・不動産業での独立・開業に向いている人
・不動産業で起業した時の年収
・不動産業で独立・開業したい場合、どのような方法や準備が必要か
・独立・開業する前に知っておくべきことや注意点
・仲介業者と買取転売業者の違い
・独立・開業に必要な資格
成約時に大きな収益を得られる不動産業は、独立・開業希望者の間で人気のある業態の1つでが、専門的な知識が必要なのも事実です。
「不動産価格指数(令和5年12月・令和5年 第4四半期分)」によると、数住宅総合の季節調整値は、前月比で0.9%上昇、商業用不動産総合も1.9%上昇しており、不動産価格の上昇から、市場も注目を浴びています。
国土交通省の「令和4年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」によると、令和5年3月末時点で、宅地建物取引業者数は129,604 業者と、対前年度比で1,007業者(0.8%)と増加しており、9年連続で増加傾向にあるとのことです。
本記事では、不動産業で独立・開業を検討している方が知っておくべき起業のポイントをご紹介してきます。
不動産業のビジネスモデルとは
「不動産業を個人で開業する」とは、個人事業主として宅地建物取引業の免許を取得し、不動産の売買、賃貸、管理などの業務を行うことを指しますが、この記事では、個人事業主として開業しやすい「仲介業」に関してご紹介します。
仲介業とは
不動産売買といわれる取り引きの多くは“仲介”の仕事です。
仲介業者は不動産を売却したい人と購入したい人、または不動産を貸したい人と借りたい人の仲介人として、契約に至るまでの活動や手続きを一任してもらい、業務を行います。
お客さまと、直接、売買契約・賃貸契約をすることはなく、不動産の売買契約や賃貸契約が成立して初めて“仲介手数料”という報酬を得られます。
成約するまでは、どれほど時間や労力がかかっても収益を出せないというデメリットがありますが、手数料の金額設定は自由です(※宅地建物取引業法により仲介手数料の上限額は決められています)
お客さまに応じて手数料の金額を変えることが可能であり、金額の大きな取り引きに関与するほど、収益もアップします。
【参考情報】仲介手数料の計算方法
仲介業者が受け取れる“賃貸の仲介手数料の上限”は、宅建業法第46条に基づき国土交通大臣が定めた“家賃1ヵ月分+消費税”です。
家賃1ヵ月分を超えなければ手数料はいくらでも良いため、仲介手数料は以下のように設定できます。なお、すべて消費税込みとします。
【賃貸の仲介手数料の設定】
・貸し主と借り主に、0.5ヵ月分ずつ請求する
・貸し主に1ヵ月分請求し、借り主は無料
・貸し主は無料で、借り主に1ヵ月分請求する
賃貸契約1件あたりの仲介手数料は、“家賃1ヵ月分+消費税”とそこまで大きな額にはならないため、売り上げを上げるには、ある程度の契約件数が必要があります。
売買仲介業の場合も、仲介手数料の上限は宅建業法第46条により、国土交通省から以下のように告示されています。
【売買の仲介手数料の設定】
物件の売買価格
仲介手数料の上限
売買価格のうち200万円以下の部分
売買価格×5.5%
売買価格のうち200万円超〜400万円以下の部分
売買価格×4.4%
売買価格のうち400万円超の部分
売買価格×3.3%
例えば、1,000万円の取り引きでは200万円分は5.5%、もう200万円分は4.4%、残りの600万円分は3.3%で計算するということです。
ただし、計算が複雑になってしまうことから、400万円以上の取り引きは、不動産業界でよく使われる簡易式である“売買金額✕3%+6万円+消費税”で計算されることが多いです。
1,000万円の場合で、仲介手数料を計算してみると”36万円+税”となります。
1つの物件で、売り主と買い主双方の仲介ができて契約が成立すれば、それぞれから仲介手数料を受け取ることができます。これを両手取引といいます。
もし、売り主に仲介を依頼されたものの、買い主が別の不動産業者に仲介を依頼した場合は、直接依頼を受けている売り主の人からしか仲介手数料を受け取ることはできません。これを片手取引といいます。
賃貸仲介業と比べると売り上げは大きくなりそうですが、成約に至らなかった場合収入が全くなくなってしまうため、賃貸仲介業よりもハードルが高いといえるでしょう。
参考:「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(国土交通省)
不動産業は儲かる?年収はどれくらい?
不動産業の平均年収は、資本金の金額によって異なります。
「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、資本金が1,000万円~1億円未満の不動産業者は売上高が1,741万1,127円となり、1人で不動産業をしている人の年収で考えてみると、1,000万円以上の年収になると予測できます。
公益財団法人不動産流通推進センターが公表している「2023 不動産業統計集」によると、令和3年度の不動産業の売上高は、資本金1,000万円未満の区分で770万6,570円となり、これを1人あたり年収に換算すると、平均400万円ほどと試算できます。
ちなみに、不動産業の会社に勤めている場合の平均年収は約457万円でした(※国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」不動産業・物品賃貸業の平均年収より)
独立・開業してもすぐには儲からないというケースは少なくありません。
しかし、事業がうまく動き出すと、年収アップはおおいに見込めるでしょう。
「2023 不動産業統計集」(公益財団法人不動産流通推進センター)
(P.38より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
参考:「不動産仲介は未経験でもフランチャイズで始められる?メリット、かかる費用ついて紹介」
不動産業での独立・開業に向いている人
不動産業での独立・開業する人には、向き・不向きがあります。
どのような人が不動産業での独立・開業に向いているのでしょうか。向いている人には3つの特徴があります。
営業力の高い人
不動産業での独立・開業に向いている人の特徴は“営業力が高い人”です。
実際に、不動産会社創業者の多くが、かつては優秀な不動産営業職だったというケースが少なくありません。
不動産業は、ほかの業態に比べると、営業力が重要になります。
そのため、高い営業力でお客さまを獲得できれば、1人でも年間の目標売り上げを達成することが可能です。
開業資金・運転資金を抑えたい人
独立・開業するにあたり“開業や運用に資金をあまりかけたくない人”も、不動産業での独立・開業に向いています。
不動産業は、別の業種に比べて比較的、開業資金がかからないからです。
開業から3ヵ月ほどの営業資金を考慮して見積もったとしても、500万円ほどの開業資金があれば十分に独立・開業が可能でしょう。
もちろん、やりようによってはそれ以上に資金を抑えることもできます。
不動産業での独立・開業に必要な“開業資金”の主な内訳は、次のとおりです。
法人登記:約25万円
事務所費用:敷金と礼金
宅建協会への加入:約150万円(都道府県によって異なる)
宅地建物取引業の免許取得のための費用:登録免許税9万円(国土交通免許申請の場合)など
開業資金の多くを占めるのは『事務所の費用』です。事務所費用を抑えてマンションの一室を借りるという方法もあります。
マンションのワンルームを賃貸する場合には、電話やパソコンなど最低限の設備が必要になりますが、顧客との打ち合わせはカフェでも可能です。立派な内装にする必要はないので、事務所を構えるのに費用をかけられなくても、問題はありません。
東京都の場合:
「開業までの流れと費用」(公益社団法人 東京都宅地建物取引業協会)
独立・開業のリスクを抑えたい人
“独立・開業するのに、金銭的なリスクをなるべく抱えたくない人”にとっても不動産業は独立・開業しやすい業態の1つです。
その理由は、不動産会社はほかの業種に比べて人件費があまりかからないからです。
不動産会社の多くが中小企業であり、ほとんどの場合、”固定給が低く、歩合は高い”給与形態を設定しています。
ほかの業種では馴染みのない制度ではありますが、不動産業界には”フルコミッション制(完全歩合)”という制度があります。
フルコミッション制とは、固定給がない代わりに売り上げた分に対して歩合で給料が支払われる制度です。
社員としては“売り上げが立てられないと給料がゼロになる”というリスクがあるものの、営業力に自信があれば、どんどん稼げますし、会社としては無駄な人件費をカットできる制度です。
“固定給の支払いがない分、経営難になるリスクが低い”という特徴があるので、独立・開業するのにリスクを極限まで減らしたい人におすすめの業種といえるでしょう。
また、不動産のフランチャイズであれば、フランチャイズ本部がそれまで培った成功ノウハウの共有、運営サポートがあるため、自力での独立より独立・開業の失敗リスクは抑えられるでしょう。
独立開業・フランチャイズ・代理店ならアントレ<毎週金曜更新> 不動産・住宅に関する案件をチェックする
参考:「嘘をつけない性格は独立向き? 不動産会社社長・星野厳起さんに聞く事業の本質を捉える力」
不動産業の独立・開業で成功した先輩オーナーの事例を紹介
実際に、不動産業での独立・開業で成功した先輩オーナーの事例を見てみましょう。
投資営業から、未経験の不動産業に乗り出した足立さん
新卒から8年間投資営業に従事していた足立さんは、投資の知識はあったものの、不動産知識はゼロの状態からスタートしました。
本部の充実したサポート体制とネームバリューに惹かれ、SVのサポートを受けながら、当初は仲間と二人三脚で事業を展開していましたが、成果が出ず悩んでいたところ、SVの的確なアドバイスによって業績が急上昇したとのことです。
不動産業での会社員時代を経て、リサイクル事業と空き家・中古住宅リユース事業を開始した江泉さん
ずっと抱いていた想いを叶えるため、リサイクル業で独立した江泉さんは、空き家事業のフランチャイズ本部と出合い、不動産業界経験を活かせると考え加盟を決断しました。
大手が参入しにくい市場での展開と、無理のない本部姿勢に共感したことも理由の一つだそうです。
積極的な営業活動は行わず、本業のお客様に「こんな事業もしていますよ」と伝える程度でも、本業経由で紹介した物件を1軒130万円で売却し、手間なく高額報酬を獲得することができました。
インテリアデザインへの道を模索し、不動産エージェントで副業デビューした廣瀬さん
インテリアデザイナーへの道を模索していた廣瀬さんは、副業から始められる「リモートワーク可能な不動産エージェント」の仕事に興味を持ち、加盟を決断しました。
SNSで知人を中心とした集客で依頼が増え続け、現在は週1時間ほどの業務で毎月契約を獲得しています。
お客様のベストな物件探しをサポートし、マッチング成功時には至福の瞬間を味わっているそうです。
不動産業で成功している先輩事例をもっと読みたい方はコチラ
https://entrenet.jp/senpai/search/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3/
開業する前に肝に銘じておくべきこと3点
不動産業で独立・開業する際に気をつけるべきことはあるのでしょうか。独立・開業するにあたり、気をつけたい3つのポイントを紹介します。
会社の信用力と自分の営業力を混同しない
今まで働いていた会社では顧客がたくさんいたからといって、独立・開業してからも同じようにお客さまが自分と取り引きをしてくれるとは限りません。
なぜなら、お客さまは、個人の営業力ではなく、会社の信用力で取り引きをするケースが多いからです。
「会社員だったころと同じようにお客さまは自分についてきてくれる!」と信じて独立・開業してしまうと、うまくいかないことも多々あります。
“会社の信用力=自分の営業力”ではないことをきちんと理解したうえで独立・開業するようにしましょう。
独立・開業後は営業以外の業務も行うことを覚悟しておく
独立・開業してからは、会社勤めのときのように営業活動にだけ集中していれば良いというわけではありません。
書類作りなどの雑務、経理、経営など、会社を運用するために必要なことはすべて自分1人でやる覚悟が必要です。
営業だけに時間を費やしてしまうと、実務が回らなくなる恐れがあるので、仕事の配分には気をつけましょう。
また、費用はかかるもののバックオフィス業務を外注することなども検討すると良いでしょう。
営業することと、営業職を育てることは違う
従業員を雇っている場合、“自分が営業をしている=周りが育つ”ではないことを理解しておきましょう。
自分1人が業績を上げられていても、周りの従業員の営業力が育たなくては会社として運用していくのは厳しいでしょう。
営業職を育てたいのであれば、自分は最前線から退き、教育に徹底した立場になることも考慮しておきましょう。
不動産業で独立する際の事前準備
不動産業で独立する際の事前準備として、以下の項目は押さえておきましょう。
集客方法を考えておく
自社のサービスを知ってもらい、興味を持ってもらえなければ、売上アップどころか見込み客を集めることもできません。
次のような集客方法を活用し、認知拡大・見込み客獲得を目指しましょう。
これらの集客方法を組み合わせて行うことで、より多くの顧客に、効果的にアプローチできるでしょう。
たとえばポータルサイトへの掲載で幅広い層に自社を知ってもらい、来店した見込み客にチラシやパンフレットを配布し直接アプローチするような方法が考えられます。
セミナーやイベントなどを開き、顧客との信頼関係を構築するのもおすすめです。
信頼関係を築くことで、口コミや紹介でさらなる集客につなげることもできます。
住宅ローン売買契約書などの知識を得ておく
住宅ローン・投資用不動産ローン
仕組み・種類:金利の種類、返済方法、借りられる金額、必要な書類、審査基準などを理解する
顧客への提案:顧客のニーズに合った商品を提案し、複数の金融機関の商品を比較検討する
税制優遇:住宅ローン控除、投資用不動産の減価償却などを理解する
最新情報の把握:金利動向、法改正、商品ラインナップなどを常に把握する
売買契約書、重要事項説明書
売買契約書:売主と買主の合意を証明する書類
重要事項説明書:売主・貸主が買主・借主へ説明する書類
知識内容:各書類の構成、記載事項、重要事項の説明方法など
宅建士資格:重要事項の説明や契約書への記名・押印には宅建士資格が必要
従業員の確保:宅建士資格を持つ従業員を雇用するなどして必要な人数を確保
これらの知識を身につけることで、顧客に最適な提案を行い、トラブルを未然に防ぎ、顧客満足度を高めることができます。
新規接客・追客方法について考える
新規接客とは、初めて来店した顧客への接客のことです。
追客とは、一度、来店した顧客に再度アプローチして、成約につなげるための活動を指します。
新規接客では顧客のニーズを把握し、それに応える提案をすることが重要でであり、顧客の状況や希望を丁寧にヒアリングし、これらに合う物件を提案する必要があります。
追客では、顧客の反応や状況に応じて、適切なアプローチを行うことが重要です。
たとえばまだ検討中の場合は、定期的に物件や最新の市場動向などの情報を提供するといいでしょう。
購入や賃貸の決断を先延ばししている場合は、顧客の不安や疑問を解消してあげることが大切です。
店舗運営・売上管理について考えておく
不動産仲介業に限らず、独立・開業すれば自分が会社の代表になります。
営業活動だけでなく、事務作業や人材育成などもすべて自分でしなければなりません。
店舗スタッフの管理や物件情報の収集・管理、顧客の対応など、店舗の運営全般に関するスキルを身につけましょう。
売り上げや経費の管理、利益率の分析など、売上アップのためには売上管理も必要です。
具体的には、それぞれ次のようなスキルが必要です。
【店舗運営に関するスキル】
・スタッフの管理
・物件情報の収集・管理
・顧客の対応
・営業
・コミュニケーション力 など
【売上管理に関するスキル】
・会計知識
・データ分析
・経営戦略 など
不動産業の独立・開業に必要な準備
独立・開業するのに必要な準備と、不動産業ならではの内容についてもあわせて紹介します。
1. 業態を決める
不動産業で独立・開業するといっても“売買仲介業”“買取業” “賃貸仲介業” “賃貸管理業”“不動産デベロッパー不動産開発”など色々な業務形態があります。
業態によって必要な知識も異なってくるため、早めのタイミングで決めておくのがおすすめです。
2. 独立・開業資金を見積もる
開業にどれほどの費用が必要そうなのか、きちんと見積もりを出して準備しておきましょう。
また、単月黒字を達成するまでの“運転資金”も確保しておくようにしましょう。
開業時にギリギリの資金で始めようとすると、開業後に運転資金が足りなくなった際に融資を受けることが難しくなってしまいます。
開業時の融資は事業計画に基づき金融機関は審査を行いますが、開業後は経営状況で融資の審査を受けることになるため、経営難の状態では融資を受けるハードルは高くなるのです。
開業時に多めの資金を用意しておくと安心して黒字化を目指せるでしょう。
また予定より早く黒字化した際には早めに返済も可能です。
開業資金の融資等は、中小企業や新たに事業を始める人に向けた融資を行っている日本政策金融公庫という金融機関があり、そこからサポートを受けることができます。
3. 事務所を用意する
宅地建物取引免許の審査を通過するために、不動産会社の事務所を構えるにはいくつかの条件を満たした物件である必要があります。
1)事務所専用の出入り口がある
2)他の会社や居住スペースと壁で仕切られている
以上の条件を満たしている部屋はあまり多くはないので、限られた選択肢の中から物件を選ぶことになると心得ておきましょう。
また、事務所選びで一番重要なのは場所です。
1)路面店なのか空中店なのか
2)最寄り駅
3)沿線
上記3点を確認しながら、ターゲットにしたい客層と照らし合わせて決めていきましょう。
4. 宅地建物取引業免許を取得する
1つの事務所で業務をする従業員5人につき1人は専任の宅地建物取引士が必要です。
免許の取得には、以下の3点が必要になります。
です。
必要書類を用意し窓口へ申請しますが、行政書士に依頼することも可能です。
5. 開業もしくは登記する
宅地建物取引業免許の交付がされたら、開業です。
開業して事業をスムーズに始められるように、あらかじめ事業計画を立てておきましょう。
個人事業主として開業するか、法人として開業するかによって手続きは異なります。
開業してから1ヵ月以内に以下の手続きを済ませましょう。
その他
開業してすぐに業務が開始できるよう、必要な備品はきちんとそろえておきましょう。
最低限必要な備品は以下のとおりです。
最初のうちはディスカウントショップやリユース品・リースなどを活用することで、開業資金を抑えることもできます。
まとめ
不動産業はほかの業種に比べて開業資金が安く抑えられたり、リスクが軽減できたりするので、不動産業界での就業経験がある人にとっては比較的独立・開業しやすい業種です。
しかし、独立・開業するのは比較的簡単でも、業績を伸ばせるかどうかは別の問題です。
不動産業で事業を拡大するためには、営業スキルをアップするための教育や、煩雑な業務を効率化する力なども必要です。
不動産業で独立・開業したての場合、不安も大きいですが、常に会社の状況や市場環境の見極めをし、早めの対処をすることでリスクは減らすことは可能です。
一緒に働くメンバーを信じて同じ方向を見ることで、良い結果がついてくるでしょう。
また、独立・開業するのが不安な場合は、フランチャイズで独立・開業してみるのもおすすめです。
フランチャイズ本部のブランド力の活用や、豊富なノウハウの提供、売り上げアップや運営方法のサポートなどが見込めるため、検討してみるとよいでしょう。
アントレではフランチャイズ加盟した方の事例を掲載しています。
また、会員登録をすると自分に合った働き方がわかる無料診断などもあるので是非活用してみてください。
よくある質問
Q:宅地建物取引士の資格は必要?
A:賃貸業は不要、仲介業は必要
不動産業者所有の物件を賃貸物件として貸す“賃貸業”であれば、宅建の資格は不要です。
しかし、本記事で独立・開業におすすめしている“仲介業”を営む場合は、業務に従事する者5人に1人の割合で、専任の宅地建物取引士が必要です。
そのため、自分1人で独立・開業し、仲介業を行うのであれば宅地建物取引士の資格を取得しておかなければなりません。
宅地建物取引士とは
宅地建物取引士は”宅建士”と省略して呼ばれることもある不動産取引の専門家で、不動産売買・賃貸物件を紹介する業務を主に行います。
また、宅地建物取引士にしかできない独占業務として、重要事項の説明、重要事項説明書への記名、契約内容記載書面への記名の3つがあります。
宅建の受験資格は日本国内に居住する人であれば、年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験できます。
しかし、試験に合格しただけでは宅地建物取引士にはなれません。
都道府県知事の登録を受けることが必須で、そのためには申請からさかのぼって10年以内に2年以上の実務経験が必要です。
宅建の資格試験は毎年1回行われ、実施広告は毎年6月第1金曜日に発表されます。
インターネット申し込みは7月第1営業日から中旬まで、郵送は7月第1営業日から下旬までです。
試験は10月の第3日曜日に実施されます。
令和5年度の資格試験の結果は、合格率が17.2%と決して容易ではありませんが、まずは自分1人で独立・開業したい場合は資格を取得しておくことをおすすめします。
「宅地建物取引業法」(e-GOV法令検索)
「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案新旧対照条文」(e-Govデータポータルサービス)
(P.32より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
「宅地建物取引士資格登録の手続について」(不動産適正取引推進機構)
「宅地建物取引士資格試験(宅建試験)とは)」(不動産適正取引推進機構)
「試験実施概況(過去10年間)」(不動産適正取引推進機構)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
「令和5年度宅地建物取引士資格試験結果の概要 (一般財団法人不動産適正取引推進機構)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
保有を検討したい資格
不動産仲介業で独立・開業するうえで、宅建士のほかにも次のような資格が役立つでしょう。
【建築士】
建築物の設計や工事監理を行うことができる国家資格です。不動産の売買や賃貸において、物件の構造や設備に関する知識が求められる場面があります。
【ファイナンシャルプランナー】
家計や資産運用に関する専門知識を有することを証明する国家資格です。顧客のライフプランや資産状況を踏まえて、最適な不動産投資を提案するために役立ちます。
【相続診断士】
相続に関する専門知識を有することを証明する国家資格です。相続を検討している顧客に対して、適切なアドバイスを行うために役立ちます。
【賃貸不動産経営管理士】
賃貸不動産の経営に関する専門知識を有することを証明する国家資格です。賃貸不動産の経営を検討している顧客に対して、的確なアドバイスを行うために役立ちます。
Q:不動産業で失敗するのはどんな人?
A:以下の4つの特徴に当てはまる人は要注意
1. 売上予測が立てられない
不動産市場の現状や動向を理解していない
自社の強みや弱みを把握していない
具体的な営業戦略を立てていない
2. 集客がうまくできない
ターゲットを明確にしていない
具体的な集客方法を検討していない
集客施策を継続していない
3. 運転資金が不足している
事業計画と資金計画を立てていない
十分な運転資金を確保していない
4. 信用度や知名度が低い
顧客との信頼関係を構築していない
積極的な営業活動を行っていない
効果的なブランディングを実施していない
これらの特徴に当てはまる人は、不動産仲介業で成功するのは難しいでしょう。
Q:不動産業は未経験でも独立できる?
A:可能だが、経験や知識に加えて、強い意志と覚悟が必要
法律上、宅地建物取引士の資格さえあれば、未経験であっても不動産会社を設立し、独立することができます。
しかし、不動産業は競争が激しく、顧客との信頼関係を築き、安定的に利益を上げ続けるのは簡単ではありません。
未経験で独立する場合、以下の点に特に注意する必要があります。
宅地建物取引士の資格取得:
宅建士試験は合格率が約30%と難関です。
独学で勉強することもできますが、合格率を高めたい場合は、予備校に通ったり、通信講座を受講したりすることをおすすめします。
資金調達:
不動産会社を設立するには、事務所開設費、広告宣伝費、人件費など、さまざまな費用がかかります。
人脈:
不動産業界は人脈が重要なため、積極的に人と交流し、人脈を広げましょう。
経験・知識の習得:
不動産に関する知識や法律、営業スキルなどを学びましょう。
事業計画の作成:
事業計画を作成し、目標達成に向けて具体的な行動を起こしましょう。
Q:仲介以外の不動産業について知りたい
A:「売買」「管理」「賃貸」「開発」
1. 仲介
買取再販業: 不動産を買い取り、自社で所有してから転売する。
競売業: 競売物件の調査、入札代行、落札後の手続きを行う。
空き家管理・活用: 空き家の管理、リフォーム、売却、賃貸などの業務を行う。
2. 管理
賃貸管理: 賃貸物件の募集、入居者募集、契約締結、家賃徴収、修繕管理などの業務を行う。
マンション管理: マンションの共用部分の管理、住民の管理、修繕管理などの業務を行う。
施設管理: オフィスビルや商業施設などの施設の管理を行う。
3. 賃貸
賃貸業: 自社で所有する不動産を賃貸する。
サブリース業: 空き家や投資物件を家主から借り受け、別の顧客に転貸する。
トランクルーム業: 荷物を預けるためのレンタル収納スペースを運営する。
4. 開発
デベロッパー: 土地を購入し、建物を建築して販売する。
不動産投資: 不動産を購入して運用し、収益を得る。
不動産コンサルティング: 不動産に関するコンサルティングサービスを提供する。
これらの事業形態は、それぞれ異なる専門知識や経験が必要となります。
自分の興味や強みに合わせて、最適な事業形態を選択することが重要です。
独立開業・フランチャイズ・代理店ならアントレ<毎週金曜更新> 不動産・住宅に関する案件をチェックする
<文/ちはる>