独立や開業したい人の中には、飲食店での独立を目指している方も多いのではないでしょうか。独立して繁盛店を作るという夢を持つ一方で、飲食店は開店から1年以内に潰れてしまうお店の割合が高い現実に、不安を抱く方もいると思います。
本記事では、飲食店が潰れる理由と、繁盛店が意識していることをそれぞれ5つのポイントにまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の廃業率は、ほかに比べて高い
とある信用調査会社によると、飲食店の約3割が廃業を検討しており、全業種の中でも最も多い回答であるといわれています。潰れる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は『飲食店が潰れる理由』と『繁盛店が意識していること』に焦点をあてて紹介していきます。
飲食店が潰れる理由には意外なものもあるので、しっかり把握しておきましょう。
飲食店が潰れる5つの理由
飲食店が潰れる理由にはさまざまな理由があげられます。もちろん1つの理由の場合もありますし、複数の理由が複合的に重なって廃業に陥ることもあります。ここでは、飲食店が潰れる理由を以下の5つにまとめて紹介します。
・飲食店が多すぎる
・イニシャルコストが高い
・ランニングコストが高い
・顧客のハードルが高い
・得られる売り上げの上限が低い
それぞれ飲食店が潰れる理由の中でも代表的なものですが、改めて確認しておくことで、廃業のリスクも低くなる可能性があるので、確認してみてください。
理由1.飲食店が多すぎる
飲食店が潰れる理由の1つ目は『競合となる、ほかの飲食店の数が多すぎること』があげられます。飲食店は『食品衛生責任者』の資格があれば、だれでも開業することができるため、非常に参入障壁が低いことが魅力の一つです。そのため人口に対する店舗数が多く、飲食店が飽和状態になってしまっている状況です。
飲食店が飽和状態だと、競争も激しくなり、必然的に潰れてしまう飲食店が出てきてしまいます。
理由2.イニシャルコストが高い
飲食店が潰れる理由の2つ目は『イニシャルコストが高いこと』があげられます。飲食店は、店舗であるため、物件取得費や調理器具、備品などのイニシャルコストが非常に大きくなってしまいます。また、一度場所を決めてしまうと、そこから動きにくくなってしまうのも、デメリットの一つといえます。
理由3.ランニングコストが高い
飲食店が潰れる理由の3つ目は『ランニングコストが高いこと』があげられます。ランニングコストには、食材費や人件費、家賃などが分類されますが、売り上げが安定しない『開店して間もない時期』には、このランニングコストが非常に大きなプレッシャーになります。
売り上げを安定させるまで店舗を育てていく場合にも、従業員の教育費などもかかるので、ランニングコストは多めに見積もっておいたほうがよいでしょう。
理由4.顧客のハードルが高い
飲食店が潰れる理由の4つ目は『顧客のハードルが高いこと』があげられます。消費者の考えとして、飲食店で提供される料理は『お店の味』であり、美味しいことが当たり前となっています。
飲食店が乱立する今の時代に、他店と比べられるのは当たり前になっているので、美味しい料理を提供するのはもちろん、満足される接客サービスを提供することが大切です。
理由5.得られる売り上げの上限が低い
飲食店が潰れる理由の5つ目は『得られる売り上げの上限が低いこと』があげられます。飲食店は席数が決まっており、開店時間に消費者に提供できる料理の数は限られています。そのため、他の業種と比較しても売り上げの限界は低く、事前に限界を把握しておくことをおすすめします。
こんな理由で潰れる飲食店も!?
ここまでは『よくある飲食店が潰れる理由』を紹介してきました。上で紹介してきたのは、競争や資金などが主な理由でしたが、ここでは、意外な理由で潰れる飲食店の例を紹介します。
この事例では、経営が比較的容易といわれているフランチャイズを採用している場合でも陥ってしまう可能性があります。個人店舗で独立しようとしている方も、まずはフランチャイズ店舗で独立しようとしている方も、このような事例があったことを認識して、最悪の事態を回避できるよう備えましょう。
開店前に潰れる飲食店
新宿のとある中華料理屋は、中国からシェフを招聘して開店する予定でした。しかし、開店前に2つの誤算が生じてしまい「開店前に潰れる」という結果になってしまいました。
その2つの誤算とは「資金の準備」と「シェフが来ない」です。
資金の準備に関しては、ともに経営するパートナーが中国本土からの送金に規制がかかってしまい、思うような資金繰りができなくなってしまったという経緯でした。
シェフが来なくなってしまった経緯は、元々店舗の契約が締結されたら来日する段取りでしたが、店舗が決まるまでの間に中国で好待遇の飲食店に引き抜かれてしまい、結果として別のシェフで最初の2ヵ月間を乗り切らざるを得ませんでした。
元々来日する予定だったシェフの腕を頼りにメニューを用意していたため、別のシェフでは中々うまくいきませんでした。結局、この2つが重なって店舗が潰れる理由となってしまいました。しばらくは、閉店しながらも家賃だけを支払い続ける状態でした。
繁盛店なのに潰れる飲食店
都内でフランチャイズ店舗として開店した和風バルは、好立地なこともあり繁盛していました。しかし、繁盛している一方で、人材不足に悩まされている面もありました。フランチャイズ店舗だったため、店舗運営に関してはマニュアル化されていたものの、アルバイトなどの人材確保に関しては店舗側に任されていました。人材募集サイトに応募するも、費用もかかるうえに思ったように応募も来ず、人材不足を解消できなかったことから閉店してしまいました。
飲食店にとって、潰れる理由の一つである『人材不足問題』は、個人店だけでなくフランチャイズ店舗にも同様に襲い掛かります。フランチャイズだからと安心せずに、常に自分たちも努力しなければいけないことを忘れないようにしましょう。
飲食業を成功に導く5つのポイント
以上、飲食店が潰れる理由を紹介してきました。では、どこに気を付ければ飲食業を成功させることができるのでしょうか。ここでは、飲食業を成功に導くポイントを以下の5つに絞って紹介していきます。
・運転資金を最低でも6ヵ月分確保する
・人材育成を軽視しない
・マーケティング視点を持つ
・経営・料理・接客のプロになる
・「店舗を出さない」選択肢もある
飲食店が潰れる理由と併せて理解しておくことで、より成功を引き寄せることができるので、必ずチェックしましょう。
1.運転資金を最低でも6ヵ月分確保する
運転資金は最低でも6ヵ月分用意しておきましょう。運転資金には、月にかかる固定費に加え、生活費も加えましょう。最初から黒字で運営できる飲食店はほとんどないため、最低でも6ヵ月分は確保してから、開業することをおすすめします。
2.人材育成を軽視しない
人材育成を軽視しないことも、飲食業を成功させる一つのポイントです。これに関しては、飲食店が潰れる理由の一つでもある、人材不足が大きく関係します。味ももちろん大切ですが、やはり飲食店において大切なのは、人材です。ホールを少人数でも回せるスキルや、手際よく料理を作ることができるスキル、お客様に満足してもらえる接客スキルは、飲食店にとって非常に貴重です。
3.マーケティング視点を持つ
マーケティングの視点を持つことも大切です。特にお店のコンセプトを決めることや集客は店舗運営の中でも重要なポイントになります。お客様がまたお店に来たくなるようなコンセプトを考えて、集客につなげましょう。
4.経営・料理・接客のプロになる
成功する飲食店経営に必要なものは、3つの顔です。3つの顔とは経営のプロ・料理のプロ・接客のプロのことを指します。もちろん3人でそれぞれの役割を割り当てることもできますが、1人ですべてをこなして店舗が回るのであれば、それも一つの選択肢としてありです。
5.「店舗を出さない」選択肢もある
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、お弁当の宅配サービスやミールキットの普及が進んでいます。そこで「店舗を出さない」という選択肢も大いにありになってきます。フランチャイズ店舗でもこれらのような店舗を持たないサービスは、人件費や店舗賃料などを抑えることができ、人気となっています。潰れる理由の一つでもある、ランニングコストを抑えることは、成功の可能性をグッと高めるため、ぜひ一つの選択肢として考えてみてください。
「飲食=潰れやすい業種」を念頭に、入念な準備を!
飲食店経営は廃業率はほかの業種に比べても高く、非常に険しい道です。しかし、綿密な準備を行うことで、失敗の確率は減ります。本記事でも解説した通り、飲食店が潰れる理由をしっかりと認識し、成功するポイントを抑えることが大切です。
リスクをより減らしたいという方は、フランチャイズという選択肢もおすすめです。料理ができても、接客だけできても、飲食はやっていけません。フランチャイズのサポートとノウハウを活用して『飲食店経営に必要な3つの顔』を用意しましょう。
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<文/TOM>