近年の健康志向の高まりを背景に、フィットネスジム市場が成長を続けています。
それに乗じてフィットネスジムを開業する人が増えているものの、中には「どのくらい資金が必要なのかわからないから」と開業を足踏みしている人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、フランチャイズに加盟してフィットネス事業を始めるのに必要な費用や、経営のコツについて解説します。
フィットネスを開業したい方や、フランチャイズは視野に入れていなかったという方は、ぜひ最後までご覧ください。
フィットネスジムのフランチャイズとは

企業が店舗数を拡大したいとき、効率的に店舗を増やす手段として用いられるのがフランチャイズです。
フィットネスジムを経営する企業がフランチャイズ本部となって加盟店を募集し、直営店を運営しながら加盟店を全国的に増やして会員ネットワークを広げていく仕組みになっています。
この仕組みを利用することで、これまでフィットネスに関わったことがない方や、経営は初めてという方でも本部のサポートを受けながらフィットネスジムを開業できるようになるのです。
サポートを受ける対価として、加盟金やロイヤリティの支払いは必要になるものの、売り上げを伸ばせれば高収入も見込めるので、双方に利のある仕組みだと言えます。
※フィットネスジムのフランチャイズ開業について、メリットやデメリットを知りたい方は以下の記事をご覧ください
https://entrenet.jp/magazine/41771/
【フランチャイズ】フィットネスジムの市場動向
フランチャイズ加盟でのフィットネスジムの開業が注目される背景には、市場の確かな成長と、変化する顧客ニーズが関係しています。
拡大を続けるフィットネス市場
健康志向の高まりやライフスタイルの変化により、日本のフィットネス市場は年々拡大を続けています。
経済産業省の調査によると、フィットネスクラブの売上高はコロナ禍で一時的に落ち込んだものの、近年は回復・成長傾向にあります。
今後も「健康寿命の延伸」や「予防医療」への関心は高まり続けると予測されているので、安定した需要が見込める将来性の高い市場として人気が高まっているのです。
多様化するニーズとビジネスチャンス
昨今は顧客のニーズが多様化したことで、総合型フィットネスクラブ以外にも新たなビジネスチャンスが生まれています。
フランチャイズを活用すれば、地域の特徴や周辺顧客のニーズに合わせたフィットネスジムの運営がおこないやすくなります。
【フランチャイズ】フィットネスジムを開業・運営するのに必要な資金

フィットネスジムの開業に必要な資金は、加盟する本部や物件の規模、立地によって大きく変動するものおn、総額で500万円~3,000万円程度が目安とされています。
この費用は、大きく分けて開業時にかかる「開業資金(初期費用)」と、事業を継続するために毎月発生する「運転資金(ランニングコスト)」で構成されています。
フィットネスジムを開業するための開業資金

開業時に必要となる初期費用(開業資金)の主な内訳は以下の通りです。
| 項目 | 金額 | 内容 | |
|---|---|---|---|
| 加盟金 | 150万~500万円 | ブランド使用権やノウハウ提供の対価 | |
| 物件取得費 | 家賃×6ヵ月分 | 保証金、礼金、仲介手数料など | |
| 外装内装費 | 350万~1,500万円 | 物件の状態やジムのコンセプトにより変動 | |
| 設備費用 | 50万~1,000万円 | トレーニングマシン、セキュリティ設備等 | |
| 合計 | 500万~3,000万円 | 
上記の項目に加えて「広告宣伝費」「システム利用料」「研修費」などが加算される場合もあるので、必要な開業資金に関しては事前にフランチャイズ本部に確認しておきましょう。
フィットネスジムを運営するためのランニングコスト

フィットネスジムを開業後、毎月継続的に発生する運転資金(ランニングコスト)の主な内訳は以下の通りです。
| 項目 | 金額 | 内容 | 
|---|---|---|
| ロイヤリティ | 5万~30万円 | ブランド使用やサポートの対価。定額制と変動制がある | 
| 家賃 | 15万~ | 立地や物件の広さによって大きく変動 | 
| 水道光熱費 | 5万~20万円 | 店舗規模や営業時間、シャワー設備の有無などによる | 
| 人件費 | 売上の30%前後 | スタッフの給与や社会保険料など | 
| 広告宣伝費 | 5万円~ | Web広告、チラシ作成、キャンペーンなど | 
| その他経費 | 5万円~ | 備品購入費、通信費、機器のメンテナンス費など | 
| 合計 | 70万~200万円程度 | 
フランチャイズのフィットネスジム経営で得られる収入の目安

フィットネスジム経営の主な収入源は、会員からの月会費です。
月会費の簡単な求め方は以下の式の通りです。
本部が提示する収益モデルでは、月商500万円~1,000万円を目標としているケースが多く見られます。たとえば、会員単価8,000円のジムなら、625人~1,250人の会員を獲得すればこの売上規模に到達します。ここから前述の運転資金を差し引いた額が、最終的な営業利益となります。
フィットネスジムを経営で収入を最大化するためのコツ

フィットネスジムの経営を安定させるには、無駄なコストを削減し収入を最大化する必要があります。
こちらでは、費用を抑えながら収入を最大化するコツを5つ紹介します。
スモールスタートをする
初期費用を抑えたいのであれば、まずは小規模ジムからのスモールスタートをおすすめします。
大規模施設は多額の設備投資や人件費が必要となり、経営リスクが高まる危険性があります。特に経営未経験なら、パーソナルジムのようにマンションの一室からでも始められる業態を検討するのが堅実です。
ある程度の規模で始めたい場合は、飲食店の跡地などを改装する「居抜き物件」を活用すれば、内装工事費を大幅に削減できるでしょう。
まずは身の丈に合った規模で開業し、経営が軌道に乗ってから拡大を目指しましょう。
トレーニング機器は長期で見て選ぶ
トレーニング機器は初期費用の中でも大きな割合を占めますが、単純に安いものを選べば良いわけではありません。長期的な視点で費用対効果を判断することが重要です。
- 中古品:初期費用は抑えられるが故障リスクが高く、修理費用がかさむ可能性あり
 - リース:初期費用は大幅に削減できるが、長期的に見ると総支払額が割高になる
 - 新品:初期費用は高額なものの、保証が充実しているため長期使用に向いている
 
多くのフランチャイズ本部は、実績のあるメーカーの機器を割安で仕入れられるルートを持っています。本部のサポートを活用し、品質と価格のバランスが取れた機器を選びましょう。
立地調査は入念に
家賃は運転資金の中で大きな割合を占める固定費であり、一度契約すると簡単には変更できません。そのため、出費に見合った集客が見込めるかを判断するための入念な立地調査が必要です。
たとえ駅前の一等地でも、設定したターゲット層が少なければ意味がありません。必ず自分の足で現地を訪れ「平日・休日の人通り」「通行人の属性」「競合店の状況」などを徹底的に調査しましょう。
本部の商圏分析データだけに頼らず、自らの目で確かめることが重要です。
広告を使った集客は戦略的に
広告宣伝費は単に削減するのではなく、費用対効果を最大化することが重要です。ターゲットを明確に定め、最適な手法でアプローチしていきましょう。
誰に何を伝えたいのかを明確にし、ターゲットの行動様式に合わせた広告媒体を選ぶことが、広告費を最適化する鍵となります。
トレーナーの質を担保する
スタッフの質を担保するのは、長期的に見て最も効果的なコスト削減策の一つです。
質の高いサービスを提供し続けられれば顧客満足度が向上し、大会率を大幅に引き下げられます。
新規会員の獲得には多額の広告費がかかりますが、既存会員に長く継続してもらえれば、その分の広告費が不要になります。
なので、長期的な目線で収入を最大化したいのであれば、本部が提供する研修プログラムを活用し、スタッフの指導力やコミュニケーション能力を高められる体制を整えましょう。
失敗しないフランチャイズ本部の選び方【5つのチェックポイント】
フランチャイズの成否は、本部選びで9割決まると言っても過言ではありません。
契約してから後悔しないために、以下の5つのポイントを必ずチェックしましょう。
サポート体制は充実しているか
本部を選ぶ際は、開業前の研修だけでなく、開業後の運営サポート(スーパーバイザーによる定期的な巡回指導など)が手厚いかを確認しましょう。
特に集客支援やスタッフ採用・育成のサポート体制は、経営を安定させる上で非常に重要です。
ブランドのコンセプトに共感できるか
ブランドが提供する価値や理念にオーナー自身が心から共感し、情熱を注げるかは長期的なモチベーションを維持するうで重要です。
「儲かりそうだから」という理由だけで本部を選ぶと、困難に直面した際に事業を続けるのが難しくなるので注意が必要です。
収益モデルは現実的か
説明会で提示される収益シミュレーションの根拠は必ず確認しましょう。
「会員数が〇人になれば月商〇〇万円」という甘い見通しだけでなく、ロイヤリティや諸経費を差し引いた実質的な利益はどのくらいか、現実的な視点で見極めることが重要です。
既存オーナーの声を確認する
可能であれば、フランチャイズに加盟している複数の現役オーナーに直接話を聞いてみましょう。
本部からは聞けないリアルなメリット・デメリットや、サポート体制の実情を知るための最も確実な方法です。
本部に相談すれば近くのオーナーを紹介してくれることもあるので、開業前に確認してみましょう。
契約内容を十分に理解する
契約書や法定開示書面は専門用語が多く難解ですが、必ず隅々まで読み込み、少しでも疑問があれば解消するようにしましょう。
特に「契約期間」「中途解約時の違約金」「競業避止義務」などの項目は、活動を制限される可能性がある重要な条項なので注意しましょう。
フィットネスジムのフランチャイズに関するよくある質問
最後に、フィットネスジムのフランチャイズに関して多く寄せられる質問にお答えします。
Q1. 未経験からでもフィットネスジムの開業で成功できますか?
A1. 成功する可能性は十分にあります。
本部が提供する充実した研修や運営マニュアルがあるため、業界未経験であることは大きなハンデになりません。
ただし、成功のためには本部任せにせず、オーナー自身が主体性を持って学び行動し続ける姿勢が不可欠です。
Q2. フィットネスジムの開業に特別な資格は必要ですか?
A2. オーナー自身が開業するために必須の資格はありません。
ただし、スタッフとして顧客に指導をおこなう場合は、NSCA-CPTなどの民間資格があると顧客からの信頼性が高まります。
資格取得を支援する研修制度を持つ本部もあるため、確認してみましょう。
Q3. フィットネスジムの開業で本当に儲かるの?
A3. ビジネスモデルと自身の努力次第です。
フィットネスジムは会員制のストック型ビジネスであり、一度軌道に乗れば安定した収益を上げやすいのが特徴です。
しかし、軌道に乗せるためには本部のノウハウを最大限活用しつつ、地域に合わせた集客努力や顧客満足度を高める工夫を継続することが大前提となります。
楽して儲かるビジネスではないことを理解しておきましょう。
まとめ

本記事では、フィットネスジムのフランチャイズ開業に必要な費用から本部選びのポイント、コストを抑えるための具体的なコツまで解説しました。
開業には多額の資金が必要ですが、スモールスタートや居抜き物件の活用、戦略的な集客など、工夫次第で費用を抑えることは十分に可能です。
まずは本記事で解説した内容を参考に、自身の計画に合ったフランチャイズ本部の情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
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<文/ちはる>










