企業でよく耳にする外部委託ですが、最近では個人でも「外部委託」を利用する人は増えてきました。中でも日々の生活に根付く家事の代行は、それ専門のサービスがあるほど需要があります。重要が高まりつつある家事代行の仕事とはどのようなものなのでしょうか。フランチャイズ契約をして家事代行サービスを開業するメリットや成功のためのポイントをまとめてお伝えしていきます。
家事代行業のサービス内容と市場性とは
フランチャイズに加盟する前に、そもそも家事代行業がどのようなサービスなのか理解しておきましょう。
家事代行サービスとは依頼人の要望や生活スタイルに合わせ、自宅に訪問して掃除、洗濯、料理などの日常的な家事を代行するサービスです。家事代行サービスでは、以下のような業務内容の依頼を受けます。
【家事代行の一例】
- 清掃:一般的な範囲で、家の中の全体的な清掃
- 料理:朝・昼・夕食の料理の用意、1週間分の作り置きなど
- ベビーシッター:小さな子どもがいる家庭で、子どもを預かり世話
- ホームヘルパー:高齢者、障がいを持つ人、介護を要する人のサポート
- 庭の整備:庭にある草花や木の手入れ
一般的に、どこの家事代行サービスでも代行料金は1時間単位の基本料金が設定されています。業務内容はさまざまですが、内容に関わらず「時間単価×時間」が基本となります。フランチャイズ本部にもよりますが、掃除用具、洗剤、調理器具などは依頼人の自宅にあるものを使うケースが多いです。そのため、依頼人からいただく料金は人件費やサービス料がメインです。
家事代行と混同される職種に「家政婦」があります。家政婦は依頼人と直接契約を結ぶ一方、家事代行は会社を通してスタッフが派遣されます。そのため、何かトラブルが起きた際に個人ではなく企業としての対応ができるため、作業中に物損事故などが発生した場合も、多くの会社が加入している損害賠償保険で補償されることが多いようです。
家事代行サービスの需要は近年高まっています。その主な理由として以下の4つがあげられます。
共働きが増えた
家事代行サービスの需要が高まってきている1つ目の理由は、「共働きが増えた」からです。
近年、共働き家庭は増加の一途をたどっています。女性の活躍支援や、社会進出をより促進させるための政策も多く打ち出されてきており、男女ともに平等に活躍できる機会も進みつつあります。このような社会背景から夫婦ともに家を空けることが増え、家事の負担を減らしたいという思いで家事代行を利用するケースが増えてきているのです。
参照:男女共同参画白書(概要版) 平成30年版 | 内閣府男女共同参画局
3世代以上での同居が減った
家事代行サービスの需要が高まってきている2つ目の理由は、「3世代以上での同居が減った」からです。
内閣府の調査によれば、昭和60年の3世代以上で同居している家庭の割合は19.2%でしたが、令和2年には7.7%にまで減少しました。3世代以上で同居していれば、夫婦が共働きをしていても家事を分担できました。しかし、核家族やひとり親家庭、夫婦のみの家庭だと夫婦2人で家事を分担しなくてはいけないため、日々の疲れもあって体力や気力に限界を感じる人が多いようです。
参照:男女共同参画白書(概要版) 令和5年版 | 内閣府男女共同参画局(P.16より)
※リンクの遷移先はPDFファイルです。ダウンロードに大量の通信費がかかる可能性があります
日本は高齢化社会である
家事代行サービスの需要が高まってきている3つ目の理由は、「日本は高齢化社会である」からです。
日本の人口は少子高齢化が問題視されており、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は29.0%と非常に高い水準です。そのうえ65歳以上の前期高齢者の割合は13.5%に対して75歳以上の後期高齢者は15.5%と、後期高齢者の方が多くなっています。年齢を重ねれば体力も落ち、家事をすることで身体に負担がかかることもあるでしょう。高齢者が増えていることは、すなわち家事の負担を軽減したい人も増えているということになるのです。
多忙な単身者が増えた
家事代行サービスの需要が高まってきている4つ目の理由は、「多忙な単身者が増えた」からです。
単身者の中でも、仕事が多忙で家事の時間が取れない人が増えつつあり、このような人は家事代行サービスに家事をアウトソースしている傾向があるようです。若い世代で家事代行を利用する人は比較的高収入な傾向があるため、サービス利用に抵抗が少ないのかもしれません。
家事代行のフランチャイズを開業するには
家事代行のフランチャイズに加盟するのには、どれほどの費用が必要になるのでしょうか。加盟する流れや資金面について確認していきましょう。
加盟契約~開業までの流れ
家事代行のフランチャイズに加盟し、開業するまでの流れをご紹介します。
家事代行のフランチャイズだからといって、ほかのフランチャイズと開業までの流れは変わりません。開業するエリアなどは、面談時に決定されます。
開業資金
開業には、以下のような費用がかかります。開業資金はいわゆる「初期費用」なので、開業する前に支払いが必要なものです。ただし、フランチャイズ本部によっては分割支払いを受け付けているケースもあるので、途中解約のルールも含めて事前に確認しておくようにしましょう。
開業資金には、以下のようなものが含まれます。
特に「加盟金」「保証金」「研修費」「機材費」は多くのフランチャイズで必要な費用になります。金額感はフランチャイズ本部によって異なります。少ないところだと50万円ほどの開業資金でオープンできるようです。専門的な知識や資格が必要ないので、比較的始めやすいビジネスといえるでしょう。
運転資金
洗剤や掃除道具など、訪問先にあるものを利用するケースもありますが、自身で用意していくこともあります。この場合、あらゆるシチュエーションに合った道具が必要になるため、かなりの種類を用意しなくてはいけないでしょう。何名か従業員がいるのであれば、家事代行に必要な道具が不足しないよう何セットか用意することをおすすめします。
人を雇うのであれば人件費も必要になるため、運用資金はどのような運用方法にするかで大きく異なるでしょう。
まずはフランチャイズの仕組みを知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
https://entrenet.jp/magazine/25755/
家事代行のフランチャイズ開業のメリット5選
家事代行のフランチャイズを開業するのには、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを5つご紹介します。
高いブランド力を活かせる
家事代行サービスとして開業しても、知名度がないと信頼を獲得しづらく依頼がなかなか舞い込んで来ません。特に家事代行サービスは依頼者の家に上がらなくてはいけないため、よほど信頼を獲得できていないと「依頼したい」とも思ってもらいにくいでしょう。
その点フランチャイズに加盟すれば、すでに家事代行サービスとしての知名度や認知度を獲得している企業名で開業できます。高いブランド力を活かせるため、開業早々から依頼を受けられる可能性が高まります。
集客施策や請求業務などをフランチャイズ本部が代行してくれる
家事代行サービスで料金が発生するのは、あくまで「時間単価×時間」です。そのため、電話での問い合わせ、請求、集金などは必要な業務ではありますが料金の発生しない業務となります。しかし、フランチャイズによってはこのような業務を代行してくれます。これらの業務を代行してもらえれば、自身は家事代行のサービス内容に集中できるようになるでしょう。
経営が安定しやすい
フランチャイズによっては、個人からの依頼はもちろん、企業との定期契約を行っている場合もあります。企業との取り引きであれば1回の料金が高額です。さらに定期契約ともなれば安定して依頼が受けられるため、経営が安定しやすいといえるでしょう。
顧客紹介があることも
フランチャイズでは、フランチャイズ本部が獲得した顧客を加盟者に紹介しているケースもあります。フランチャイズ本部から顧客を紹介してもらえれば集客にかかる手間や時間が省けたり、自身では集客しきれなかった層からの依頼を受けられたりなど、大きなメリットとなるでしょう。
スタッフを派遣してくれることも
家事代行の訪問先や業務内容によっては、従業員だけでは不十分な場合もあります。このようなケースのときでも、フランチャイズに加盟していれば本部に相談することでスタッフを派遣してもらえる場合があります。自分の加盟店だけでは捌き切れない依頼内容でも受けられるのはメリットといえるでしょう。
家事代行のフランチャイズ開業のデメリット
家事代行に限った話ではありませんが、フランチャイズに加盟するためには毎月「ロイヤリティ」の支払いが発生します。ロイヤリティとはフランチャイズのブランド力やノウハウを使わせてもらうための費用で、毎月定額を支払う方法と、売り上げから決められた割合の額を支払う方法の2つの支払い形態があります。支払い形態についてはフランチャイズによって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
また、掃除道具などを持っていくのに自家用車両を利用する場合、駐車場代がかかります。駐車場代は自己負担になるケースが多いため、追加経費がかかることも理解しておかなくてはいけません。
家事代行のフランチャイズを成功させるポイント
フランチャイズで成功するためには、フランチャイズ本部選びが鍵を握ります。フランチャイズ本部を選ぶ際には、自分ではなかなか手が回らないところまでサポートしてくれるところを選ぶことをおすすめします。例えば、家事代行自体が初めてなら研修制度が整っているフランチャイズ本部、集金や清算などの経費周りが苦手なら事務作業をサポートしてくれるフランチャイズ本部など、自分に足りない部分を補ってくれるようなサポート内容になっているか確認するようにしましょう。
また、家事代行サービスをするプロとしての自覚を持って仕事をすることも重要です。特にエアコンクリーニングは家事代行の中でも専門性が問われるため、知識をつけておくとより依頼者に喜ばれる仕事ができるようになるでしょう。
まとめ
共働きや高齢化社会などさまざまな社会背景を理由に、家事代行サービスの需要は年々高まってきている傾向にあります。家事代行サービスは家政婦と違い個人間での契約ではないため比較的トラブルも少なく、フランチャイズとしても成長中の業界といえるでしょう。専門性は低いものの自分がすでに持っているスキルを活かせるため、比較的始めやすいビジネスといえます。
<文/ちはる>