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店舗ビジネスに欠かせない“商圏”範囲の設定方法とは

店舗ビジネスに欠かせない「商圏」範囲の設定方法とは 独立ノウハウ・お役立ち

独立・開業し、新しい店舗を出店しようと考えたとき、業態が定まったら次にどのエリアに出店するのかを決める方が多いはずです。その際にぜひやるべきなのが“商圏分析”です。店舗ビジネスの成功確率を上げるためには必要不可欠な要素といえます。とはいえ、商圏とはそもそもどのようなものなのか、商圏の範囲はどの程度に設定すべきなのかなど、初めての場合はわからないことも多いでしょう。そこで、本記事では商圏の基本的な情報と、商圏の範囲をどのように設定すべきか、実際どのように分析すべきかなどをまとめてご紹介します。

“商圏”とは何か

商圏とは、自店舗を利用する可能性が高い顧客が暮らしていたり働いていたりする範囲のことです。

商圏は一般的に、店舗からの半径距離で円を作り範囲を決定しますが、ビジネス形態や顧客の移動手段、移動を妨げる商圏バリアによって商圏範囲は変わります。

商圏を適切に把握できれば、店舗ビジネスの基本を押さえられたも同然です。売り上げが伸び続け事業を継続するために重要な要素だといえます。

新規出店時には必ず商圏の分析を行い、商圏を把握しておきたいものです。なお出店後も定期的に行うと、商圏範囲内の変化に気付けるため、店舗を成長させるためのものとして、有効活用するようにしましょう。

商圏分析には“商圏範囲”の設定が必須

商圏分析とは、地域人口などの統計データや顧客データを活用し、店舗周辺の特徴を把握するためのものです。詳しくは「商圏分析のメリット」で後述しますが、ターゲット層の特徴をつかむことで新規出店場所の参考にしたり、売り上げ改善の施策を考えるときの有力な情報になったりします。

商圏分析を行うには、先にどの範囲を分析しなければいけないかを明確にする必要があります。つまり、“商圏範囲”をはっきりさせて、どのお客さんをターゲットにするべきか把握することが重要だということです。

商圏は、店舗から「半径◯kmまでの距離」で円を作り、範囲を決定しますが、「どのビジネスや事業形態でも、すべて同じ◯km」と決まっているわけではありません。例えば、食品や日用品などを扱うスーパーマーケットは、自宅から徒歩や自転車で行けるぐらい近い距離が望ましいため商圏範囲は狭くなるでしょう。一方で、高級ブランド品や車など、専門性があり高価格なもの を扱う店舗の商圏範囲は広くなる傾向にあります。

自店舗が扱う商品やサービスにとって、適切な商圏範囲はどのくらいなのかを明らかにしてから、商圏分析を行うことが重要です。なお、商圏範囲は距離によっていくつかの種類があるため、先にチェックしてみましょう。

4種類の商圏範囲

商圏範囲は大きく分けると4種類あり、店舗からの距離で区別されます。

商圏範囲が狭ければ徒歩や自転車、広ければ電車や車で移動することを想定しておきましょう。

【4種類の商圏範囲】
・足元商圏
・一次商圏
・二次商圏
・三次商圏

また、ここでは具体的な距離と移動時間が出てきますが、すべて平均的なスピードで計算しています。

前提条件として1分間で移動できる距離を以下とします。
徒歩:80m
自転車:250m
車:400m
電車:1km

足元商圏

足元商圏は、店舗や会社がある場所から5分程度で移動できる範囲で、徒歩だと約4、5分の距離です。徒歩や自転車での来客が多いでしょう。

距離の近さから、ターゲットが気軽に来店できることを想定しているコンビニエンスストアなどで重要視される商圏で、範囲が狭いため競合店が少なくなりやすいといえます。次に紹介する“一次商圏”の範囲と同一と捉えられることが多いです。

一次商圏

一次商圏は店舗まで徒歩で10分~15分程度で移動できる範囲で、距離は徒歩で約0.8km~1.2km、自転車で約2.5km~3.8km、車で約4km~6kmです。来店頻度の目安をほぼ毎日と設定している範囲なので、人口の多いエリアを商圏に選ぶことが望ましいとされています。

“最寄品商圏”とも呼ばれ、日用品・食料品などを扱うスーパーマーケットやドラッグストアなどで重要視される商圏です。

二次商圏

二次商圏は、自転車や車で10分~15分程度でアクセスできる範囲で、距離は自転車だと約2.5km~3.8km、車だと約4~6kmです。

来店頻度の目安を週に1、2回に設定した範囲のことで、“中間品商圏”とも呼ばれます。範囲が少し広くなるため、ライバル店の存在が多くなったり、移動を妨害しやすい山・河川などの影響も出てきたりするため、来店を阻む要素となる「商圏バリア」の存在も加味して考える必要があります。

三次商圏

三次商圏は、電車や自動車で30分~40分程度でアクセスできる範囲で、距離は車で約12km~16km、電車で約30km~40kmです。

“専門店商圏”とも呼ばれ、来店頻度の目安を月に1回〜3ヵ月に1回と設定する範囲のことです。デパートや商業施設などで重要視される商圏で、広域なエリアとなるため移動手段や人流データなどから綿密に商圏分析を行う必要があります。

また、郊外にある大型駐車場を備えている店舗などの場合は、店舗からの運転時間で商圏を作成する“運転時間商圏”という範囲で考えるのが適切です。

これらの商圏の種類から、自店舗に適した商圏の範囲を選択する必要があります。

商圏範囲の設定方法

商圏範囲の種類の確認ができたら、商圏範囲の具体的な設定方法を確認していきましょう。

商圏範囲の目安を把握する

店舗ビジネスに欠かせない“商圏”範囲の設定方法とは

商圏範囲の設定をするときには、はじめに“商圏範囲の目安”を把握しましょう。例えば、コンビニエンスストアと大型ショッピングセンターでは、来店頻度もアクセス方法も大きく異なります。

店舗ビジネスの種類によってターゲット層や店舗への来店頻度・主なアクセス方法が異なるため、4種類の商圏範囲やビジネス形態を踏まえて参考例を見ていきましょう。

【具体的な商圏範囲の例】
・コンビニエンスストア:~500m(移動手段:徒歩)
・飲食店(定食屋):~500m(移動手段:徒歩)
・ファミリーレストラン:2km~3km(移動手段:車)
・ドラッグストア:2km~5km(移動手段:車)
・大型スーパー:10km~20 km(移動手段:車)

例に挙げたものだけでも、範囲が大きく異なることが分かります。ただし、これらは参考値のため、実際に分析をして商圏範囲の設定をすることが大切です。

商圏範囲を明確に設定していく

商圏範囲を大まかに把握できたら、具体的に商圏範囲を設定していきましょう。

商圏範囲を決める方法には、大きく分けると「データ分析」と「フィールドワーク調査・分析」の2種類があります。

データ分析では、国勢調査などを参考にデータ上の数値を用いて行うため、「なんとなく」ではない根拠を持った分析ができるでしょう。しかし、データだけでは見えてこない情報があることも事実です。

そこで、商圏内を歩いて調査するフィールドワーク調査・分析も行い、地図やデータでは知り得ない情報も加味して商圏範囲を決定していくようにしましょう。

データ分析

「データ分析」は、人口動態データやライフスタイルデータなどを活用するとよいでしょう。

商圏は一般的に、店舗からの半径距離で円を作り範囲を決定します。円の範囲内の人口動態データを調査して、人口の流入や流出、結婚・出産、年齢層・男女比などそのエリアに住む人々の流れや変化を知ることができます。購買層の把握や、売り上げ予測に活かせるでしょう。

また、ライフスタイルデータでは、世帯収入や移動手段、消費動向を知ることができます。ターゲット層を絞ったり、需要がありそうな商品の選定をしたりできるでしょう。実際のデータに基づいた分析となるため、自店舗に合わせて適切に行うことが大切です。

フィールドワーク調査・分析

「フィールドワーク調査・分析」は、来店を阻む“商圏バリア”を把握するために行いましょう。地図やデータ上の数値だけでは分からない、店舗周辺の状況を把握することができます。

商圏は、店舗からの半径距離で円を作り範囲を決定しますが、実際はきれいな円になることはありません。フィールドワークを行うと、大きな道路・山や河川など、人の流れや移動を阻害する要素や、道路工事や時間帯による渋滞などの交通事情などが分かります。

来店しにくくする商圏バリアが影響しそうな地域は、商圏から外します。きれいな円の商圏範囲にはなりませんが、実用的な商圏設定ができるでしょう。

また、フィールドワークを行う際は、競合店の調査もあわせてしておくことがポイントです。売り上げや店舗の存続に大きく影響するため、新規出店時や出店後も定期的に調査するようにしましょう。

商圏分析のメリット

では、商圏を分析・把握することのメリットはどういった点にあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

エリアやターゲット層の特徴を把握できる

商圏の範囲を定めて分析することで、そのエリアそのものの特徴や、ターゲットにしている層の特徴を捉えることができるようになります。

エリアの特徴を把握するということは、自店舗にマッチしているか、データを元に判断できるということです。つまり、そのエリアに出店して売り上げを上げられる見込みがあるかを見極められることにつながるわけです。

退店リスクを減らせる

商圏分析を行うことで、狙っているエリアとターゲット層の特徴を把握でき、それを出店後の売り上げ予測にも活用できるとお伝えしました。

売り上げが立つ見込みを把握できるということは、見当違いなエリアに出店せずに済むということです。

商圏範囲を決め、そこで集計したデータを元にしっかりと検討を重ねて出店の可否を決定できるので、「出店したのにもかかわらず売り上げが伸び悩んで退店しなくてはいけなくなった」というリスクを減らせます。

店舗出店以外にも活用できる

商圏の範囲を決め、分析することによって得たデータは、店舗出店エリアを決める際に活用できます。

また、商圏分析は出店後の販促戦略を立てたり、広告出稿時の効果予測や検証を行ったりなど、店舗出店後でもさまざまなマーケティング活動において活用できるのです。

ただし、このように店舗運営に活かしていくためには、定期的な商圏分析を行う必要があります。

周囲の環境の変化をいち早く察知できる

定期的な商圏分析を重ねることで、ちょっとしたエリア状況やターゲット層の変化を察知できます。

こういった変化は、ターゲット層の店舗利用の行動変化にもつながってくる可能性が高いため、何か問題が起こったときも迅速に原因を把握して対応できることでしょう。

商圏分析のデメリット

店舗ビジネスにおいてさまざまなメリットがある商圏分析ですが、実施するのにデメリットも存在します。

多角的に調べる必要があるため、手間・コストがかかる

出店を検討している店舗の商圏の範囲を決定し、必要なデータを集計して分析する“商圏分析”のフローはシンプルですが、分析するために集めるべきデータはさまざまあり、詳しい商圏を把握するためには多角的に調べる必要があります。

1つの情報だけでは偏ってしまうので、できる限り、情報をより多く集めたいところです。しかし、集めるにはどうしても手間とコストがかかってしまうため、なかなか多くの企業が深くまで手をつけられていないのが現状です。

さらに、店舗の特徴によって集めるべき情報も異なるので、一概にこのデータを集めたら大丈夫とはいえない点はデメリットといえるでしょう。

すべてを包括的に調査できる業者がなかなかない

商圏分析は多角的に行う必要があるものです。手間とコストがかかるので、本来の業務以外にしっかりと時間をかけられる体制が欲しいところです。しかし、そのために体制を変えたり人手を増やしたりするのは簡単ではありません。

独立・開業して一人で業務を行ったり、副業としてまずは事業を開始したりするような場合は、なおさらじっくり時間をかけるのは大変です。

そうなると、業者に委託することを検討することになるでしょう。しかし、商圏の範囲を設定し、さまざまな情報を多角的に集めて分析するといった方法で、包括的に調査してくれる業者はなかなか見当たらないのが現実です。結局のところ手間がかかってしまうことになります。

定期的に行う必要性がある

店舗を出店する際には商圏分析を一度は行うことでしょう。出店エリアを決める際には一度でいいかもしれませんが、今後そこで店舗を営業していくとなると、定期的に行うのがおすすめです。

一度の商圏分析では、調査したときのみのエリアやターゲット層の特徴や状況しか把握できないからです。周辺情報やターゲット層の特徴は移り変わっていくものです。次に商圏分析をした際には、何かしらの変化が起こっているでしょう。

分析し集めたデータを比較することで、起こっている変化を把握し、店舗運営に活用していけるというわけです。

一度の商圏分析の結果のみを参考に店舗運営をしてしまっては、変化による問題に上手に対処できなくなってしまうでしょう。

コストや手間を考えるとデメリットにも当てはまりますが、定期的に行うことで得られるデータにメリットはあります。

出店エリアを決めるときは分野を決めて商圏分析を行うのがおすすめ

商圏範囲を適切に設定したり、商圏分析でターゲット顧客や商圏内の状況を知ったりすることは、店舗ビジネスを成功させるために欠かせない要素です。

独立・開業で店舗ビジネスを始めるときも、既存店の経営改善を試みる場合でも役立てられるでしょう。

独立・開業しようと考えているのであれば、商圏分析の基本とともに、どの分野で開業をするかをしっかり考えることも必要です。

商圏分析に自信がない場合は、フランチャイズに加盟することでサポートを得られることがあります。 『アントレ』には、副業からスタートできるビジネスの情報が多数そろっているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

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<文/みさき>

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アントレスタイルマガジン編集部

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