脱サラが成功して、自分のビジネスが軌道に乗るかどうかは「運任せ」のように感じるかもしれません。しかし、脱サラを成功させるにはコツがあります。本記事では脱サラをした成功例をご紹介します。3名の方にインタビューしたリアルな情報をお伝えします。脱サラが上手くいく人の心得、失敗する人の特徴も、成功例を分析したうえで解説します。
脱サラとは?
「脱サラ」とは、「脱サラリーマン」の略で、会社員としての職を辞めて自ら事業を始めることを指します。脱サラの選択は、自由な働き方や収入の増加を求める人々にとって魅力的な選択の一つとなります。
脱サラの現状と成功率
ただ、脱サラは一筋縄でいかないことが多いです。脱サラして起業した企業が、起業から10年後も存続している割合は3~6%とされています。これは、脱サラして成功することが容易ではないことを示しています。
脱サラの平均年齢と職務経験
日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査」によれば、開業時の平均年齢は43.7歳で、40代が最も多い割合を占めています。また、開業者の84.4%が自身の経験のある職種で起業しており、経営経験がある人の割合は13.1%にとどまっています。
脱サラ成功例1.会社員×個人事業主で準備を整え、満を持して脱サラしたAさん
筆者が実際にインタビューをした脱サラ成功例の1つ目は、「会社員×個人事業主で準備を整え、満を持して脱サラしたAさん」です。
Aさんはマーケティングの会社に勤めながら、個人事業主としてまずは小さく開業しました。業種はもちろんマーケティングで、本業と副業のシナジー効果が高かったといいます。
Aさんの働き方は少し変わっていて、当時は会社員として週4日、個人事業主として週3日働いていたそうです。しかも、個人事業主としての拠点は会社から離れた場所にあり、新幹線で往復7時間ほどかかっていたといいます。
会社員として働きながら、知識とスキル、経験を蓄えて満を持して脱サラしたAさん。興したマーケティング会社では、民間企業から行政まで、幅広く仕事を請け負っているそうです。
【Aさんの成功例を分析】とにかく準備が万全だった
Aさんの成功例を分析すると、「とにかく準備が万全だった」ことが大きいでしょう。
Aさんは大学でマスコミについて学び、もともとはメディア関連の仕事がしたかったといいますが、新卒で入社したのはシステム関連のIT企業。就職活動をしていた当時はリーマンショックの直後で、マスコミ関連の仕事が就職氷河期というべき状況だったそうです。
そこでAさんは、「仕事がないなら仕方がない。まずはビジネスパーソンとして実力をつけよう」と考え、スキルアップにつながりそうなIT企業を選びました。そのIT企業に勤め続けていましたが、29歳になった時、「やりたいことにチャレンジできるのは、今が最後かもしれない」と転職活動を始めました。
AさんはIT企業で働いていた経験から、主要メディアは、マスコミ系からWeb系へと、移りつつあると感じたといいます。そこで経験を活かし、もともと志望していたマスコミ系ではなくマーケティングの企業に転職しました。
ITとマーケティングはシナジー効果も高く、Aさんは経験を存分に活かして活躍するようになりました。会社員として働きながら、自分でもメディアを運営することで知見を深めていったといいます。
圧倒的なスキルを身に付け、個人事業主として人脈と顧客を確保したうえで、満を持してAさんは独立しました。
会社員としてマネジメント経験を積んでいたこともあり、Aさんは従業員や外部パートナーとのコミュニケーションがとにかく円滑です。営業や渉外などで実務にあまり携わることができないAさんは、実務担当者を大切にし、彼らが働きやすく、やりがいを感じられる環境をつくっています。
成功例2.脱サラし、フリーランスで色々な仕事をしているBさん
筆者が実際にインタビューをした脱サラ成功例の2つ目は、「脱サラし、フリーで色々な仕事をしているBさん」です。
Bさんは、「収入の元」を複数個、持っています。先ほど紹介したAさんは、最終的に会社を興して「経営者」となりましたが、これは責任もリスクも大きな生き方です。身軽に生きたい・働きたいという人には、これからご紹介するBさんのような脱サラもいいかもしれません。
Bさんは次のような仕事をしています。
【Bさんの仕事の一例】
・営業代理店
・個人向けコンサルティング
・オンラインサロン運営
・動画編集
・ライター
・カメラマン
・靴磨き など
Bさんはとにかく興味を持ったことにチャレンジする人で、興したビジネスに高い主体性を持って取り組んでいます。幅広くビジネスを展開する中で人脈が広がり、その人脈を活かして新しいビジネスを始めるというスタイルを確立しました。
【Bさんの成功例を分析】自分の強みと弱みを徹底的に分析していた
Bさんの成功例を分析すると、「自分の強みと弱みを徹底的に分析していた」ことが土台にあると分かります。
今でこそ幅広くビジネスを展開するBさんですが、最初はスクールの営業代理店のみをしていました。しかも、営業を始めた当初はなかなか成果が出ず、「自分には向いていないのではないか」と思い悩んだそうです。
Bさんは自分がなぜ成果を上げられないのか、営業活動のどのようなところが苦しく感じるのかをよく考えてみました。その結果、売ろうとすることが苦しいのだと気付いたといいます。
Bさんは、もともと人懐っこい性格で、自分の利益のために商品を売るという考え方に違和感があったそうです。そこでBさんは考え方を変えました。売ることをやめ、必要としている人に、自分や商品のことを知ってもらうことにしたのです。
売り上げへのこだわりを捨て、自分と気の合う人を探し、その人と「仲良くなること」「その人の役に立つこと」だけを意識したといいます。
結果として、Bさんはたくさんの人から信頼を得て、「Bさんから商品を買いたい」と契約をしてくれる人が増えました。今ではその人脈を活かし、「脱サラしたいけれど上手くいかない」と悩んでいる人に個人コンサルティングを行ったり、自分の顧客と一緒にオンラインサロンを運営したりしています。
成功例3.脱サラしてフリーランスになるも、苦労も多かったCさん
筆者が実際にインタビューをした脱サラ成功例の3つ目は、「脱サラしてフリーランスになるも、苦労も多かったCさん」です。
Cさんは現在、フリーのライター兼マーケターとして、クライアントワークを中心に活躍しています。この活動で得たノウハウを活かし、オンラインサロンも運営しているそうです。ちなみに、このオンラインサロンは先述のBさんとの共同運営です。
今でこそ、フリーランスとして得たノウハウを活かして活躍しているCさんですが、脱サラ後、しばらくはかなり苦しんだといいます。全く準備をせず、貯金もゼロで脱サラしてしまったからです。
Cさんは勤めていた会社の組織編成が変わるのを機に、以前から憧れていたライター・マーケターになるため、転職活動を始めました。
しかし、Cさんはその当時、県内でライター・マーケターを募集していた全ての会社で不採用となってしまいます。ところが、諦め切れずにフリーのライターになることを決めたそうです。
Cさんは、次のような仕事をしています。
【Cさんの仕事の一例】
・ライター
・編集者
・マーケター
・オンラインサロン運営
・セミナー講師 など
以前から副業でライターとしての仕事をしていたため、何とかなると思っていたCさんですが、現実はそう甘くありません。脱サラして1年間は生活費をまかなうためにコールセンターの夜勤を、その後も生活が苦しくなるたびに、単発のアルバイトをして生活をしていたといいます。
【Cさんの成功例を分析】準備不足は否めないが、徹底したマインドセットが功を奏した
準備不足で脱サラしてしまい、しばらくは派遣社員やアルバイトとして働きながらギリギリの生活を送っていたCさんのエピソードは成功例としてだけでなく、成功とは逆方向へ進んでいたという経験談なので学べることは多いです。
Cさんが失敗で終わらず、「脱サラの成功例」といえるまでに持ち直したのは、マインドセットを徹底したからだそうです。ライターの経験もあり、なんとかなるだろうという思いを捨て、徹底して自身のスキルを棚卸ししたと言います。
自身の能力を棚卸しした結果、Cさんは、ギブ精神が強かったようで、自分のように「フリーランスに憧れて脱サラしたものの、思うようにいかず行き詰まっていた後輩たち」の相談によく乗っていたことに気付いたといいます。
後輩たちの相談は、面倒に感じたり、「そんなこと自分で調べたら?」と思ったりしたことも多かったというCさん。しかし、Cさんは持ち前のギブ精神で一人ひとりの状況を聞きながら、オーダーメイドなアドバイスをしました。先ほど成功例として紹介したBさんからも後輩の紹介を受けるなど、それが評判となり、最終的にはBさんと共同運営のオンラインサロンの土台になったといいます。
Cさんのギブ精神は、クライアントワークでも発揮されていたそうです。周りのフリーライターが「自分の稼ぎ」にこだわる中、Cさんは「自分の稼ぎよりも、クライアントや読者の利益が大事だ」という気持ちを崩しませんでした。
その結果、Cさんの書いた記事は成果も評判も高く、クライアントのチームで主要メンバーとしてキャリアアップしていったといいます。
脱サラの成功例といえるまでになったのは、「相手の利益を最優先する」という、ビジネスの基本を徹底し続けたことが理由です。
脱サラを成功させるためのポイント
脱サラ成功者から見えるポイントはいくつかあるとみています。
・脱サラの成否はマインドで半分決まる
・まずは副業でスモールスタートするべし
・最低でも半年分の資金を確保すべし
その他にも成功している人たちの共通点やポイントがいくつかあります。
運転資金と生活資金を確保する
脱サラ後の収入は不安定になる可能性があるため、事前に十分な貯金を確保しましょう。事業を行う際の運転資金の貯蓄については実施している方は多いですが、生活費については見落としがちです。脱サラや起業後に、思ったように売り上げが立たないということはよくあります。半年程度の生活費は確保しておくようにしましょう。
事前の市場調査と市場分析は必ず行う
脱サラ後にビジネスを行う予定の市場の調査や、ライバルになるであろう企業の調査は必ず実施しましょう。商品の質や商品の価格、営業手法や販売路などを事前に把握することによって、脱サラ後に市場のニーズとかけ離れた商品を売るなどのロスを防ぐことができます。くれぐれも、思いつきで脱サラをするのはやめておきましょう。
脱サラ後に借入する場合は事業計画書の作成をする
起業をする際に出てくるワードの一つとして「事業計画書」があります。事業計画書はその名の通り、どういった商品(サービス)を、どのように販売してくことで、どれだけの利益が出る予定というシミュレーションのようなものです。
実際の経営はシミュレーション通りにいかないことの方が多いので、事業計画書を作成する意味はほとんどありません。
ただし、銀行から融資を受ける場合は別です。創業時に銀行から融資を受ける場合は、「事業計画書」が必ず必要になります。事業計画書の出来次第で融資が受けられるかどうかの判断がされるため、脱サラ後に融資を受ける予定のある方は、事業計画書を作成するということを頭に入れた上で、今のうちから「どのように自分のビジネスを成長させていくか?」を考えておくようにしましょう。
成功例にみる、脱サラが上手くいく人の心得3条
ここまで紹介した成功例からは、脱サラが上手くいく人の特徴も見えてきます。脱サラを考えている方は、次の3つを意識して準備を進めましょう。
【脱サラを成功させる心得3条】
・脱サラの成否はマインドで半分決まる
・まずは副業でスモールスタートするべし
・最低でも半年分の資金を確保すべし
心得1.脱サラの成否はマインドで半分決まる
成功例にみる、脱サラが上手くいく人の心得第1条は、「脱サラの成否はマインドで半分決まる」です。
Aさんは脱サラするためには準備やスキル、経験が大切なことを理解し、会社員として働きながらも勉強の手を緩めませんでした。起業した後も、パニックになりそうな状況にあっても、メンバーへの心遣いを最優先にしたといいます。これは並大抵のことではなく、意志力を鍛え続けたからこそできることでしょう。
BさんとCさんも、自分の利益より相手の利益を優先する姿勢を、徹底して崩しませんでした。だからこそBさんは広く磐石な人脈を築けましたし、Cさんはクライアントワークでキャリアアップし続けられました。
心得2.まずは副業でスモールスタートするべし
成功例にみる、脱サラが上手くいく人の心得第2条は、「まずは副業でスモールスタートする」ことです。
Aさんは会社員として経験を積み、開業資金を蓄えながら、脱サラするための準備を着々と進めていました。Aさんが個人事業主として人脈づくりや顧客開拓に集中できたのも、会社員として安定した収入が得られる安心感があったからかもしれません。
反対に、Cさんの例からは「いきなり脱サラすることのリスク」が見えてきます。副業としてライターをしていた時期もあるとはいえ、Cさんがライター・マーケターとして本格的に活動を始めたのは、脱サラしてからです。
準備不足で脱サラしてしまったCさんは、開業当初、なかなか仕事を獲得できず、焦ったそうです。貯金もなかったため生活を維持できず、しばらくは派遣社員やアルバイトをしていたため、自分のビジネスに集中できなかったともいいます。
収入元の多いBさんの成功例を見返すと、新しいビジネスをスモールスタートしやすい状況が整っていることが分かります。
心得3.最低でも半年分の資金を確保すべし
成功例にみる、脱サラが上手くいく人の心得第3条は、「最低でも半年分の資金を確保する」ことです。
これは一般的にもいわれていることですが、その重要性は、準備不足で脱サラしたCさんの例を見るとよく分かるでしょう。半年分の資金があれば、Cさんは派遣社員やアルバイトなどをせず、初めから自分のビジネスに集中できたかもしれません。
実際、Cさんが営業活動に苦労したのは、脱サラ1ヵ月目までだそうです。それ以降は紹介やスカウトなども多く、仕事に困ったことはなかったといいます。
当時を振り返ったCさんは、「今にして思えば、あのとき苦労したからこそ上手くいかない人の気持ちが分かるし、ビジネスへの思い入れも強くなったのかもしれない」と語ります。ただ、最初から自分のビジネスに集中できていれば、成長も成功も早かったのは間違いないでしょう。
脱サラするときにしてはいけないこと
脱サラの成功例からは、「成功する人がやっていないこと」も見えてきます。特に、成功例でも失敗例でもあるCさんの例からは、「脱サラするときにしてはいけないこと」が学べます。
脱サラするときにしてはいけない3つのことを紹介するので、最低でも、この3つだけは徹底してください。
【脱サラするときにしてはいけないこと】
・脱サラを「ゴール」と考えないこと
・脱サラを煌びやかなものだと思わないこと
・【恐怖の実話】準備ゼロで脱サラするとどうなる?
脱サラを「ゴール」と考えないこと
脱サラを成功させたいなら、脱サラを「ゴール」と考えてはいけません。脱サラはゴールではなく、スタートです。副業としてスモールスタートしたとしても、専業で取り組んだり法人を興したりすることには、脱サラ前とは別な難しさがあります。
副業として取り組んでいたときに上手くいっていても、脱サラ後にトラブルが起きるかもしれません。脱サラ後しばらくは、ビジネスも生活も安定しないものと考え、シビアな目線を持ち続けましょう。
脱サラを煌びやかなものと思わないこと
脱サラを成功させたいなら、脱サラに対する「煌びやかなイメージ」は捨てましょう。脱サラした人たちのSNSなどからは、高級ホテルやおしゃれなカフェで仕事をしたり、自由気ままな多拠点生活を楽しんだりしている様子がうかがえるでしょう。
たしかに、彼らの生活の一部には、そんなシーンもあるかもしれません。しかし、煌びやかな生活はほんの一部で、普通に暮らしている人がほとんどです。彼らはビジネスオーナーであるため、自分をブランディングするために、キラキラしたワンシーンを切り取って発信しているのかもしれません。
いずれにしても、独立当初は苦労することも多く、信頼と経験を地道に積み重ねる日々が続きます。
事業資金や生活費に困ることのないよう、節約を徹底しましょう。
【恐怖の実話】準備ゼロで脱サラするとどうなる?
成功例としてだけでなく、失敗例としての学びも多いCさんのエピソードを思い出してみてください。準備ゼロで脱サラするとどうなるか、経験者であるCさんに、実体験を語ってもらいました。
【Cさんに聞く、準備ゼロで脱サラした後に起こること】
・脱サラ後すぐに仕事が安定することは珍しく、貯金がない分、不安も大きくなる
・当面の生活費やローンの支払いが間に合わず、派遣社員やアルバイトをすることになる
・自分のビジネスと派遣社員、アルバイトの仕事の両立で時間が足りず、プライベートを確保できない
・時間が足りず家族サービスもできず、私生活でも仕事を気にしてしまうため、家族仲が悪くなる
・家族仲が悪くなると家に居づらくなるが、仕事場も自宅なためストレスが2倍速で溜まる
Cさんは周りの人に恵まれていたため、これらのトラブルを乗り越えられたといいます。それと同時に「自分は運が良かっただけ」「こんな思いをしなくても、脱サラを成功させることはできる」ともいいます。
脱サラを成功させたいなら、しっかり準備をしてほしいと、Cさんは最後に話してくれました。
脱サラして開業しやすい業種
成功例を見ていくと、脱サラするうえで「準備」や「スモールスタート」がいかに大切かが分かります。副業としてスモールスタートしやすい、資金があまりかからず準備に時間がかからないという意味では、次のような業種は脱サラしやすいといえるでしょう。
【脱サラして開業しやすい業種】
・メディア運営
・ECサイト、物販 など
これらの業種で脱サラするなら、しばらくは副業として続けながら、軌道に乗ってから独立するのがおすすめです。
脱サラしての開業が難しい業種
脱サラで大切なのは準備すること、できるならスモールスタートすることです。これらのことから、次のような業種での脱サラは、やや難易度が高いといえます。
【脱サラしての開業が難しい業種】
・飲食
・小売り
・投資 など
これらの業種で脱サラするなら、なるべく多く自己資金を貯めること、リスクヘッジをしっかり考えておくことが大切です。
特に投資系は、デイトレードのような短期取引を除き、副業としても取り組みやすいです。脱サラや独立のためというよりは、「老後資金の確保」「サイドビジネス」として続けるのがいいでしょう。
最後に〜
最後に〜脱サラする際の7つのリスク
「脱サラをして自由な人生を手に入れるんだ!」と意気揚々と脱サラをしようとする前に、今一度、独立・開業にはどのようなリスクが伴うのかをきちんと振り返っておきましょう。
脱サラ後の期待感に溢れる人生だけをみてしまっていると、大きな後悔をすることになるということも…。そうならないためには、リスクもすべて理解したうえで脱サラをしなくてはいけません。
ここまでご紹介してきた脱サラでの成功事例と合わせて、脱サラのリスクを最後にもう一度考えて、脱サラの計画を進めてください。
1. 事業を軌道に乗せられないこともある
脱サラをしてすぐに自分で事業を始める方もいれば、そうでない方もいるでしょう。すぐに事業を開始しても、軌道に乗せるまでには資金と時間がかかることを理解したうえで開業するようにしなくてはいけません。
脱サラをした直後からでも仕事を獲得することは可能でしょう。しかし、生活できる程度の仕事量と収入を得るためには、信頼と実績を積んで自分を売り込んでいかなくてはいけません。確実な信頼や実績を得て自分で経営を続けていくためには土台作りが必要不可欠です。そのためにも、しばらくは下積みが必要になるでしょう。この期間は「お金にならないけれど実績になる仕事」と「実績にはならないけれどお金になる仕事」のどちらの仕事もバランス良く受けなくてはいけなくなるケースが少なくはありません。このことから、信頼や実績を得るために時間や資金がかかることは察しがつくでしょう。
この時期に資金を節約する目的で節税をしすぎたり、出費を抑えすぎたりしてしまうと、銀行からの融資を受けにくくなってしまうこともあります。バランスをみつつ、自分にとって最適な資金の使い方ができるように工夫が必要でしょう。
せっかく脱サラをして事業を始めたにもかかわらず、軌道に乗る前に息切れしてしまってはもったいないです。自分なりの目標やペースを決めて着実に前進していく覚悟を持ちましょう。
2. 仕事が安定しない
脱サラをしてすぐは、ご祝儀的な意味での発注や、安く仕事を依頼できるからといって、何かと仕事をくれる人もいます。しかし、徐々に自分の力だけで仕事を獲得していかなくてはいけなくなります。そのため、安定して仕事を得られないという可能性もあります。
自分の生活を保つためにも、定期的に仕事の依頼をくれる取引先の確保が重要になります。脱サラをしてからこのような取引先を見つけるのは難しいため、会社を辞める前から人脈やコネ作りなどに励んでおくことをおすすめします。脱サラ前から安定して仕事を受注し、こなしていれば「今後も引き続きお願いします」と安定した取り引きをしてもらえる可能性も高まります。
3. 収入が安定しない
当たり前のことではありますが、仕事が安定して獲得できないことには収入も安定しません。脱サラをして会社員ではなくなると、自分の働いた分が収入になるため上限はなくなります。ただし、それと同時に下限もなくなることを理解しておかなくてはいけません。
収入がない焦りや不安は、仕事のパフォーマンスにも響いてしまいがちです。無理矢理取ってきた仕事だと自分らしい仕事ができなかったり、取引先に納得してもらえるような成果が出せなかったりするなど、うまくいかないケースも少なくはないでしょう。このような状態になってしまうと空回りして、余計に安定できなくなってしまいます。
さらに、安定して仕事が取れるようになったとしても、低い水準で安定してしまった場合、毎月赤字ということにもなりかねません。収入が多い月もあれば少ない月もあることを理解し、それに合わせて支出も柔軟に変えられるような生活を見越す必要があります。
4. ネームバリューがなくなる
脱サラをした方の中でも特に大企業で勤めていた方は、会社員時代につながりのあった取引先に営業に行ったら今までのような対応ではなく冷たくされたり、相手にすらしてもらえなかったりといった経験することは少なくありません。取引先はあなた個人ではなく、あくまで大企業と取り引きをしていたのです。そのため、会社員時代にお世話になった取引先がいるからと安易に脱サラをしてしまうと、お役御免になってしまう可能性があることを知っておく必要があります。
脱サラをするということは、自分の後ろ盾となっていた企業名すなわちネームバリューがなくなるということです。自分という人間を信頼して取り引きをしてくれているのか自分の在籍している企業を信頼して取り引きをしているのか、十分に見極めましょう。
脱サラ後はこのようにネームバリューがなくなるため、最初は人との繋がりがかなり重要になります。広く知り合いを作ることも重要ですが、確実に仕事に繋げられるような深い関係性を作るよう心がけてみてください。
5. 休日の概念がなくなる可能性もある
脱サラをして自分一人で働くということは、勤務時間や休日も自分次第になります。自営業と聞くと「自由な働き方」のイメージを持っている人は非常に多いです。しかし、自営業は働かないと収入にならないため、安定して仕事ができるようになるまでは休日の概念をなくすぐらいの心持ちでなくてはいけないこともあります。場合によっては、体調が悪くても仕事をしなくてはいけないこともあります。
会社員のように有給や休暇申請などの概念もなくなります。自分で仕事の調整はつけられるようにはなるものの、自由な時間が増えそうだから開業しよう!と勘違いをしてしまっていると脱サラ後に大きな後悔をすることになってしまうでしょう。仕事に対する責任はもちろん、勤務スケジュールについても自己責任なのは脱サラをした方にとって大きなリスクのひとつと言えます。
6. バックオフィスの業務も行う必要がある
会社員時代は自分の職種や役職の業務だけをこなしていれば良かったものが、脱サラをすると、経理などの事務作業も自分で行わなくてはいけなくなります。
会社員の場合は、経理側で処理が行われ、年金や税金なども給与から控除されていたため、深く気にしたことがない方も多いかもしれません。しかし、脱サラをした自営業の場合はそうはいきません。日々の記帳、確定申告、税金の計算などの業務もすべて自分でこなしていかなくてはいけなくなるのです。
もちろん、税理士のような専門家に依頼したり、担当者を雇ったりなどの対策方法もあります。しかし、脱サラをしてすぐは人を雇う余裕もない方がほとんどでしょう。これらの経理業務は間違えると後の支払いに響くこともあります。最悪の場合、脱税になってしまい罰せられるなどのリスクがあります。通常業務が忙しい中で、絶対に間違えられない業務を並行する必要があるので、ハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
7. 世間体が良くない場合もある
頑張った分だけ収益が出せる自営業は、会社員と違って一攫千金のような大きく儲けられる一面はあるものの、安定した収入を得ることが難しいため、世間体が良くない場合もあります。結婚をしているとパートナーやその両親から理解を得られないケースも少なくはありません。応援してもらえるためにも、脱サラする際には家族の理解を十分に得る必要があります。
また、自営業だとクレジットカードが作りにくかったり、組めるローンの額が少額になってしまったりするなどのデメリットもあります。今後、大きなお金が必要になる方にとってはリスクになりうるので気をつけましょう。
脱サラで大事なのは、準備と軸を持つこと!成功例を参考に、自分なりの方法を考えよう
成功例を見ていると、脱サラで大事なのは「準備」と「軸を持つこと」だと分かります。準備の大切さはAさんの成功例から、準備しないで脱サラする怖さはCさんの失敗例から学べるでしょう。
準備と同じくらい大切なのが、「軸を持つこと」です。Aさんには「メディアに携わりたい」という軸がありましたし、Bさんは自分の強みを活かすことや、やりたいことを軸に、常に新しいビジネスを考えています。
ただ、「自分は会社員に向いていないから、脱サラしたい」「具体的な業種はまだ決まっていないけれど、自分の力で何か事業を興してみたい」という人も多いでしょう。
そんな人に、一度覗いてみてもらいたいのが、「アントレ」です。アントレでは全国各地、さまざまな業種のフランチャイズ・代理店や独立支援情報を掲載しています。
気になるものがあれば説明会への参加や資料請求を申し込むこともできますし、そうでなくとも、世の中にどのようなビジネスがあるのかを眺めているだけでも発見があるでしょう。
副業として開業できるプランの掲載もあるので、まずは気軽に覗いてみてください。