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経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第69回・3,580万円のブルーレイ

経営者に必要な「着眼点」の鍛え方 第69回・3,580万円のブルーレイ

起業家、経営者にとって大事なのは、世の中を見抜く力です。1つの事象をどう捉えるかで、ものの見え方も、そこから得られる情報も大きく変わります。そうした「着眼点」、実はトレーニングによって鍛えることができるのです。累計20万部を超えるベストセラーとなった『戦略思考トレーニング』シリーズでおなじみの経営コンサルタント・鈴木貴博氏に解説してもらいましょう。

いきなりですが、クイズです!

先ごろ、日本における最高額のブルーレイが発売されることが発表されました。これは映画のブルーレイで、価格がなんと税込で3,580万円。3セット限定の発売なのですが、販売受付期間中に3件を超える予約が入ったことから抽選での販売が決まりました。なぜ、そんなに高いブルーレイが売れるのでしょうか?

クイズの答えの中に、着眼点を鍛えるポイントがある

最近は「モノ消費」よりも「コト消費」に注目が集まっていますよね。ものを所有することよりも、商品やサービスを購入したことで得られる「体験」のほうに価値を見出す傾向が強まっています。

今回クイズにした3,580万円のブルーレイは、この話に関連しています。ブルーレイには「プラスα」で何かが付いてくるのですが、それが何かを考えることが答えを導き出すヒントになります。

アニメのフィギュアが付いてくるブルーレイが爆発的に売れたりしますが、発想としては一緒です。

その映画のファンはどうしてもそのオマケが欲しいので、3,580万円を出しても買おうとするわけですね。

それでは解説します!

どのようなオマケがついてくるのでしょうか。ポイントは値段で、実際にそれくらいの額を出して買うものになります。

正解は「自動車」です。

そのブルーレイとは「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」という人気シリーズの新作で、3セット限定で発売するプレミアムセットには、劇中で主人公がカーレースを繰り広げる際に乗っている「マクラーレン720S」という高級車が付いてきます。どうやら、この機会を逃すと二度と手に入らないようです。

少し前に、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくるデロリアンという車が実際に売りに出され、結構な数が売れたそうですが、あれと同じですね。

冒頭に「今はモノ消費よりもコト消費」と言いましたが、このケースは憧れの自動車を所有でき、実際に乗ることもできるというわけですから、「コト消費的なモノ消費」ということになるでしょう。まず、この視点がすごく面白いですよね。

自分のことを考えてみても、確かに憧れたものはいろいろありました。特に私の世代では、松田優作がドラマ『探偵物語』で乗っていた「ベスパ」というスクーターがみんなの憧れで、ドラマが好きな人は誰しもが一度は欲しいと思ったものです。お金を出せば実際に購入できるものの、値段が高かったので似たようなホンダのスクーターで我慢するわけですが…。

このように、「欲しくて仕方がない」という需要は間違いなくあります。そのニーズに応えることは1つの大きなビジネスチャンスであり、その時に有効な方法の1つが「コラボレーション」という手法なのです。

あのフランス料理や駄菓子も

最近だと、キムタク主演のドラマ「グランメゾン東京」と、人気レストラン「俺のフレンチ」のコラボは大きな話題となりました。ドラマの中で出てくる料理が実際にお店で食べられるという期間限定のキャンペーンです。私も食べに行きましたが、ドラマのファンであれば間違いなく盛り上がってしまいます。

また、昨年放送された朝ドラ「なつぞら」では、「おバタ餡サンド」という商品が出てきました。モデルになったのかどうかはわかりませんが、北海道の柳月というお店が「あんバタサン」という商品を作っていたことから、ドラマを見て食べたいと思った人がこぞって買いに走ったことで爆発的に売れたようです。

コラボではありませんが、ゴルフの渋野日向子選手が試合中に食べた駄菓子が大反響を呼んだり、X JAPANのYOSHIKIがテレビ番組で食べたお菓子に問い合わせが殺到し品薄になったこともありましたよね。

新しいところでは、昨年末の「M-1グランプリ」のネタがきっかけでコーンフレークやモナカ、ハッピーターンといったお菓子が話題になりましたが、そうやって考えてみると、コラボレーションのタネはものすごくたくさんありそうです。

フランチャイズビジネスでは、コラボレーションの企画は比較的持ち込まれやすいと思います。「あの商品が欲しい!」を実際に売り出すことを1つのビジネスチャンスとして捉えてみたら、実はかなり面白いことができるかもしれませんね。

「あれが欲しい」をどうやって商売につなげるか

映画やドラマ、テレビ番組などの影響によって、「あれを食べてみたい」「あれが欲しい」「あれに乗ってみたい」といった憧れは、視聴者の多くが間違いなく持つものです。であれば、それを商売につなげる方法を考えてみることは、ビジネスチャンスをつかむことにもつながります。

その時に、コラボレーションといういい方法があるわけですから、活用しない手はないでしょう。大きな宣伝効果を生むものであり、あなたのビジネスを大きくするものになるかもしれませんよ。

最後に、もうお分かりだと思いますが、冒頭のクイズの答えは「映画に登場する自動車がおまけで付いてくるから」でした。ちなみに、「ワイルド・スピード」という映画はカーレースの話で、やたら日本車が出てくることでも話題です。しかも、劇中に出てくるスープラやスカイライン、GTRといった日本車は、この映画の影響からアメリカの中古車市場でも高く取引されているのだとか。熱狂的なファンが付く映画の影響力は、本当にすごいものがありますね。


PROFILE
プロフィール写真

経営戦略コンサルタント
百年コンサルティング株式会社
代表取締役
鈴木貴博

東京大学工学部卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、数々の大企業の戦略立案プロジェクトに従事。1999年にはネットイヤーグループの創業に取締役として参加。2003年に独立し、百年コンサルティングを創業する。大手企業の経営コンサルティング経験を元に2013年に出版した『戦略思考トレーニングシリーズ』(日本経済新聞出版社)が累計20万部を超えるベストセラーに。現在はビジネスをエンタメクイズ化する経済エンタテナーとしても活動中。『パネルクイズ アタック25』(優勝)、『カルトQ』などのクイズ番組出演経験も豊富。近著に『戦略思考トレーニング 最強経済クイズ[精選版]』(日本経済新聞出版社)、『「AI失業」前夜―これから5年、職場で起きること』(PHPビジネス新書)、『令和を君はどう生きるか』(悟空出版)。

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近藤 卓さん(45歳)

(同)ターンムファーム/大阪市都島区
都内でバー経営などを経験。2004年から丹波篠山でハバネロ栽培とホットソース「メローハバネロ」の生産を開始、国内外で評判に。18年の関西豪雨により記録的な不作に見舞われたのを機に、拠点を大阪に移転。「メローハバネロ」の生産は8月から再開予定。 (さらに…)

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