自分の身体を大事にしていますか?
「ブラック企業」という言葉がニュースでよく取り上げられ、膨大な残業時間や出勤日数などが問題視されることが多い、現代社会。
自分の身を削ってまで仕事をして、過労死してしまうというケースを耳にすることも。
今回お話を伺ったのは、沖知子(おき・さとこ)さん。
沖さんは、働いている人たちの身体と心を健康にしたいと考え、企業などにヨガの体験を提供する、株式会社ブレストランを立ち上げました。
沖さん自らが足を運び、提供するヨガの体験は、大手有名企業からも支持されています。
身体だけの健康では意味がない、と語る沖さん。
様々な健康法がある中でヨガを用いる理由は、身体だけでなく「心」をケアすることにあるそうです。
その真意を、伺いました。
沖知子(おき・さとこ)28歳
株式会社ブレストラン 代表取締役/初代「ミス・ヨガ」(2016)
日本人で所有しているのは35人しかいない、ヨガ発祥の地・インドの政府が公認する、プロフェッショナルヨガ検定の所有者。
その他にも多くの資格を所有し、自らが積み上げた知識と経験を元に、様々な企業にヨガのサービスを提供する。
健康でいることは当たり前じゃない。父の死を乗り越えて、選んだ道
ー現在はヨガのインストラクターとして活動されている沖さん。これまでの経歴を教えてください。
大学卒業後に、大阪でオーダーメイドの枕を取り扱う企業の営業職に就きました。もともと大学で人間福祉に関することを学んでいたので、人の健康に携わりたいと思っていました。
また社会人になってから、仕事終わりに運動の一環としてヨガ教室に通っていました。
人の健康に携わる仕事をする者として、まずは自分自身が健康になるべきだと考えていたので。
ー沖さんがヨガと出合ったのは、社会人になってからだったんですね。健康を保つために、様々な手段があったと思うのですが、なぜヨガだったのですか?
最初は社会人でも手っ取り早く始められる健康法として、ヨガスクールが近くにあったので通い始めたんです。
ヨガについて深く勉強していく中で、健康とは、身体だけでなく「心」にも深く関係していることを学びました。
そして就職してから1年半ほど経った頃、父が病気で亡くなりました。
ー突然だったのですか?
はい。最初は本当に驚きましたし、全く実感が湧きませんでした。
しかし、徐々にその現実を受け入れ始めた時に、大きな悲しみに襲われたんです。
ーそれはおつらかったですよね…。沖さんは、お父さまの死とどう向き合い、そしてどう乗り越えたのでしょう?
自分も家族も悲しみに暮れる中で、光を灯してくれたのが、ヨガの存在だったんです。
父が亡くなってからも、ヨガは日課として続けていましたし、瞑想をしている時はどこか心が落ち着いたんです。
そしてより深くヨガについて学ぶようになりました。
ーどのようなことを学んだのでしょう?
ヨガは身体はもちろん「心」の健康を保っていくために、様々な教えが存在します。
その中に「健康や愛する人など、今その人の身の回りにある物事は、かけがえのないものである。それらに感謝をして満足することが真の幸福への近道だ」という教えがありました。
自分にとっての身近な人、父の死によって、よりヨガの教えを実感しましたし、救われたんです。
そこから少しずつ父の死を受け入れて、前を向いて生きていこうと思ったんです。
そして、勤めていた会社を退職して、ヨガのインストラクターの道を志しました。
ーなぜ、ヨガのインストラクターになろうと思ったのでしょう?
私と家族がとてもつらい思いをした時に、ヨガが近くにあったから立ち直ることができました。
健康で生活できることは当たり前ではない。当たり前のようにそこにある健康の大切さを伝えていくために、今度は私が、ヨガを教える側になりたいと思ったんです。