昨今は働き方の自由化が注目されており、フランチャイズに興味を持つ人も増えています。
中には、フランチャイズでの開業・独立で脱サラを目指している人もいるようですが、どうしても失敗への不安はぬぐい切れませんよね。
そこで本記事では、脱サラしてフランチャイズに加盟するメリットやデメリット、年収相場、成功事例と失敗事例について解説します。
「脱サラしたいけど、フランチャイズのことは詳しく知らない」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも脱サラとは?
脱サラとは「脱サラリーマン」の略で、会社員を辞めて独立開業の道を選ぶことです。
安定した収入や福利厚生を手放す決断には勇気がいりますが、自分の裁量で仕事を進められる自由や、大きなやりがいといった、会社員時代には得られない魅力があります。
脱サラの主な選択肢は以下の3つです。
本記事では、この中の「フランチャイズ加盟」による脱サラについて、その実態を詳しく解説します。
フランチャイズとは?
フランチャイズ(FC)とは、個人や法人が本部(フランチャイザー)と契約を結び、本部のブランド名・商品・経営ノウハウを利用して事業をおこなうビジネスモデルです。
加盟店(フランチャイジー)は、本部が培った成功ノウハウやブランド力を活用できる代わりに、対価として加盟金やロイヤリティを支払います。これにより、事業経験がない人でも、比較的スムーズに独立開業を目指せる仕組みになっています。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
脱サラしてフランチャイズ加盟するメリット
脱サラしてフランチャイズに加盟する主なメリットは、以下の6つです。
フランチャイズ本部からノウハウを提供してもらえる
フランチャイズの最大のメリットは、本部が長年培ってきた成功ノウハウを活用できる点です。
商品開発、接客マニュアル、効果的な集客方法などの事業成功の設計図が提供されるため、未経験からでも早期に事業を軌道に乗せられます。
未経験でも参入しやすい
通常、独立開業するには事業計画から店舗探し、商品開発、集客までのすべてを自身でおこなう必要があります。
フランチャイズなら、このプロセスがパッケージ化されているため、知識や経験のない業界でもスムーズに参入できます。
フランチャイズ本部のブランド力を生かせる
フランチャイズでは、全国的に認知されているブランドの看板を使えるため、開業初日から高い集客効果が期待できます。
個人でゼロから店を立ち上げる場合と比べ、社会的信用の面でも圧倒的に有利なスタートを切れます。
店舗運営に注力できる
フランチャイズでは、商品開発やマーケティング戦略などは本部が担います。
そのため、オーナーは日々の接客やスタッフ管理など現場のオペレーションに集中でき、質の高いサービス提供を実現しやすくなります。
自力で開業するよりも少額から開業できることが多い
フランチャイズでは、個人で開業する場合に必要な店舗設計や商品開発、広告宣伝にかかる費用を大幅に削減できます。
本部による一括仕入れや共通のシステム利用により、初期投資や運営コストも抑えられるでしょう。
安定した商品・サービスを提供できる
フランチャイズでは本部が確立した仕入れルートや物流網を活用できるため、高品質な商品や材料を安定的かつ安価に調達できます。
これにより、常に一定のサービス品質を保てるので、顧客満足度を維持しやすくなります。
脱サラしてフランチャイズ加盟するデメリット
脱サラしてフランチャイズ加盟する場合は、以下のデメリットについてもしっかり理解しておく必要があります。
経営の自由度が低い
フランチャイズでは、ブランドイメージを統一するために「店舗デザイン」「取扱商品」「サービス内容」に厳しいルールが定められています。
そのため、独自のアイデアを自由に反映することはできません。
ロイヤリティや加盟金がかかる
フランチャイズでは、本部のノウハウやブランド力を利用する対価として、加盟金や毎月のロイヤリティを支払う必要があります。
これは個人での開業にはないコストです。
売上によっては利益率が圧迫されることもあるため、提供されるサポート内容と費用のバランスをシビアに見極める必要があります。
フランチャイズ本部の経営事情に左右されることがある
加盟店の評判は、本部や他の加盟店の動向に大きく影響されます。
たとえば、本部が経営不振に陥ったり、他の店舗で不祥事が起きると、自店の評判や売上に直接的なダメージが及ぶリスクがあります。
これは、自分の努力だけではコントロールできない、フランチャイズ特有のデメリットです。
https://entrenet.jp/magazine/13120/
【要注意】サラリーマン時代との5つの決定的な違い
フランチャイズでの独立は、単なる転職ではありません。雇われる側から雇う側・経営する側へと、立場が180度変わります。
本項目では、オーナーとサラリーマンの決定的な違いを5つ紹介します。
1. 収入:「安定した給与」から「不安定な報酬」へ
サラリーマンは毎月決まった日に給与が振り込まれますが、独立後は売上がなければ収入はゼロです。
反対に、努力次第で収入が青天井になる可能性も秘めています。
この不安定さを受け入れ、常に売上と利益を追求するハングリー精神が求められます。
2. 責任:「分業」から「全責任を負う経営者」へ
会社では自分の担当業務に集中できますが、オーナーは経営の全責任を一人で負います。
「売上管理」「資金繰り」「人材採用」「労務」「クレーム対応」まで、すべてを自分で対応しなければならないため、誰かがやってくれるという考えは通用しません。
3. 時間:「勤務時間」から「365日24時間の自己管理」へ
オーナーになると勤務時間という概念はなくなり、良くも悪くもすべてが自己裁量になります。
長く働き続けるためには、厳しい自己管理能力と、心身の健康を保つための意識的な休息が必要になるでしょう。
4. 評価:「上司からの評価」から「顧客からの評価」へ
オーナーの評価基準は、社内での評価や人間関係から、顧客からの評価(=売上)というシビアなものに変わります。
顧客に価値を提供できなければ、事業は立ち行かなくなります。
5. 保障:「手厚い福利厚生」から「ゼロ」へ
オーナーになると、会社が提供してくれた「家賃補助」「退職金」「各種保険」などの手厚い福利厚生は一切なくなります。
自分の身を守るための保険や将来のための貯蓄・投資は、すべて自分で計画的におこなう必要があります。
脱サラしてフランチャイズ加盟した時の年収相場
フランチャイズで脱サラした場合の年収は、業種や経営規模、立地、オーナーの経営手腕によって大きく異なります。
以下はあくまで一般的な目安として参考にしてください。
これらの金額は、売上からロイヤリティや諸経費を差し引いたオーナーの手取り額の目安です。
複数店舗展開など、事業拡大によってこれ以上の年収を目指すことも可能です。
https://entrenet.jp/magazine/26613/
脱サラの成功率を高めるフランチャイズ業種の選び方
フランチャイズで開業・独立する際は、年収相場だけでなく「自分に合っているか」の視点で業種を選ぶことが重要です。
本項目では、脱サラで人気の業種と、その選び方のポイントを解説します。
1. 未経験からでも始めやすい「サービス業」
ハウスクリーニングやリペアサービス、買取専門店などは、特別な資格が不要で、本部研修で技術を習得しやすいのが特徴です。
比較的小資本・無店舗で開業できるモデルも多いので、初期投資を抑えたい方に向いています。
2. 省スペース・低資金で始められる「デリバリー・無店舗型」
店舗を持たないフードデリバリーや移動販売は、家賃や内装工事費などのコストを大きく削減できます。
まずはスモールスタートで事業を始め、リスクを最小限に抑えたい堅実な方におすすめです。
3. ストック型収益が見込める「スクール・教室系」
学習塾やパソコン教室、フィットネスジムなどは、一度会員を獲得すれば継続的な月謝収入が見込める「ストック型ビジネス」です。
毎月の売上予測が立てやすく、安定した経営を目指せます。
4. 社会的需要が高く、安定している「介護・福祉サービス」
高齢化社会を背景に、訪問介護や配食サービスなどの需要は今後も高まり続けると予測されています。
社会貢献性が高く、大きなやりがいを感じられる仕事でありながら、景気に左右されにくい安定性という魅力もあるのでおすすめです。
失敗しないで脱サラするために必要な準備
脱サラを決意しても、何の準備もしないままで会社を辞めることはNGです。
しっかり準備を進めて、納得できる状態に整えてから脱サラするようにしましょう。
必要な事前準備は以下の通りです。
加盟するフランチャイズの業種を決めておく
まずは、加盟するフランチャイズの業種を決めましょう。
単なる憧れだけでなく、自身の興味・関心、過去の経験、そして市場の将来性を冷静に分析し、長期的に情熱を注げる業種を選定することが重要です。
開業資金を準備しておく
自己資金が潤沢でない限り、融資は必須です。
フランチャイズで開業する際は、開業資金(加盟金、店舗取得費、研修費など)を正確に把握し、自己資金でどれだけ賄えるかを明確にしましょう。
その上で、金融機関に提出する説得力のある事業計画書を、サラリーマン時代から準備しておくこをおすすめします。
開業資金について、もっと知りたい方はこちらもご覧ください。
https://entrenet.jp/magazine/13980/
参考:日本政策金融公庫
半年分の生活費と運転資金を貯めておく
開業後、すぐに事業が軌道に乗るとは限りません。
売上が安定するまでの数ヶ月間を乗り切るため、最低でも半年分の運転資金(家賃、人件費など)と、オーナー自身の生活費は、開業資金とは別に確保してください。
資金ショートは、廃業に直結する最も多い失敗原因です。
事前に家族に相談して、理解と協力を得る
脱サラは、人生を懸けた大きな挑戦であり、家族の生活にも大きな影響を与えます。
事業計画や資金計画、考えられるリスクを誠実に伝え、家族からの理解と協力を得ておくことは、精神的な安定と事業への集中のためには不可欠です。
【年代別】脱サラを成功させるためのポイント
脱サラは、年代によって強みや注意点が異なります。
自分のライフステージに合わせた戦略を立てましょう。
30代:若さと体力、失敗を恐れない挑戦
30代の強みは、何と言っても体力と学習意欲の高さです。
万が一失敗してもやり直しが効きやすい年代なので、多少リスクを取ってでも成長市場に飛び込むなどの挑戦が可能です。
社会経験が浅い分、独りよがりな判断に陥らないよう、本部のサポートや先輩オーナーの助言を素直に聞く姿勢が重要です。
40代:経験と人脈、自己資金を活かす
40代は、社会人として培ったマネジメント経験や業界知識、人脈が大きな武器になります。
30代に比べると自己資金にも余裕があるため、より安定した事業基盤を築きやすいでしょう。
一方で、家族や住宅ローンなど守るべきものも多く、失敗できないプレッシャーも大きくなる可能性が高いので、入念な資金計画とリスク分析に基づいた堅実な判断が求められます。
50代以降:人生経験の集大成として、無理のない計画を
50代の豊富な人生経験と深い人間理解力は、顧客や従業員との信頼関係構築に大いに役立ちます。
定年後のセカンドキャリアとして、社会貢献性の高い事業や、自身の趣味・経験を活かせる分野を選ぶのも良いでしょう。
ただし、体力的な無理は禁物です。長時間労働を前提としない、省人化・効率化された運営が可能なフランチャイズモデルを選ぶことが成功の鍵となります。
脱サラしてフランチャイズ加盟!成功/失敗事例
本項目では、フランチャイズの成功と失敗、両方の事例を見ていきましょう。
【成功】異業種からフランチャイズに転身した事例
前職がアパレル業界だったAさんは、流行に左右されない安定性に魅力を感じ、コンビニのフランチャイズで独立しました。
一見すると異業種への挑戦に見えますが、Aさんは「物を売る」という本質的な共通点に着目し、アパレルで培った接客スキルや在庫管理能力をコンビニ経営に活かすことで売上を伸ばしました。
これは、過去のキャリアを棚卸し、新しい事業でそのスキルを活かせた成功事例です。
この他にも成功事例を読んでみたい方は、こちらもご覧ください。
https://entrenet.jp/magazine/39961/
【失敗】商圏調査が曖昧で、思ったように集客できなかった事例
Bさんは「駅近だから安泰」と考え美容サロンを開業しましたが、集客に大苦戦しました。
人通りが多い場所は、同時に競合店がひしめく激戦区でもあります。Bさんは、立地の良さに安住してしまい「誰に」「何を」提供するのかという戦略と、競合との差別化が曖昧だったので失敗してしまったのです。
フランチャイズでの開業であっても、本部任せにせず、自らの足で商圏を調査し、勝てる戦略を立てる主体性がなければ成功は難しいでしょう。
以下の記事では、さまざまな要因による失敗事例を22エピソードにわたって掲載しているので、こちらも参考にしてみてください。
https://entrenet.jp/magazine/13124/
フランチャイズでの脱サラに向いている人の特徴
フランチャイズでの脱サラに向いている人の特徴は、以下の3点です。
未経験の業界・業種で脱サラしたい人
フランチャイズ経営は、「今まで起業したことはないけれど、会社を経営してみたい」と思っていた人におすすめです。
フランチャイズは、フランチャイズ本部から経営ノウハウを提供してもらえたり、開業前に研修を受けられるため、業界での知識や経験がなくても開業できます。
また、フランチャイズ本部が店舗経営に必要なものを独自ルートで仕入れてくれるケースが多いため、安価に仕入れることができます。
自分の強みと弱みがわかっている人
フランチャイズの仕組みに加えて、自分の強み・弱みまで理解できている人は、フランチャイズ経営に向いているといえます。
基本的に加盟店は、フランチャイズ本部の経営方針をもとに店舗経営していくことになります。
そのため、フランチャイズ本部の意向を汲みとりつつ、決められたルールの範囲内で自分なりに工夫できるような人が求められます。
フランチャイズビジネスのリスクを理解している人
フランチャイズのリスクを理解できている人は、フランチャイズ経営に向いていると言えます。
違約金や競業避止義務などを理解していれば、万が一経営で問題が発生したときでも、冷静に対処が可能でしょう。
もしこれらの知識がないと、問題が発生したときに本部優位で話を進められてしまうかもしれないので、途中からでもリスクについては学ぶようにしましょう。
フランチャイズでの脱サラに向いていない人の特徴
一方、フランチャイズでの脱サラに向いていない人の特徴は、以下の3点です。
既にノウハウや人脈がある人
フランチャイズでの脱サラに向いていない人の特徴1つ目は「既にノウハウや人脈がある人」です。
フランチャイズ経営の最大のメリットは、「経験・知識がなくても、フランチャイズ本部からサポートを受けながら経営ができる」ことです。
現状、ノウハウや人脈があるなら、わざわざフランチャイズとして独立する必要もないでしょう。
自力でも経営できるなら、ロイヤリティ・加盟金の支払いが必要となるフランチャイズ加盟は、損するだけになるかもしれません。
自分で自由にやってみたい人
フランチャイズでの脱サラに向いていない人の特徴2つ目は「自分で自由にやってみたい人」です。
フランチャイズ経営は、基本的にフランチャイズ本部の方針に沿って経営していく必要があるので、自由を求める人には窮屈かもしれません。
「一からすべて自分の力だけでやってみたい」と思う人は、フランチャイズに加盟せずに、自力で開業する方が向いているでしょう。
「フランチャイズなら安心」と思っている人
フランチャイズでの脱サラに向いていない人の特徴3つ目は「フランチャイズなら安心と思っている人」です。
経営の経験・知識がない初心者でも開業しやすいフランチャイズですが、もちろん誰でも成功できるわけではありません。
フランチャイズ本部からのサポートがあるとは言っても、自分の頭で考える力は必要です。
加盟店のオーナーとして動くわけなので、フランチャイズ本部で決められたルールの範囲内で、自店舗の売り上げをどうやって伸ばすかを考える必要があります。
フランチャイズ本部には、加盟店をサポートしてくれるスーパーバイザーと呼ばれる人がいるので一人で経営するより安心はできますが、決して楽ではないことは知っておきましょう。
よくある質問
本項目では最後に、フランチャイズでの脱サラに関する質問に回答していきます。
Q:フランチャイズ以外に脱サラする方法は何がある?
A:個人事業主(フリーランス)として開業するか、法人を設立する方法があります。
- 個人事業主:開業届を税務署に提出するだけで始められる手軽さが魅力です。まずはフリーランスとして活動し、軌道に乗ってから法人化するケースも多いです。
- 法人設立:手続きやコストはかかりますが、社会的信用度が高く、節税面で有利になる場合があります。
法人設立について、もっと知りたい方はこちらもご覧ください。

Q:脱サラに必要な情報・知識を知っておきたい
A:会社員ではなくなることで、保険・年金・税金の手続きをすべて自分でおこなう必要があります。
- 健康保険:退職日の翌日から14日以内に、市区町村の役所で国民健康保険への加入手続きが必要です。条件を満たせば、会社の健康保険を任意継続することも可能です(退職後20日以内に手続き)
- 年金:厚生年金から国民年金に切り替わります。これも市区町村の役所で手続きをおこないます。未納は将来の受給額に影響するだけでなく、財産の差し押さえリスクもあります。
- 開業後の失業保険:原則として、開業準備に専念する場合は受給できません。失業保険はあくまで「求職活動をしている人」のための制度です。詳しくは管轄のハローワークにご確認ください。
参照:健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について|全国健康保険協会
参照:雇用保険手続きのご案内|ハローワーク インターネットサービス
まとめ
フランチャイズには「初心者でもチャレンジしやすい」という大きなメリットもあれば「他の独立方法と比べて自由度が少ない場合がある」というデメリットもあります。
なので、メリットとデメリットを照らし合わせ、自分に合った脱サラ方法を選択しましょう。
フランチャイズオーナーとしての脱サラを検討しているのであれば、ぜひ『アントレ』をチェックしてみてください。
アントレは、さまざまな業種や業界のビジネス情報を掲載しています。全国規模のフランチャイズや代理店、開業支援情報などといった役立つ情報を数多く掲載しています。
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<文/ほのゆき>