「ヤンキー」と聞くと、みなさんは何を想像しますか?
中学・高校時代に周囲を威嚇するような格好をしている不良少年たち、というイメージがありますよね。
そんなイメージがあるヤンキーですが、こちらの募集要項をご覧ください。
出典:「ベジフルファーム」より
http://www.vegefru-farm.jp/yankeeintern.html
「元ヤンキー・チーマー歓迎、タトゥーOK(シールNG)、根性焼き跡OK」…。
これは一体なんの募集要項なのか、疑問に思った人も多いのではないでしょうか?
この2度見間違いなしの、一風変わったインターン募集(現在は終了)でテレビやWebメディアを中心に話題を呼んだのは、千葉県は富里市に拠点を置く「ベジフルファーム」です。
今回は、そんな「ベジフルファーム」代表を務める、田中健二さんにお話を伺いました。
田中さんは暴走族「鉈出殺殺–なたでここ–」初代総長であり、高校卒業後、実父が経営する農作物の卸し・運送会社に就職。その後独立を果たし「ベジフルファーム」を設立しました。
「ベジフルファーム」では現在、元ヤンキーからJAL出身者まで幅広いバックグラウンドを持ったスタッフが活躍しています。全然畑が違う者同士が同じ志を持って、働く。そんな強い組織のつくり方を田中さんに伺いました。
田中健二・株式会社「ベジフルファーム」代表取締役社長暴走族「鉈出殺殺–なたでここ–」初代総長。
対立していた暴走族「犯那殺多–ぱんなこった–」との抗争終結とともに、18歳で農業関連に従事。仲卸・物流・管理・営業を通した経験を保有。「生産した後の事を深く知る生産者」として農業生産法人「ベジフルファーム」を設立。そのトリッキーな取り組みを執筆出版。
・「組織は人」洋泉社刊(2017年2月25日発刊)
・「ヤンキー村の農業革命」宝島社刊 (2017年4月14日発刊)
元ボクサーであり元DJと、遊びを節操無くたしなみ、異常に長い手足で人参を引っこ抜く様は「富里のかまじい」とも称される。
出典:公式プロフィールより
http://www.vegefru-farm.jp/staff.html
「これからの農業は、若い連中が引っ張っていかなきゃいけない!」元暴走族総長が農業実業家になるまで
―元暴走族総長から農業実業家になられた田中さんですが、まずは経歴から簡単に教えてください。
田中さん
暴走族だったのは高校時代までです(笑)。高校卒業後すぐに、父が経営していた農作物の卸し・運送の会社に入りました。
小さい頃から漠然と仕事では1番になりたいと考えていましたし、ずっと社長をやっていた父への憧れみたいなものもありましたので。
―その頃から起業へ意欲的だったんでしょうか?
今手がけている仕事への具体的なビジョンまでは見えていませんでしたが、いつかは起業したいと思っていました。農業についていろいろ勉強するつもりで親の会社に入ったんです。
―実際に入ってみてどうでしたか?
メインの仕事は仲卸と運送だったので、僕自身が野菜を作っていたわけではなかったのですが、営業先で関わる農家の方々の現状を見て、非常に危機感を覚えました。世間で農業の高齢化が叫ばれる少し前くらいだったかと思うのですが、事態は非常に深刻だったんです。
農家の高齢化に伴い、日本各地に管理しきれていない荒れてしまった畑が増えています。
さらに高齢化は農業におけるさまざまな問題に影響を与えています。
例えば「ポジティブリスト制度」と呼ばれる、農薬に関しての取り決めについて。これは厚生労働省が食品中に残留してもよい農薬についての基準を定めたものです。
たしかに消費者への安全の観点から見ればそれは大切なことかもしれませんが、現場で長年農作物を作ってきた農家の方に、いきなり農薬の新しい基準を守るように言っても、混乱してしまい、適応しきれない場面がありました。
そしてこれはよく言われていることですが、農作業って本当に体力勝負なのでめちゃくちゃきついんです。
営業先の農作業を実際に手伝って、びっくりしましたね。
そんな現状を見て、日本の農業生産の現場を、ベテラン選手だけに任せっきりにしてしまっていいのだろうか? と疑問を持ちました。
―そして起業に至るんですね。
はい。もともと起業への興味もありましたし、この大きな課題をなんとかしなきゃいけないという使命感が自分の中で合致しました。やはり日本の農業生産の現場は若い連中がやらないといけないと思うんです。若い連中が畑で汗を流しながら農作物を作って、自分たちで売る。
そんなことができる会社を作りたくて、「ベジフルファーム」を発足したんです。