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家族が望んだ仕事じゃないかもしれない。それでも私が絵描きになった理由【河地りん】

生ボイス

自分の仕事を選択する上で、大きな決断の要因となるのが、環境。

医者のこどもは医者に。学生時代、教師に憧れを抱いた人は教師に。スポーツや音楽に夢中になったことがある人は、その道のプロに。

もちろん全ての人が、というわけではないですが、人間は良くも悪くも自分の育ってきた環境や経験、身近な人によって大きく左右されます。

今回お話を伺ったのは、イラストレーターの河地りんさん。

河地さんは、あの「ミライアカリ」を始めとするバーチャルYouTuberのイラストなどを担当されています。

そんな河地さんですが、イラストの世界とはかけ離れた金融一家という環境で育ってきたと言います。

河地さんはなぜイラストレーターになったのでしょうか。その理由は、絵に対する並々ならぬ想いにありました。

<プロフィール>
河地りんさん
イラストレーター・デザイナー

学生時代から絵を描き始める。大学在学中に複数の企業でインターンシップを経験した後、就職ではなく、フリーランスとしてイラスト・デザインの仕事を始める。

現在はイラスト制作やバーチャルYouTuber(以下、VTuber)のサムネイル画像制作、グッズデザインを手掛けている。

https://twitter.com/gingatrain814

インターンシップを経て、フリーランスへ。河地さんがイラストレーターになった経緯

―現在に至るまでの経緯を教えてください。河地さんはいつごろから絵を描き始めたんですか?

河地さん
物心がつく前から、何かしらの絵を描いてました。おえかきボードが家にあって、それを使ってひたすら絵を描いていたことを覚えています。

小学校3年生の時に『Axis powers ヘタリア』や『家庭教師ヒットマンREBORN!』などを見て、明確にオタクに目覚めるようになって(笑)。

そこからは主に人物やアニメキャラなどのイラストを描くようになり、中高生時代はマンガ研究会に所属していました。

―その頃から絵を仕事にする、みたいな目標はあったんですか?

河地さん
どうでしょうか…?

当時は、ただ絵を描くことが好きなだけだったので「絵で食べていく!」という明確な目標があったわけではないと思います。

それに家がもともと金融一家で、祖父母や両親、今は姉2人も割とお堅い仕事に就いていて。「絵で食べていく」といってもまず理解されないような環境で育ってきたので、仮に絵を仕事にしたいと思っても口に出せるような雰囲気じゃなかったんですよね。

一方で、マンガ研究会の先輩に学生ながらいろいろなところでイラストを描いて、バリバリお金を稼いでいた先輩がいたんです。

その先輩は主にギャルゲーに出てくるような美少女の絵を描いていて、私もその人の影響で美少女を描き始めました。

実家のそういった仕事観がある傍ら、学校には学生ながらでも絵で稼いでいる人がいたので、そのギャップに驚きましたね。

―大学は総合大学に進学されたんですよね。

河地さん
はい。本当は美大に行きたかったのですが、家族からの反対もあり、結局総合大学に進学しました。

それにちょうど大学進学を考えている頃、中高のマンガ研究会で流行っていた作風と、自分の描きたいタッチの作風との間にギャップがあり、なんとなく絵を描くことに疲れてしまって。

今思えば、周りと関係なく自分の好きな作品を描けばいいんでしょうけど(笑)。当時は学生特有の「周りに合わせないと」みたいな精神が働いてしまったんですよね。

そういった背景があり、大学に進学してからはヨットのサークルに入りました。毎週葉山に行ってヨットに乗る生活が続き、次第に絵から離れていってしまったんです。

―そうだったんですね。そこからまた絵を描き始めるようになったきっかけは?

河地さん
大学3年生の時ですね。就職活動も迫っている中で、インターンシップに参加するようになり、様々な仕事を経験させてもらう中で、自分のやりたいことが明確になっていたんです。

―インターンシップではどんな仕事をされていたのでしょう?

河地さん
会社によって違いますが、1社目ではデザイン関連の業務からスタートしました。Web広告用のバナーデザインなどを考えて作ったり。自分の絵のスキルを活かせる仕事へ方向転換をしたのは2社目からですね。

―なぜ2社目から絵の仕事をしたいと思うようになったんでしょう?

河地さん
インターンシップやその先にある就職活動について、ぼんやり考えた時に「一体私はどうやって働いていきたいんだろう?」という疑問が生まれました。

ちょうどその頃、インターンシップやヨットのサークルと並行して、大学のマンガ研究会に顔を出すようになったんです。入った時は「もうしばらく絵なんて描いてないし、その道でやっていくのは厳しいかもな」と思っていました。

しかしそのマンガ研究会で、今お仕事を頂いているVTuberのプロデュースの会社を運営している代表(当時は学生)と出会っていろいろ話していくうちに、なんだかんだやっぱり絵が好きなんだなってことに気がついたんです。

2社目では、女性向け恋愛ゲームのアドベンチャーパートのスクリプトを組んだり、イラストの発注指示書を書いてイラストレーターさんに仕事をお願いする業務を行うなど、徐々に絵にシフトしていき、3社目ではイラストの制作や、VTuberの「ミライアカリちゃん」(※)のイラストを描かせていただくなど、絵を描くことが業務の中心となっていきました。

そんなインターンシップ生活の流れから、就職ではなく会社から仕事を依頼されて業務を行う、フリーランスという形でお仕事をいただくようになっていったんです。


※ミライアカリ
日本のバーチャルYouTuber。所属事務所はENTUM、運営会社はZIZAI。2017年10月27日よりYouTubeeにて「ミライアカリプロジェクト」として活動を開始。河地さんは「ミライアカリ」の作画をいくつかの媒体で担当している。

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「家族が望んだ仕事ではないかもしれないけど、私は私の仕事を一生懸命やっているんだよ」ということが、少しでも伝わればいい

※本記事は取材当時の情報を基にしており、団体名、サービス名、法令等が現在と異なる可能性があります。しかし、取材時の想いや状況を正確に伝えるため、内容をそのまま掲載しています。ご了承ください。

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