【この記事でわかること】
- パン屋の市場規模・動向
- メロンパン販売店をフランチャイズで開業する方法
- メロンパン販売店経営を成功させるポイント
最近はメロンパン専門店を見かけることが増えました。メロンパン専門店をチェーン展開するフランチャイズも多く、低コストで開業できる、ブランド力やノウハウを活用して集客できるなどさまざまなメリットがあります。メロンパン専門店のフランチャイズについて、コストや平均年収、成功のコツを解説します。
また、フランチャイズ経営はリスクが高いという話も聞くため、一歩踏み出せないという方や、フランチャイズ経営は本当に儲かるのかと不安になっている方も多いと思います。
そんな方たちのために、実際にフランチャイズ経営を行っている方の事例や、成功している方のポイントについて資料にまとめて、解説書を作成いたしました。フランチャイズ経営に興味はあるけど、失敗はしたくない!という方はぜひ下記よりダウンロードして参考にしてみてください。
パン屋の市場規模・動向
パン屋の市場規模は2020年から2026年にかけて右肩上がりの状態が続くと予測されています。2021年度の国内パン市場規模は1兆5,354億円で、前年度比101.0%です(メーカー出荷金額ベース)。※2024年4月時点
パンは持ち歩きや保存がしやすく、おやつや昼食に人気です。リモートワークやフリーランスなどの自宅で働く人も増えたことから「お昼休憩にコーヒーを淹れ、少し良いパンを食べたい」という人も増えてきました。
コロナ禍における外出制限や原料高騰など、外的要因による業界全体の経営不振もありましたが、規制緩和や政府の介入による小麦の価格調整などのプラスの働きかけになる出来事もある業界です。
参照:矢野経済研究所|パン市場に関する調査を実施(2023年)
メロンパン人気は?専門店でもやっていけるのか?
メロンパンは人気の高いパンです。すべての性別・年代を対象としたアンケート調査では、好きなパンランキングの2位にランクインしています。
メロンパン生地で作ったクロワッサンを扱う店舗なども見かけます。集客の戦略を練ったり工夫をこらすことで、メロンパン専門店として経営していくことができるでしょう。
参考:【人気投票 1~44位】パンの種類ランキング!みんなが好きなパンは? | みんなのランキング
メロンパン専門店をフランチャイズで開業できるのか
メロンパン専門店の販売方法は主に「キッチンカー」「実店舗」の2通りです。これらは両方ともフランチャイズでも開業できます。
【キッチンカー】
店舗用の土地が必要ないこと、キッチンカーの購入は実店舗を建てるよりも安価であることなど、コスト面のメリットが大きいです。移動できるため平日・休日や時間帯、イベントなどにより立地を変えられるのも強みです。
キッチンカーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひお読みください。
https://entrenet.jp/magazine/42729/
【実店舗(路面店/テナント)】
キッチンカーよりもコストがかかること、立地をなかなか変えられないことなどのデメリットはありますが、「固定客の獲得しやすさ」「商品数の増やしやすさ」などメリットも多いです。
開業の手順と必要な資格・許認可
メロンパン専門店を開業する手順は一般的なパン屋さんと同じです。フランチャイズの場合、次のような手順で開業準備を進めていきましょう。
- どんなチェーンがあるのかを調べる
- なるべく多くのチェーンの説明会に参加する
- 気になるチェーンは面談を申し込む
- 集めた情報をもとに加盟候補を絞り込む
- 立地や物件について本部と一緒に市場調査
- 本部と相談しながら事業計画を立てる
- 加盟のための最終審査を受ける
- 加盟契約を結ぶ
- 研修を受け、準備が整ったら開業する
立地選びではその地域の特性や人口構成なども重要です。あらかじめおおまかな戦略をイメージしておくと、説明会や面談がより有意義になるでしょう。
なお、メロンパン専門店に限らず、食品を取り扱うお店には1店舗1人の「食品衛生責任者」が必要です。カフェを併設する場合は、「飲食業の営業許可」と「防火管理者(※店舗の規模による)」が必要です。開業する地域によって管轄が異なりますので、加盟前に調べておきましょう。
開業資金・ランニングコスト・平均年収
メロンパン専門店の開業・運営にかかるコストや平均年収は、おおむね次の通りです。
店舗型の場合
加盟金・保証金などは180万~720万円です。ここにテナントや設備のための費用がかかるため、立地によっては開業資金が2,000万円を超えることもあります。
開業後は人件費やテナント代、材料など仕入れ代金に加えて「ロイヤリティ」がかかります。ロイヤリティの算出方法はフランチャイズにより異なり、「売り上げの1~3%ほど」「数万~10万円ほどの固定」「ロイヤリティなし」などさまざまです。
平均年収は標準的に450万~500万円ほど、軌道に乗って多店舗経営できるようになると1000万円を超えることもあります。
キッチンカーの場合
加盟金や保証金は50万〜100万円と店舗型に比べて安価です。店舗型と異なりテナント料はかかりませんが、キッチンカーの購入費や駐車料金や車検・保険料など車両の維持費、レンタルする場合のリース料は必要です。それでも開業資金は店舗型の数分の1ほどに収まるでしょう。
ただ、売り上げは月間約130万~140万円、経費を差し引いても月40~50万円ほどと店舗型より収益が少なくなることが多いです。
下記記事ではフランチャイズの仕組み、メリット・デメリットや成功事例まで徹底解説しています。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
メロンパン専門店をフランチャイズで開業するメリット
メロンパン専門店に限らず、フランチャイズでの開業には次のようなメリットがあります。
ここからはメロンパン専門店ならではのメリットを紹介します。
インバウンド需要を見込める
メロンパンは日本で2番目に人気のあるパンですが、実は海外人気も高いのが特徴です。日本発祥のパンの海外人気について調べたランキングでは、あんぱんが1位、メロンパンが2位でした。国内外の両方の人気を考えると、やはり専門店を開くならメロンパンがいいでしょう。
外国人観光客(インバウンド需要)が多いエリアや移住者の多いエリアへの出店を検討してみると良いでしょう。ほかにも英語メニューを作ったり、SNSのハッシュタグに英語を加えたり、工夫することで外国人からの人気が得られるでしょう。
フランチャイズであれば商圏調査なども行っているので、出展希望地域のターゲット層を予想して開店準備することもできます。
シンプルなオペレーションで商品を作れる
フランチャイズのメロンパン専門店なら、冷凍生地を本部から仕入れることで、美味しいメロンパンを簡単に提供できます。冷凍生地は保存期間が長く、お店で焼きたてを提供できるメリットもあります。
ほかの加盟店での実績をもとにある程度の需要を予測立てて作る(焼く)ことができるため、食品ロスも抑えやすいでしょう。
良い香りが集客効果を発揮する
最近はメロンパン専門店を見かけることが増えました。お店の近くを通ったとき、「甘くて香ばしい、すごく良い香りがした」「香りにつられてお店に入ってしまった」という人も多いのではないでしょうか。
メロンパン専門店の周りは常にいい香りで満たされています。視覚だけでなく嗅覚にも訴えかけることで、高い集客効果が期待できるでしょう。しかも、そのための特別なコストはかかりません。
メロンパン専門店をフランチャイズで開業するデメリット
メロンパン専門店に限らず、フランチャイズでの開業には次のようなデメリットがあります。
ただ、近年のフランチャイズのトレンドとして「SNS集客の自由度が高いチェーンが増えている」ことがあげられます。SNSでの集客について制約がないか契約前に確認し、積極的に活用するようにしましょう。
メロンパンはSNS映えしやすく、特に専門店の商品棚にメロンパンがズラリと並んだ写真には見ごたえがあります。また、先述のようにクロワッサンとメロンパンを組み合わせるような新しい組み合わせを考案するのも差別化につながるでしょう。
SNS運用を工夫することで、ブランドではなく「自分のお店」のファンになってくれる人も出てくるでしょう。
このようなお店のファンが増えれば、「他店舗のネガティブな口コミ」「本部(ブランド全体)の炎上」などによるイメージダウン、売り上げダウンのリスクを抑えられます。
メロンパン専門店を成功させるポイント
メロンパン専門店は最近人気の業態でSNS映えもしやすいです。ただし、商品がメロンパンのみであるため「ターゲット層が限られる」「飽きられやすい」などのデメリットもあります。
メロンパン専門店を成功させるには工夫が欠かせません。そのためにできることを3つ紹介します。
繁忙期・閑散期の波を乗りこなす
メロンパン専門店に限らず、パン屋の運営では繁忙期と閑散期を把握し、それに合わせて商品を展開することが大切です。
パンが良く売れるタイミングは「開店時」「ランチタイム」「パンが焼き上がるタイミング」などです。開店時とランチタイムに焼きたてを作ったり商品の種類や数を増やしたりするのはもちろん、種類ごとの焼き上がりのタイミングをPOPやSNSでPRするのもいいでしょう。
売れづらい時間帯は夕方~夜にかけてです。夕方から「明日の朝のパンセット」と称してセールを開始するなど工夫が必要です。フランチャイズであれば本部に他店舗の実績を聞くこともできるので、工夫もしやすいでしょう。
売れる時間・売れない時間しっかり読まないと商機を逃すことになってしまいます。
また、焼きたてのメロンパンも暑い真夏は売れづらいです。アイスサンドやドリンク販売など、季節ごとのニーズに沿った商品を取り扱えるよう、本部に確認してみましょう。
ほかにも開業地区で開催される夏祭りへの出店など、秋口以降も忘れられない店舗にしていくことが大切です。
食品ロスを減らす工夫
経費削減のためにもSDGsへの取り組みとしても、食品ロスを減らす工夫が大切です。パン屋の売れ残り廃棄率は3~5%といわれ、食品廃棄の常態化が問題となっています。
フランチャイズ本部の知見や他の加盟店での実績をもとに売上予測を立て、生産量の最適化を図りましょう。
ほかにも廃棄前のパンをラスクに加工したり、アイスクリームと合わせてデザートにしたりといった工夫をすることでも廃棄量を減らせます。
「飽きられない」店舗づくり
店舗型のメロンパン専門店は立地も客層も変えられません。メロンパン1種類だけでは「一度食べられたからいいや」とリピーターが獲得しづらく、常連客にも飽きられるリスクがあります。
ドリンクや他の商材との抱き合わせ販売など、他の加盟店での取り組みや本部の知見を活かして、「飽きられない店づくり」を考えましょう。
フランチャイズで開業できるメロンパン専門店一覧
メロンパン専門店を開業できるフランチャイズにはどのようなものがあるのか、2つの例を紹介します。
A社
3つのモデルから開業方法を選べるA社は、最も安価なモデルでは500万円ほどで開業ができるため、リスクヘッジになるでしょう。
店舗オーナーとフランチャイズ本部で情報を提供しあう独自システムがあり、他店舗のノウハウや知見を自店舗に取り入れやすいのも特徴です。
B社
20年の実績があるメロンパン専門店のB社は、キッチンカーでの開業に強く、長年の経営で得られたノウハウを惜しみなく提供し、加盟店の成功をサポートしています。
キッチンカーのデザインは特徴的でよく目立ち、メディアで取り上げられることが多いためブランドとしての知名度も高いです。
まとめ
メロンパンは国内・海外ともに人気のパンです。メロンパン専門店は写真映えしやすく、SNSや口コミでの集客にも強いです。
メロンパン専門店を低コストで開業できるフランチャイズも増えています。フランチャイズに加盟すればそのチェーンのブランド力やノウハウはもちろん、他店舗で得られた知見を自店舗の経営に活かすこともできるでしょう。
店舗型に強いチェーンとキッチンカーに強いチェーンがあります。どんなお店を開きたいのか、資金はどのくらいかけられるのかなどを踏まえて、自分に合ったフランチャイズを選びましょう。
<文/赤塚元基>