的に長期間にわたって本部と加盟店の関係を継続させることが前提のしくみです。そのFCが好きでなければ続きませんし、従業員にもそのFCで働いていることを誇りに感じてもらうことができれば、それだけで高いモチベーションが維持できるのです。
一方、脱退には守秘義務や数年間は同業に就くことが禁じられるなどの制約というリスクがあります。
そこでいっておきたいことは、一口にFCといってもいろいろあるということです。例えば、サポートのレベルが開業時の支援だけの本部から、長期間の付き合いを前提にしてきめ細かい対応を行っている本部まで様々。
業種・業態とともに、そういった本部の性格までしっかり見極めて自分に最適の本部を選ぶことが、成功の第一歩といえるでしょう(逆にいえば、「ここだ」と思える最適な本部が見つかるまでは、妥協して次善の本部に加盟してはいけないということです)。
成功する加盟オーナー自身に必須の資質としては、「最後のリスクは自分が背負わなければならない」という経営者としての自覚を持てることと、つねに前向きで成長志向があることでしょう。
そして、No.2となる人材を育成し、自分の手の回らないところを積極的に任せていく度量が問われると思います。
最後にFC加盟を考えている読者に次の言葉を贈ります。
「加盟前は本部を徹底的に疑いなさい。しかし、加盟後は本部を徹底的に信じなさい」
今回のまとめ
監修:民谷昌弘氏 (FCコンサルタント)
(株)アクアネット、フランチャイズ経営研究所 代表取締役
(一社)日本フランチャイズチェーン協会SV学校、経営士講座講師
(一社)日本フランチャイズコンサルタント協会会長
著書:『ザ・フランチャイズ』『失敗しないためのフランチャイズビジネス体験BOOK』、
『成功するフランチャイズ戦略』(ダイヤモンド社)、
『本当は教えたくないフランチャイズ本部成功50の教え』(出版文化社)ほか