この記事では、フランチャイズにおける加盟店側のメリットとデメリットを中心に解説しながら、本部側にとってのメリットとデメリットについても紹介します。
フランチャイズの仕組みについて詳細に記載した解説書も用意したので、必要な方は以下のボタンから解説書をダウンロードし、本記事とあわせて確認してみてください。
フランチャイズとは
フランチャイズとは、フランチャイズ本部(フランチャイザー)が提供するブランドやビジネスモデルを、独立した事業者(フランチャイジー)が活用し、ビジネスを展開するシステムのことです。
これにより、フランチャイジーは本部が培ってきた知識や経験、ノウハウを共有しながら、自身の店舗を運営することができます。
現在日本国内のフランチャイズ市場は約28兆円の規模に達しており、成長産業の一つとして注目されています。
フランチャイズの魅力とは?
フランチャイズの大きな魅力の一つは、すでに確立されたブランド力を活用できる点です。
たとえば、個人で一から事業を始める場合、ブランドの知名度や信頼性を築くまでに時間と費用がかかります。
しかしフランチャイズに加盟することで、既存のブランドやビジネスモデルをそのまま利用することができ、開業初期から安定した集客が期待できます。
とくに飲食業やサービス業のような業種では、既存ブランドを利用することで顧客からの信頼を早期に獲得しやすく、スムーズな経営スタートが切れるというメリットもあるのです。
フランチャイズに加盟するために必要なものは?
フランチャイズ加盟にはまず、初期費用(加盟金や運転資金など)が必要になります。
なので、まずは融資を受けるためにも資金計画と開業資金の見積もりを用意する必要があります。
各フランチャイズによって必要な資金の額は異なるため、複数のフランチャイズを比較し、自分に合ったビジネスモデルを選ぶことが成功への近道となります。
フランチャイズに加盟する前に説明会に参加しよう
もしフランチャイズに関しての知識がまったくない場合は、説明会やセミナーに参加して情報収集もしておきましょう。
多くのフランチャイズ本部では加盟希望者向けの説明会を定期的に開催しており、ここでは実際のビジネス運営や本部のサポート内容を直接確認することができます。
事前にフランチャイズに関する疑問や「どんなサポートが受けられるのか」を明確にしておくことで、加盟後も安心して経営を続けることができるでしょう。
あとから後悔したときにはもう遅いので、フランチャイズに加盟する前に情報収集や余裕を持った資金の準備をおこなうことをおすすめします。
フランチャイズにはたくさんの種類がある
フランチャイズ市場の成長は続いており、特に飲食業や小売業の分野では新たなフランチャイズが続々と登場しています。
これによりビジネスチャンスが広がり、より多くの企業や個人がフランチャイズビジネスを通じて成功を収めることが期待されています。
フランチャイズを検討している方は事前に十分なリサーチをおこない、自分に合ったビジネスモデルを見つけることが何よりも重要です。
フランチャイズについての基礎的なことからまず学びたい方は、こちらの記事も併せて読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズの加盟店側のメリット
フランチャイズ加盟店として店舗経営していくメリットは多くあります。具体的に加盟店となった場合のメリットを紹介します。
メリット1:すでに認知されたブランドを利用できる
フランチャイズの大きな魅力は、すでに広く知られたブランドの信頼性を活用できる点にあります。
とくに飲食業や小売業においては、全国的に展開されているブランドやロゴを利用することで、開業初期から安定した集客が期待できるのは大きな利点です。
消費者側もなじみのあるブランドを見かけることで「安心感」や「信頼感」が生まれ、新規店舗にも抵抗なく足を運ぶ傾向があります。
また、ブランドの力を活用することでマーケティング費用や広告コストを抑えることができる点も大きなメリットです。
特に繁華街や交通量の多いエリアではこうしたブランド力がさらに効果を発揮し、安定した経営基盤を築く助けとなります。
メリット2:フランチャイズ企業のマニュアルを活用できる
フランチャイズ加盟の大きな利点は、すでに成功しているビジネスモデルに基づいた詳細なマニュアルを活用できる点です。
このマニュアルには、日々の店舗運営に必要な業務フローや在庫管理、接客方法といった基本的な業務から、マーケティング戦略に至るまで幅広いノウハウが含まれています。
これによってオーナーは未経験者でも安心して店舗運営に取り組むことができ、初期段階から安定したビジネスの立ち上げが可能なのです。
さらに、フランチャイズ本部は開業後も継続的なサポートを提供してくれます。
たとえば従業員の教育プログラムを通じて店舗運営のスキル向上を図ったり、新商品の開発や販促キャンペーンの実施において本部のデータや成功事例を基にアドバイスを受けることが可能です。
これらの手厚いサポートは、特に初めてのビジネス運営に挑戦する人にとって、大きな安心材料となり、長期的な成功に向けての道筋をしっかりと支えてくれます。
メリット3:商品の仕入れコストを下げられる
フランチャイズ加盟の大きな利点の一つは、仕入れコストを大幅に削減できることです。
フランチャイズでは本部が全体のネットワークを通じて大量に商品を仕入れるためスケールメリットが生じ、通常よりも割安な価格で安定した供給が受けられるようになります。
とくに飲食業や小売業では原材料の仕入れコストが経営の安定に直結するので、仕入れコストを下げることで利益率を高め、競争力を持たせることが可能です。
事業規模の大きなフランチャイズでは、さらに強力なコネクションを活かして物流コストの削減や新商品の安定供給も実現しやすくなるのが加盟店側のメリットなのです。
メリット4:収益を拡大できる可能性がある
フランチャイズ経営では、店舗の収益を拡大できる大きなチャンスがあります。
たとえば1店舗の経営ではなく複数店舗を展開すれば、商品の一括仕入れや運営コストの効率化が進み、全体的な利益を高めることができます。
他にも飲食店を経営しながら、異業種である美容やフィットネスのフランチャイズにも挑戦することで新たな収入源を増やすことも可能です。
組み合わせ方によってはそれぞれの業態が相乗効果を生み、売り上げが2倍3倍と伸びていく可能性もあります。
もちろんそれに伴ってリスクも抱えることになりますが、収入が拡大できる見込みがあることはオーナーにとってメリットだと言えるのではないでしょうか。
メリット5:遊休地を活用できる
もし所有しているものの活用できていない遊休地があるならば、フランチャイズビジネスに活用して収益化することもできます。
遊休地を活用したフランチャイズ経営の例としては、コインランドリー、コインパーキング、貸倉庫などが挙げられます。
これらは運営時の人件費はあまりかかりませんが、開業時に土地の取得費用や賃貸料がかかるタイプのビジネスです。
よって、すでに土地があるのであれば初期コストを抑えて開業することができます。
企業側の本音|フランチャイズ開発のメリット
フランチャイズ展開は、企業側にとっても大きなメリットがあります。
本項目では、フランチャイズの本部側のメリットを2つ紹介します。
メリット1:企業は開業時のコストを削減できる
フランチャイズシステムを活用することで、企業は開業コストを大幅に削減することができます。
本来、直営店を新規オープンさせる場合は「土地の取得費や建物の建設費」「人件費」「内装費」など多額の初期費用が必要です。
しかし、フランチャイズではこれらの費用を加盟店側が負担するため、企業は資金面の負担を大幅に軽減できます。
また、他にも企業側には「店舗の業績が悪化したときの負担軽減」や「ロイヤリティによって安定した収入が得られる」というメリットもあるので、あらゆるコストを削減 or 打消すことができるのです。
メリット2:企業は店舗数拡大により経営を効率化できる
フランチャイズには単純な開業コストの削減だけではなく、店舗数の拡大により売上を増大させながら経営を効率化できるというメリットもあります。
店舗数が増えれば単純に売り上げが増えるだけでなく、仕入れ数の増加によって仕入れ単価を抑えられたり、効率的な流通によってコストを削減することも可能です。
このようにフランチャイズは企業側にとっても大きなメリットを生むので、加盟店とフランチャイズ本部はWin-Winの関係性だと言えるのです。
フランチャイズ加盟店側のデメリット
フランチャイズには多くのメリットがある一方、デメリットもいくつか存在します。
本項目では、加盟店側のデメリットを4つ紹介します。
デメリット1:加盟金や保証金を支払う必要がある
フランチャイズ加盟店のオーナーになるためには、開業準備から開業時にかけて、まとまった費用が必要となります。
一般的に加盟店側は、契約時にフランチャイズ本部に加盟金や保証金を支払います。
加盟金は基本的に返金されるものではなく、保証金は契約が完了した際に返納される前提のものです。
それぞれの金額はフランチャイズ本部・事業によって異なりますが、加盟金が個人で独立・開業するのと同じくらい費用がかかる場合もありますし、反対に0円という本部も珍しくはありません。
加盟を検討する際は、契約前によく確認してみるようにしましょう。
デメリット2:ロイヤリティを支払う必要がある
フランチャイズ加盟の大きな特徴として、売上や利益に応じたロイヤリティの支払いが発生することが挙げられます。
ロイヤリティは月々の売上に基づいて変動することが一般的ですが、場合によっては固定額が設定されることもあります。
たとえ売上が低迷している状況でもロイヤリティは発生し続けるので、店舗の売上状況によっては資金繰りに負担がかかることも考えられます。
なので、フランチャイズ契約をする際は「ロイヤリティの割合」と「受けられる恩恵(ブランド・サポートなど)」を天秤にかけ、十分に吟味する必要があります。
デメリット3:自由に経営できない可能性がある
フランチャイズ加盟店は、経営の自由度が制限されることが多くあります。
フランチャイズ本部は統一された経営方針や運営マニュアルを提供しているため、商品の販売価格や取扱商品の選定、広告活動などについて、加盟店が独自に判断することは難しいのです。
なのでフランチャイズに加盟する際は、自分のビジネス方針や将来の計画とフランチャイズ契約の制約が合っているかを慎重に検討しましょう。
デメリット4:契約期間後にも制限されることもある
フランチャイズ企業との契約期間が終わった後も、契約内容によっては「競業避止義務」によって、一定期間同じ業種で新規ビジネスを展開できないという制限がかかる場合があります。
なので「一度加盟したフランチャイズ企業のノウハウやマニュアルをそのまま利用して個人で開業すること」は、基本的にはできないと考えたほうがよいでしょう。
フランチャイズ契約を満了した後、同業種のビジネスを個人で独立・開業していく計画がある方は事前に注意が必要です。
フランチャイズ企業側のデメリット
フランチャイズ加盟店側だけではなく、企業側にもデメリットは存在します。
メリットと対になって考えられることですが、フランチャイズ企業側もリスクを負って展開していることがわかります。
デメリット1:直営店に比べて利益が減額される
フランチャイズ企業のノウハウやブランド力を活かして利益が生み出されたとしても、直営店に比べてフランチャイズ加盟店から受け取れる利益は減額されます。
フランチャイズ加盟店はそれぞれが個人事業主または別法人で、企業とフランチャイズ加盟店はビジネスパートナーという位置づけです。
加盟店が売り上げを大きく増やしても、企業側はその一部をロイヤリティとして受け取れはしますが、全額が企業の利益になるのではないという点においてデメリットと考えられます。
デメリット2:サービスの質や内容に差が生じる
フランチャイズ企業はマニュアルを加盟店に展開し、マニュアル通りの店舗運営を促しているものの、加盟店の裁量によってサービスの質や内容に差が生じやすくなることもデメリットの1つです。
たとえば数多くある加盟店のうち、たった1つの店舗で不適切な労働管理や食品衛生上好ましくない行動があることで、企業全体のブランドイメージを失ってしまい、重大な経営リスクとなってしまう可能性もあります。
近年ではXなど拡散されやすいソーシャルメディアによってそのような事例も発生しているので、マニュアルの徹底や従業員のマネジメントにはより注力し、ブランドイメージを守っていく必要があるのです。
まとめ
フランチャイズは、未経験者でも短期間で安定した店舗経営を始められる魅力的なビジネスモデルです。ただし、経営の自由度が制限されることやロイヤリティの支払いなど、リスクやデメリットも伴います。
そのため、加盟を検討する際には、事前にフランチャイズ企業のサポート体制や契約条件をよく確認することが重要です。具体的には、企業が提供するノウハウやサポートの内容が、自分のビジネススタイルや長期的な目標に合っているかをしっかりと見極めることが、成功への鍵となります。
フランチャイズ企業ごとに、メリット・デメリットは異なるため、いくつかの案件を比較し、成功事例も参考にして、次のステップを踏み出すことが大切です。
自分に合ったフランチャイズを選び、事業成功に向けて着実に準備を進めましょう。
実際に案件を確認してみたい方はこちらのページもご覧ください。
独立開業を支援する『アントレ』では、全国規模のフランチャイズ案件を調べることができます。
独立開業・フランチャイズ・代理店ならアントレ<毎週金曜更新!>
<文/北川美智子>