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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第161回・フライドチキンのブームがやってくる

独立ノウハウ・お役立ち

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

10月から11月にかけて、韓国で人気のチキンバーガーのお店が東京・渋谷に日本初となるポップアップストアをオープンしました。最近は国内のフランチャイズでもチキン(鶏肉)を扱ったお店が増えていますが、さて、ここで問題です。日本国内の1年間の鶏肉の出荷量は、日本の人口の約何倍の量だと思いますか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

鶏肉は昔から日本人の食卓には欠かせないものでしたが、ここ最近は唐揚げに加えてフライドチキンや、フライドチキンを使ったチキンバーガーが人気となり、さらに身近なものになりつつあります。

フランチャイズ開業でも唐揚げ店は根強く人気がありますし、ファストフードでもチキンを使ったメニューは定番ですよね。

元々日本には各地にいろんな品種の鶏がいて、それらは地鶏として人気がありました。鶏肉の需要が高まるにつれて、国内の鶏肉の出荷量も増えています。今回は、その出荷量がどのくらいかを考えてみてください。

それでは解説します!

農林水産省の「畜産物流通調査 食鳥流通統計調査」によると、令和2年の鶏肉の処理羽数は約7億2500万羽だそうです。

日本の人口が約1億2500万人ですから、人口の約6倍の鶏が年間に処理されていることになります。

これを多いと感じるか、少ないと感じるかはそれぞれだと思います。ただ、名古屋発祥の有名居酒屋で大量に手羽先を食べたことがある人なら、もっと多くの鶏が処理されていてもおかしくないような気がしてしまうかもしれませんね(笑)

チキンといえば、多くの人がケンタッキーフライドチキンを思い浮かべると思います。ちなみに日本のケンタッキーは、アメリカの本社が海外産の安い鶏肉を使うよういくら指示しても、徹底して国産鶏肉にこだわっているそうです。国内の鶏肉の処理羽数や消費が増えている一つの要因といえるかもしれませんね。

そして、ケンタッキーに加えて最近のフライドチキンブームを大きく後押ししたのが、コンビニエンスストアのホットスナックでしょう。

ファミリーマートの「ファミチキ」やセブンイレブンの「ななチキ」、ローソンの「Lチキ」などが有名ですが、出来立ての熱々のものが手軽にコンビニエンスストアで買えるようになったことで、フライドチキンという存在は多くの人にとって一気に身近なものになったように感じます。

韓国から人気のフランチャイズが続々とやって来そうな予感

そんなチキンに新しい流れが来ています。韓国からの影響です。

元々韓国にはフライドチキンの文化があり、いろんなチェーン店がたくさんのお店を出しています。現地で食べたことがある人は分かると思いますが、人気店の看板メニューはどれを食べてもなかなか美味しいのです。

そして最近は少しずつ、韓国の人気店が日本に上陸し始めています。

例えば今年10月に、韓国国内のハンバーガーフランチャイズの中で店舗数1位の「マムズタッチ」が、日本初となるポップアップストアを東京・渋谷に出店しました。11月9日までの期間限定でしたが、連日長蛇の列で、多くの人が押し寄せたそうです。私も並んで食べましたが、日本の他のチェーンのものとは少し違って食べ応えがあり、とても満足しました。

おそらく今回のポップアップストアの成功を受けて、2024年以降で本格的に進出してくるでしょう。

また、ワタミが展開する「bb.qオリーブチキンカフェ」も、韓国では人気のチェーンです。オリーブオイルで揚げたチキンは香ばしく、ショッピングモールなどの店舗でも人気なのだとか。国内ではすでに20店舗を超えており、今後も着々と増えていきそうです。

これらが呼び水となり、さらにいろんなチェーンの出店が加速すれば、日本国内でも韓国発のフライドチキンやチキンバーガーの人気が爆発するかもしれませんね。

地球温暖化の影響も、鶏を後押ししている!?

以前から国内では「牛から鶏に」という政策がありました。これは地球温暖化対策とも繋がっている話で、日本のメタン排出量のうち「牛のゲップ」が約27%を占めていることから、地球のためにも牛を減らそうという取り組みが進んでいるのです。

今のところ鶏にはそうした話はありませんし、それどころか逆にどんどん人気が高まっているように感じます。

この流れからしても、フライドチキンに限らず鶏肉を活用したビジネスは今後もどんどん伸びていきそうです。皆さんも新たなチェーンやお店の新規出店にぜひ注目してみてくださいね。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「約6倍」でした。ちなみに、日本のケンタッキーは国産の鶏肉しか使わないため、アメリカ本国で提供しているチキンとは味が全然違うといわれています。海外に行く機会があればぜひ食べ比べてみてくださいね。私は間違いなく日本のケンタッキーの方が美味しいと思っています。

構成:志村 江

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PROFILE
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(ともにPHPビジネス新書)など。

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