競争が激しい脱毛業界でも、個人が戦えるポイントがあります。独自の戦略とターゲティングで、多くの店舗が成功を収めている理由とは?この記事では、脱毛サロンを成功に導くためのヒントや、開業準備で押さえるべき重要ポイントを詳しく解説します。個人でも実現可能なビジネスモデルを理解しましょう。
脱毛サロンの開業が注目される理由とは?
美容業界で急成長する脱毛市場の現状
近年、美容業界の中でも特に脱毛市場は急成長を遂げています。これは男女問わず美容意識が高まり、「ムダ毛のケア」が日常的な美容習慣として定着しつつあることが背景にあります。脱毛市場の規模は年々拡大しており、2024年現在では数千億円規模に達しています。さらに、これまで女性向けが中心だった脱毛サービスが、近年では男性向け需要の増加により市場がさらに広がっています。特に、メンズ脱毛は髭脱毛や全身脱毛の人気が高まっており、前年比20%以上の成長を見せています。
技術の進化もこの成長を支えています。かつては医療脱毛が主流で、高額かつ痛みを伴う施術が一般的でしたが、近年では痛みの少ない光脱毛やSHR方式が普及したことで、脱毛がより手軽なものとなりました。この技術革新により、施術コストも低下し、脱毛サービスを提供する事業者にとっても参入しやすい環境が整っています。また、従来は20代の女性が主要な顧客層とされていましたが、現在では学生やシニア層、さらには男性客も増え、多様な顧客ニーズに応える形で市場が広がっています。
このように、美容業界の中で急成長を遂げている脱毛市場は、安定した需要を背景にした魅力的なビジネス機会を提供しています。そのため、脱毛サロンの開業は、将来性のある選択肢として注目されています。
個人経営で成功するチャンス
脱毛サロンは、競争が激しい美容業界においても個人経営で成功する可能性が十分にあります。その理由の一つが、開業に必要なスペースや設備が他業種と比べて限定的である点です。例えば、飲食業のように広い店舗や複雑な設備が必須ではなく、自宅の一室やマンションの一部を活用して運営することが可能です。これにより、賃料や設備投資を大幅に抑えることができ、初期費用が少なく済む点が大きな魅力となっています。自宅開業であれば、200万円台からスタートできるケースも珍しくありません。
また、競争が激しい大手サロンと差別化しやすいのも個人経営の強みです。大手サロンが価格競争に注力する一方で、個人経営のサロンはアットホームな雰囲気や、顧客一人ひとりに寄り添った丁寧な接客を武器にすることができます。さらに、特定のターゲット層に特化したサービスを展開することで、差別化が図れるだけでなく、リピーターの獲得にも繋がります。たとえば、忙しいビジネスパーソンをターゲットにした深夜営業や、親子で通えるプランの提供など、地域のニーズに合わせた柔軟な運営が可能です。
収益性の高さも、脱毛サロン開業が注目される理由の一つです。脱毛サロンは美容業界の中でも客単価が高く、特にメンズ脱毛では1回の施術で数万円の収益を見込むことができます。全身脱毛や髭脱毛は高額なメニューでありながら需要が高く、集客が少ない場合でも十分な利益を確保できる点が、経営初心者にとって魅力的です。さらに、近年ではSNSを活用した広告や口コミ戦略が一般的になっており、これにより広告費を抑えながら集客を行うことも可能です。
個人で脱毛サロンを運営するもう一つの利点は、働き方の自由度の高さです。自分で営業時間や施術内容を設定できるため、家庭と仕事を両立したい方や、副業として始めたい方にも適しています。これにより、ワークライフバランスを重視した働き方が実現可能で、特に柔軟性を求める現代の起業家にとって理想的な選択肢と言えるでしょう。
このように、脱毛サロンの開業は、低コストで始められるだけでなく、高い収益性と働き方の自由度を兼ね備えたビジネスモデルです。競争が激しい市場であっても、適切な戦略を用いれば個人でも成功を目指すことができるため、多くの人が注目する理由となっています。
脱毛サロンで独立・開業する3つのメリット
独立や開業の手段として脱毛サロンを選ぶ人が増えています。その背景には、費用面やリターンの大きさ、初心者でも挑戦しやすい環境が整っていることが挙げられます。この記事では、脱毛サロン開業の主なメリットを3つに分けて詳しく解説します。
開業費や運営費を抑えやすい
開業するのに脱毛サロンを選ぶメリットの1つ目は『開業資金や運用資金を抑えやすいこと』です。
脱毛サロン用に物件を賃貸するのであれば、初期費用はもちろん、毎月のランニングコストがそれなりにかかります。しかし、脱毛サロンは自宅やマンションの一室でも経営が可能です。自宅で開業するため賃料がかからない場合、開業にかかる費用は200万円台にまで抑えることができます。
しかし、脱毛サロンの個人経営は決して簡単ではありません。個人で脱毛サロンを開業しても、低単価の大手・中小サロンが積極的に参入している影響で、脱毛サロン市場は常に価格競争を強いられているからです。廃業率も決して低くありません。このような状況があるため、なるべく開業資金を抑えてリスク回避をしなくてはなりませんが、自宅で脱毛サロンを経営するのであれば、200万円ほどで開業できます。
脱毛サロンを開業するのに欠かせない脱毛機ですが、何年使うか見通しが立っていない開業当初は、脱毛機はレンタルがおすすめです。初期費用に40万円ほどのランニングコストがかかるものの(メーカーによって異なる)、契約期間が設けられているケースも少なくいつでも解約できるのがポイントです。
もちろん『脱毛器を購入する』という選択肢も廃業時に売却できるため選択肢として考慮しても良いです。しかし、原則リースは途中解約ができないためおすすめできません。
客単価が高くリターンが大きい
脱毛サロンの開業を独立の手段に選ぶ2つ目のメリットは『客単価が高くリターンが大きい点』です。独立を成功させるためには、いかに「リターンを大きくして純利益を得るか」が重要になります。
脱毛サロンの中でも、レディース脱毛はさまざまな大手・中小サロンの参入の影響で単価が低下傾向にあります。しかし、それでも全身脱毛は1回当たりの相場が16,000円から30,000円と高価格です。さらにメンズの場合は1回当たりの相場が全身脱毛で50,000円以上、髭脱毛で10,000円から15,000円と高い価格帯を設定できます。(※2022年2月時点での情報です)
1回当たりの客単価が高い分、集客ができれば脱毛サロンはリターンの大きい業種です。
他業種と比べてリスクが小さい
独立の手段に脱毛サロンの開業を選ぶメリットの3つ目は『他の業種に比べてリスクが小さいこと』です。
脱毛サロンは上記で説明した通り、開業や運用の費用が抑えられるだけでなく、客単価が高い分リターンが大きい業種です。そのため、経営難に陥ってしまっても他業種に比べてダメージが小さい特徴があります。集客が苦手でも客単価が高い分、少ない客数でもなんとか経営できるので、経営初心者の方でも挑戦しやすいのではないでしょうか。
脱毛サロンの開業・運営にかかる費用
脱毛サロンは、開業や運営にかかるコストを抑えられるメリットがあると説明しました。具体的にはどれほどのコストがかかるのか、個人店とフランチャイズの場合の違いを見ていきましょう。(※2022年2月時点での情報です)
個人店の場合
個人店の開業・運営でも、脱毛サロンであれば費用をなるべく抑えられます。サロンの物件の契約費用や機械代を含んでも、200万円ほどの初期費用で開業が可能です。さらに、脱毛サロンの毎月のランニングコストは25万円ほどに抑えられます。
もちろん、地域やサロンの規模によっても異なります。しかし、家賃は自宅の場合費用がかからないので、更なる節約を実現できます。また、初期費用をかけてでもなるべくランニングコストを抑えて脱毛サロンを運営したい、というのであれば脱毛機はレンタルではなく購入しても良いかもしれません。購入してしまえばその分ランニングコストが抑えられますし、廃業の際には売却も可能です。
フランチャイズの場合
脱毛サロンを開業する方法のひとつとして、個人店ではなくフランチャイズを活用する方法も近年では増加傾向にあります。フランチャイズであれば本部から経営サポートが受けられるので、初心者でも安心して開業が可能です。
ただし、個人店同様の費用がかかるほか、毎月ロイヤリティなどフランチャイズ本部に支払わなくてはいけない費用が発生します。『収益かける数%のロイヤリティの支払いが義務付けられている』場合、収益が上がればその分支払う金額も大きくなるので注意しましょう。その分、ブランド力を生かした集客が可能なので、営業力や集客力に自信がない場合は、フランチャイズを検討してみるとよいでしょう。
【4STEP】脱毛サロンを開業するための準備
脱毛サロンを開業するのには、大きく4つのステップに沿って手順を進めていかなくてはいけません。難しいことは特にありませんが、開業するにあたり重要なポイントなので、チェックしていきましょう。
STEP1.資金計画を立てる
脱毛サロンを開業するにあたり最初にしなくてはいけないのが、資金計画です。
初期費用や運営にどれほどの資金が必要なのか計画を立てなくては、開業資金の調達もできません。なるべく詳細に決めた方が後の運営に響いてしまうこともないので、怠らずに資金の計画を立てましょう。
STEP2.個人店かフランチャイズかを決める
次に、個人店で開業するのか、フランチャイズを活用するのかを決めましょう。どちらにするのかによって、開業資金だけでなくランニングコストにも影響が出ます。フランチャイズであればロイヤリティなどといったフランチャイズ本部への支払い、個人店であれば、経営の勉強に時間と費用がかかると思っておくと良いかもしれません。
STEP3.脱毛器を選ぶ
脱毛機器選びにはこだわりましょう。脱毛器は以下のポイントに注意しながら選んでみてください。
集客するのにも重要な設備なので、よく検討して決定しましょう。
STEP4.余裕があれば資格を取る
脱毛サロンの開業には資格の取得は必要ありません。しかし、もちろん持っていれば集客に役立つこともあるので余裕があれば取得しておきたいところ。取得しておくと良い資格は2つあります。一般社団法人日本脱毛安全普及協会の『脱毛士検定』と一般社団法人日本エステティック振興協議会の『認定美容ライト脱毛』です。
開業前に知っておきたい、美容脱毛と医療脱毛の違い
脱毛には『美容脱毛』と『医療脱毛』の2種類があります。お客様にとってのメリットとデメリットにも大きな違いがあるのはもちろん、開業するにあたっても必要な資格が異なります。そのため、どちらの脱毛方法で脱毛サロンを開業するのかも、事前にチェックしておきたいポイントです。それぞれどのように違うのか説明します。
美容脱毛とは?
美容脱毛とは光を当てて脱毛効果を得るため『フラッシュ脱毛』と呼ばれます。フラッシュ脱毛で施術する美容脱毛サロンを開業するのには、国家資格や特別な免許などは必要ありません。
フラッシュ脱毛は威力が弱く、肌が弱い方でも安心して脱毛できるので、より多くの方に提供可能なサービスが実現できます。脱毛効果は医療脱毛に比べると低いため、より低価格での提供ができるものの、通ってもらう期間が延びてしまいます。お客様に飽きずに通ってもらえるよう、別のサービスと併用することで、客単価を維持しながら顧客を獲得していけるでしょう。
メリット
- 医療脱毛に比べて痛くない
- 医療脱毛に比べて低価格で脱毛ができる
- 濃い毛の効果を実感しやすい
- 低刺激で脱毛効果が期待できる
デメリット
- 医療脱毛よりも施術回数を重ねなくてはいけない
- 顔まわりなど、産毛の脱毛で効果を実感するには相当回数の照射が必要
医療脱毛とは?
対して医療脱毛とは、レーザーを当てて脱毛効果を得る脱毛方法です。
美容脱毛に比べて効率よく脱毛が可能です。痛みが強いものの、より脱毛効果が高くなるため、お客様満足度は高いでしょう。
しかし、医療脱毛は光が強い分、人によっては肌に炎症を起こしたり、火傷を負ったりする可能性があります。そのため医療脱毛を提供できるのは、適切な処置が可能な『医師のいる医療機関のみ』と定められているので注意しましょう。
メリット
- 照射の際に痛みを伴う
- 医師によるアフターケアに期待ができる
- 産毛の脱毛で効果を実感しやすい
- 少ない回数で脱毛効果が期待できる
デメリット
- 人によっては炎症を起こす可能性がある
- 提供条件が美容脱毛に比べて厳しい
脱毛業界は競争こそ激しいが、個人でも戦える要素がそろっている
脱毛サロンは大手、中小企業、個人経営と競争率が高い反面、個人でも十分戦える業種です。設備を用意しなくてならないため初期費用はかかるものの、特別な資格がなくても開業できるので、独立を考えている方は視野に入れてみてはいかがでしょうか。廃業率は高いため、開業するのであればなるべくランニングコストを抑えて、リスク回避をお忘れなくしておくのがおすすめです。
「個人店では経営していけるか不安」という方は、フランチャイズの活用も考えてみてください。サポート内容はフランチャイズ本部によって異なりますが、経営などに関してのサポートを受けられるので、経営初心者でも安心して開業できますよ。
よくある質問
開業費用はいくら必要?
脱毛サロンの開業費用は、経営スタイルや規模によって異なりますが、一般的には200万円から500万円程度が目安とされています。たとえば、自宅の一室を活用する場合は、物件費用を抑えられるため、最低限の設備投資や備品購入費のみでスタートできます。この場合、初期費用は200万円程度に抑えることが可能です。一方で、賃貸物件を使用して店舗型のサロンを開業する場合は、物件の初期費用(敷金や礼金、内装費など)を含めると、合計で300万円から500万円以上になるケースが多いです。
また、脱毛機の導入方法も費用に大きく影響します。開業当初は、購入よりもレンタルを選ぶことで初期投資を軽減できます。レンタル費用は月額約40万円程度が一般的で、契約期間に縛りがないため、運営リスクを抑えられるのが魅力です。一方、購入の場合は高性能な脱毛機であれば100万円から200万円以上の投資が必要ですが、長期的な運営を見込む場合にはコストパフォーマンスが高い選択肢となります。
広告費についても考慮する必要があります。SNSやGoogleマイビジネスなど、無料で活用できるツールを駆使することで費用を抑えつつ、効果的な集客が可能です。初期費用においては、「いかにコストを抑えながら効率よく運営をスタートするか」がポイントになります。
未経験でも始められる?
脱毛サロンの開業は、美容業界未経験の方でも十分に挑戦可能なビジネスです。特に、光脱毛機を使用する美容脱毛の場合、医療資格を必要としないため、特別な技術や知識がなくても施術が行えます。また、脱毛機メーカーやフランチャイズ本部が提供する研修プログラムに参加することで、短期間で必要なスキルや知識を身につけることができます。これにより、未経験の方でも安心して運営をスタートすることが可能です。
さらに、脱毛サロンでは、技術以上に顧客対応や接客スキルが重視されます。脱毛は複数回にわたる施術が必要なため、リピーターを増やすための信頼関係の構築が成功のカギを握ります。接客経験がある方であれば、そのスキルを活かして運営することが可能です。
また、初期の不安を軽減する方法として、個人開業ではなくフランチャイズに加盟する選択肢もあります。フランチャイズでは、運営ノウハウや集客の仕組みが整っているため、未経験者にとって強力なサポート体制が提供されます。未経験からでもスタートできる環境が整っていることが、脱毛サロンの魅力の一つです。
フランチャイズはどれだけ儲かる?
フランチャイズ型の脱毛サロンは、独自開業と比べて集客力やブランド力を活用できるため、収益性が高い傾向にあります。実際の収益は、立地や客単価、集客数によって異なりますが、月間売上が100万円から300万円を超える例も少なくありません。フランチャイズの場合、開業初期から安定した集客が期待できるため、早期に投資を回収できるのが大きなメリットです。
フランチャイズの収益性を高めるポイントは、ブランド力を活用しつつ、地域に合った価格設定やサービス内容を工夫することです。また、経費の中で最も大きな比重を占めるのはロイヤリティですが、これは売上の一定割合(10%~30%が一般的)で発生します。このため、ロイヤリティを差し引いた純利益をしっかり計算し、自分の経営スタイルに合ったフランチャイズ本部を選ぶことが重要です。
初期費用としては、加盟金や研修費、脱毛機の導入費用を含めて、200万円から500万円程度が相場となっています。これに加えて、店舗の賃料や広告費が発生するため、十分な資金計画を立てる必要があります。フランチャイズに加盟することで、個人では得られないノウハウやサポートを受けられるため、未経験者や経営に不安のある方には特におすすめの選択肢となります。
<文/ちはる>