少子高齢化問題が深刻な日本において、介護事業の需要は安定しています。近年では未経験者が開業できる介護フランチャイズも増えています。ただ、その多くは訪問介護系のフランチャイズであり、「デイサービス」のフランチャイズは数が限られています。そこで今回は、未経験者でも加盟出来るデイサービスのフランチャイズにはどのようなものがあるのか、加盟することにはどんなメリットがあるのかを紹介します。
デイサービスのフランチャイズでの独立・開業とは
デイサービス(通所介護)は「利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者が持つ孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減」などを目的としたものです。
デイサービス施設は、ほかの利用者とのコミュニケーションの場でもあります。利用者の「生活に必要な心身機能の維持・向上」と「社会的孤立感を解消すること」が、デイサービスの主な目的です。
デイサービス施設は1人でも開けますが、フランチャイズに加盟することで、低資金・低リスクでの開業が可能となります。フランチャイズとは、既存のフランチャイズチェーンに「オーナー」として加盟することです。そのフランチャイズ企業のブランド力やノウハウを活用して施設を開き、未経験でもスムーズに事業を成長させられます。
デイサービスのフランチャイズに加盟するメリット
フランチャイズに加盟すること、その中でも「デイサービスのフランチャイズを選ぶこと」には、次のようなメリットがあります。
フランチャイズに加盟すれば、そのフランチャイズ企業が長年をかけて培ってきた「信用力」を活用し、利用者を集められます。デイサービスに通う高齢者は、基本的に「誰かの家族」です。自分の家族をいい加減な施設に預けたいと思う人はいないでしょう。家族を預けるなら「信用」は重要なポイントとなるため、実績のないデイサービスは敬遠されてしまうかもしれません。フランチャイズに加盟した場合は、初めから信用力があるというメリットは大きいです。
フランチャイズの「ノウハウ」や「サポート」が受けられるのも重要です。デイサービスに限らず、介護事業ではさまざまな専門知識が求められます。他業界に比べ未経験者の参入が難しい世界ですが、フランチャイズ本部のサポートを受ければ、その限りではありません。最近では未経験者を積極的に募集しているフランチャイズも多いです。
フランチャイズの中でもデイサービス(介護系)を選ぶことには、「公的な支援制度が多い」というメリットがあります。介護事業を始めようという人に対する補助金や助成金の種類は多く、事業報酬の大部分は「国民健康保険団体連合会」から支払われるため、売り上げが未入金になるというリスクも回避できます。
国の後ろ盾で事業を進められるのが介護業界に参入するメリットですが、そのためにはいくつかの面倒な手続きをしなくてはなりません。フランチャイズに加盟すれば手続きのサポートも受けられます。そのため、フランチャイズと介護事業は相性が良いといえます。
デイサービスのフランチャイズに加盟するデメリット
デイサービスを含む介護事業には安定した需要があり、国からの支援も充実しています。ただ、そんな介護事業にもデメリットはあります。そもそも、フランチャイズに加盟すること自体に次のようなデメリットがあります。
フランチャイズに加盟する最大のデメリットは、加盟金やロイヤリティが発生することでしょう。ロイヤリティとは、そのフランチャイズのノウハウやブランドを使う対価のようなものです。「月の売り上げの何割か」や「毎月固定額」などを負担することとなります。中には加盟金もロイヤリティも不要な企業もありますので必ず確認しましょう。
また、介護業界には「人材を集めにくい」「競争が激しい」などのデメリットもあります。介護業界は慢性的な人手不足であり、他業界と比べて人材確保が難しいでしょう。介護サービスへの需要は高いものの、その分、参入者も多く、開業する地域や集客戦略を考えないと、思うように利用者を集められないかもしれません。スタッフ募集から採用までのサポートがあるフランチャイズ本部もありますので、自分にとって何が必要かを見極めながら本部を探すようにしましょう。
主要なデイサービスフランチャイズチェーン紹介
介護事業を展開するフランチャイズには、どのようなものがあるのでしょうか。主要なフランチャイズ企業を3つ紹介します。
A社
「フィットネスジムのようなリハビリ型デイサービス」がコンセプトのフランチャイズです。施設は明るくスタイリッシュな内装で、デイサービス施設のようには見えません。「介護を感じさせない空間」で、利用者の身体機能とコミュニケーションをサポートできます。
スタッフとして施設で働くオーナーも多く、利用者やスタッフと一緒になってコミュニケーションを取れます。やりがいや社会貢献を求める人には、ピッタリのデイサービス施設といえるでしょう。
B社
業界には珍しい宿泊対応もしているデイサービス施設です。通所の利用者だけでなく、緊急時の宿泊にも対応できます。本部からの支援が手厚いため、未経験者でも安心して利用者を預かれます。
施設は民家を改修して作るため、低資金で開業できます。開業半年で黒字化するオーナーも多く、リスクを抑えて開業したい人、事業を安心して続けたい人におすすめです。
C社
「ワンランク上のお泊まりデイサービス」がコンセプトのフランチャイズです。宿泊対応可能なデイサービス施設で、利用者は個室で宿泊できます。
施設用の物件は新築で、サブリース(本部が一括借り上げした物件をオーナーに貸し出す)契約にすることで、開業資金の大幅カットを実現しています。施設がきれいなので利用者からの評判も良く、安定して利用者を確保できるでしょう。
これからのデイサービスのフランチャイズ
デイサービスをはじめとする介護事業への需要は、今後も高まり続けていくでしょう。日本では少子高齢化が続き、今後ますます深刻になっていくからです。
参照:雇用を取り巻く環境と諸課題について|厚生労働省(P.2より)
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グラフは厚生労働省が「日本の人口推移」を調査したものです。これを見ると、日本の少子高齢化は年々、深刻化していくことが分かります。
高齢者数が増え続けるだけでなく、それを支える労働者数が減り続けていくのも問題です。ただでさえ人材確保の難しい介護業界は、今後ますます人手不足になっていくでしょう。早めに事業を興し、人材を確保・育成しておくのもいいかもしれません。
デイサービスのフランチャイズの市場規模
介護市場全体で見ると、2014年時点で8.6兆円、2020年時点で14.8兆円、2025年には18.7兆円規模にもなると予測されています。
その中で、デイサービスをはじめとする「施設系介護サービス」は、介護系サービス全体の23%ほどの割合を占めています。
進化し続けるデイサービスのフランチャイズ
デイサービスをはじめとする介護事業への需要が高まり続ける一方で、需要に対する供給が追いついていないのが現状です。慢性的な人手不足に対してはさまざまな対策が講じられているものの、そもそも労働力人口が少なく、根本的な解決は難しいでしょう。
だからこそ、フランチャイズに加盟するメリットは大きいといえます。フランチャイズの中には本部が人材の確保や育成を支援してくれるところも多いからです。
まとめ
最近では介護事業のフランチャイズも増えつつありますが、そのほとんどが訪問介護系のものです。デイサービスをはじめとする施設系のフランチャイズはまだまだ少なく、早期参入を考えるのもいいでしょう。
アントレではデイサービスのフランチャイズの加盟店募集を掲載しています。
まずはどんなフランチャイズ企業があり、どのように事業を展開しているのかチェックしてみてください。気になるフランチャイズがあれば、そのまま説明会に申し込むこともできます。
<文/赤塚元基>