貴重な資金を投じる以上計画的に準備を
FCに加盟して開業するには、加盟金や研修費など本部に支払う費用のほかに、店舗取得や人件費(加盟オーナー分も含む)、広告宣伝などの費用がかかる。
これらの費用が300万円未満と比較的少額のパッケージもあるが、店舗や設備に費用がかかる飲食業は、1000万円から数千万円の資金を必要とする本部が多い。
貴重な資金を投じる以上は、何にどれだけの費用がかかるのかを事前に把握しておく必要がある。
そうでないと、加盟を決めてから開業するまでに予想外の費用がかかる事態が起こり、用意していた資金が底をついて急遽融資を受けなければならなくなるといったことになりかねないからである。
資金がいくらあるかで加盟できる本部も違う
何にいくら必要かは、各本部に詳細を問い合わせれば回答してもらえるだろう。
その際は細大漏らさず説明を求めること。ここでは、物販業(コンビニエンスストア)における費用を例示しているので参考にしてほしい。
また、用意できる資金がいくらであるのかによって、加盟できる本部も変わる。FC加盟独立を考え始めたら、ただちに資金づくり(貯蓄)を始めるべきだろう。かといって、加盟したい本部があるものの資金不足でしばらくは加盟できないといった場合、時間が経過して気持ちが萎えてしまうといったことも起こりがち。
そんな場合は、本部に相談してみるという手がある。融資のあっせんなど、資金面でのサポートを行っている本部もあるからだ。
なお、加盟開業後、すぐに軌道に乗れない場合に備えて、半年から1年分の運転資金や生活資金も持っておくべき
「貧すれば鈍する」ということになるからだ。
■物販業(コンビニエンスストア)の場合:「ミニストップ」本部の例
国内外に4756店舗(2015年4月末時点)を展開中のチェーン。FC加盟形態には、①加盟者が所有または賃借している建物・土地で加盟者自ら経営する「スタンダード(S)タイプ」②本部が用意した店舗を借りて、加盟者自ら経営する「スタンダードリース(SL)タイプ」③本部が用意した店舗の内外装費を加盟者が負担し、当該店舗にて経営する「クリエイティブリース(CL)タイプ」④本部が用意した店舗にて経営する「ニューマスターリース(N―ML)」タイプの4通りがある。
加盟に当たって必要となる費用(2015年5月時点)
※加盟金はフランチャイズ契約締結時に加盟者が本部に支払うもので、保証金と開店準備費に分けられる。
※保証金150万円は、加盟者が本部に対して負担する債務がある場合に、その債務を担保するための預かり金で、貸借対象費用の純資産に組み込まれる。
※運転資金については、本部からの自動融資を受けることができる。
※SLタイプの建物の敷金や保証金の金額は、店舗毎に加盟者と本部の間で締結する建物(店舗)転貸借契約に基づく。
※なお上記金額は平均的な金額であり、運転資金、開店時諸費用、店舗設備の費用負担額は店舗によって異なる。
加盟後に必要となる費用(2015年5月時点)
コンビニの場合、オーナーの収入を増やすには、売り上げを上げる努力は当然ですが、個店単位では人件費や商品廃棄ロスをどれだけ抑えるかがポイントです。品出しなど棚の手入れを怠らず、商品の発注を精緻にする。アルバイトに頼りきらず、積極的に夫婦2人が店に立つ。そういった努力が不可欠です。
また、近隣に競合が出現すれば影響を受けるのは必至。接客態度や品ぞろえを磨く努力が問われます。
今回のまとめ
監修:民谷昌弘氏 (FCコンサルタント)
(株)アクアネット、フランチャイズ経営研究所 代表取締役
(一社)日本フランチャイズチェーン協会SV学校、経営士講座講師
(一社)日本フランチャイズコンサルタント協会会長
著書:『ザ・フランチャイズ』『失敗しないためのフランチャイズビジネス体験BOOK』、
『成功するフランチャイズ戦略』(ダイヤモンド社)、
『本当は教えたくないフランチャイズ本部成功50の教え』(出版文化社)ほか
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第4回 情報収集について
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