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未成年の子に株式の贈与(譲渡)はできるのか

独立ノウハウ・お役立ち

会社が順調に大きくなったら、将来の相続対策のために子に株式を渡しておきたいと考えることがあるでしょう。

しかし、子が未成年であったらどのように株式を渡したら良いのでしょうか。

今回は、未成年の子に株式を贈与(譲渡)する方法についてそのフローと注意点について解説していきます。

未成年の子への株式贈与(譲渡)は行えるのか?

そもそも未成年の子はお金を持っていないため、株を分け与えたいと思ったら贈与という方法をとることになります。

贈与は一般的に諾成契約といって、贈与する人(贈与者)と贈与を受ける人(受贈者)がお互いにその意思を確認することで成立します。

これは口頭で行っても成立するとされています。

すなわち「これをあなたにあげます」「はい、いただきます」というやり取りが必要ということです。

しかし、未成年の子の意思表示といっても理解できているか曖昧なため、通常は親権者の承諾により判断します。

親権者から未成年の子に対して贈与する場合には、利益相反行為(親権の行使によって、親が得をし、子が損をすること)に該当しないことから、未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず、親権者が受諾すれば贈与契約は成立することになっています。

つまり、父親・母親いずれかの親権者がその株式の贈与を認めれば、未成年の子へ株式を贈与(譲渡)できるのです。

未成年の子へ株式贈与(譲渡)を行うフロー

未成年の子への株式贈与(譲渡)をする際には、以下のようなフローで行います。

1.株式譲渡人(株主)から会社に対して株式譲渡承認の請求

未上場会社においては株式に譲渡制限がかかっているのが一般的のため、株式を贈与(譲渡)する際には、発行会社に株式の名義変更の請求をしなければなりません。

これは譲渡人が会社に対して請求することになります。

2.取締役による臨時株主総会の開催決定

次に会社の取締役が臨時株主総会の開催を決定します。

複数の株主がいる場合には招集通知も発送します。

招集通知は原則として臨時株主総会の日の1週間前までに発送しなければなりません。

「取締役会を設置していない会社」では定款でこの期間を短縮している場合があるため、定款で1週間よりも短い期間であればその期間に発送するようにしましょう。

3.臨時株主総会の決議

臨時株主総会では、株式譲渡の承認を決議します。

株式譲渡の承認は普通決議となります。

なお、一人株主の会社の場合は総会決議を経なくても譲渡が可能ですが、譲渡が行われたことを示す書面を残すという意味で、株主総会は開催したほうが良いでしょう。

4.贈与契約書の作成

贈与は口頭でも成り立つと説明しましたが、未成年の子に贈与をする場合、税務署やほかの利害関係人とのトラブルを避けるために、贈与の事実を証明する贈与契約書を作成しましょう。

贈与契約書には、贈与の日付や贈与株数などを記載し、贈与者と受贈者の名義で作成します。

この際、未成年の子の法定代理人である親権者も受贈者の欄に加えるようしましょう。(親権者が贈与者の場合も同様)

また、「後日作成した」と疑われないために、公証人役場でその日にその書類が存在していたと証明される確定日付というものを得ておくと対策となります。

5.名義書換請求

名義書換請求書の用紙に必要事項を記入し、必要書類に添付して会社に提出します。この際、請求は譲渡人と譲受人が共同で行わなければなりません。

6.株主名簿の書き換え

最後に、会社は定められた様式で、株主名簿を書き換えます。これにより株式譲渡が完了します。

未成年の子へ株式贈与(譲渡)を行う際の注意点

未成年の子に株式贈与(譲渡)を行う際に注意すべきポイントは3つあります。

ポイント1:贈与契約書を作成する

贈与契約書の作成の項でも述べていますが、贈与の事実を証明するものとして、贈与契約書を作成すべきといえます。

贈与する株式の価値が110万円を超える場合には、贈与税の申告なども必要になるため、しっかりとした内容のものを作成しましょう。

ポイント2:手続きを間違わないようにする

株主総会の手続きに不備がある場合には決議そのものが無効になるおそれがあります。

また、株式譲渡の手続きが適法に行われていない場合などでは、譲渡が否定されてしまうことも考えられます。

したがって、手続きは漏れがないよう慎重に行い、必要であれば専門家に相談することも必要でしょう。

ポイント3:将来の変化に注意する

未成年の子に株式を贈与(譲渡)するということは「将来の相続や事業承継を考えてのこと」と考えられますが、その子が成人に達するまでは時間があります。

例えば、子に株式を贈与したものの、その後離婚して自分が親権を持たなくなった場合に、敵対する株主を抱えることになるかもしれません。

まとめ

未成年であっても、株式を贈与(譲渡)することはできます。

しかし、贈与契約書を作成したり、株主総会を招集して決議を行ったりなどの手続きをしっかりと行う必要があります。

また、良かれと思って行ったことが将来のトラブルを招く可能性もあります。

未成年の子に株式を贈与(譲渡)する際は慎重に考え、必要があれば専門家に相談しましょう。

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PROFILE
青野泰弘

ファイナンシャルプランナー・行政書士
1964年静岡県生まれ。同志社大学法学部卒業後、国際証券に入社。その後トヨタファイナンシャルサービス証券、コスモ証券などで債券の引き受けやデリバティブ商品の組成などに従事した。2012年にFPおよび行政書士として独立。相続、遺言や海外投資などの分野に強みを持つ。

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