フランチャイズの初期費用の平均金額は2,000万~3,000万円といわれていますが、これは開業の形態によって大きく異なります。
小売業、外食業、サービス業をはじめとした平均的な開業資金と資金不足の際の調達方法を知っておきましょう。
事前にフランチャイズの仕組みを理解しておくことも非常に大切です。下記の記事ではフランチャイズの仕組みや成功事例が詳しく解説していますので、合わせてチェックしておきましょう。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
そもそもフランチャイズとは?仕組みを解説
フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部企業と契約を結び、店舗などを経営するビジネスシステムのことをいいます。
フランチャイズビジネスの市場規模やメリット・デメリットなど、基本的なことから知りたい方は、まずこちらの記事を読んでみてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
フランチャイズ開業で必要な初期費用とは
フランチャイズの開業資金は、業種やブランド、店舗規模などによって大きく異なりますが、平均的には2,000万円~3,000万円程度といわれています。
具体的な開業資金の例は以下のとおりです。
フランチャイズ本部に支払う費用
フランチャイズ本部に支払う費用の中には、本部によってさまざまですが、フランチャイズの加盟金、保証金、研修費、店舗設計支援費などが含まれます。
店舗開設のために必要な費用
店舗開設のために必要な費用は、多くの場合、初期費用の中でも最も大きな割合を占めます。
店舗を持つ場合、店舗物件を借りる時の保証金、内装や外装などの改装費、設備の購入費など、まとまった資金が必要となります。
上記以外の初期経費
上記以外にもビジネス開始のための初期経費には、商材の仕入れ代金、オープニングプロモーションのための広告宣伝費、採用費などがあります。例えば、買取ビジネス場合、商品買い取り用の資金もこちらに含まれます。
広告宣伝に、どれほどの費用を割くのか、商材の仕入れ値をどれくらいに設定するのかにより必要となる資金は異なります。そのため、計画時には余裕を持って計算をしておくことをおすすめします。
フランチャイズで開業するのに必要な資金の調達方法
フランチャイズを開業するのに必要な資金は、主に以下の2つの方法で調達することができます。
それぞれの資金調達方法がどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。
自分で用意する方法
自分で資金を用意する場合、開業前の会社勤めをしている時から節約して積み立てる方もいますし、退職金などを活用する方もいます。
外部から調達する方法
外部からの資金調達として有効なのが、政府系金融機関や政府保証付きの民間金融機関からの融資です。
開業資金の融資は日本政策金融公庫の融資制度を確認しよう
日本政策金融公庫には経済の活性化に貢献するため、新規事業開拓としてさまざまな融資制度が用意されています。
日本政策金融公庫が定める「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」という要件を満たした場合、以下のような融資制度の検討が可能となります。
新規開業資金
融資限度額:7,200万円以内(うち運転資金4,800万円以内)
新創業融資制度
融資限度額:3,000万円以内(うち運転資金1,500万円以内)
女性、若者/シニア起業家支援資金
融資限度額:7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)
返済期間については、設備資金は20年以内(うち据置期間2年以内)、運転資金は7年以内(うち据置期間2年以内)とされています。
それぞれの融資制度の詳細は日本政策金融公庫のWebサイトから確認できます。
融資額は事業計画や資金使途によって異なるため、どのような制度が利用できるか確認してみましょう。
参照:日本政策金融公庫 新規開業資金 新創業融資制度 女性、若者/シニア起業家支援資
その他の融資先
その他の融資先も検討してみましょう。
- 銀行や信用金庫など金融機関の融資
- ソーシャルレンディングやクラウドファンディングで資金を集める
- 国や自治体の補助金・助成金
銀行や信用金庫など金融機関の融資
銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける方法もあります。
フランチャイズの初期費用を融資で賄う場合は、「保証付融資」という信用保証協会からの保証や不動産などの担保が必要となる「保証付融資」を利用するケースが多いです。「保証付融資」で融資を受ける場合、万が一、返済できなくなってしまった際に信用保証協会が借り主に代わって金融機関に「立て替え払い」を行います。そのため融資の返済とは別に、信用保証協会へ信用保証料を支払う必要があります。
融資を受ける際には、事業計画書を用意した上で金融機関の審査を受けます。フランチャイズ本部から融資申請についてのサポートやノウハウ提供を受けられる場合、フランチャイズに加盟せず自力で開業するケースと比較すると審査に通りやすいというメリットがあります。
ソーシャルレンディングやクラウドファンディングで資金を集める
近年では、ソーシャルレンディング(融資仲介サービス)やクラウドファンディングなど、投資家から直接資金調達を行う新しい融資の方法もあります。
ソーシャルレンディング(融資仲介サービス)とは、インターネット上で融資を受けたい人と投資をしたい人を結びつけるサービスです。
クラウドファンディングとは、インターネット上で事業資金援助を募集している人に、不特定多数の人が資金提供や資金協力を行うサービスです。資金調達をしようとしている人は、実現したい事業や成し遂げたいゴール、自社の商品を掲載して出資者を募集します。資金調達をしようとしている人の理念や商品・サービスに共感してくれる人をインターネット上で集めるため、SNSで商品やサービス、自社について拡散されると集客や広報にも期待ができます。
ただし、フランチャイズ本部の中にはソーシャルレンディングやクラウドファンディングの実施を制限している場合もあります。利用を検討するのであれば、事前にフランチャイズ本部の担当者に確認しておくようにしましょう。
国や自治体の補助金・助成金
初期費用を調達する方法として、国や自治体の補助金や助成金を利用する方法もあります。
補助金や助成金の制度は地元活性化や開業支援制度として、国や地方自治体によって用意されています。事業を立ち上げようとしている個人や集団に対して、経済発展のために支援をしているのです。
融資と違い、補助金や助成金は返済する必要はありません。利用すると負債が増えてしまう融資とは異なり、補助金や助成金は開業資金にそのまま充てられます。公的な制度であることも、安心して利用できるポイントでしょう。
ただし、補助金や助成金は融資と比較して申請手続きから受給までに時間がかかります。用意する書類が複雑なので、書類の準備に時間がかかってしまう点は覚悟をしておきましょう。補助金や助成金は受給要件が定められているため、利用できそうな補助金・助成金がないか事前に確認しておきましょう。
また、受給要件を満たしていても、補助金や助成金が必ずしも受給できるとは限らないため、他の策も考えておきましょう。
下記記事では、フランチャイズの開業資金相場や、使える融資と申請方法について解説しています。参考にしてみてください!
https://entrenet.jp/magazine/13122/
「初期費用0円!」開業資金が安いフランチャイズの特徴と真相
フランチャイズ本部の中には、初期費用をかけずに開業できるプランがあるところもあります。
自宅にあるパソコンを使って始められる仲介業やネットショップ、自身で持っている普通自動車運転免許を活用した配送業、訪問型のハウスクリーニングサービスなどのサービス業であれば、初期費用が0円で始められるものもあります。
ただし、加盟金やロイヤリティなど、本部に支払う費用が極めて少額の場合、経営に関するサポートが手薄なことが多いです。
また、ブランド利用料やノウハウを提供してもらう研修費など、「加盟金0円!」などと謳っていても、フランチャイズ本部が定める費用を加盟時に支払う必要がある場合もあります。
店舗がないからといって完全に初期費用が0円になるとは限りません。
開業資金と運転資金、生活費も合わせて検討するようにしましょう。
まとめ
フランチャイズに必要な初期費用としては、フランチャイズ本部に支払う費用、店舗開設のための費用、それ以外のビジネス開始のための初期経費が存在します。
これらの資金はすべて自分で用意する方法もありますが、銀行などから融資を受けるケースがほとんどです。
ただし、外部からの資金調達を受ける際に注意しないといけないこともあります。
それは、極力、担保や連帯保証人を付けないようにすることです。
いくらビジネスの成功のために頑張っても、希望どおりに進まない時もあります。
そのような場合、大切な人たちに迷惑をかけないために最大限の注意が必要です。
何が起こるか分からないからこそ、あらゆるケースに対応できるように気を付けましょう。
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よくある質問
Q:フランチャイズの運営に必要な資金について知りたい
A:固定費/変動費と2つある
初期費用に加えて、フランチャイズの運営に必要な資金を運転資金と呼びます。
日々の店舗運営に必要な運転資金は、大きく下記の2つのタイプに分類できます。
固定費は、売り上げや収益が上がっているかなどビジネスの状況に関わらず、毎月必ず発生する費用です。
例えば、家賃、正社員の人件費、設備のレンタル代金や維持管理費、各種保険や通信費など、定額で定期的に発生するものになります。
フランチャイズ本部に支払うロイヤリティが毎月固定額の場合は、ロイヤリティも固定費となります。
変動費には、仕入れ代金、広告宣伝費、アルバイトなどの人件費などが含まれます。
フランチャイズ本部に支払うロイヤリティが“売り上げの何パーセント”などという決まりの場合は、ロイヤリティも変動費となります。
毎月、同じ金額で発生しないものの、予算を立てる上で、ある程度の予測が必要となります。
フランチャイズでの開業は個人事業主として始めるべきか、法人を設立するべきかマイチョイスで詳しく解説しています。
Q:融資を受ける際に必要な書類は何?
A:事業計画書/本人確認書類/登記簿謄本
事業計画書
事業概要や収益見込みなど、今度どのように事業を行っていくのかを説明するための書類
本人確認書類
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどのコピー
登記簿謄本
会社の基本情報が記載された書類
金融機関によっては補足資料として上記以外の書類も提出が必要となることもあります。
融資の申し込みをする金融機関が決まったら、どんな書類が必要になるのか事前に確認しておくことをおすすめします。
Q:融資を受けるときのポイントを知りたい
A:以下のとおり
フランチャイズ本部によっては、融資に関する相談・サポートを提供しているところもあります。
<文/ちはる>