将来的に法人設立を考えている方や、今まさに法人化の準備をしている方、必見! 初年度から知っておくべき税金について、プライムファイナンシャルパートナーズ会計事務所の菅 彰裕さんにお話を伺う連載の5回目。菅さんは世界4大国際会計事務所のメンバーファームの1つであるPwC税理士法人を経て独立開業された税理士さんです。非上場企業から上場企業まで、幅広いクライアントの業務を担っている菅さんだからこそ知りうる税金の話をたっぷりお伝えします!
今回は、フランチャイズに加盟した際に税金面で優遇されるのか?ということについてご紹介します。
自力独立とフランチャイズ独立、税金面で有利なのはどっち?
自分自身で起業し、経営するのとフランチャイズに加盟して経営を行うのでは、税金上有利・不利といった違いはあるのでしょうか?
これについては残念ながら、どちらが有利ということはありません。
ただし、「融資を受ける」という観点では、フランチャイズ独立の方が準備の段階で色々とメリットがあると言えます。なぜだと思いますか?
日本政策金融公庫の創業融資を受けるケースを例に挙げて考えてみましょう。
新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人が無担保・無保証人で融資を受けることができる制度で、政策金融公庫からの貸し付けとなります。
融資限度額は3000万円ですが、通常は1000万円以下の借り入れを受ける方がほとんどです。据え置き期間は最高6か月と定められていて、これは最初の6か月間(最大)は金利の支払いのみで元本の支払いは先延ばしされます。企業は投資したお金を元に売り上げをあげ、投資回収し始めた後に元本を払うことになると想定されるので、キャッシュフローが良い経営を行うことができます。
創業融資制度が受けやすくなるポイントについてくわしく知りたい方はこちら(https://entrenet.jp/magazine/10288/)
融資を受けるには、以下の申請書類を提出する必要があります。
・借入申込書
・創業計画書
・見積書(設備資金申込の場合)
・履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
・不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(担保希望の場合)
・都道府県知事の「推せん書」または、生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」(生活衛生関係の事業を営む)
※詳細は日本政策金融公庫HPをチェック(https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/tetsudukij_c.html)
この中で、多くの新規開業の方が書き方に迷うのは創業計画書です。
日本政策金融公庫から融資を受ける際に提出する事業計画書のことです。
事業が本当に実現可能かを審査する上で非常に重要な書類なので、きちんと書くことが求められます。
創業計画書には、以下の項目を記入するようになっています。
1.創業の動機
創業の目的、動機について
2.経営者の略歴等
過去の事業経験や取得資格、知的財産権等について書く欄もある
3.取扱商品・サービス
取扱商品サービスの内容(売上シェアも記載)、セールスポイント
4.取引先・取引関係等
販売先、仕入先、外注先のそれぞれについてシェア(%)、掛取引の割合、回収・支払の条件を記載。さらに、人件費の支払もここに書く
5.従業員
個人事業主ではなく、法人の場合は常勤役員の人数と従業員数(そのうち、家族の人数)を記載
6.借入状況
借入先名と使いみち、借入残高、年間返済額
7.必要な資金と調達方法
設備資金(店舗、工場、機械、備品、車両など)、運転資金(商品仕入、経費支払賃金など)、それぞれの調達方法
8.事業の見通し(月平均)
売上高、売上原価、経費(人件費、家賃、支払利息、その他)、利益の創業当初の月平均と軌道に乗った後の月平均。また、それぞれに対する根拠
事業の見通しが立てやすいのはフランチャイズ独立
創業計画書の項目で、創業の動機や略歴、取扱商品・サービスなどは比較的書きやすいものですが、必要な資金と調達方法や事業の見通しはなかなかスムーズに書けないですよね。
特に、事業の見通しは売上高・売上原価・経費(人件費、家賃、支払利息、その他)・利益の月平均を詳細に書く必要があり、さらに根拠も書類を添付するなどしてきちんと示す必要があります。
初めて事業を行う人にとっては、いくら日本政策金融公庫のホームページに記入例があるとは言え、サポート無しで書くのは骨が折れそうです。
しかし、フランチャイズに加盟した場合、その本部は既に同じ事業の実績があるので、それだけで事業の見通しの根拠が信憑性の高いものになります。
さらに、加盟後のサポートとして融資の相談に乗ってくれたり、創業計画書の作成アドバイスをしてくれたりする本部もあるので、より審査に通りやすく融資が受けやすい場合があります。
自力独立と、フランチャイズ独立。税金面における有利・不利は特に存在しませんが、資金調達の観点からするとフランチャイズ独立がメリットが大きいと言えるようです。
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