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エンマ様にも舌を抜かせない! 人を喜ばせる「上手な嘘」のつき方

独立ノウハウ・お役立ち

「嘘をつくと、エンマ様に舌を抜かれる」

こどもの頃、大人からそんな風に「嘘をついてはいけない」と、教えられてきた人は多いのではないでしょうか?

しかしこどもから大人になり、自分の力で生きていこうとすると、なんでもかんでも「本当のこと」ばかりを言ってはいられませんよね。

相手を喜ばせたり、相手を慰めたりする言葉の中にも、100%本当のことだけでなく、少なからず「嘘」の成分が入り混じっているものです。

心理学者の内藤誼人先生に、嘘をつく時に心がけておくべき心得や嘘にまつわる心理学の実験について、そして交渉時に役に立つ「嘘の交え方」についてお聞きしました。

嘘は人間関係を円滑にする社交スキル? 相手を喜ばせる「上手な嘘」のつき方

今回のテーマである「上手な嘘のつき方」をお教えする前に、まず皆さんに最初にお伝えしなければならないことがあります。

それは、嘘というのは人を欺き傷つけるようなものではなく、あくまで人を喜ばせて、人間関係を円滑に進めるための1つのコミュニケーションツールであり、一種の社交術だということです。

ビジネスシーンでは、100%自分の本心ではないにせよ、相手の気持ちや立場を察して、上手に発言しなければならないこともあるでしょう。

ここでは、そんな「上手な嘘」をつくために覚えておくべき心得を、ご紹介します。

まず最初に皆さんにお伝えしたいことは、嘘をつく時はあらかじめ「心構え」を作っておくことが大切です。

おそらく皆さんはこどもの頃から、
「嘘をつくことは悪いことだ」
「嘘をつくことは相手に失礼だ」
と教えられてきたんじゃないでしょうか?

しかしそうやって「嘘=悪」だと思い込んでしまっていると、その時点で「上手な嘘」をつくことができなくなってしまうのです。

繰り返しになりますが、もちろん相手を傷つけたり、不快な思いをさせてしまうような「悪い嘘」はダメですよ。

自分の中で心構えとして「相手を喜ばせたり、誰も傷つかない嘘はOK」としてみましょう。

例えば女性と話をしている時。仮に自分の本心ではないにせよ「◯◯さんはいつもお綺麗ですよね」と、さりげなく一言添えてあげるだけで、言われた相手も悪い気はしませんよね?

もちろん時と状況によって異なりますし、必ずしもお世辞を添えることが大切なわけではないですが、そういった一言があるのとないのでは、全く印象は異なります。

「嘘=悪」だと思いこんでしまっている人だと「自分が思ってもいないようなことを言うのは悪」と考えてしまいがちです。

それは確かに間違ったことではないですが、ビジネスを円滑に進めていく上でのスキルを1つ欠いてしまいます。

時と状況と相手をよく見て、場合によっては嘘を上手に駆使してみてください。

そう簡単に嘘はバレない? 「嘘がバレる確率」心理学の実験で調べた結果…

相手を喜ばせる「上手な嘘」。

しかしどんなに「上手な嘘」をついても「嘘がバレてしまうのでは?」と心配に思う方もいるでしょう。

そんな皆さんに朗報です。
安心してください、嘘は基本的にバレません。

なぜ嘘がバレないのか。ここでアメリカのモントクレア州立大学のアマンダ・ジョンソン氏が行った実験データをご紹介しましょう。

ジョンソン氏は、男女6名ずつ計12名のグループを作り、集まったメンバー同士で自己紹介をしてもらいました。

しかし、メンバーは普通の自己紹介をするのではなく「自己紹介の中で、どこかに必ず嘘を交える」というルールのもと、自己紹介をさせました。

例えば、本当は自分が嫌いなことを「自分の趣味」だと言ってみたり、偽名を使って自己紹介しても構いません。とにかく自己紹介のどこかで嘘をついてもらったのです。

その様子を動画で録り、その動画を全く関係ない人に見せ、自己紹介の情報1つ1つが嘘かどうかを見抜いてもらいました。

その結果、嘘の発見率は55.15%でした。

この数字だけを見るとかなり大きい確率で嘘が見抜かれてしまう、とお思いになるかもしれません。

しかしある情報に対して「これは嘘か?本当か?」という二者択一の質問をしていくので、当てずっぽうに答えたとしても50%の確率で、どちらか正しい方に当たります。

つまり55.15%という数字は「デタラメで答えて的中した確率とほとんど変わらない」ことを示しており、結局、人が嘘を見抜く能力は「偶然の範疇を超えなかった」ということが証明されました。

それほど、嘘を見抜くことは難しいのです。

よっぽど分かりやすいような嘘でなければ、基本的にはバレません。

なので「上手な嘘」をつく時は堂々とついてみましょう。

これこそ、嘘も方便! 交渉を有利な展開に持ち込むための「嘘のつき方」

これまで相手を傷つけずに喜ばせる「上手な嘘」についてお話してきましたが、嘘は使い方によって、ビジネスで交渉事をする際にも有効に活用することができます。

例えば自分が下請けで、クライアントと価格交渉をする時を例に考えてみましょう。

例えば、会社の資金繰りが厳しく「商品の金額は下げられない」状況だとします。そんな状況の中で、クライアント側としては価格交渉をして、商品の金額を下げてもらいたそうだったとします。

そんな時に、どう交渉を進めていくべきなのか。

ポイントは「交渉の場に立つ前に、話したくない内容には事前に断っておくこと」です。

商談する前の連絡で「◯◯といった理由から、価格については応じられないですけど、よろしいですか?」と、あらかじめ価格交渉に持ち込ませないようにするのです。

事前に断っておけば、商談時に相手は価格についての議題を外さないといけないという、一種の「心構え」ができるのです。

この際、理由は多少嘘を交えても構わないでしょう。「価格に関しては応じられない」という理由を裏付ける大義名分であれば何でもいいのです。

そうした建前を上手に使っていき、大事な交渉を有利に進めることは、ビジネスパーソンなら必須のスキルです。まさに嘘も方便ですね。(とはいえ、誰かを傷つける嘘はダメですが)

クライアントの下請けという理由だけで、向こうが提示した条件を安易に飲んでしまうことは、避けたいところです。

この「事前に断る」というスキルは、他にも役に立ちます。

例えば自分があまり好きではない人に会わなきゃいけない時。事前に「打ち合わせの時間は、1時間しか確保できないのですがよろしいでしょうか?」とあらかじめ釘を刺しておきます。

もちろん「なぜ1時間しか確保できないか」という理由は嘘でもなんでも構いません。事前に時間を区切ってしまえば、人間「せめてその時間だけはがんばろう」という気になれるものです。

時には、嘘も上手に活用しつつ、交渉を有利に進めていけるスキルは、独立・起業をする上でも大いに役立ちます。

ここまで説明してきたように、嘘の全てが「騙してやろう」という悪い気持ちが働いているわけではありません。

相手との関係も良くなれば、お互いにとって幸せなこと。「上手な嘘」をうまく使って、多くの人とWin-Winな関係を築いてみてください。

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PROFILE
内藤誼人(ないとう よしひと)

心理学者
慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。
大学院在学中より専門の心理学を活かした執筆活動を開始し、卒業後に有限会社アンギルドを設立。
ビジネス心理学を実践的に応用するアドバイスには定評がある。
新刊に「心理学者しか知らない すごい!営業」(廣済堂)
「最高に幸せになる「口ぐせ」」(秀和システム)など。
講演会・セミナーの依頼は、株式会社ブレーンまで。

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