会社はほとんどの場合、借金をした状態で経営をしています。多くの利益を出している会社でも借金があることが多いです。借金に対してのイメージが悪く「借金がある状態では会社買収をできない」と思う方もいるかもしれませんが、会社の買収や売却は、会社に負債(借金)がある状態でも行うことが可能です。
今回は、借金が多くある会社の売買についての注意点を解説します。
借金がある会社は買収・売却できる?
会社経営には設備投資や運転資金など、多額の費用が必要です。特に、新規事業に進出する際には多額の資金が必要になることが多く、会社が成長するために借金は必要なもの、だとも考えられます。
実際、多くの優良企業と呼ばれる会社が多額の借金をしています。借金がある会社でも、借金が増えた理由を明確にし、会社の経営体制と経営計画を見直してリストラや増資などを行うことで、経営改善が可能と判断されれば、買収可能と認められて売却もできるでしょう。
借金がある会社の買収・売却方法
借金がある会社における、売買の具体的な方法を記していきます。
事業譲渡で事業の一部を売却
事業譲渡は会社の事業の一部を売却することです。買収する企業側は必要な特定の事業だけを買収するので、買収元の借金を引き継ぐ必要がなく、売り手側も売却益が得られるので、その利益を借金返済にあてれば借金の圧縮につながります。
株式譲渡で経営権を渡す
多くの会社が買収・売却時に行っている手法で、会社が保有する自社株をすべて売却して、経営権を譲渡します。
売り手側のもつ特許や事業ノウハウ、優良顧客といった無形資産の評価によって売却額が増加し、手続きもほかの手法より簡単です。
お互いの会社を合併
合併により売却先と買収先の会社が一つにまとまることで、借金などの問題の解決を図る方法です。新しく会社を作り、お互いの資産や負債などを新会社にまとめる“新設合併”と、売却先か買収先どちらか1社(多くは買収先)を存続会社とする“吸収合併”の2種類の方法があります。
借金がある会社を買収・売却するメリットとデメリット
①売却側のメリット・デメリット
会社または一部の事業売却により得られる対価で、借金を返済することもできます。
〇従業員の継続雇用が可能になる
会社の売却により廃業が避けられれば従業員の雇用が維持される場合が多いので、従業員の継続雇用が確保されます。
▲譲渡後同じ事業ができない
売却した会社には20年間の競業禁止のルールがありますので、譲渡をしたら譲渡前と同じ事業を行うことは不可能です。
▲買い手が見つからない
借金の額と今後の成長で得られると思える対価が比較されるので、買い手が見つけにくいことが多いです。
②買収側のメリット・デメリット
お互いの事業統合により買収先の特許・ノウハウを生かせるので、相乗効果(シナジー効果)が得られ、成長出来る可能性が高まります。
〇法人税が抑制できる
合併であれば、合併で消滅する企業の資産・負債が、合併吸収した会社の黒字をもって赤字を相殺できるため、その結果法人税の支払い額を抑えられます。
▲従業員の労働環境が変化する
株式譲渡や合併で従業員の雇用を引き継いでも、働く環境が変わってしまうことや買収元の会社と買収先の会社で待遇面が違えばモチベーションに変化が出ます。
▲隠れ負債が見つかる
買収後に借金のほかに、貸借対照表に記載のない簿外債務が見つかることがあります。簿外債務は、会社経営に大きなリスクの一つです。
借金がある会社を買収・売却する際の注意点
買収するときには、赤字・債務超過に陥っていないかの見極めが重要になります。魅力的な事業や技術をもっていても、赤字・債務超過になる場合には、買収交渉をして買収先企業の努力で負債を減らしてもらいましょう。
売却を考えていても、負債が多くあり債務超過の状態であれば、買収を考える企業が現れる確率は低くなります。負債を減らすためには、コストカットをしたり、事業のリストラを行ってキャッシュフローを高めたり、銀行などの債権者と債権のカット交渉をしたり、といった方法があります。
まとめ
借金のある会社を売却したいと考えるには、買い手が魅力的な企業だと思ってくれることが重要です。
それには、以下のような対策が有効です。
①会社の負債を少なくする
保有資産内の、事業継続に影響の少ない土地・建物の不動産や株式などを処分して負債を縮小する。
②自社の強みをアピールする
自社の強みである、他社にはない利益になるような技術や資産などを、買収先の企業にアピールする。
③企業価値の見直しをする
保有している技術や資産を見直して企業価値を高めるように努力する。資産のなかでも、顧客資産、人的資産など見えない資産を高めることも重要。
これらを実践して、よい買い手企業を見つけましょう。
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