キッチンカーの販売事業は、オシャレで自由な飲食業として市場が拡大しており、「外出規制や災害時でも食の提供ができる」など社会的役割の側面でも注目を集めています。フランチャイズのブランドネームを背景に「人が集まる場所へ自分から移動して販売する」というフレキシブルで効率的な販売方法が特徴です。老若男女を問わず多くの方が大好きなメロンパンを、焼きたての香り高い状態で提供するフランチャイズ移動販売サービスをご紹介します。
今、キッチンカービジネスってどうなの?取り巻く現状と市場規模
キッチンカー(移動販売車)とは、ショッピングモールやスーパー、屋外のイベント会場、オフィス街などで、ファストフードやスイーツなどを簡単な調理を施して販売する業態です。移動販売車による飲食物販売の営業許可件数は、東京都で見れば平成元〜29年までで約8倍に増加しています。
そして、2020年からは新型コロナパンデミックによる外出や接触規制によって利用シーンが急拡大し、食の安定供給を支える販売形式の1つとして広く認知・利用されるようになりました。下記はGoogle Trendの「キッチンカー」の検索数の推移ですが、2019年8月は1日あたり31回だったのに対し、2023年8月は1日あたり76回にまで達しています。
今では、移動ファストフード店という立ち位置から過疎地や災害時のライフラインになるなど、社会インフラへと成長を遂げています。
【フランチャイズ】キッチンカーでメロンパンを売るメリット
メロンパンは誰にでも愛される定番パンで、シンプルゆえにアレンジメニューも豊かです。
季節や年代問わず安定して人気
パンはそもそも主食であり、おやつにもなるメロンパンは老若男女を問わず誰もが好む菓子パンの中心的な存在です。また、メロンパンは季節商品ではないため、年中いつでもある程度安定した売れ行きがあります。
みんなのランキングが23年9月が行った「好きなパンの種類」人気ランキングでは、メロンパンは第2位と大健闘していました。
味のバリエーションが簡単に作れる
メロンパンは、甘くてサクサクした表面の皮とその中のフワッとした生地が特徴ですが、シンプルな構成であるがゆえにさまざまなアレンジ(味のバリエーション)がしやすいという特徴があります。
例えば、皮や生地にフルーツやチョコレートや茶葉などの風味を加えたり、皮に塩やバターやハチミツを効かせたり、中にジャムやホイップなどを包んだりとさまざまに味を変えて楽しめます。
フランチャイズ本部が季節限定メニューを考案してくれる場合は、加盟店は試行錯誤する手間や開発コストをかけることなく、売れるメニューやその調理法が得られます。
良いにおいが集客効果を発揮する
メロンパンの甘い香りやバターの香ばしい香りに惹かれてつい買ってしまうことは少なくありませんし、焼きたてというワードはつい財布のひもが緩んでしまう要素です。
メロンパンを焼く香りが周囲に漂っているだけで勝手にお客様が集まります。このように、香りにはコストをかけなくても、視覚だけにとどまらない絶大な誘因作用で集客できる広告効果もあるのです。
フランチャイズで冷凍生地を購入するので、味が安定する上にオペレーションが簡単
パンの味を決めるパン生地はフランチャイズ本部から購入するため、常に高い品質で味のバラつきがなく、手間や時間が削減できます。
また、小麦やバターは世界情勢の変化で品不足や価格高騰などの影響を受けやすく、いつでも安定した量と価格で仕入れられるか分かりません。しかし、フランチャイズに加盟していれば原料の確保問題に悩まされることも少なくなるでしょう。
まずはフランチャイズの仕組みを知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
【フランチャイズ】キッチンカーでメロンパンを売るデメリット
キッチンカーでメロンパンを売るデメリットには以下のようなものがあります。
焼き上がりまでに時間がかかり、回転率が下がる
メロンパンをその場で焼く場合には15分ほどかかるため、在庫量と焼きはじめの時間調整がうまくいかないと、欠品もしくは商品が余って冷めて硬くなる場合があります。提供スピードや商品の劣化は売り上げ悪化に直結するため、場所や時期、時間帯、人どおりによって細かく調整する必要があるでしょう。
フランチャイズの場合は、POS管理などで平日や休日ごと、天気による変化などから、売り上げ見込みを立てやすいため、しっかり活用すると良いでしょう。
真夏は売れにくい傾向がある
メロンパンは年中安定した売れ行きがあるものの、夏には若干売り上げが落ちる傾向があります。焼きたてアツアツの最もおいしい状態は、暑い時期だとどうしても影響を受けてしまいます。
また、雨の日はせっかくの甘い香りが漂わず、売れ行きが落ちてしまうこともあります。
味の差別化が難しい
フランチャイズでは、どの加盟店でも味を均一にするために、フランチャイズ本部から同じ生地を購入することが少なくありません。また、同じメニューを同じ価格で提供するために、自分でアレンジしたメニューを好きな価格で販売することができないフランチャイズ本部もあります。
自分でアイデアを考え、季節限定メニューなどのバリエーションで競合店との差を付けて勝負したい方は、メニューのアレンジが可能かどうか、契約前にフランチャイズ本部に確認する必要があります。
営業時間が限られる
パンがよく売れる時間帯は、開店直後・ランチタイム・パンの焼き上がり時間の3つで、それ以外の時間や夜はアイドルタイムになります。
ランチタイムには明らかに大きな需要がありますが、それ以外の時間帯は客層やニーズが異なるため、その傾向を読み取って商品のバリエーションや焼き上がり時間を調整する必要があるでしょう。パンは焼きたてや品数が多い時間帯に買いたいと思う方が多いため、焼き上がり時間や商品が出そろう時間を店の前に掲示して来店を促すのもよいでしょう。
フランチャイズであれば、他の加盟店での実績を聞き、予測立てることもできます。
高い廃棄率
お客様の購買意欲を高めるためにパン屋さんは常に一定の品数を揃えます。そのため、パン業界では閉店後に売れ残り商品を廃棄する状況が半ば当たり前になっており、ロス率は平均3~5%といわれています。
風味の劣化や食中毒を恐れての廃棄ですが、単に利益が削られるうえにパン屋さんにとっては心が痛む行為です。
前述のとおり、他の加盟店で積まれた実績から予測立ててパンの製造・販売を行うほか、閉店前にまとめ買いセールを行ったり、ラスクなどに加工したりする方法が取れます。
なお、セールが可能かどうか、パンのアレンジが可能かどうかはフランチャイズ本部に確認しましょう。
メロンパンのキッチンカー開業を考えるならどっち?自力で独立する場合と比較
自力で独立する場合とフランチャイズに加盟する場合の開業資金やランニングコストおよび収支をご紹介します。
自力独立の場合
キッチンカーでメロンパン販売をはじめる際の開業資金の目安は200万〜300万円で、概算は下記のとおりです。キッチンカーや冷蔵・調理器具をリース契約すれば初期費用が抑えられます。
また、月々のランニングコストの目安は下記のとおりです。キッチンカーや機器をリースする場合には毎月のコストが増えます。
収益モデルは、毎月の売り上げが200万〜400万円で、利益率を15〜20%と仮定すれば利益額は30万〜80万円です。
フランチャイズ独立の場合
フランチャイズに加盟する場合には、契約時に加盟金や保証金で50万〜100万円が必要です。
また、フランチャイズ特有のランニングコストとして、本部に支払うロイヤリティが必要です。ロイヤリティが不要のフランチャイズもありますが、毎月固定で数万円という場合や売上金額の数%という場合が多いです。利益の一部を支払うのでもったいない気もしますが、広告コスト・生地仕入れの安定・コンサル料などと考えることもできます。
集客や仕入れなどの業務を本部が代行してくれて、その分の時間と労力を本業に注ぎ込めると考えれば、加盟するメリットが大きいと感じる方は少なくないでしょう。
フランチャイズのメロンパンのキッチンカーで成功するために工夫したい3つのポイント
フランチャイズでメロンパンのキッチンカーを成功させる3つのポイントをご紹介します。
オリジナリティを追求
メロンパンのように甘い系のパンと併せて、塩味がある商品をパンのラインナップやサイドオーダーに加えれば、同時に複数種類の商品が売れやすくなります。
季節限定やキャンペーン商品を用意して、食べてみたいという購買意欲をそそることも効果的です。また、ドリンク・ヨーグルト・サラダ・ジャムなどのサイドオーダーは調理時間不要で客単価を上げられるため一考の価値があるでしょう。ただし、フランチャイズではメニューの軽微なアレンジでも許可を得るために本部への事前の相談が必要です。
フランチャイズ本部によっては、メロンパンだけでなく惣菜系のパンを取り扱っているブランドもあります。
生地の廃棄ロスを減らす
季節・曜日・気候などからその日の状況に適した商品量や焼き上げ時間を調整し、一定時間が経過したパンは別の商品に加工するなど、売れ残って廃棄することがないようにしましょう。
また、たとえ冷凍ができる生地や食材であっても消費期限があり、冷凍によって多少劣化もします。行き過ぎた原価削減の意識から、古い食材の使用や販売によって信頼を失うことがないように注意したいものです。
出店場所のリサーチ
キッチンカーなら出店場所は営業許可が得られれば基本的には自由です。まずは下記のようにすでに集客がある場所を確保することからはじめましょう。
また、SNSやサイトでイベントをチェックして直接交渉したり、マッチングサービスで出店場所を開拓したりするとよいでしょう。何より本部が持つ知見を活用して、既存の店舗の売り上げや収益シミュレーションを事前に確認しておくようにしましょう。
まとめ
キッチンカーの強みは、自由な出店スタイルと機動力で、人が集まる場所へ出向いて効率よく販売するスタイルです。緊急時のインフラとして社会的にも注目されており、地域に根ざして地域貢献ができる仕事でもあります。顧客との距離が近いため、接客やコミュニケーションが好きな方に向いた業態といえるでしょう。
メロンパンのキッチンカー事業は、SNS告知の集客によってお得意様や必勝エリアを獲得することで、収支はどんどん改善するやりがいの大きい仕事です。リスクを減らして事業を効率的に軌道に乗せるための方法として、フランチャイズ加盟もぜひ検討してみましょう。
<文/柴田敏雄>