かつてはサロンに勤めてこその美容師の仕事でしたが、最近ではフリーランスやフランチャイズで美容師として活躍する人が増えてきました。フランチャイズで美容院を開業するとはどのようなものなのでしょうか。美容院のフランチャイズの仕組みはどのようになっていて、成功するためのポイントにどんなものがあるのか、メリットとデメリットと合わせてご紹介していきます。
美容院のフランチャイズはどんな仕組み
そもそもフランチャイズとは、ブランド力が確立された看板を使って決められたサービスを提供する契約のことです。フランチャイズ本部が店舗の看板、商品・サービス、経営ノウハウなどを提供する代わりに、加盟する側はロイヤリティという加盟金を毎月支払うのがフランチャイズのビジネスモデルです。
美容院のフランチャイズの場合、フランチャイズ本部に加盟金をに支払って契約をすると、美容院の看板とメニューをそのまま提供できるようになります。また、フランチャイズ本部から経営指導や美容師としてのスキルの教育を受けられるので、美容院の経営経験がなくても安心して開業することができます。
フランチャイズで美容院を開業するには
美容院をフランチャイズ契約して開業するためには、どのような手順を踏まなくてはいけないのでしょうか。また、どれほどの費用がどのような項目にかかるのかをご説明していきます。
加盟契約~開業までの流れ
美容院のフランチャイズは、以下の流れに沿って開業します。
- どんな美容院を経営したいのか、自己分析する
- 気になるフランチャイズ本部がないか情報収集をする
- 加盟を検討しているフランチャイズ本部の説明会に参加する
- フランチャイズ本部と契約を締結する
- 店舗の物件を決め、内外装の工事をする
- 開業前の研修を受ける
- 自治体に開業届けを提出する
- 開業する
美容院といってもさまざまです。「ターゲット顧客が若者なのか高齢者なのか」でも、経営方針や開業すべき地域が異なります。ほかにも、カット、パーマ、カラーなど「どの技術をより発揮したいのか」によっても、選ぶべき美容院は異なるでしょう。自分のスタイルとマッチしないと期待通りのパフォーマンスが発揮できません。情報収集のタイミングでたくさんの美容院をチェックし、自分にぴったりな店舗を見つけられるようにしましょう。
開業資金
美容院をフランチャイズで開業するためには、まず以下のような費用がかかります。これは、美容院に限らずフランチャイズであればどこの業界でも支払わなくてはいけない費用であると理解しておきましょう。
また、美容院で使うカラー剤やシャンプー・トリートメントなどの備品は、フランチャイズ本部がまとめて発注してくれているケースが多いです。そのため、個人で開業するよりも安価に仕入れられることがあるでしょう。とはいえ、ランニングコストとして毎月かかる支出ではあります。忘れてはいけないのが水道光熱費です。カラー、パーマ後にはシャンプー時以上に水道代がかかりますし、パーマやドライヤー時の光熱費も見込んでおきましょう。さらに、スタッフを雇う場合には、人件費もかかります。
運転資金
美容院であっても、フランチャイズを契約をしていれば「看板を使わせてもらっている対価」として支払うロイヤリティの支出は避けられません。中にはロイヤリティが無料のフランチャイズ本部もあります。しかし、ロイヤリティは提供してもらえるノウハウなどの対価です。あまりにも安かったり、無料だったりするフランチャイズ本部に飛びついてしまうと、望んでいるサポートが受けられない可能性があることを理解しておいてください。
また、美容院で使うカラー剤やシャンプー・トリートメントなどの備品は、フランチャイズ本部がまとめて発注してくれているケースが多いです。そのため、個人で開業するよりも安価に仕入れられることがあるでしょう。とはいえ、ランニングコストとして毎月かかる支出ではあります。さらに、スタッフを雇う場合には、人件費もかかります。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズで美容院を開業するメリット
美容院をフランチャイズで開業するのには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
比較的低コストで開業できる
本来個人で美容院を開業しようと思うと、物件を取得したり、集客・経営のノウハウを身につけたり、雇用した美容師を育てたり…やらなくてはいけないことやコストのかかることがたくさん舞い込んできます。
フランチャイズに加盟することで、初期費用として加盟金を支払ったり、ランニングコストとしてロイヤリティを支払ったりする必要がでてくるものの、物件の取得をサポートしてくれたり、集客・経営のノウハウを教えてくれたりします。自身の時間や労力を物件探しに費やしたり、わざわざセミナーなどに参加して集客・経営に関するノウハウを身につけたりするよりも、低コストで開業が目指せるのです。シャンプーやカラー剤などの消耗品も本部から安く仕入れられる場合もあるのもメリットといえるでしょう。
美容師やスタッフの採用がしやすい
理容院・美容院は、業界の中でもスタッフの採用が難しいといわれています。個人経営の美容院では宣伝力が弱く、スタッフの応募がなかなか来ません。
その反面フランチャイズは、フランチャイズ本部のブランド力や宣伝力を駆使してスタッフの採用のサポートをしてくれます。自分でスタッフの採用ができずともフランチャイズ本部から補充してもらえることもあるため、人員の確保に悩まされることは少ないでしょう。
プロモーションや集客力に期待できる
フランチャイズ本部には長年培ってきた開業する際のノウハウ、知名度の上げ方、経営方針など、情報のストックが豊富にあります。これらの情報を用いることで、効果的なプロモーションが打て、効率よく集客ができるようになるのです。こうすることで、開業初日からお客さんで賑わうのも夢ではなくなるのです。
最新の流行をいち早く取り入れられる
フランチャイズでは、どこの店舗でも同じレベルの技術が求められるため、常に最新の流行がフランチャイズ本部から伝達されてきます。また、他の加盟店から情報が共有されることもあるため、流行に敏感な状況に身を置くことができるでしょう。
経営を安定化させやすい
フランチャイズであれば、美容院に限らず経営のノウハウを提供してもらえます。そのため、自分で一から開業するよりも経営を安定化させられるメリットがあります。そのほかにも経営に必要なシステムなども本部から提供してくれるケースも少なくありません。
フランチャイズで美容院を開業するデメリット
美容院をフランチャイズで開業するのには、以下のようなデメリットがあります。
- 初期費用としての加盟金と、サポートを受ける対価としてロイヤリティを支払う必要がある
- 契約したフランチャイズによっては、内装費や設備費用が高額になることもある
- 内外装・メニュー・規約はフランチャイズ本部が作成したものに基づくため、自由度が低い
- 競合避止義務があり、契約後に独立するのが難しい場合がある
自分の思い描く美を追求したい美容師にとって、理想とする美容院を実現できないのは悔しいことでしょう。フランチャイズは自由度が低いため、何か取り入れたい経営方針やスタイルがあってもまずはフランチャイズ本部に掛け合う必要があります。ただし全店舗共有の考え方をする必要があるため、掛け合っても全てが自身の思い通りにはいかない可能性があることを理解しておきましょう。
フランチャイズの美容院を成功に導くために
フランチャイズの美容院を成功に導くためには、資金計画を十分すぎるほど作成しておくことです。「どれほどの収入に対してどれほどの支出がありそうなのか」を事前に考えておくだけで、実際に運用を始めてからのお金の使い方に気が配れるでしょう。赤字を出してしまわない以前に、当面生活できるだけの費用を確保しておくことも重要です。事前のシュミレーションで「なんとか軌道に乗せられそう、生活しながらでもしっかりとやっていけそう」と運用開始後のビジョンが見えれば、大きく失敗してしまうようなこともないでしょう。
フランチャイズを活用して自分の美容院をオープンさせよう
美容院を自分で開業するためには、技術や経営ノウハウだけでなく、業者とのつながりが必要になるなど、考えなくてはいけないことがたくさんあります。フランチャイズ契約をすれば、難しいことはフランチャイズ本部からサポートが受けられるため、自分で開業するよりもハードルが低く憧れの自分の美容院が開業できるでしょう。
少しでも気になる方は、アントレをチェックしてみてください。
<文/ちはる>