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ギターの「かかりつけ医」でありたい。リペアマン・石川哲也が個人経営にこだわる理由

生ボイス

自分の大切なモノを修理する。

何かを修理に出そうと思った時、できる限り信頼のおける人に依頼したいものです。中でも楽器のような、高価で愛着のあるものの手入れをするなら、なおさらですよね。

今回お話を伺ったのは、楽器リペアマン・石川哲也さん。

石川さんの工房は、個人開業のため、決して大規模なリペアショップではありません。けれども石川さんの工房には、多くのお客さまが集まり、着実にリピーターを増やし続けています。

なぜ石川さんのリペアショップは人気であり続けるのか。

「ギターの修理だけを提供するのではなく、お客さまに楽しんでもらえる環境を作ることが大切なんです」と話す石川さん。

リペアマンとしての強いこだわりをお聞きしました。

<プロフィール>
石川哲也(いしかわ・てつや)32歳弦楽器工房「Path」代表

大学卒業後、地元の栃木県で管理業務を行う一般企業に就職するも、不規則な勤務時間に苦労し、再就職を決意。

専門学校に入学し、楽器のリペアを学習後、自身の工房を立ち上げる。
立ち上げ時はアパートの一室に工房を構え、地道にリペアの経験を重ねる。

自身もギタリストとして活動しながら、その経験を活かしてギターのリペアを1人で請け負っている。お客さま1人1人への手厚い接客は評判が高く、リピーターが多数。

「お客さまに寄り添う」ことを第1に、リペアだけではない豊富なサービスを提供する。

待っていても自分に「箔」は付かない。自分の価値を高めたいなら、行動あるのみ!

ー石川さんのこれまでの経歴を教えてください。

石川さん
小学生の頃から両親の影響で音楽を聞き始め、高校生の時に母の勧めで、ゴスペルを始めました。その後大学に進学してからもゴスペルを続けようと思って、ジャズ研に入ったんです。

ー大学生になるまではギターではなく歌うことがメインだったのですね。

石川さん
そうですね。ジャズ研に入ってコピーバンドを結成した時に、初めてギターと出合いました。

ギターを弾く楽しさに、すぐのめり込み、大学生の間はずっとギターを弾いてましたね(笑)。

ー大学卒業後はどのような道を進んだのですか?

石川さん
音楽とは離れて、一般企業に就職しました。私は栃木県出身なんですが、その会社の事業所が栃木にあったので、地元に帰って働きました。

しかしその仕事がとても大変だったんです。

私はもともと喘息持ちで体が弱かったので、しばしば体調を崩していました。このままではまずいと思い、1年半ほどでその仕事を辞めて次の仕事を探し始めました。

前職の辛い経験の後ということもあって、次は自分が好きなことを仕事にしようと思いました。

ーそこで音楽を仕事にしようと思ったのですね。

石川さん
はい。自分の好きなギターを仕事にしようと思ったんです。弾くのももちろん好きなんですが、ギターをいろいろいじることも好きだったので、リペアを仕事にしようと思い、渋谷にある「代官山音楽院」(現、島村楽器テクニカルアカデミー:http://academy.shimamura.co.jp/)という専門学校で2年間学びました。

そこで本格的に、楽器のリペアについて勉強したんです。

専門2年目の時、ギターのリペアの仕事を求めて就活を始めました。

普通であればリペアマンは、まず大手の店舗で販売職を経験してから、工房に入ってリペアの仕事を始めます。

もしくは、自分の師となる人を見つけて、その人に弟子入りしてから独立することが一般的です。

しかし当時の私は26歳で、年齢的に余裕がある訳ではなかったので、焦っていました。

「自分に箔が付いてないと、誰もリペアを依頼してくれない」と思っていたので、最初は有名な工房に弟子入りを考えました。

しかし、そもそも弟子入りできる工房が少ない上に、実務経験の少ない私は門前払いされることが多いので、途方に暮れていましたね。

ーリペアマンになる道は、簡単ではないということですね。その状況をどう乗り越えたのでしょうか?

石川さん
専門学校の先生方や、リペアマンとして実際に働いている方に「自分はどうするべきか?」を聞いて回りました。すると共通して「自分に箔が付かないといけないって思って迷っている間は、箔は付かない。ゼロからでも、自分で始めてしまった方が良いのでは?」とアドバイスされました。

かなり悩みましたが、弟子入りできる目処が立っていませんでしたし、遅かれ早かれ独立して工房を立ち上げるなら、と、アドバイスを活かして自分のギターリペアショップを立ち上げました。

上手くいく勝算があったわけではないのですが、まずは工房を立ち上げてみて、そこから考えてみようと思ったんです。

とはいえ最初は、資金も場所もなかったので、自室として借りていた小さなアパートの一室を工房としてスタートさせました。

ー自分の価値は自分の行動力で高めるのが大事、ということですね。最初はどのように利益を得たのでしょうか。

石川さん
最初はとにかく知り合いに頼んで、安い値段でも楽器を直させてもらいました。地道に実績を重ねていくうちに、口コミで段々とリペアを頼んでくれる人が増えていきました。そして、27才の頃転機が訪れました。

私は自分の工房を経営する傍ら、音楽のスタジオでアルバイトをしていたのですが、偶然にもロックバンドの「THE NOVEMBERS」(http://the-novembers.com/)のメンバーさんと知り会いました。

そこで「THE NOVEMBERS」の皆さんにリペアを頼まれたんです。

ー「THE NOVEMBERS」といえば、人気のロックバンドですよね?

石川さん
はい。私もびっくりしたのですが、誠心誠意仕事をさせてもらいました。すると気に入っていただけたのか、その後も定期的に私にリペアを依頼してくれるようになったんです。

この出来事をきっかけに、さらに口コミも広まり、私にリペアを依頼してくれる人が急増しました。

このあたりから、リペアの仕事だけで安定した収入を得ることができるようになりました。

ー石川さんが根気強く行動した結果、チャンスを掴み取ることができたのですね。

石川さん
そうかもしれません(笑)。あの時に思い切って独立して良かったと思っています。

自分から行動し続けたことで、自分の仕事に自信を持てるようになりましたし、「THE NOVEMBERS」さんと出会えたことで、今までよりさらに”出会い”を大事にするようにもなりました。

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リペアだけでは終わらない。個人経営だからこそできる、リピーターを増やす方法

※本記事は取材当時の情報を基にしており、団体名、サービス名、法令等が現在と異なる可能性があります。しかし、取材時の想いや状況を正確に伝えるため、内容をそのまま掲載しています。ご了承ください。

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アントレスタイルマガジン編集部

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