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従業員への健康診断は義務? 経費で落とせるのか? 個人事業主と健康診断の関係とは

働く上で、健康であることは基本です。その健康を維持していくことは、働く人と事業主の義務であり、責任です。

労働安全衛生法では、従業員の健康診断を法律的に義務付けていますが、事業主本人には義務付けていません。

そこで、個人事業主にとって重要な健康について考えていきたいと思います。

個人事業主は身体が資本

個人で事業を行っている個人事業主。

従業員を雇っている事業主もありますが、多くは、個人で行っているのでしょう。

そのため、自分自身が病気になってしまうと、即、事業の継続が困難となってしまいます。

さらに取引先との信頼関係にも影響を及ばします。

内容によっては損害賠償を求められるかもしれません。

そのため、個人事業主は、高熱になっても、お腹が痛くても、頭痛がひどくても、事業を休むことができないのです。

その上、お金の心配もあります。病気になって仕事ができなくなったら収入が途絶えてしまうのです。

そこで、個人事業主の多くがそのリスクを保険で回避しているという現状があります。

それが医療保険であり、所得補償保険です。

個人事業の場合、個人にかける保険料は経費にはなりませんが、保険料控除の対象となります。

身体が資本の個人事業主には、必要な出費かもしれません。

個人事業主が受けられる健康診断とは

個人事業主本人に対しては、法律で健康診断が義務付けられていません。

義務ではないからといって受けないでいると、病気で事業を行えないというリスクが高まります。

そこで個人事業主には3つの選択肢があります。

1つ目は、自治体の健康診断を受けることです。

個人事業主であれば、住んでいる自治体の国民健康保険に加入しているので、自治体が国民健康保険加入者のために行っている健康診断を受けることができます。

自治体が金額を一部補助していたり、無料の場合もあります。

内容は各自治体により異なるので、確認すると良いでしょう。

2つ目は、加入している健康保険組合で受けることです。

個人事業主は国民健康保険に加入するのが原則ですが、同じ業種の方が集まって作った健康保険組合に加入することも可能です。

例えば建設業や理美容業などがありますが、全ての業種にあるわけではありません。

組合に加入している個人事業主であれば、組合の補助を利用し健康診断を受けられたり、割安で指定の医療機関を受けることができます。

3つ目は、自分で選んだ病院などにおいて自費で受けることです。

この場合の健康診断は、保険が使えないので100%自己負担となります。

一方で、健康診断の項目を自分で選ぶことができ、さまざまな診断を受けることが可能です。

上記の3つが基本ですが、実はもう1つ、「商工会議所」の会員になるという選択もあります。

「商工会議所」の会員には個人事業主でもなれますし、商工会議所自身が事業主のためにさまざまな事業を行っていて、その中の1つに健康診断があるのです。

会員になることにより割安で健康診断を受けることができます。

自分自身で受けるよりも「商工会議所」を通して申し込んだ方が安い場合もあるので、これを機に「商工会議所」について調べてみるのも良いでしょう。

従業員を雇えば、健康診断が義務となる

労働安全衛生法には、「事業主は労働者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」と規定されています。

従業員が1人でもいる場合は、個人事業主でも法人でも規模の大小に関係なく、健康診断を行わなければなりません。

実施しない場合は、罰金が科せられます。

法律で定められているので、健康診断の費用については、事業主の負担となります。

そして、その費用は福利厚生費として経費となります。

個人事業主の健康診断は経費で落とせるのか?

個人事業主には、事業主本人に対して健康診断を行う義務はありません。

従って、健康診断は個人で受けることになり、負担した費用は経費とはならず、確定申告における医療費控除の対象にすることもできません。

ただし、健康診断の結果、重大な病気が発見されて治療を行った場合には、その健康診断の費用は医療費控除の対象となります。

まとめ

従業員への健康診断の実施は、会社の規模によって決められているものではなく、たとえ個人事業主や1名でも、従業員を雇えば健康診断の義務が発生します。

ところが、事業主自身には健康診断の義務がないため、その費用は経費とはなりません。

経費にならないから受けないというのは本末転倒です。

身体が資本の個人事業主だからこそ健康でいなければ質の高い仕事はできません。

健康診断の費用は自治体の補助があったとしても基本的には自費となり安くはありません。

しかし、健康診断を受けなかったために、発見が遅れ結果的に重大な病気になってしまうリスクは大きなものです。

代わりの人がいない個人事業主だからこそ、人一倍健康に気を使って毎年健康診断を受けることは、事業を継続する一番のポイントと言えるのではないでしょうか。

PROFILE

社会保険労務士 菅田芳恵

愛知大学法経学部経済学科卒業後、証券会社、銀行、生保、コンサルティング会社勤務後、独立開業。
49歳から2年間で社会保険労務士やファイナンシャルプランナーの資格など7つの資格を取得。
現在は13の資格を活かして、コンサルティングや研修、セミナーの講師、カウンセリング等幅広く行っている。
最近では企業のハラスメントやメンタルヘルスの研修、ワークライフバランスの推進、女性の活躍送信事業等で活躍している。[保有資格等]
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)、産業カウンセラー、2級福祉住環境コーディネーター、キャリアデベロップメントアドバイザー(CDA)、ハラスメント防止コンサルタント、DCプランナー、知的財産管理技能士、見まもり福祉相談員、三重県金融広報委員会金融広報アドバイザー、あいち産業振興機構相談員、岐阜県産業振興機構相談員、名古屋市中小企業振興センター相談員、名古屋市新事業支援センター相談員

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家を借りる際には、入居するのにあたり、さまざまな審査があります。

審査は、オーナーから見て入居者が、”入居期間きちんと家賃を払えるかどうか”、それに伴い、“勤めているところにはどのくらい勤務しているか”など、まずは、“家賃を支払える能力があるか”の確認をしなければなりません。

会社員の場合には、勤務先や収入額といった面で確実性が高いので、入居審査は比較的楽な場合が多いものです。

しかし、個人事業主や会社のオーナーの場合には収入面の不安定さがあるため、入居審査が通らない場合があります。

では、個人事業主などの場合、どうしたら入居審査をスムーズに進めることができるのでしょうか。

ここでは、個人事業主の方のために入居審査のポイントをいくつかお伝えします。

賃貸における入居審査の項目

一般的な入居審査には下記の書類などを求められます。

1.本人確認の書類
運転免許証や健康保険証、パスポートなど

2.収入が分かる資料
源泉徴収票や所得証明書など、会社員の場合にはこれらの書面が必要になります。
個人事業主の場合には、納税証明書その1・その2、加えて、確定申告書の写しなども必要です。

3.現在の住民票や印鑑証明書の提出

4.保証会社による審査
最近では、保証人を立てない代わりに保証会社を保証人代わりとする場合が多く、その場合には保証会社からの審査があります。

過去に賃貸物件を借りて家賃を滞納した経験があると、保証会社の審査が通らない場合があるので注意が必要です。

5.緊急連絡先の通知
万が一入居者に何かあった場合、連絡先として親族の住所や氏名を求められ、不動産業者や管理会社からの確認の連絡が届きます。

緊急連絡先の確認が取れない場合には、審査が通らないこともあります。

特に、個人事業主になって間もない場合は、収入面で審査が通らないケースがあります。少なくとも1年以上の事業実績がないと難しいため、注意が必要です。

保証人(緊急連絡先)の確認と保証会社

前述したように、入居審査の一環で、入居者の保証人として親族などの第三者を立てる場合があります。

近年では、保証人の代わりに保証会社を利用する場合が多く、保証料という金銭を入居者が払うことで保証会社の保証が付保されます。

これは、万が一、入居者が家賃滞納をした場合、家賃を入居者に代わって保証会社がオーナーに支払うものになります。

オーナーにとっては、家賃回収の労力は必要なく、利便性の高いシステムです。

昔は、保証人に未払い家賃の請求をするということも多く見かけましたが、当の保証人は知らぬ存ぜぬで回収ができない場合もあったため、今のようなシステムに変わってきています。

また、保証人ではありませんが、緊急連絡先の明示を求められ、入居前に必ず連絡先の確認も行われます。

身内であっても、自分の居場所を知らせたくないという事情がある場合には苦慮するので、どなたかが引き受けてくれるように事前に相談しておくと良いでしょう。

創業間もない場合

個人事業主でも、創業から間もないと賃貸物件が借りにくい場合があります。

やはり、創業直後は収入が不安定な場合があるので、家賃をしっかり支払えるかどうかを入居審査で確認されます。

従って、収入が毎月ある旨を証明できるものや、取引先の数やその内容、あるいは、賃料の6カ月分以上の預貯金があるなどの条件がついてくることもあります。

そう考えると、会社員時代に住まいを借りてから、個人事業主として創業するということも視野に入れておくべきでしょう。

まとめ

賃貸物件を借りる場合には、少なくとも上記の書類などをそろえておかなければなりません。

特に、個人情報保護の観点と犯罪などの利用がなされないように、入居者の本人確認書面は必須で、中には写真付のものを義務付ける場合もあるので注意しましょう。

また、個人事業主は会社員と違い、収入面での不安定さにハンデがあり、創業から間もないと、賃貸を借りるにせよ、さまざまな足かせがあります。

資金力があれば別ですが、無いとなれば計画的にことを進めていく必要があるでしょう。

例えば、住まいは会社員時代に借りておき、それから起業・創業するというのも1つの流れかと思います。

個人事業主には時間的な拘束などが少ない割には、事業が軌道に乗るまでの間は経済面での拘束があるので、起業前から、住まいも含めてよく将来を見据えておく必要がありますね。

PROFILE

FP・社会保険労務士 木村政美

2004年に、行政書士・社会保険労務士・FP事務所の「きむらオフィス」を開業。2017年より、ダイヤモンドオンラインにてコラム連載を持つ。年金や個人のマネープランの相談・講習、企業向けのメンタルヘルス研修など幅広い分野で活動している。

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