【この記事でわかること】
- テイクアウトビジネスの市場性
- 業種ごとの平均売上高
- カテゴリーごとの特徴
- 売り上げアップするポイント
テイクアウトがメインの飲食店はコロナ禍を境に大きく売り上げを伸ばしています。フランチャイズ展開するチェーンも多く、これに加盟することで、未経験でも好調なスタートを目指せるでしょう。本記事ではフランチャイズのテイクアウトビジネスについて、売上高の推移や成功事例を紹介します。
また、フランチャイズ経営はリスクが高いという話も聞くため、一歩踏み出せないという方や、フランチャイズ経営は本当に儲かるのかと不安になっている方も多いと思います。
そんな方たちのために、実際にフランチャイズ経営を行っている方の事例や、成功している方のポイントについて資料にまとめて、解説書を作成いたしました。フランチャイズ経営に興味はあるけど、失敗はしたくない!という方はぜひ下記よりダウンロードして参考にしてみてください。
コロナ禍を過ぎてなお活況な中食市場
「中食」とは、惣菜や弁当などの「調理済みですぐに食べられる料理」のことです。いわゆる「出来合いの料理」で、買って帰り、家や会社などで食べます。
中食市場はリモートワークや家飲みなどの普及もあり、コロナ禍が追い風になった市場といえます。国内ではじめて感染者が確認された2020年には大きな打撃(前年比95.2%)を受けたものの翌2021年には回復、2022年にはコロナ前の2019年を越える市場規模となりました。
特に2022年の外食業態のテイクアウト市場は朝食、昼食、間食の市場規模がいずれも2019年比約20%増の成長を遂げています。
2023年3月には政府によるマスク不要の呼びかけもあり、コロナ以前のように外出する機会が戻ってきました。しかし、コロナ禍による新しい生活様式は私たちの生活にすでに浸透しています。
中食産業はもちろん、外食産業では今後もテイクアウトへのニーズに応えていくことが大切です。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
【2022年度フランチャイズチェーン統計調査】テイクアウトビジネスの平均売上を業種ごとに紹介
テイクアウトビジネスの平均売上高を業種ごとに紹介します。下記表では2020年と2021年の売上、2020年から2021年にかけての増減・前年比をまとめています。
2021年 | 2022年 | 増減 | 前年比 | |
持ち帰り寿司・弁当店 | 3,286億1,900万円 | 3,342億3,100万円 | +56億1,200万円 | 101.7% |
ハンバーガー | 8,178億7,000万円 | 8,920億2,600万円 | +741億5,600万円 | 109.1% |
カレー・牛丼・各種丼物 | 3,401億6,700万円 | 3,644億5,400万円 | +242億8,700万円 | 107.1% |
コーヒーショップ | 3,761億1,600万円 | 4,204億7,600万円 | +443億6,000万円 | 111.8% |
参考:フランチャイズチェーン統計調査|一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(※2022年度参照)
持ち帰り寿司・弁当店
ほかの業態が売上高を伸ばしている中、持ち帰り寿司・弁当店は2020年から2021年にかけての売上高が減少しています。
しかし、テイクアウトの弁当屋は既存店の売上高が増加傾向にあります。特にデリバリーやインターネット注文が好調です。
持ち帰り寿司・弁当店のフランチャイズに加盟するなら、これらの注文にどのくらい力を入れているのかをチェックしましょう。
こちらの記事では、フランチャイズで開業する持ち帰り寿司・弁当店について解説しています。
https://entrenet.jp/magazine/42880/
ハンバーガー
ハンバーガー(ファストフード)は他業態と比べても売上高の増加が顕著ですが、マクドナルド・モスバーガー・ケンタッキーフライドチキンの大手3社の決算は「増収減益」となっています。増収減益とは「売上は増えたのに利益は減った」ということです。
ただ、減益の主な原因は円安や原材料費・物流費の高騰など、他業態・業界でも見られるものです。これを踏まえると、ハンバーガー業界は好調と考えられるでしょう。
こちらの記事では、フランチャイズで開業するハンバーガーショップについて解説しています。
https://entrenet.jp/magazine/42434/
カレー・牛丼・各種丼物
牛丼をはじめとした丼物はおおむね好調で、緩やかではあるものの、2021年から2023年まで売上高の上昇が続いています。
カレー・牛丼・各種丼物は、元から「特別な外食」というよりは「仕事中や忙しいときに手早く食事を済ませたい」というニーズが強い業態です。コロナ禍で定着したテイクアウトに加え、2023年からは店内飲食のニーズも戻りつつあります。
こちらの記事では、フランチャイズで開業する海鮮丼・ファストフードについて解説しています。
https://entrenet.jp/magazine/46087/
https://entrenet.jp/magazine/43495/
コーヒーショップ
コーヒーショップも2020年から2021年にかけての売上増が大きい業態ですが、利用頻度の高い「昼から夕方」「夜」の時間帯での利用は低下しています。
コロナ禍によるリモートワークやオンライン会議・商談などの影響を強く受けた業界といえるでしょう。特に夜は「利用しない」という人の増加が目立ちます。
コロナ禍はお酒を提供する飲食店の営業に大きな影響を与えましたが、その余波がコーヒーショップにもあったとみられます。
こちらの記事では、フランチャイズで開業するテイクアウトカフェについて解説しています。
https://entrenet.jp/magazine/45952/
フランチャイズのテイクアウトビジネスで売り上げアップするポイント
フランチャイズのテイクアウトビジネスで売り上げアップを目指すにはどうすればいいのか、チェーン選びや店舗運営のポイントを紹介します。
宅配・デリバリーへの参入
店舗でのテイクアウトへの対応はもちろん、宅配やデリバリーへの参入も視野に入れましょう。
これらを利用する人の多くは「注文時の利便性」「持ち帰りできるメニューの豊富さ」に魅力を感じています。そのため、顧客の利便性を高めるための工夫は欠かせません。
フランチャイズ本部によってはデリバリーサービスを個別で契約しているところもあります。このような本部を選ぶと、売り上げアップも目指しやすくなるでしょう。
時間帯によって商品を変え、二毛作/三毛作を実現
時間帯によって商品を変えることでお客さまのニーズにより合った商品を提供できるようになります。メニューが時間帯によって変わることをアピールすることで、ほかの時間帯での来店を促したり、飽きを防いだりもできるでしょう。
テイクアウトのみであれば、イートインのお客さまのことを考えずメニュー展開できるので、省スペースでありながら時間帯によって提供する商品を変えることもできます。
本部によってはそれぞれの時間帯に合ったおすすめのメニューを開発しているところもあるので、チェーン選びの際に確認してみましょう。
リピーターの確保
テイクアウトに限らず、「リピーターの確保」は飲食店にとって永遠の課題といえます。
リピーター獲得にかかるコストは新規客の獲得に比べて低いうえ、リピーターが増えるほど、既存客が新規客を連れてきてくれる確率も高くなるでしょう。
メニューの豊富さやお客さまにとってのコストパフォーマンス、画像・動画を活用しながらメニューを売り込むなど、リピーター獲得の工夫を凝らしているチェーンを選びたいです。
フランチャイズのテイクアウトビジネスで成功した実例を紹介
フランチャイズのテイクアウトビジネスで売り上げアップを目指すポイントは先述の通りですが、具体的にどのようにチェーン選びを進めたらいいのでしょうか。
そのヒントとなる、フランチャイズのテイクアウトビジネスで成功した事例を紹介します。
開業初日から軌道に乗って現在5年目!年商5000万円(八王子)を達成した井上さん
「自分で飲食店をやりたい」と大学生の頃から考えて、焼肉・ラーメン業態等を全国展開する大手外食チェーン会社に14年勤務した井上さんは、商品力・オペレーション力に手応えを感じつけ麺まるやに加盟しました。
店舗スタッフから店長、新入社員の研修、本社での業務推進、立地開発などあらゆる仕事を経験してきた井上さんが本部に求めたのは「商品開発力」。加盟の決め手は「名物商品がある」ことと「社長の人柄」に惹かれたことだそうです。
自分の強みと課題をよく理解し、本部のサポートを有効に活用する好事例です。
「生チョコクレープを地元青森に広めたい」家族の声援を受けて未経験からの挑戦した五戸さん
高級食パン店で初めて食品製造の仕事に触れ、作る楽しさやお客様の笑顔に惹かれて開業を考えるようになった五戸さんは「青森にはまだないこのクレープを絶対に広めたい!
」と生チョコクレープのキッチンカーを開業しました。
集客はInstagramのみとのことですが、出店場所をチェックして何度も通ってくださるお客様や、DMでイベント出店に声かけされたりもするそうです。
本部からの案件もありながら、友人や同業からの紹介を中心に出店しており「本部に頼り切らず、自分でできることをやっていく」スタンスで、自立した経営を実践中です。
ハンバーガー事業が緊急事態宣言時の救世主に!多店舗展開を本格強化して3店舗目も始動させた玉置さん
建設会社を営む玉置さんは会社の基盤強化のため、多角経営に取り組んでいます。飲食事業部の新規事業としてバーガーキングに加盟し、自社最高月商を毎月更新しています。
バーガーキングのフランチャイズに加盟したきっかけは、流行感度の高い女性社員との世間話でした。話をするなかでバーガーキングが気になった玉置さんはさっそくお店まで食べに行き、その美味しさに衝撃を受けたといいます。
当時は日本での知名度が低く店舗数も少ない状態で、「今がチャンス」と説明会に参加しました。
ちなみにバーガーキングの店舗増加率は2022年で27.3%と、ハンバーガー業界の中でも圧倒的です。玉置さんがバーガーキングを出店したのは2014年。日々アンテナを張り、フットワーク軽く行動を起こす姿勢が成功の大きな一因だったのでしょう。
まとめ
コロナ過の影響もあり、テイクアウトやデリバリーなど、飲食業界では新たなニーズに応えることが重要になっています。
最近はテイクアウト・デリバリー専門店も増えました。このようなビジネスモデルはイートイン用のスペースが不要で、小さな敷地でコストを抑えて開業できます。
テイクアウトやデリバリーなどの比較的新しい業態で開業するなら、フランチャイズを活用するのもいいでしょう。フランチャイズに加盟することで、本部が多店舗経営を進めながら培ってきたノウハウをそのまま活用できます。
テイクアウトのフランチャイズ一覧は下記リンクから確認できます。各チェーンの詳細をチェックしたり、説明会への参加を申し込んだりもできるので、ぜひ活用してください。
<文/赤塚元基>