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こんなのあったら楽しいやん。ママの一念、ママたちを救うか:VOL.233

生ボイス
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中原美智子さん(47歳)

(株)ふたごじてんしゃ/兵庫県尼崎市
39歳で双子を出産。前後に乗せるタイプの自転車に2人のこどもを乗せようとして転倒。以来、家にこもりがちに。一念発起して、三輪タイプの双子用自転車の企画・開発に乗り出す。2018年5月、製品化にこぎつけた。現在はメーカーと協力して量産化に向け準備中。

VOL.233双子とお出かけできる自転車を開発

長男を育てる時、自転車は一番の相棒でした。虫取りにもドングリ拾いにも連れていけて「この世界って楽しいんだよ」と教えるための相棒。それが双子が生まれて、変わりました。一般的な、こども2人を前後に乗せるタイプの自転車に乗ったら、バランスを崩して転んでしまった。外出するのも一苦労だったんです。ちゃんとできない私が悪いんだと後ろめたく思うこともありました。こどもたちが世界を知る機会を自分が奪っているって。でも、だったら自分で自転車を作る!と誓ったんです。

リヤカーメーカーと一緒に開発した試作品。各地で試乗会を開き、そこで集めたママの声が自転車部品メーカーOGK技研を動かした。完成した「ふたごじてんしゃ」は、阪神尼崎駅周辺でのシェアサイクルが試験運用中。

「普通の二輪車は怖いから、こども2人を乗せられて、三輪でコケない自転車を作ってください」。自転車屋さんにはうちでは作れないと断られました。メーカーを探そうにも私、ググり方が分からないんですよ。じゃあ公衆電話にあるタウンページを見よう。でも最近は公衆電話がない! そんなスタートです。メーカーには「そんなものは作れない」と言われ、「世の中にないのはニーズがないからだ!」と怒られたことも。リアカーメーカーに開発を引き受けてもらい、試作品が完成するまでに3年が過ぎていました。

おかげで私自身は出かけられるようになったんです。でもほかのママたちは? 自主開催した試乗会を通じて同じ悩みを抱えているママの声を聞きました。これまでになかったものだから、事業になるかわかりません。でも困っている人をこの自転車で助けることができるかもしれない。今は私の考えに賛同してくれた自転車部品メーカーと量産化に向けて動いています。去年発売した70台はすぐ売り切れました。でも正直うれしくないです。量産化が滞っていて、期待してくれているママを待たせているのが本当につらい。でもやるしかない。迷う時にいつも思い浮かぶのは「でもこの自転車があったら楽しいやん。みんなが安心して出かけられる世界になったら楽しいやん」。そう考えるだけですごく楽しくて、私は前に進めるんです。

 

構成・文/東 雄介
撮影/刑部友康、片桐 圭、阪巻正志
アントレ2019.春号 「金も人脈も経験もなかった『まるごし企業 7人の勝ち方』」
より

 

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※本記事は取材当時の情報を基にしており、団体名、サービス名、法令等が現在と異なる可能性があります。しかし、取材時の想いや状況を正確に伝えるため、内容をそのまま掲載しています。ご了承ください。

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