美容意識の高まりから、昨今では脱毛サロンの開業が注目されています。
しかし、個人で脱毛サロンを開業する人が増えているのはどうしてなのでしょうか。
本記事では、個人・フランチャイズで脱毛サロンを開業する人が増えている理由や、開業のメリット、開業のために必要な準備について解説します。
個人での開業を考えている人は、本記事を参考にして脱毛サロンの経営も検討してみてください。
脱毛サロンの開業が注目される理由とは?

脱毛サロンの開業が注目を集める背景には、「市場の急成長」と「個人経営でも成功しやすいビジネスモデル」という2つの大きな理由があります。
それぞれの詳細をチェックしていきましょう。
美容業界で急成長する脱毛市場の現状
近年、男女を問わない美意識の高まりを背景にムダ毛のケアが習慣化したことにより、脱毛サロンの市場規模は拡大を続けています。
これは痛みの少ない光脱毛などの技術革新により、施術のハードルが下がったことも関係しています。
かつては20代女性が中心だった顧客層も、今では学生からシニア、男性まで多様化しています。安定した需要と将来性から、脱毛サロンの開業は魅力的なビジネスとして注目されているのです。
個人経営で成功するチャンス
大手サロンがひしめく脱毛業界ですが、個人経営でも成功のチャンスは十分にあります。
脱毛サロンは飲食店などと比べて必要なスペースや設備が少なく、自宅の一室でも開業できるため、初期費用を大幅に抑えられるのが大きな強みです。
他にも、個人サロンの強みを活かして特定の客層に特化した独自メニュー(例:深夜営業、親子プラン)を提供するなど、大手企業ではできない戦略も打ち出しやすいので、個人経営でも通用すると言われています。
脱毛サロンで独立・開業する3つのメリット

脱毛サロンでの独立・開業には、費用面のリスクを抑えつつ大きなリターンを狙えるなど、初心者でも挑戦しやすい環境が整っています。
ここでは、個人で脱毛サロンを開業する3つのメリットを解説します。
開業費や運営費を抑えやすい
前述の通り、脱毛サロンの開業に大規模な設備は不要であり、自宅やマンションの一室でも開業できるので開業費用を抑えられます。
場合によっては200万円ほどの初期費用でもスタートできるので、廃業のリスクもある個人の開業でも始めやすいのです。
脱毛器も購入ではなくレンタルすれば、さらに初期費用を削ることもできるでしょう。リース契約は途中解約ができない可能性があるので注意が必要です。
客単価が高くリターンが大きい
脱毛サロンは、客単価が高く大きなリターンを期待できるビジネスです。
大手サロンの参入による価格競争はありますが、それでも全身脱毛の施術単価は1回あたり数万円と高水準です。特に需要が拡大しているメンズ脱毛はさらに高単価で、1回の施術で5万円以上になることも珍しくありません。
少ない集客でも安定した収益を確保しやすいため、利益率の高い事業モデルと言えます。
他業種と比べてリスクが小さい
脱毛サロンは、他業種と比較して事業リスクが小さい点もメリットです。
脱毛サロンは前述の通り、開業・運営費用を抑えられ、かつ客単価が高いため、万が一経営が厳しくなっても損失を最小限に食い止められます。
少ない顧客数でも売上を確保しやすいため、集客に不安がある経営初心者でも挑戦しやすいビジネスなのです。
脱毛サロンの開業・運営にかかる費用

脱毛サロンの開業・運営コストは、個人店とフランチャイズで異なります。
ここでは、それぞれで必要となる費用の目安と内訳を解説します。
個人店の場合
個人で開業する場合は、物件契約や脱毛器導入を含め、約200万円の初期費用でスタートできます。月々の運営費(ランニングコスト)の目安は約25万円です。
自宅開業すれば家賃の節約ができるほか、開業資金が潤沢であれば脱毛器を購入してしまえば、ランニングコストをさらに削減できるでしょう。
フランチャイズの場合
フランチャイズに加盟する場合は、個人店と同様の費用に加え、本部への支払いが発生します。
具体的には、加盟時に支払う加盟金や、毎月の売上に応じて支払うロイヤリティ(売上の数%が一般的)などです。
これらの費用は負担になりますが、本部のブランド力を活かした集客や、経営ノウハウの提供といった手厚いサポートを受けられるメリットがあるので、経営に不安がある初心者にとってフランチャイズは心強い選択肢となるでしょう。
【8STEP】脱毛サロンの具体的な開業準備と流れ

脱毛サロンの開業は、計画的に進めていきましょう。
ここではコンセプト設計から集客開始までの流れを、8つのステップで解説します。
STEP1.資金計画を立てる
まずは「誰に」「どのような価値を提供するか」など、サロンのコンセプトを明確にしましょう。
ターゲット顧客(年齢、性別、ライフスタイルなど)を定め、その層に響くサービス内容、価格設定、サロンの雰囲気などを具体化します。
STEP2.資金計画と資金調達
続いて、先ほど策定したコンセプトに基づき、必要な開業資金と3ヶ月~半年分の運転資金を詳細に算出します。
自己資金で不足する場合は、日本政策金融公庫の創業融資や制度融資、補助金・助成金の活用を検討し、資金調達を進めましょう。
STEP3.開業形態の決定(個人/フランチャイズ)
資金が用意できたら、自分の裁量で自由に経営したいか、本部のサポートを受けて安定的に経営したいかによって個人開業かフランチャイズ加盟かを決定します。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、自分の経験や目標に合った形態を選びましょう。
STEP4.物件の選定と契約
形態を決めたら、コンセプトとターゲット顧客に合わせてサロンの立地を決め物件を探します。
自宅サロン以外の場合は「駅からの距離」「周辺環境」「視認性」などを考慮して慎重に選びます。物件が決まったら、賃貸借契約を結びましょう。
STEP5.内装工事と備品の準備
物件が決まったら内装工事をおこない、インテリアや備品を整えます。
「施術用ベッド」「カウンセリング用の机や椅子」「タオル・ガウン」などの消耗品まで、必要なものをリストアップして漏れなく準備しましょう。
STEP6.脱毛器の選定
インテリアや備品の収集と並行して、脱毛器の選定をおこないます。
脱毛器はサービスの品質を左右する最も重要な設備です。「脱毛方式」「施術効率」「ランニングコスト」「サポート体制※レンタルの場合」などを複数のメーカーで比較検討し、自分のサロンに最適な一台を選びましょう。
STEP7.公的な届出(開業届など)
個人事業主として事業を開始する場合、管轄の税務署に「開業届」を提出する必要があります。
必要に応じて「青色申告承認申請書」なども提出します。
STEP8.集客活動の開始
届け出まで完了すれば、いよいよオープンに向けて集客活動を開始します。
WebサイトやSNSアカウントの開設、予約サイト(ホットペッパービューティーなど)への掲載、チラシのポスティング、プレオープンイベントの企画など、ターゲット顧客に合わせた方法でサロンの認知度を高めていきましょう。
脱毛サロン開業で失敗しないための3つのポイント
脱毛サロンの開業では、計画の甘さが失敗につながることも少なくありません。
ここでは、着実に経営を軌道に乗せるために重要な3つのポイントを解説します。
ポイント1.余裕を持った資金計画を立てる
失敗の原因として最も多いのが資金繰りの悪化です。
脱毛サロンを開業する際は開業資金だけでなく、売上が安定するまでの半年分の運転資金(家賃、光熱費、広告費など)と自身の生活費は、必ず確保しておきましょう。
ギリギリの計画ではなく、余裕を持った資金計画が成功の土台となります。
ポイント2.大手にはない独自の強みを打ち出す
価格競争に巻き込まれると、資本力のある大手に勝つことは困難です。個人サロンは「価格」ではなく「価値」で勝負する必要があります。
「メンズ専門」「都度払い専門」「特定の部位に特化」など、大手にはない独自の強みを明確に打ち出して差別化を図りましょう。
ポイント3.集客方法を具体的に計画する
「オープンすれば誰か来てくれるだろう」という楽観的な考えは危険です。
SNSでの情報発信、MEO(Googleマップ対策)、地域の情報誌への掲載、ポスティングなど複数の集客チャネルを組み合わせて、継続的に新規顧客を獲得する仕組みを作りましょう。
開業前に知っておきたい、美容脱毛と医療脱毛の違い

脱毛には「美容脱毛」と「医療脱毛」の2種類があり、開業するうえでどちらのサービスを提供するのかを決めなければありません。
施術方法だけでなく必要な資格なども異なるため、その違いを正確に理解しておきましょう。
美容脱毛とは?
美容脱毛は、光(フラッシュ)を用いた脱毛方法です。医療行為ではないため、医師や看護師の資格は不要で、未経験からでも開業しやすいのが特徴です。
光の出力が比較的弱いので、肌への負担が少なく痛みを抑えられる一方、効果を実感するまでには複数回の施術が必要となります。
美容脱毛のメリット・デメリット
医療脱毛とは?
医療脱毛は、クリニックなどの医療機関でのみ提供が許可されているレーザーを用いた脱毛方法です。高出力のレーザーで毛根組織を破壊するため、永久脱毛の効果が期待できます。
効果が高い分、施術には痛みを伴い、肌トラブルのリスクもあります。開業するには医師免許が必要でなので、個人がエステサロンとして始めることはできません。
医療脱毛のメリット・デメリット
脱毛サロンの開業に関するよくある質問

最後に、脱毛サロンの開業に関するよくある質問を紹介します。
開業費用はいくら必要?
経営スタイルや規模によりますが、200万円~500万円が目安です。
自宅サロンであれば物件取得費がかからないため200万円程度に抑えることも可能ですが、テナントを借りる場合は、内装費なども含めて300万円以上かかるケースが多くなります。
脱毛器の導入方法(購入かレンタルか)によっても、初期費用は大きく変動します。
未経験でも始められる?
未経験からでも開業は十分可能です。
美容脱毛の施術に国家資格は必要ないため、脱毛器メーカーやフランチャイズ本部が開催する研修で必要な知識や技術は習得できます。
フランチャイズはどれだけ儲かる?
立地や集客数によって大きく異なりますが、月間売上100万円~300万円を超えるケースも珍しくありません。
本部のブランド力や集客支援を活かせるため、個人開業より早期に収益を安定させやすいのがフランチャイズのメリットです。
ただし、売上からロイヤリティを支払う必要があるため、収益シミュレーションをしっかり確認し、加盟する本部を検討する必要があります。
脱毛業界は競争こそ激しいが、個人でも戦える要素がそろっている

脱毛業界は競争が激しい一方、個人でも十分に成功を狙える市場です。
ただし、廃業リスクを避けるためには、堅実な資金計画とランニングコストの管理が欠かせません。
「個人での経営は不安」と感じる方は、本部のサポートを受けられるフランチャイズも検討してみましょう。アントレなら、独立・開業に役立つ最新情報をいつでも掲載しています。
<文/ちはる>










