障害のある小学生から高校生までが学校の授業後や長期休暇に通えるのが、放課後等デイサービスです。国の認定を受けて運営されており、放課後等デイサービスとしての売り上げの大半は公費でまかなわれるため、安定した事業となるでしょう。この記事では放課後等デイサービスの概要や、フランチャイズによる開所のメリットやデメリットについて紹介します。
放課後等デイサービスとは
放課後デイサービス(放課後等デイサービス)とは、対象となる障害手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などの手帳を所持する児童のための施設です。発達の特性について医師の診断書がある児童も利用しています。
児童福祉法第6条の2の2第4項の規定に基づき、学校(幼稚園及び大学を除く)に就学している障害児のための通所支援の1つが放課後等デイサービスです。その名の通り学校の授業が終わった後や休業日、夏休みなどの長期休みに児童発達支援センターやその他の厚生労働省令で定める施設に通います。目的は生活能力の向上、社会性の向上であり、療育等の支援を受けることができます。集団活動を通して家族や学校以外の友人を作ったり、居場所を見つけるサポートを行います。
開所予定地の自治体への指定申請が必要であり、供給が地域のニーズに対して過剰なものとならないよう総量規制が取られることもあります。
※リンクの遷移先はPDFファイルです。大量の通信費がかかる可能性があります。
社会貢献性の高い、人々に求められるビジネス
文部科学省がまとめた「進級による指導実施状況調査結果」によると、小学校・中学校・高校含めて平成15年には3.3万人程度だった障害児の数も、令和2年には16万人を超える推移となっています。具体的に見ると、注意欠陥多動性障害、学習障害、自閉症、情緒障害などの数が増えています。
これまでは表立って注目されてこなかった障害についてもサポート体制が求められ、事業所のニーズが高いこともわかります。放課後等デイサービスは社会貢献性も高く、人々に求められるビジネスであるといえるでしょう。
参考:文部科学省 特別支援教育資料|第2部調査編(令和3年度)P.2より
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放課後等デイサービスのフランチャイズを開所するメリット
放課後等デイサービスの概要を知ったところで、フランチャイズで開所(開業)するメリットについて紹介します。
未経験でも開所できる
紹介した通り、放課後等デイサービスは開所するにあたり開所予定地の自治体への指定申請が必要になります。フランチャイズを活用する場合、国の定める基準の理解や、各自治体への申請方法など、専門的な知識やノウハウを持つフランチャイズ本部からサポートを受けられるため、福祉事業に経験のない人でも経営しやすいでしょう。
また運営に当たっては児童発達支援管理責任者、保育士などの資格保有者が一定数必要となりますが、オーナー自身が資格を必要としないフランチャイズもあるため、こうしたフランチャイズ本部であれば未経験でも経営できます。
事業計画書作成のサポートを受けられる
放課後等デイサービスはある程度の広さの物件を取得するため、立地によっては初期投資が高額になることもあります。すべて自己資金だけでまかなえる人も少なく、多くの人が金融機関などで資金調達をすることになるでしょう。
フランチャイズ本部で事業計画書作成のサポートを受けられたり、他の事業所の実績をもとに資金計画を作成することができます。実績に基づいた事業計画書があれば、資金調達の際に有利に働く場合もあります。
デイサービス開所までのサポートが充実
放課後等デイサービスの開所にあたり、都道府県の許認可申請や立地調査、療育プログラムの策定、スタッフの募集や採用方法など特定のノウハウが必要となります。それらのプロセスでフランチャイズ本部の持つマニュアルを活かすことができるのは大きなメリットです。
個人であれば行政書士に依頼したり、福祉や教育の知見のある専門家に監修をお願いしなければならないことがあるかもしれません。その点、フランチャイズであれば開所までに必要なことがパッケージ化されています。どこまでサポートを受けられるかはフランチャイズ本部によって異なるため、フランチャイズ選びの際には比較して検討するようにしましょう。
事業開始スピードが比較的早い
開所に向けてサポートが受けられるということは、個人で開所するよりも比較的早く事業開始まで進められるというメリットもあります。開所準備が長引いてしまうと、その期間も物件の家賃や人件費が発生してしまいます。収益化できるまでスムーズに進められる点は、資金繰りの観点からも重要となるでしょう。
ブランド力が強み
フランチャイズ本部のネームバリューやブランド力が活かせる点も、集客の面でメリットとなります。
大切な子どもを長時間預けることになるため、放課後等デイサービスの評判や口コミを入所前に確認している保護者は多いと予想されます。その際にまったく情報のない新しい放課後等デイサービスよりも、実績のあるフランチャイズ加盟施設が選ばれる可能性は高いでしょう。
まずはフランチャイズの仕組みを知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
放課後等デイサービスのフランチャイズを開所するデメリット
フランチャイズにて開所するメリットを紹介しましたが、反対にデメリットはあるのでしょうか。考えられるものとしては、フランチャイズ本部に支払う加盟金や売り上げに応じたロイヤリティなどが発生することがあげられます。
しかし開所時の本部によるサポート体制は魅力的であり、開所して利用者が集まれば安定した収益を見込めるため、フランチャイズメリットの対価としては納得のいくものであることが多いです。加盟金やロイヤリティの金額や計算方法は本部によっても異なるため、本部選びの参考にしてください。
放課後等デイサービスを開所した先輩の声
ここでは、実際に放課後等デイサービスを開所したフランチャイズオーナーの声を紹介します。
株式会社こぱんはうすさくら 神尾オーナー
「株式会社こぱんはうすさくら」に加盟する神尾オーナーは、開所から6年で5教室まで拡大することができています。地域から求められる事業内容やビジョンに共感し、特にスタッフが働きやすい環境と組織作りに注力しています。スタッフの資格取得の援助や勉強会の開催なども開催し、自己研鑽も奨励しています。「正直いって私はこの事業で失敗している人を知りません」と語るほど、事業の将来性についても前向きな展望を見せています。
KID ACADEMY+/株式会社Kids Developer 白石オーナー
「KID ACADEMY+/株式会社Kids Developer」に加盟する白石オーナーは開所から3年で4校を運営し、月商は4校合わせて1,300万円(契約者数135名)の規模まで拡大しています。KID ACADEMY+では脳科学を用いた密度の濃い療育を行っているため、長時間預かりは行わず、集中力や体力を考慮した1時間利用を基本としています。子どもたちの成長をモチベーションに、教室運営を行っています。
ままはぐ/スティルウィーライズ株式会社 金本オーナー
「ままはぐ/スティルウィーライズ株式会社」に加盟する金本オーナーは、イベント事業など他の事業も手掛けながら、2022年に重症心身特化型の放課後等デイサービスを開所。管理者や看護師、保育士などを含め7名のスタッフを集め、オーナー業に専念しています。本来では必要とされるはずの重症心身特化の施設への認知がまだ低いことを課題に、今後の認知獲得に努め、地域の病院や訪問看護ステーションなどをまわっています。
まとめ
放課後等デイサービスは利用者が拡大しているほか、国からの公費が売り上げの大半を占めるため、安定性がある事業です。開所にあたって専門的なノウハウが必要となりますが、フランチャイズに加盟することでスムーズに運営まで進められるでしょう。
一方で、未来ある子供の命を預かる仕事でもあります。簡単に開廃業できる事業ではありません。開業する際には、ぜひ短期的な売り上げ目標だけでなく中長期的な視野で計画を立ててください。
提供する療育内容やフランチャイズ加盟への条件は本部によって異なります。自分が開所したい放課後等デイサービス事業はどういったものかを見極めるためにもアントレを参考に比較検討してみてください。
<文/北川美智子>