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従業員の健康診断は義務? 経費で落とせる? 個人事業主と健康診断の関係とは

独立ノウハウ・お役立ち

働くうえで、健康であることは基本です。

労働安全衛生法第66条では、医師による健康診断を従業員に法律的に義務付けていますが、事業主本人には義務付けられていません。

そこで、本記事では個人事業主にとって重要な資本である健康について、考えていきたいと思います。

個人事業主は身体が資本

個人で事業を行っている個人事業主。

従業員を雇っている個人事業主もいますが、多くは一人で事業を行っていることでしょう。そのため、自分自身が病気になってしまうと、即、事業の継続が困難となってしまいます。事業の継続が難しくなって納期が守れなかったりしてしまうと、取引先との信頼関係にも影響を及ぼします。場合によっては、損害賠償を求められたり、廃業を考えなくてはいけなくなったりするかもしれません。そのため、個人事業主は、高熱が出ても、腹痛でも、頭痛がひどくても、簡単に事業を休むことができないと思ってしまう傾向にあります。

その上、お金の心配もあります。病気になって仕事ができなくなったら、収入が途絶えてしまいます。そこで、個人事業主の多くがそのリスクを保険で回避しているという現状があります。それが医療保険であり、所得補償保険です。

個人事業の場合、個人にかける保険料は経費にはならないものの、保険料控除の対象となります。身体が資本の個人事業主には、必要な支出と言えるでしょう。

個人事業主は健康診断を受けるべき?

個人事業主が健康を保ち、事業を継続していくには、保険以外に大切なことがあります。病気を予防するという観点からも定期的に健康診断を受けることが何よりも大切です。特に健康診断を受けるメリットは、以下の3点です。

1.生活習慣を見直すきっかけになる
2.重大な病気を初期段階で発見できる
3.取引先に迷惑をかけたり、仕事を失うリスクを防いだりできる

上記のメリットをより詳細にお伝えしていきます。

1.生活習慣を見直すきっかけになる

個人事業主が健康診断を受ける1つ目のメリットは、健康診断の結果を踏まえて生活習慣を見直すきっかけになるからです。

自分自身の力量で稼いで生活をしなければいけない個人事業主にとって、病気を未然に防ぎ心身を元気に保つことは何よりも大切と言えます。

事業によっては深夜などに働かねばならないこともありますし、そうでなくとも暴飲暴食・栄養バランスの悪い不健康な食事など普段のちょっとした生活習慣の乱れは、なかなか自分では自覚しづらいものです。そこで、健康診断を定期的に受診することで日々の生活習慣を見直すきっかけを得られます。健康診断によって生活習慣を見直し、病気を予防できれば、事業からの長期離脱を避けられることもあるのはメリットと言えるでしょう。

2.重大な病気を初期段階で発見できる

個人事業主が健康診断を受ける2つ目のメリットは、病気を初期段階で発見できることです。

健康診断を受けることで、客観的に自身の健康状態を把握することができます。また、異常値が出てしまった場合は、診断結果をもとに医師の診察を受けて早期に対処することが可能です。

当たり前のことですが、病気などの症状は悪化してから対処するよりも初期段階の方が治療しやすいだけでなく、医療費なども比較的安く済ませられる可能性があります。このような点からも、定期的な健康診断は個人事業主にとって重要と言えます。

3.取引先に迷惑をかけたり、仕事を失うリスクを防いだりできる

個人事業主が健康診断を受ける3つ目のメリットは、取引先に迷惑をかけたり、仕事を失うリスクを防いだりできるからです。

個人事業主は、仕事の全責任を一人で負います。そんな個人事業主は、重大な案件を抱えているときほど多忙になり、ストレスや疲労が溜まりやすくなります。ストレスや疲労は、身体に直接的に影響してきます。

定期的に健康診断を受診していて、客観的にも健康である状態であれば、多少無理が続いてしまいそうなハードな内容であっても、積極的にチャレンジできるでしょう。

また、取引先から年齢的な面で病気などを不安視されてしまったとしても、健康診断の結果をもとに、自信を持って問題ないと返答できるようにもなります。自分を売り込むための手段としても健康診断の結果は有効です。取引先から安心して仕事を発注してもらえるようにもなるので、健康診断は必ず定期的に受けるようにしましょう。

個人事業主が受けられる健康診断とは

個人事業主本人に対しては、法律上、健康診断が義務付けられていません。

しかし、義務ではないからといって健康診断を受診しないでいると、病気で仕事ができなくなるというリスクが高まります。また、個人事業主(一人親方)が労災特別加入を申請する際には、健康診断書が必要となることもあります。

個人事業主には健康診断を受診する方法として、5つの選択肢があります。

1.自治体の健康診断を受診する方法
2.健康保険組合経由で受診する方法
3.自身で選んだ病院で受診する方法
4.あんしん財団や日本フルハップを活用して受診する方法
5.商工会議所を活用し受診する方法

それぞれの受診方法について、詳しく解説していきます。

「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」(厚生労働省)

1. 自治体の健康診断を受診する方法

個人事業主が健康診断を受診する1つ目の方法は、自治体の健康診断を受診する方法です。

個人事業主は国民健康保険に加入しているので、自治体が国民健康保険加入者のために行っている健康診断を受けることができます。自治体が金額を一部補助してくれたり、無料で行ってくれたりすることもあります。

ただし、自治体が実施している健康診断は、実施場所や予約人数に制限が設けられているケースもあり、日程調整など臨機応変な対応が求められることも多いです。また、結果が出るまで通常より日数がかかる場合もあります。検査の内容は各自治体・病院により異なるため、必要な検査や希望している検査が受けられるか確認してから受診するようにしましょう。

2. 健康保険組合経由で受診する方法

個人事業主が健康診断を受診する2つ目の方法は、加入している健康保険組合で受診することです。

個人事業主は国民健康保険に加入するのが原則ですが、同じ業種の方が集まって作った健康保険組合に加入することも可能です。たとえば建設業や理美容業などには健康保険組合あります。けんぽれんのWebサイトでは業種別・都道府県別で健保組合を検索できるので、気になる方は見てみてください。

健康保険組合に加入している個人事業主であれば、組合の補助を利用して健康診断を受けられたり、割安で指定の医療機関を受けられたりします。

けんぽれん

3. 自身で選んだ病院で受診する方法

個人事業主が健康診断を受診する3つ目の方法は、自分で選んだ病院などで、自費で受診する方法です。

自治体や健康保険組合経由で健康診断を受けようとすると、受診できる日が決まっており、なかなか調整がつかないという方もいるでしょう。そのような場合には、自身で選んだ病院で健康診断を受診する方法もおすすめです。

健康診断は病気やケガと違って保険診療外となるため保険が使えないので、100%自己負担となりますが、健康診断の項目を自分で選ぶことができ、さまざまな検査を受けることが可能です。なお、再検査・精密検査や治療が必要となった場合には、初めの健康診断も医療行為とみなされ、保険が適用されます。

4. あんしん財団や日本フルハップを活用して受診する方法

個人事業主が健康診断を受診する4つ目の方法は、一般財団法人あんしん財団や公益財団法人日本中小企業福祉事業財団(日本フルハップ)を活用して受診する方法です。

あんしん財団や日本フルハップは、中小企業向けの保険でケガの補償や防止、事故の補償、福利厚生の補助や助成などを行っています。個人事業主の方もあんしん財団は月額2,000円、日本フルハップは月額1,500円で加入できます。

加入者には定期健康診断の補助・助成金をあんしん財団では1人2,000円まで、日本フルハップは1人1回10,000円まで支給されます。日本フルハップでは、他にも、人間ドック、脳ドック、PET検診などが助成の対象となります。

「人間ドック補助金」(一般財団法人あんしん財団)

「人間ドック受診の助成」(日本フルハップ公益財団法人)

5. 商工会議所を活用し受診する方法

個人事業主が健康診断を受診する5つ目の方法は、商工会議所の会員となり、健康診断を受ける方法です。

商工会議所とは、「会員制の組織」であり、「非営利団体」です。商工会議所法に基づき設立された特別認可法人で、「中小企業の活力強化」と「地域経済の活性化」の実現を目的に組織されています。主な活動として、地域振興や地方創生などがあります。

また、個人事業主や中小企業に対し、さまざまな経営相談や補助金などの案内、IT化支援、グローバル化する社会に対応した、中小企業国際化支援なども行っています。各都市や地元企業の発展のための、フォローをする役割を担っているといってよいでしょう。

個人事業主でも商工会議所の会員になれます。商工会議所は、個人事業主のためにさまざまな事業を行っており、健康診断もその中の1つです。会員になることにより、割安で健康診断を受けることができます。

自分自身で病院を探して健康診断を受診するよりも、商工会議所を通して申し込んだ方が安い場合もあるので、これを機に商工会議所の会員となることを検討してみるのもよいでしょう。

従業員を雇えば、健康診断は義務となる

労働安全衛生法第66条1項には、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない」と規定されています。従業員が一人でもいる場合は、個人事業主・法人や規模の大小に関係なく、労災保険に加入させて、健康診断を受診させなければなりません。実施しない場合は、罰金が科せられます。

法律で定められているので、健康診断の費用については、事業主の負担となります。費用は福利厚生費、すなわち経費とすることができます。

「労働安全衛生法」(e-Gov法令検索)

個人事業主の健康診断は経費にできるのか?

個人事業主自身は、法律で健康診断を行う義務が定められていません。

したがって、健康診断を事業とは関係のない個人として受けることになります。また、健康診断自体は治療とみなされないため、保険診療外なので、負担した費用は経費にはなりません。また、確定申告における医療費控除の対象にすることもできません。

ただし、健康診断の結果、再検査・精密検査が必要となったり、重大な病気が見つかって治療を行ったりした場合には、その健康診断の費用は治療とされ、医療費控除の対象となります。

経費については詳しく動画で解説してしますので合わせてご確認ください。
会計の基礎知識。経費の仕訳は節税の基本です。

まとめ

従業員への健康診断の実施は、会社の規模や個人事業主であるか法人であるかに関係なく、たとえ1名でも従業員を雇えば健康診断を受診させる義務が発生します。パートタイムでも、週所定労働時間の4分の3以上働けば健康診断を受診させる義務が生じます。

ところが、事業主自身には健康診断の義務付けがないため、その費用は経費とはならず、控除もありません。

健康診断の費用は自治体などの補助があったとしても、全額ではない場合もあります。

健康診断の受診義務がないからといって、健康診断を受けずに健康を損なって、事業ができなくなってしまっては本末転倒です。身体が資本の個人事業主だからこそ、健康でいなければ質の高い仕事はできません。

また、健康診断を受けなかったために、病気の発見が遅れ、結果的に重症になってしまえば、損失はそれ以上に甚大なものになります。場合によっては、廃業しなければならなくなる可能性もあります。

代わりの人がいない個人事業主だからこそ、人一倍、健康に気を遣って定期的に健康診断を受診することは、事業を継続する一番重要なポイントと言えるのではないでしょうか。

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<文/ちはる>

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