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副業の確定申告、20万円の壁を超えたらどうなる?初心者向けにわかりやすく解説!

副業

「収入を少し増やしたい」「将来のために経験を積みたい」などの理由で、「月に数万円」といった少額の副業をされている方が増えてきています。

スキマ時間にちょっと作業してお金を受け取れるサービスやアプリも増えてきました。

そうやって稼いだお金については、どんな基準で所得税、住民税などの税金を納めていけばいいのでしょうか?

この記事では、副業で得た収入を税務署に届け出る「確定申告」のルールについて紹介していきます。

この記事を監修した人

税理士:佐藤大貴税理士:佐藤大貴

監修者プロフィール
上場企業の経理や事業管理として、10年以上業務に従事しながら税理士資格取得を目指す。2022年に税理士資格を取得し、2023年税理士登録をおこない、4月に独立開業をする。税理士業務もさることながら、企業での業務改善や学生に対する租税教室など、幅広く業務に携わっている。

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20万円の壁

年末調整と確定申告

クリスマス、忘年会、そして2024年は年末年始の「奇跡の9連休」もあります。仕事も、プライベートも、気分も慌ただしい12月です。「師走」(先生も走る)とは、よく言ったものですね。

そんな12月、皆さんの会社の総務・人事系のセクションも、バタバタしているかと思います。皆さんから保険料などの書類を出してもらって、「年末調整」をするからです。

年末調整は、サラリーマンが国に納めるべき「所得税」の額を正確に計算する作業です。

サラリーマンの給料「給与所得」からは、毎月、所得税が天引きされ、皆さんに代わって会社から納税されています。「源泉徴収」と言います。

毎月の給与支払い時の源泉徴収は概算で行われるので、年に一度、「本当に納めるべき所得税」を計算し、すでに概算で納めた所得税との差額を還付したり調整したりするのが「年末調整」です。

保険や住宅ローンの書類を会社に出すのは、そうした支出が「控除」の対象になって、所得税の還付が受けられる可能性があるからです。

サラリーマンの1月~12月(「暦年」といいます)の所得と所得税の計算は、年末調整で、会社が行ってくれます。

他方、会社からもらっている「給与所得」とは別の所得がある場合、自分でその額を税務署に申告する「確定申告」を行う必要が出てきます。

この記事の主要テーマである「副業」がこれに該当します。

一口に「副業」といっても、本業で勤めている会社以外の会社で働いて給料をもらっているケースや、隙間時間にさっと稼げるアルバイトをしているケース、クラウドソーシングのサイトでライティングやプログラミング、デザインといった仕事を受注しているケースなど、様々なパターンがあります。

それぞれにちょっとずつ、確定申告を際の注意点が異なっていたりするのですが、まず、「所得税の確定申告をしなければならない額」はいくらでしょうか?

答えは、20万円です。

なお、流行りの「103万円の壁」をもじって「20万円の壁」という言い方をしてみましたが、確定申告したくないので副業を20万円未満に抑える、という人はそれほど多くないのかな、と思われます。

副業の確定申告基準は「20万円」

税金に関する疑問があるとき、いろいろなサイトの情報を検索すると思いますが、税金を取っている大元の「国税庁」が作っているQ&A集の「タックスアンサー」というサイトがあります。

タックスアンサーによれば、以下の人は確定申告が必要です。

まず、副業が給与所得ではないケース。給与所得及び退職所得以外の得の金額の合計額が20万円を超える人。

次に、副業に給与所得が含まれるケース。年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人。

参照:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁タックスアンサー 

「所得」というのは、収入(稼いだお金)から、稼ぐためにかかった経費を除いた金額です。
本業以外の所得が20万円を超えるか、超えないかに気を付けておき、超えている場合は確定申告が必要、というふうに覚えておくといいと思います。

佐藤大貴
佐藤大貴

自分が副業で稼いだ所得が、どの所得に該当するのかは、あらかじめ把握しておきましょう。

最近では、スマホで確定申告できる電子納税「イータックス」のサービスなどもありますので、活用してみてください。

参照:スマホで確定申告(副業編)|国税庁(PDFファイル)

なお、20万円を超えていない場合は何もしないでいい、という訳ではありません(後半に話をする「住民税」というのが関係してきます)のでご注意ください。

所得の種類

前の章で「給与所得」「それ以外の所得」といった言葉が出てきました。サラリーマンが受け取っている給料は「給与所得」ですが、それ以外にも、様々な「所得」があります。

副業で、クラウドソーシングのプラットフォームなどから受け取る報酬は、「雑所得」に分類されることが多いようです。

ここでは、副業や起業に関係の深そうな所得の種類について、簡単に説明します。

給与所得

国税庁「タックスアンサー」の「給与所得」に関する定義が以下です。

給与所得とは、使用人や役員等が支払いを受ける俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得をいいます。

参照:No.1400 給与所得|国税庁タックスアンサー 

給与の場合、仕事に使うパソコンや会社の家賃、電気代などのお金を会社が負担しているため、個人がどんな「経費」を負担しているかを判別することが困難です。

つまり、給料(収入)から差し引かなければならない経費を算出するのが難しくなってきます。

このため、「この収入なら、経費はこの額」という額があらかじめ定められています。「給与所得控除」と言います。

給与から、その金額に対応した「給与所得控除」を引いた額が、給与所得になります。給与所得控除の額はタックスアンサーに表で示されています。

参照:No.1410 給与所得控除|国税庁タックスアンサー

副業でアルバイトをしていて、給与を受け取っている場合、その勤務先から、年明けに「源泉徴収票」をもらえます。

そのアルバイト先では副業分の年末調整はしていないので、給与額が20万円を超える場合、もらった源泉徴収票をもとに、自分で確定申告をする必要があります。

事業所得

事業として何をやるかを定め、それで継続的にお金を稼いでいるような場合、その所得を「事業所得」と言います。

個人事業として「開業届」を出しているようなケースでは、その所得は事業所得として扱われます。

副業としてサラリーマンと兼業している場合であっても、相当本格的に業務を実施し、毎月収入を得ているイメージです。

この記事の主要テーマである「20万円の壁」よりもだいぶ規模が大きいビジネスの場合が多いかも知れません。

開業届を出して事業所得を稼ぎ出し、確定申告をしているような個人事業では、所得税の優遇措置である「青色申告特別控除」などを活用して、節税をしていることが多いです。

次に説明する「雑所得」の場合、「青色申告特別控除」は使えません。

また、事業所得の場合、給与所得と違って、かかった経費をバンバン計上することができます。

仕事でない、家計の費用を計上することはできないのですが、事務用品費、仕事に使っているサブスクリプションサービスへの月額課金、業界団体の年会費、参考図書費など、事業関連の経費として計上すべきものは、遠慮せずに計上していきましょう。

佐藤大貴
佐藤大貴

事業に必要とされるものは、経費計上が可能です。

売上 - 経費 = 所得

で、所得に対して税金がかかっていくので、経費は計上しておかないともったいないです。

なお、経費計上する支出にかかる請求書や領収書、レシートなどは、取っておく必要があります。確定申告に添付をする必要はないのですが、事務所(自宅)に保管しておかなければなりません。

雑所得

副業を少しずつやっていて、「確定申告がいくらからかな?」と気になっているこの記事のメイン読者さんの現状の副業の稼ぎの分類は、「雑所得」になるケースが多いです。

タックスアンサーも、雑所得の例として「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」を挙げています。

参照:No.1500 雑所得|国税庁タックスアンサー

将来本格的にビジネスにしようと思っている事について、クラウドソーシングなどで少しずつ経験を積み始めている方は、まだ売上も少なく、個人事業の「開業届」を出していない状態だと思います。

そういう状況で発生している売上を、1月から12月まで、足し上げていきます。また、その売上を作り出すために必要だった経費も、同じく足し上げていきます。全体の売上から、経費を引いたものが、年間トータルの「雑所得」です。

雑所得や、事業所得に属する売上を上げる際に、確認しておきたいのが、「取引先が源泉徴収をしたかどうか」です。

会社は、従業員以外にも、報酬を支払った場合は、そこから所得税の概算額を預かる「源泉徴収」をして、納税する必要があります。

源泉徴収をされた売り上げの場合は、「すでに所得税概算額を引かれていますよ」という旨を確定申告に記載しておかないと、所得税を二重に取られてしまうおそれがあります。

「取引先が源泉徴収をしたかどうか」を思い出しづらいときの判断基準が、2つあります。

1つ目は、契約時に、取引先にマイナンバーを知らせたかどうかです。

源泉徴収して納税する際、会社は、対象者のマイナンバーを記載しないといけないため、相手方からマイナンバーを教えてもらいます。

この場合は、「マイナンバーを教えた」という記憶が鮮明に残ると思うので、どの会社に渡したのかを覚えておいてください。その会社は、おそらく源泉徴収をしています。

2つ目は、売上を受け取った際の明細書です。

マイナンバーを教えたことは覚えていても、いくら源泉徴収されたかについては、覚えていないことが多いと思います。

売上を受け取る際に会社からもらう明細には、「売上は〇万円」「源泉徴収が〇千円」「差し引き支給額が〇万〇千円」といった必要事項が書いてあると思います。

この書類をなくさずに保管しておきます。

相手方の会社が、1月に、従業員さんに源泉徴収票を渡すタイミングで、報酬などを支払った相手方に、支払調書(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書)という書類を送ってくれるケースもあるようですが、支払調書を契約の相手方に送るのは必須ではないので、源泉徴収された額の合算が漏れてしまうおそれがあります。

売上があったからと言って必ず源泉徴収されているという訳ではないので、注意が必要です。

原則としては、契約した都度、源泉徴収の有無について事前に確認しておくとともに、支払を受ける際の明細をきちんと保管しておくことが大切です。

売上も、経費も、まずは、「書類を全部取っておく」という習慣を付けましょう。

佐藤大貴
佐藤大貴

自身が発行した請求書等と入金額に差額がある場合は、源泉徴収票をされている可能性があるため、書類の付け合わせはしっかりとおこないましょう。

税金の種類

さて、これまで書いてきた「20万円の壁」に関する記載ですが、全て「所得税」に関する事柄になります。

覚えることが多く、大変だと思いますが、特に副業にまつわる税で重要になってくるものがもう1つあり、それが「住民税」です。

住民税の方は、「20万円の壁」というのがありません。

「所得が20万円以下で、所得税の確定申告は必要ないけれど、住民税の申告は必要」というケースが出てきます。

所得税

この記事で扱っている「確定申告」が、所得税に関係する手続きです。お金を稼いだ額に応じて納めていく税金です。

所得税の確定申告を行う時期は、2月16日から3月15日までの間です。

「20万円の壁」のところで触れましたが、サラリーマンの場合、所得税の計算は、会社が「年末調整」としてやってくれますので、個人で別途確定申告をする必要はありません。

ただし、本業以外の給与所得や事業所得、雑所得が20万円を超える場合は、その分の確定申告は自分でする必要があります。

また、20万円を超えない場合でも、確定申告をした方がいいケースもあります。それは、「副業分で所得税の源泉徴収をされている場合」です。

まず、アルバイトやパートで受け取る「給与所得」の場合は、その会社から「源泉徴収票」という書類は1月に受け取れますが、実際には、給与から所得税を預かって納税する「源泉徴収」はしていないことがほとんどです。

なぜかというと、最近話題の「103万円の壁」以下の給与所得なら、所得税はかからないからです。

「103万円の壁」については後半で少し触れますが、アルバイト、パートを雇用している会社では、103万円の壁を意識して毎月の給与計算や年末調整をするので、所得税を源泉徴収することはないと思います。

なお、源泉徴収をされていない場合も、源泉徴収票はもらえます。副業の給与所得では、主に「20万円を超えているかどうか?」に注目しておけばOKです。

次に、事業所得や雑所得ですが、契約時に相手方にマイナンバーを教えた場合は、源泉徴収をされている可能性が高いです。(源泉徴収をしない場合はマイナンバーを教えてもらう必要がないため)

報酬などの支払い明細を見て、源泉徴収されているかどうかを確認します。

どこかの会社から源泉徴収をされていて、なおかつ所得が20万円以下である場合は、「本来は所得税がかからないのに、既に納税されている状態」です。

この「納め過ぎた所得税」は、確定申告することで、返ってきます

佐藤大貴
佐藤大貴

上記以外にも多額の医療費を使用した場合やふるさと納税をした場合は確定申告をすることで、所得税の還付を受けられる可能性があります。

住民税

「20万円の壁」よりも所得が下で、確定申告が不要だった場合に忘れがちなのが、住民税の申告です。住民税とは、「区市町村民税」と「都道府県民税」で、住んでいる地域のために使われる税金です。

サラリーマンの場合、住民税は、個別に市町村に申告をする必要はありません。

なぜなら、会社は従業員が住んでいる自治体別に給与支払報告書を提出するからです。それをもとに各自治体は住民税の計算をおこないます。サラリーマンが確定申告をしている場合は、税務署からその情報が自治体に共有されます。

なので、サラリーマンとして働いている時も、副業分を個人で確定申告するようになってからも、住民税だけを別に申告するというのは、やったことがない人がほとんどだと思います。

「所得が20万円以下なので確定申告は不要だけれど、所得はある」というような比較的レアなケースのみ、住民税の申告が必要なので、皆さん処理を忘れてしまいます。

ですが、手続きを忘れて時間が過ぎると、延滞税等がかかってしまいます。

自分が該当するな、と思ったら、お住いの市町村の役所に、「20万円以下の確定申告が不要な所得がある」という旨を話して、問い合わせてみてください。

申告する時期は、毎年2月16日から3月15日までです。

売上や経費の明細(自分でつけている収支計算書や、支払伝票やレシートなどの書類)を保存しておくと、役所の窓口で説明する際に役に立ちます。

消費税

消費税については、結論から言うと、副業を始めたばかりのタイミングでは、あまり気にする必要がありません。

「副業を始めたばかりで開業届も出していない」という方は、消費税の「インボイス制度」への対応などは、気にしていないと思います。

個人事業の開業届は「事業開始から1か月以内に税務署に出すこと」とされていますが、提出しなかった場合の罰則はありません。

また、まだ事業内容が固まっていない副業段階の方は、開業届の提出をためらうケースも多いと思います。

税務署としてもまだ「事業を開始した人」という認識にはなっていないので、「消費税の申告をしてください」とは言ってこないです。

開業届を提出して本格的に事業を始める場合でも、最初は消費税の「免税事業者」という扱いになるので、申告を気にする必要はありません。

「免税事業者」というのは、お客さんからは消費税を取って差し支えありませんが、納税が免除される事業者のことです。

消費税を気にする必要が出てくるのは、売上規模が1,000万円を超えるなど、事業が大きくなってきた時や、取引先から「インボイス」を求められた時です。

インボイスとは「適格請求書」といって、消費税に関する処理をきっちりやっている登録事業者(消費税適格請求書発行事業所)が発行する請求書で、そこに記載された消費税額を「仕入税額控除」できる、というものです。

免税事業者は、消費税適格請求書発行事業所になれません。会社の消費税の納税額は、「売上時に預かった消費税」から「仕入時に払った消費税」を引いた額です。

この「仕入時に払った消費税」の額を計算する際に、適格請求書でなければならない、というのが「インボイス制度」です。

会社は仕入の際に支払う消費税を「仕入税額控除」の対象にしたいので、取引先に「適格請求書(インボイス)」を求めます。

この求めに応じるため、今まで「免税事業者」だった事業者が「消費税適格請求書発行事業所」になろうとしている、というのが、現在のインボイス制度の進捗です。

今は副業中で、これから起業しよう、事業を本格展開しよう、と思っておられる方は、ご自身の売っているサービスを買うのが、一般ユーザーなのか、会社なのか、という点に着目して、将来インボイス対応をどうしようか、考えるのがいいと思います。

取引先が会社なのであれば、適格請求書を求める先が多いと思います。

そのような場合は、「適格請求書発行事業所」に登録し、取引先の要望に応える必要があります。

インボイス制度には、免税事業者が「適格請求書発行事業所」になる際に、様々な優遇措置がありますので、検討を始める際は、以下の国税庁「インボイス制度特設サイト」を参考にしてみてください。

佐藤大貴
佐藤大貴

インボイス登録をした場合、消費税の課税事業者となり、思わぬ税負担が増えてしまう可能性があるため、登録は慎重におこなってください。

参照:インボイス制度特設サイト|国税庁

職場にバレたくない!

「副業を始めたけれど、まだ会社には言っていない」「もう少し検討してから、会社に副業申請を出したい」という方もいらっしゃると思います。

副業している旨を会社に知られたくない場合に、気を付けておくべき点について触れておきたいと思います。

もちろん、「完全に隠せる」ということはありませんし、そもそも会社規定で「副業禁止」になっている場合は副業していること自体がNGです。

あくまで自己責任で、ご参考まで、ご覧ください。

給与所得者の基礎控除申告書

まず、11月から12月にかけて、会社に求められて、今年の年末調整書類を作った方が多いのではないかと思います。

その中に、書類名が長くて申し訳ないのですが、「令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という様式があったと思います。

この様式に、「給与所得者の基礎控除申告書」という欄に、「給与所得以外の所得の合計額」というのを書く欄があります。

ここに副業に関する内容を記載してしまうと、会社は当然見てしまうので、バレます。

会社に知られたくないうちは、「給与所得以外の所得の合計額」には額を書かないでおきます。もちろん、自分で別途確定申告することが可能です。

住民税に注意

住民税で副業がバレる」という話を聞いたことのある方も、いらっしゃるのではないでしょうか?

確かに、住民税の「特別徴収」という納税の仕方が、会社にあなたの所得の全体像を知らせてしまうことになるため、「あれ?うちで払っている給料以外にも所得があるな」と思われてしまう可能性があります。

住民税は、1月から12月までの所得の情報を元に市町村が額を計算し、翌年の6月から翌々年の5月にかけて徴収する税です。

その税を、会社がまとめて従業員の給料から天引きして納付する仕組みが「特別徴収」です。額の計算のベースとなるのが、会社が行う「年末調整」と、個人で行う「確定申告」です。

2か所以上から給与所得を得ている場合や、事業所得や雑所得がある場合などに、それらの確定申告時に何もしないと、その所得額に応じた住民税は、メインの職場で「特別徴収」されてしまいます。

会社では、毎年5月頃に、市町村から、各社員の給与から天引きすべき「住民税の特別徴収」の額の通知をもらいます。

そこに、あなたが個別に確定申告した所得が加算されていると、「特別徴収」の額が大きくなっているため、会社にバレてしまう訳です。

この「住民税による会社バレ」を避ける方法として、「メインの住民税(会社が特別徴収)以外の住民税は、普通徴収(自分で払う)」というやり方があります。

気を付ける点は2つ。

確定申告をする際に、「給与所得以外の所得の住民税を特別徴収にするか普通徴収にするか」を選択する欄があります。

ここで「普通徴収」を選択しておけば、給与所得以外の所得については、普通徴収になります。

普通徴収分の住民税は、自宅に「納付書」が送られてきて、自分でコンビニ等で支払うため、会社に額を把握される心配がありません。

ただし、この選択は、副業が「給与所得」である場合は、使えません。

もう1つは、所得が「20万円の壁」以下である場合の、住民税のみの市町村への申告です。

これをやる際にも、市町村に、「この申告分は、普通徴収にしたい」という旨を相談します。OKな市町村とNGな市町村があるようですが、OKな場合は、申告額が会社に知られることなく、住民税を自分で納付することができます。

やれる範囲の対策

以上が、「会社バレしづらくなるようにする手続上の工夫」です。

しかしながら、副業が給与所得である場合など、完全に会社に伏せておく、というのは難しいのかも知れません。

記載した対策は、あくまで「やれる範囲」のことであって、「こうやって気を付ければ絶対バレない」という方法は、ないです。

副業を始めたばかりのタイミングでは、会社の方はその事実をほとんど知らないと思いますが、事業が拡大していくに連れて、SNSなど、様々なツールや場面で、知られてしまうリスクは増えていくでしょう。

副業していることを隠しておきたい理由は人によって様々だと思いますが、「知られてしまった時のリスク」はある程度考慮しながら、自分で事業を起こしていく準備を進めておいた方がいいと思います。

完全に隠し通す、というのは、簡単ではないように思われます。

103万円の壁との関係

2024年12月、「年収103万円の壁の見直し」トピックが世の中をかけめぐっています。

その議論は、本記事の「副業」や「確定申告」と関係あるのでしょうか?

結論から言ってしまうと、あまり関係ありません。

「103万円の壁」というのは、主婦のパートなどの給与所得について、「103万円以下であれば控除額(所得税の計算から除ける金額)の方が大きくなるため、所得税がかからない」かつ、「パート主婦の給与所得が103万円以下であれば、配偶者(夫)が配偶者控除という所得税控除を受けることができる」というボーダーラインのことです。

まず、ご本人(主婦)に対する所得税控除の話。「控除」には2種類あります。

1つは、給与所得者全員が対象の「給与所得控除」。この最低額が55万円です。次に、「基礎控除」が48万円。この合計額が103万円です。

次に、配偶者(夫)の受けられる配偶者控除の話。こちらも「控除」は2種類です。1つは、配偶者控除です。配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合、最大38万円の控除が適用されます。さらに配偶者特別控除というものもあり、配偶者の合計所得金額が48万円を超えても133万円以下であれば、段階的に控除を受けることができるというものです。

配偶者(夫)の所得が900万円以下の場合、配偶者控除の額は38万円です。

副業している方が配偶者で、パート収入と副業収入を合算したら103万円を超える、といったケースでない限り、「103万円の壁」はあまり気にする必要はなさそうです。

まとめ

この記事では、副業の確定申告がいくらから必要なのかを中心に、副業を始めてまだ売上がそれほど立っていない方を念頭に、注意点などを記載しました。

所得税の確定申告のボーダーは「20万円」です。

所得は、収入(売上)から、経費を引いたものなので、領収書、レシートなどの経費に関する書類をきちんと保管し、帳簿を付けておくことで、所得を過度に大きくない適正な規模に保つことが可能になります。

また、売上については、伝票を保管し、源泉徴収されていないかどうかをチェックしておく必要があります。

所得が20万円以下の場合も、確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。

所得税も住民税も、申告する時期は、2月16日から3月15日までです。

12月、1月中は、売上や経費に関する書類を整理して「所得額がいくらか」を把握しておきましょう。内容の不明な書類がある場合には、取引の相手方に確認しておくのもいいと思います。

また、1月頃から、地域の商工会議所、商工会や、公的機関などが主催する「確定申告セミナー」のようなセミナーも増えてきます。

会計に詳しい方でも、確定申告で作る表には、別の難しさ、煩雑さがあります。

初めて確定申告をする、という方は、そうしたセミナー(もちろん、無料セミナーで構いません)に一度は参加されることをお勧めします。

佐藤大貴
佐藤大貴

国税庁が公開している確定申告書作成コーナーなども使用してみてください。

また、この記事では、個人事業の開業届の提出、インボイス「適格請求書発行事業所」の登録など、事業を本格化させた後の取組についても少し触れました。

来年、事業がどのように進んでいくかはまだ不透明だとは思いますが、今年の所得の締めを終えたら、その先の事業展開を見据えた準備を始めてみてください。

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