【この記事でわかること】
- レンタル・リース市場の規模と動向
- フランチャイズで開業する方法
- 業種一覧
- フランチャイズで開業する際のポイント
レンタル・リース事業は、SDGsや「所有から利用への価値観の変化」にマッチした、トレンドのビジネスといえます。本記事ではフランチャイズで開業できるレンタル・リース事業について、開業の流れやメリット・デメリット、どんな商材のレンタル事業があるのかを紹介します。
フランチャイズの仕組みや成功事例について詳しく知りたい方は「フランチャイズ(FC)の仕組みを簡単に紹介!メリット・デメリット、成功例や失敗例も紹介」もあわせてチェックしてみましょう。
レンタル・リース市場の規模と動向
公益社団法人リース事業協会の「リース統計」によれば、2021年度のリース取扱高は4兆2,186億円にも上ります。前年度比は91.9%、2020年度から2年連続の減少ではあるものの、これにはコロナ禍も大きく影響していたでしょう。経済活動の再開が本格化し、国内の設備投資も持ち直してからは増加の予測がされています。
詳しくは次の章で解説しますが、レンタル・リース事業は社会の流れにマッチしたビジネスモデルです。景気の動向に左右されやすい特徴はありますが、狙い目の事業であることはたしかでしょう。
参照:矢野経済研究所|リース市場に関する調査を実施(2022年)
SDGsにも一役買うレンタル・リース事業
レンタル・リース事業はSDGsにも一役買うとして注目を集めています。
SDGsとは「持続可能でより良い世界を目指すための国際目標」のことです。「住み続けられるまちづくりを」「気候変動に具体的な対策を」などの17項目で構成され、エコな暮らしを実現することで達成できる目標も多いです。
「1つの設備をみんなで貸し借りしあって使う」というレンタル・リース事業はSDGsとの親和性が高く、社会的な求めに応えるビジネスといえます。
また、レンタル事業が注目されている理由はSDGsだけではありません。価値観の変化もレンタル事業の追い風となっています。
近年は物を所有するのではなく、必要なときだけ利用するという考え方の人が増えています。この考え方はZ世代に特に多いです。
これから社会の中心となっていくZ世代の考え方に合ったレンタル事業へのニーズは、今後ますます高まっていくでしょう。
フランチャイズで開業できるレンタル・リース業とは
レンタル・リース事業にはフランチャイズで開業できるものもあります。詳しくは後述しますが、フランチャイズを活用することは集客や商材の仕入れにおいて大きなメリットがあります。
まずは、フランチャイズでレンタル・リース事業を開業する際の手順、どんなものをレンタルできるのかを確認しましょう。
開業する手順・資格
レンタルビジネスは「物やスペースなどのレンタル」と「レンタカー」の2つに大別できます。それぞれの開業手順や必要な資格について紹介します。
【物やスペースなどのレンタルビジネスの開業手順・資格】
- どんなチェーンがあるのかを調べる
- なるべく多くのチェーンの説明会に参加する
- 集めた情報をもとに加盟候補を絞り込む
- 加盟契約を結ぶ
- 研修を受け、準備が整ったら開業する
特にBtoCのレンタル事業は比較的新しいビジネスモデルであり、フランチャイズごとに特徴や扱う商材が大きく異なります。なるべく多くの説明会に参加することは、情報収集のためにも事業のイメージを固めるためにも大切なことです。
このビジネスモデルでは特に必要となる資格はありませんが、中古品を扱う場合は「古物商許可」が必要になります。
レンタカーの開業手順・資格
レンタカー事業の場合も、先述したステップと同じようにチェーンの情報収集や説明会への参加からはじめましょう。
ただ、レンタカー事業では物のレンタルと異なり商材の配送ができません。そのため、開業エリアの選定はより重要です。所有している土地を活用したい場合は、開業エリアを軸にチェーン選びを進めることになるでしょう。
また、レンタカー事業では国土交通省地方運輸局に「レンタカー事業許可申請」をしなければなりません。複雑な手続きであるため、本部のサポートを受けながら丁寧に進めていきましょう。
許可が取れたら車両や駐車場などの準備をし、研修を受けてから開業となります。
どんなものをレンタルできる?業種一覧
レンタル・リース事業ではどんなものを貸し出すのか、主な商材・業態を紹介します。
ビジネス機器
- 産業機器
- 工作機器
- OA器材
- パソコン など
レンタルする個数(規模)や機器の種類・OSなどについてよく確認しましょう。
季節用品
- バーベキューセット
- ハロウィンの仮装
- クリスマス用品
- スキー板/スノーボード など
ターゲット層はどんなイベントが好きなのかを考えること、メインとなる商材のバリエーションを充実させることが重要です。
ベビー用品
- ベビーカー
- チャイルドシート
- バウンサー など
子どもは保護者にとってかけがえのない存在です。何より、赤ちゃんは身体がまだできあがっていません。価格だけでなく、借りやすさや破損などの補償制度が充実しているかも重要です。
介護・福祉用品
- 車椅子
- 介護用ベッド
- 歩行器や歩行補助杖 など
高齢化に伴って市場規模が拡大しているカテゴリです。介護保険を適用してレンタルできることもあり、顧客の負担が小さく借りやすいというメリットもあります。
スマート家電
- スマートロック
- お掃除ロボット
- センサーゴミ箱 など
スマート家電のレンタルには「実際に使ってみたい」「購入前に使用感を確かめたい」などのニーズもあります。通常の家電同様、点検や整備に気をつける他、家電の記録を抹消する旨の誓約書などを用意した方がいいでしょう。
自動車・バイク
自転車やバイクのレンタルには「自家用自動車有償貸渡業許可」が必要です。運輸局の審査を受けることになり、手続きも煩雑なため、フランチャイズ本部と話し合いながら申請を進めましょう。
レンタルスペース
- 会議室
- 撮影スタジオ
- レジャー、飲食スペース など
「空間」を貸し出すという考え方は急速に浸透しています。インフルエンサーや動画クリエイターなどの台頭により撮影スタジオのニーズは高まっています。
気の合う仲間とタイパ重視で楽しみたいというニーズから、レジャーや飲食用のスペースを借りる人も増えました。最近では居酒屋ではなく、レンタルスペースで飲み会を開くケースも多いようです。
CD・DVD
CDやDVDのレンタルは古くからあるビジネスモデルです。大手レンタル事業者もフランチャイズ募集をしており、このようなチェーンを選ぶことで大きな集客効果が期待できるでしょう。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
レンタル・リース業をフランチャイズで開業するメリット
レンタル・リース事業をフランチャイズで開業するメリットには、次のようなものがあります。
「写真や説明と違うものが来たらどうしよう」「途中で解約しようとして多額の違約金が取られたら嫌だ」など、顧客は不安を抱えています。
特にBtoCのレンタル事業は比較的新しく、そうでなくとも「物品の貸し出し」をビジネスにする場合、社会的な信頼が重要です。
フランチャイズ本部のブランド力で顧客の信頼を勝ち得ることができる、本部の集客施策の恩恵を受けられるなど、フランチャイズは顧客獲得のメリットが大きいです。
ここからは、上記以外のフランチャイズ加盟のメリットを紹介します。
今ある資源を活用できる
レンタル・リース事業ならではのメリットとして、今ある資源を活用できることがあげられます。
休眠している資材や不動産をレンタルすることで有効活用できるでしょう(この場合、中古品を扱うことになるため古物商許可が必要です)。
このような資源を自力でレンタル・リースしようとしても難しいはずです。
フランチャイズに加盟し、本部のブランド力や集客施策の恩恵を受けられるメリットが利いてくるでしょう。古物商許可の申請など、手続きをサポートしてもらえるメリットもあります。
本部の管理システムを活用できる
フランチャイズに加盟することで、本部が用意した予約管理システムや顧客管理システムを活用できます。
フランチャイズ本部は業務効率化のためのITシステムを開発していることが多く、そのビジネスモデルに合ったシステムで、予約や顧客などの情報を管理できます。
レンタル予約のダブルブッキングも起こりづらくなり、クレームやイメージダウンを防止できるでしょう。
トラブル・サポート体制が整っている
さまざまな人に物品を貸し出すレンタル・リース事業にトラブルは付き物です。本部によっては破損や事故などトラブルが発生した際の対応サポートが付いているため、安心して事業を進められるでしょう。
専門の指導を受けた本部スタッフに対応を任せることで解決も早くなります。「オーナーや店舗スタッフが通常業務に専念できるようになる」というメリットも大きいです。
レンタル・リース業をフランチャイズで開業するデメリット
レンタル・リース事業に限らず、フランチャイズでの開業には次のようなデメリットがあります。
ただ、近年のフランチャイズのトレンドとして「SNS集客の自由度が高いチェーンが増えている」ことがあげられます。レンタルできる物品や人気商品を写真付きでSNSにアップしたり、点検や整備を丁寧に行っていることを伝えたりすることで、店舗のイメージアップが図れるでしょう。
SNS運用では季節商品や年代別のランキングなど借りたい欲をくすぐるような工夫することで、チェーン全体ではなく「自分のお店」のファンになってくれる人も増やせます。自店舗のファンを増やすことで、他店舗のネガティブな口コミや本部の炎上によるダメージを抑えられるでしょう。
SNSの運用に関して制約がないか、契約前に確認するようにしましょう。
トラブルは付き物
レンタル・リース事業ならではのデメリットといえば、やはり「トラブルが付き物」なことでしょう。先述の通り、レンタルする物品はさまざまな人の手に渡ります。破損・故障などのトラブルがあることは覚悟しておきましょう。
トラブルに関するサポートがあるフランチャイズを選ぶこと、コールセンターの有無や対応時間など「どのような部分までサポートしてくれるか」まで確認することをおすすめします。
レンタル・リース業をフランチャイズで開業する際のポイント
レンタル・リース事業をフランチャイズで開業する際は、次のポイントを意識しましょう。
レンタル・リース事業にはトラブルが付き物です。規約を作りこんだり保険に加入したりといったリスクヘッジは欠かせません。
顧客との信頼関係が重要なビジネスモデルでもあるため、レンタル中はこまめな連絡を心がけましょう。顧客からの連絡にすぐに気付けるようにしておくこと、早めのレスポンスを心がけることで、顧客からの信頼を得られます。
収益化のために集客に力を入れるのはもちろんのこと、リピーターや口コミ獲得のためにも顧客の信頼獲得は重要です。
まとめ
レンタル・リース事業はSDGsや価値観の変化(所有から利用へ)など、社会の流れにマッチしたビジネスモデルです。商品の販売と比べると一度の売り上げは小さいものの、ひとつの商品が何度も売り上げを上げてくれるのは魅力的です。
古くからあるCD・DVDや車両(レンタカー)のレンタルだけでなく、最近ではレンタルスペースやスマート家電などのビジネスモデルも注目を集めています。本記事では紹介しませんでしたが、「観葉植物のレンタル」のような一風変わったビジネスモデルもあるようです。
このように、レンタル・リース事業にはさまざまな種類・商品カテゴリーがあります。どんな事業をやりたいのか、出店エリアにはどんなニーズがあるのかをよく考え、加盟候補のフランチャイズを絞り込んでいきましょう。
<文/赤塚元基>