9月27日・28日の2日間にわたり、「見て、触れて、選べる!独立体感イベント アントレフェア2016」が開催されました。このイベントでは、独立や開業を考えている人をサポートする、さまざまなコンテンツが盛りだくさん。
中でも人気が高かったのが「ゲスト講演コーナー」。今回は顧客リピート総合研究所(株) 代表取締役・一圓克彦さんの講演「独立前からリピーターを獲得する方法」をご紹介します。
製造業、福祉事業、IT事業、飲食業など、大小7業種の企業経営を自ら経験した【実践型】のリピーター・ファン創出コンサルタント。
2代目経営者として経営を行った年商160億円企業では、リピーター・ファンの創出により、6%の顧客離れ防止で利益率を21%改善、離職率をゼロにし、事業を成長させる。
2008年、リピーター・ファンの創出に特化した経営支援の活動を開始。著書に『0円で8割をリピーターにする集客術』(あさ出版)がある。
「常識を疑え!」 身を切る覚悟は時代に合わない。経営者が陥りがちな新規開拓原理主義
まず、気をつけてほしいのはお客さんが来ないからと言って、ただ闇雲に新規のお客さんを開拓しようとしないこと。経営していくために必要なのは、「リピーターになる」お客さんをあらかじめ狙ってから新規開拓することが大切だと、私は思っています。
とにかく、割引でもクーポンでもあらゆる(身を切る)手段をつかって新規のお客さんを開拓しようという、焦りにも似た販促。これをやってしまうと、取り返しのつかない悪循環に巻き込まれてしまう恐れが… そのメカニズムを説明していきます。
人口が減少に転じた現在の日本国内、実需(実際の需要)が減り、供給過多の時代になっています。「念願叶ってやっと購入した」等の実需、つまり1950年代後半の白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫といった三種の神器に相当するもの。これが殆ど無いのが現代社会なのです。
今、テレビを買う人は(おそらく)既にテレビを所有している人。買い替えや買い増し等、「念願叶って買います」という消費でない事がほとんどです。
この事実が何を意味するのか?
実需減少の現代社会において「新規開拓」とは、他社からお客さまを「奪う」行為。他社のお客さまを奪わなければ、自社の新規顧客は増えない。という事になってしまうわけです。
薄々この事実に気が付きながらも、「ビジネスは新規開拓が全て」と言わんばかりに、新規開拓を繰り返す企業や店舗。
他社のお客さまを奪わなければ、自社のお客さまが増えないわけですから、みんな、他社比較の優位性を前面に打ち出した顧客獲得を行おうとします。
一番インパクトがあるのが「価格」。他社よりも安いですよと声高に叫び、新規開拓を皆が行う。これがデフレの元凶です。さらに、価格競争力が無い小規模事業の場合、保証の延長やサービスの無料化等のメリットで「新規開拓」を行おうとしてしまいます。
すると当然、長時間労働や低賃金等に代表される職場環境の悪化、下請け業者へのしわ寄せ等、社会全体が後退するような悪循環が生まれてしまうのです。
つまり、実需が旺盛で「作れば売れた時代」はとうに終焉を迎えており、全く別の常識で動く社会の中、私たちはビジネスを行っている事を自覚すること、ここから全てがスタートなのです。
新しいビジネスの常識とは何か。
それが、今回お伝えするリピーター創出を中心に据えた経営なのです。