ラーメン屋を開業するにはいくつかの方法があります。この記事では、なかでもフランチャイズとのれん分けがどのような違いがあるのかについて解説していきます。「ラーメン屋を始めてみたいけど、どうやって始めたらいいのか分からない」という方は参考にしてみてください。
ラーメン屋を多店舗展開する方法は3パターン
オリジナルのラーメン屋ではなく、すでにあるブランドのラーメン屋を開業するには、フランチャイズ、レギュラーチェーン、のれん分けという開業方法があります。
まずフランチャイズとは、フランチャイズ本部が主体となってシステムを運用していく方式です。細かい仕組みやマニュアルが決められており、そのビジネスモデルに加盟したい人に伝え、店舗を増やしていきます。
次にレギュラーチェーンですが、フランチャイズとの違いは外部から参加者を集めるのではなく、内部でオーナーを選出する方式です。もともとその企業に所属していた社員などが事業主となり、同じようにマニュアル化された経営を行っていく方式です。
最後にのれん分けは、独立です。長年働いてきた従業員に会社の屋号を使う権利を与えて独立させます。レギュラーチェーンと似た方式です。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
ラーメン屋経営における「のれん分け」の意味とメリット
ラーメン屋にとって「のれん分け」は「同じ屋号を使えるということ」です。これは長年勤めてきたお店から信頼されて、屋号を任されているという意味のため、信頼度の高いお店であるという証明になります。社員として長年働いてきた人への信頼を込めて、円満な形での独立といえます。
のれん分けでは屋号だけでなく、技術、伝統、顧客、仕入れ先、経営ノウハウなど、多くの財産を引き継ぐことができます。
独立する社員にとっては「安定した地位を保ちながら中長期的に育成してもらえる」というメリットがあり、フランチャイズ本部にとっては信頼できる社員に看板を貸すことで、ブランド価値を下げずに店舗を多く展開できるというメリットがあります。
特にラーメン屋はファンが多い飲食店のため「のれん分けされた店」というブランディングは非常に効果があるといえるでしょう。
ラーメン屋経営における「フランチャイズ」の意味とメリット
ラーメン屋経営におけるフランチャイズの意味は、同じブランドで開業したい個人/法人がフランチャイズ本部と加盟契約を結び、店舗を経営するビジネスシステムのことを指します。
のれん分けとは違い、外部からそのブランドに興味を持った人を集め、ノウハウを共有し店舗を広げていきます。
フランチャイズ本部が持っている屋号、商品の知名度だけでなく、ビジネスや経営ノウハウを共有してもらい、今までに経験がなくても経営できるというメリットがあります。
フランチャイズ本部にとっては開業資金を抑えて店舗を展開していくことができるというメリットがあります。
加盟者にとっては業界未経験でも加盟できること、修行・研修を含めた開業までの準備期間が短く、短期間でラーメン店オーナーになれるというところが大きなメリットとなります。
【参考】ラーメン屋経営における「レギュラーチェーン」の意味とメリット
レギュラーチェーンはいわゆる直営店です。
大元の企業は事業主であり、スタッフや店舗すべてがその企業の持ち物です。店舗を増やし、そこに従業員を店長として配置するというイメージです。そのため、企業の経営目標に合わせた店舗開発やメニュー開発、マーケティング調査に使われる場合もあります。
ブランド価値を統一することで、消費者も安心して店舗を利用することができるため、ブランドの信頼度を成長させながら店舗数を増やしていくことができます。
ラーメン屋のフランチャイズとのれん分けの共通点
ここからはラーメン屋のフランチャイズとのれん分けの共通点について紹介していきます。
コストカットが可能
フランチャイズものれん分けも、フランチャイズ本部が持っている独自の仕入れルートを活用することができます。スケールメリットを得られるため、運転資金などのコストカットが可能です。
また確立されたマニュアルやノウハウがあるため、自力で開業準備をするよりも、コストも労力もカットすることができます。
ブランド力が生かせる
屋号を使うことができるフランチャイズ、のれん分けはブランド力を利用して集客を見込むことができます。すでにある世間的認知や固定客が来店してくれることによって、新規開業よりも最初から集客が見込めます。ロイヤリティなどの支払いは発生しますが、自分で開業するよりも成功率が高いといえるでしょう。その分、ブランドの信頼を損ねることのないように経営していくことが大切になります。
開店当初からスムーズなオペレーションを確立できる
開店当初は、営業にあたってスムーズに業務が行えないことが多いでしょう。しかし、フランチャイズやのれん分けの場合はオペレーションや経営に関して本部のノウハウ、マニュアルを使うことができるため、スムーズにオペレーションを実施できます。
経営に関する相談ができる
フランチャイズやのれん分けの場合、経営について悩みがあるとき、フランチャイズ本部や他の加盟店に相談することができます。個人経営では、まず「相談できる相手を探す」ところから始まるため、相談できる相手がいるのはメリットといえます。
ブランドイメージの影響を受ける
フランチャイズ、のれん分けはブランド力を活用できることが強みですが、良くも悪くもブランドの影響を受けます。例えば、遠くの地域でフランチャイズ開業されていた一店舗で不祥事が起きてしまったら、その影響は全国のフランチャイズ店舗に派生し、客足が遠のくなどの被害を被ることがあります。
ラーメン屋のフランチャイズとのれん分けの相違点
フランチャイズとのれん分けの共通点を見てきましたが、相違点についても見ていきましょう。
本部に支払うお金
フランチャイズは外部の経営者が自己資金で開業します。また、フランチャイズの場合は、商標・商品・ノウハウなどを利用する見返りに「加盟金」や「ロイヤリティ」を支払います。
のれん分けはもともと働いていた従業員が開業するため、月々のロイヤルティや加盟金が少なかったり、ない場合もあります。初期費用として研修費や開業コンサル費が必要になる場合もあったり、システム使用料など違う名目で請求されることもあります。契約前に合計いくら支払うことになるのか入念にシミュレーションしておきましょう。
修業期間
のれん分けの場合、まずその店で働いていており、そこで認められた人が独立開業できます。そのため、数年は働いて技術を身に付ける必要があり、開業までの期間は長くなります。
フランチャイズの場合はブランドを使うにあたってノウハウを取得するための研修はありますが、数週間〜3ヵ月ほどであることが多く、のれん分けの場合に比べて短めの傾向にあります。
経営の自由度
経営の自由度は、一般的にのれん分けの方が高いといえます。先述した通り、のれん分けはしっかりと修行をして、本部から認められた人が開業しています。そのため自由度が高くてもブランドのイメージを下げるようなことはしないだろうと考えられるためです。もちろん何をしてもいいというわけではありません。あくまで元のブランドを損なわない自由度となります。
一方、フランチャイズは未経験の人がノウハウを使って経営していくため、しっかりとブランドのイメージを保つために自由度は低いとされています。
最近では、自由度の高いフランチャイズも出てきており、屋号も変えて良いとされる「ステルスフランチャイズ」というものも存在します。自由度に関しては、フランチャイズ本部によっても大きく異なりますので、フランチャイズ加盟を検討する際は必ず複数の本部から話を聞くようにしましょう。
関係性
フランチャイズは外部の人が加盟しますが、のれん分けは元々従業員だった人が独立しています。そのため、のれん分けの場合は師弟関係が存在し、独立してもその関係性が続くことが多いです。
その点フランチャイズは対等なビジネスパートナーとなります。「雇われ店長」のようにフランチャイズ本部に頼りきりになる加盟店もありますが、自主性や経営に対する信念をもつことが必要です。
なお、法律上はどちらも同じ「経営者」となり、本部とは「経営者同士」という対等な関係性になります。それぞれ自店舗に関する経営責任が生じることを忘れてはいけません。
ラーメン屋を開業するならFCとのれん分けそれぞれの特徴を理解し選択を
フランチャイズとのれん分けの違いについて説明してきました。どんなお店を経営していきたいのか、どのようなスタイルで経営していきたいのかによって開業方法は異なってきます。特にのれん分けは修業期間もあるため、しっかりと考えておく必要があります。フランチャイズの場合もどこに加盟するかによってスタイルが異なってくるため、複数の説明会に行って比較するなど、十分に検討する必要があります。自分の経営したい店はどういうものなのか、ビジョンをしっかりと持っていきましょう。
<文/ちはる>