今回は、買取フランチャイズで失敗する原因や対策を解説していきます。比較的、不況に強く市場が拡大する買取ビジネスでも、リスク回避の知識や行動なくしては成功しません。業界・経営未経験で買取フランチャイズの加盟オーナーとなる場合は特に、失敗するケースやその理由を知識として得ておきたいものです。余裕のある資金計画と経営方針を立てて、買取事業に参入するようにしましょう。
買取フランチャイズで失敗するパターン
まずは多くの買取フランチャイズ加盟オーナーが直面した、6つの失敗パターンをご紹介します。
買取のフランチャイズ本部の選び方を間違える
多くの買取のフランチャイズ本部は、広告宣伝や販促キャンペーン、店舗運営や資金計画のアドバイス、メンタルサポートや知識教育プログラムなど、フランチャイズ加盟店に対してサポートを実施します。
ビジネスパートナーとして信頼できるフランチャイズ本部を選び、適切なサポートを求めなければ、事業がうまくいかない場合や、トラブル時の対応、低迷する売り上げの改善策など、具体的なアドバイスや協力が得られないという可能性もあります。中には、フランチャイズ本部のサポートが得られずに、店舗運営がうまくいかなくなったり、廃業して借金だけが残ったりするケースもあります。
準備した資金が足りなくなる
資金計画が不十分で開業費用だけしか準備していない状態だと、開業後に運転資金が不足するという事態に陥ることがあります。資金が不足すれば少しの業績不振でも、たちまち運転資金が不足して、買取フランチャイズの事業が続けられなくなります。
また、多額の初期投資や光熱費および人件費などの経費が想定を超えてしまうと、思うような利益が出せないことがあります。
さらに、「見た目の印象が肝心!」と、必要以上に店舗の装飾やパンフレットなどにお金をかけて失敗するケースは少なくありません。
出店エリア選びを間違える
出店エリアの選定を誤ると、集客力が低く売り上げが伸び悩むことがあります。
失敗例としては、競合店舗が密集しているエリアでの出店やターゲットとなる顧客がほとんどいないエリアでの出店です。また意外と確認を忘れてしまうのが、昼夜の人口差です。出店エリアの昼の様子しか見ていないと夜は閑散としていて集客が難しくなってしまうというケースも発生しています。開店してから店舗を移動させるのは困難であるため、最初の出店エリア選びに失敗すれば、集客が難しくなり、売り上げは上がりません。そのため、事業が軌道に乗るまでに時間がかかるか、撤退を余儀なくされる場合もあるでしょう。
ブランド力のあるフランチャイズでも、競合の多いエリアの出店は失敗リスクが上がります。他社や同じフランチャイズの他店舗との競合に注意すべきでしょう。フランチャイズ本部には、出店エリア選びのノウハウもあるので、相談するのはもちろん、自分の足で確認することを怠らないことが大切です。
偽物や盗品を買い取ってしまう
偽物や盗品を買い取ってしまうと、買取のプロとして商品を見る目がないと信頼は失われ、顧客が離れる原因にもなります。
よくある失敗例としては、偽物のブランド品や貴金属を見抜けなかったり、窃盗品と知らずに買い取ってしまったりするケースです。
偽物や盗品が持ち込まれることはありますが、基本的に偽物や盗品はフランチャイズ本部が買取に応じないばかりか補償もないため、買取に失敗すると損失だけが残ってしまいます。これを避けるために、フランチャイズ本部のサポートや研修が手厚くなっていたり、真贋を見分けるためのシステムやツールが充実したりしていることもあります。フランチャイズ本部によっては、買取代行を実施している場合もあります。巧妙化する犯罪の片棒を担がないためにも、自分の目を過信しすぎないことも重要かもしれません。
思うように儲からなくなる
集客が少なく、また商品の査定をしても買取までいかなければ、売り上げが伸びずに思うように利益が上がらない場合があります。
具体的な失敗例としては、接客が悪くて客離れしたり、過剰な在庫を抱えたり、競合との価格競争で利益率が低下したりというケースがあります。
フランチャイズ加盟前には、説明会に参加して、開業後の収益モデルを参考に加盟を検討しますが、紹介されている収益モデルは運営がうまくいっている事例であることがほとんどです。フランチャイズに加盟すれば集客や利益が約束されるわけではなく、加盟オーナー自らが買取事業を育てていかなければならないということを肝に銘じておきましょう。
自分の経営方針がない
買取事業やオーナーの経験がないといっても、自分の経営方針を持たず、フランチャイズ本部のノウハウをそのまま受け入れるだけでは、意志のない運営になってしまいます。
集客や売り上げは想定通りにいかないことも多いため、現状を把握し対策を取る意思を持たないと経営が立ち行かなくなるケースもあります。エリアの特性に応じたサービスとなっているか、フランチャイズ本部任せにせず積極的に情報を集め、マーケティングを行うようにしましょう。自社の強みを知り、差別化を図るためにも自分の経営方針を持つことは重要です。
フランチャイズであっても事業の責任者は加盟オーナー自身であり、積極的なビジネスプランは自ら策定するという意識を持っておくべきです。
まずはフランチャイズの仕組みを知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
買取フランチャイズで失敗しないために
多くの方の失敗から学んだ、失敗確率を下げる行動を6つご紹介します。
フランチャイズ本部のサポート体制やロイヤリティをしっかり確認する
フランチャイズ加盟店は、フランチャイズ本部の行う広告宣伝の効果、経営ノウハウのサポートやブランド使用の対価としてロイヤリティを支払います。そのため、ロイヤリティの金額とその効果やサポートが見合っているか、他のフランチャイズと比較することが大事です。比較する際には以下の点を確認しましょう。
まず、フランチャイズの研修やサポート体制が重要です。業界・経営未経験のオーナーでもプロ水準のサービスが提供できるようにフランチャイズ本部が研修やサポートを行っているか、また継続的にサポートが受けられるかを確認します。
次に、ロイヤリティについて調べます。フランチャイズ本部のサポートがロイヤリティ以上の価値があるものでなければ売り上げや利益が上がらないため、ロイヤリティは適切な金額かどうかをチェックしましょう。
運転資金も準備する
フランチャイズで開業するには加盟金・研修費・店舗修得費・内外装費・買取資金などが必要です。
さらに、開店してからの運転資金(広告宣伝費・人件費・光熱費・販促費など)も含めた余裕のある資金計画を立てておけば、事業の運営はスムーズになります。
広告宣伝費は顧客を集めるための広告費です。買取サービスは積極的に知人へおすすめすることが少ないため、不用品の処分や現金化のニーズがある方へタイミング良く広告を打つ必要があります。
人件費とはスタッフの給与や社会保険料などの福利厚生費です。人件費の支払いが滞ればスタッフの離職や悪い評判につながります。
電気や水道光熱費とは快適な店舗環境をつくる費用です。料金の値上げや、酷暑や厳寒で想定外の費用がかかるケースは近年少なくありません。
販促費とは、高額買取・知人紹介などの販売促進費用です。期間限定のお得なキャンペーンの開催など、他店に勝るお得感で選ばれるためには定期的に必要でしょう。開業にかかる初期費用だけでなく、上記のような運転資金のほか、最低でも半年分程度の生活費を準備しておくことをおすすめします。
出店エリアは必ず自分で確認する
出店エリアは必ず自分で確認し、集客力が高く、競合は少なく、アクセスの良い場所の選定が大切です。
出店エリアは下記のようなポイントに注意して選ぶと良いでしょう。
人通りが多い場所
人通りが多い場所は、店舗が多くの人の目に触れて記憶の刷り込みができるため、いざというときに思い出してもらいやすくなるものです。
駅近などアクセスしやすい場所
交通アクセスが良いエリアは利便性が高く集客力が向上します。電車路線が便利なら駅近の立地、郊外なら道路から見えやすく駐車場がある立地などが望ましいでしょう。駅近の立地だと家賃が高く、競合が多いと集客費がかかるため、準備できる費用と比較して立地条件をまとめると良いです。また、昼夜の人口変動などにも気を付けながら、フランチャイズ本部からのシミュレーションだけでなく自分の足で確認することを心掛けると後悔は少ないでしょう。
競合店が少ない場所
競合店が少ないエリアなら顧客獲得がスムーズになります。競合店が多いと集客の低下や価格競争が激しくなるでしょう。
商業施設内の場所
ショッピングモールやスーパーの中など、他の商業施設が集客してくれる場所に出店すれば、ショッピングモールやスーパー利用者が「ついでに」来店してくれて、集客ができる可能性があります。飲食店や遊技場がある場所も立ち寄りやすい立地といえるでしょう。
真贋・査定方法を見直す
買取ビジネスでは、真贋や査定能力を高めて偽物や盗品の買取を防がなければなりません。正確な商品知識や査定スキルを身に付けていけば信頼性を高めることができます。
貴金属や時計、ブランドバッグなど、精巧にできた贋作を見抜くには高い知識と経験が必要です。フランチャイズ本部にはそれらを補うための研修や、遠隔カメラおよびAIやデータに基づいた真贋判断のサポート制度を用意している場合があります。
また、自ら進んで同業者や他のオーナーとの情報交換をするなども必要になるでしょう。
査定方法の見直しとは、変動する相場価格や時代に合わせたトレンド・ニーズを見極めた、利益率の高い価格設定や在庫確保の予測行動です。
ニーズが高まり相場が上がっているなら高い査定をすれば顧客の信頼が得られるでしょう。また、ブレイク前の商品を大量に確保できれば利益を増やすこともできます。
特に真偽が判別しづらい高価な商品の取引は、個人間取引のフリマアプリではなく買取のプロが査定した方が利用者は安心感があり、確かな差別化ができるでしょう。
儲からない理由を分析する
売り上げが伸び悩んでいる場合には、儲からない理由を多角的に分析し改善策を即時、実行することが重要です。同時にトレンドや顧客ニーズを満たす商品の選定と効果的な広告活動を行うことが求められます。
ちなみに、儲からない理由として多いのは下記です。
フランチャイズ本部任せにしない
フランチャイズに加盟して開業すると、一人でイチから起業するよりもフランチャイズ本部から共有されるノウハウやサポートを使って店舗運営ができるため、成功率が高いといわれます。
しかし、フランチャイズ本部のサポートに頼りきりにならず自分の経営方針を持って、地域や時流に合った独自の戦略を立てることが大切です。
そして、常にアンテナを張って積極的に情報収集を行い、運営していくようにしましょう。
フランチャイズ本部はあくまでビジネスパートナーであり、各店舗の広告や実際の販売活動などはオーナー自らが実施するものです。つまり、顧客の好印象と信頼を得て地域に口コミで広がっていくかどうかは、最終的にはオーナーの手腕にかかっているのです。
買取フランチャイズの成功にはフランチャイズ本部との信頼関係が重要
買取フランチャイズで成功を収めるためには、フランチャイズ本部との信頼関係や情報の連携が非常に重要です。フランチャイズ本部が共有する情報と自分で集めた情報を積み重ねて、効果的な戦略を立てて実行することで失敗が回避できれば、事業の成功する確率は格段に上がります。
この記事で解説した失敗パターンや失敗しない対策を参考にすれば、適切なフランチャイズ本部、出店エリア選びや資金計画などの課題が明確になるでしょう。まずはそれらをクリアして、安心して事業のスタートをきりましょう。
<文/ほのゆき>