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会社設立時に決める事業目的とは?決め方と、業種別の書き方一覧

独立ノウハウ・お役立ち

会社設立時には定款や事業目的を決めなければなりません。基本的に事業目的としている事業を行いますが、会社設立時から事業目的が多すぎるのも考えものです。本記事では会社設立時に決めなくてはいけない事業目的や定款とは何か、どうやって決めれば良いのかを解説します。業種ごとの事業目的の例も紹介していきますので、参考にしてみてください。

会社設立時に決める「事業目的」とは?

事業目的とは、その会社が何を目的とした会社なのか、どのような事業をするのかを示すものです。定款に書かなければならないものとなるので、会社設立時に決めなければなりません。

定款とは?

定款(ていかん)とは、会社の根本規則のことで、事業目的と同じく会社設立時に決めなければならないものです。定款の一項目が事業目的となります。

社名や事業目的、住所などの基本情報はもちろん、その会社における方針を決めるべくさまざまな規則が書かれています。そのため、会社の憲法とも呼ばれます。

事業目的で満たすべき3つのポイント

事業目的は会社の方針だけでなく、取引先からの“信頼”“安心感”にもつながる大切なものです。そのため、次の3つのポイントに従い、信頼される内容にしなければなりません。

【事業目的で満たすべき3つのポイント】
・適法性
・営利性
・明確性

適法性

会社設立に伴い、事業目的を決めるときは“適法性”を確保しましょう。その会社の取り組みや目的が“違法ではない”ことを示せるように、事業目的を決めるのです。

営利性

会社設立時に事業目的を決めるときは“営利性”をチェックしましょう。NPO法人のような非営利団体を除き、会社は営利目的、つまり利益を上げることを目的に活動します。営利性のない事業目的、例えばボランティアのようなものは設定できないことも、覚えておきましょう。

明確性

会社設立時に事業目的を決めたら、“明確性”が高いか見直しましょう。事業目的が明確である、つまり誰が読んでもそこに何が書いてあるかわかるようにするのです。

【4STEP】会社設立に失敗しない、事業目的の決め方

会社設立時に決める事業目的とは?決め方と、業種別の書き方一覧

事業目的は会社設立後に変更することもできますが、無闇に変更すべきものではありません。会社設立時は、次の流れに沿って、よく考えて事業目的を決めましょう。

【会社設立に失敗しない、事業目的の決め方】
STEP1.必要な許認可の有無・認可の申請要件をチェックする
STEP2.同業他社の事業目的をチェックする
STEP3.事業拡大や将来のことも考える
STEP4.「前各号に附帯関連する一切の事業」を入れる

STEP1.必要な許認可の有無・認可の申請要件をチェックする

会社設立時に事業目的を決めるとき、まずは必要な許認可がないかどうか、認可が必要な場合は申請の要件をチェックしましょう。許認可や届け出が必要な業種には、次のようなものがあります。

【古物商】
管轄の警察署で防犯係に、公安委員会の許可が必要となります。事業目的には「古物営業法に基づく古物商」を含んだものでなければいけません。

「古物商許可申請」(警視庁)

【旅行業者代理業(旅行代理店)】
管轄の都道府県知事で登録が必要です。事業目的に「旅行業者代理業」または「旅行業法に基づく旅行業者代理業」を含まなければならない。

「旅行業法」(国土交通省観光庁)

【マッサージ】
あん摩マッサージ指圧師の資格取得と、管轄の保健所に施術所開設届を提出しなくてはいけません。事業目的に「マッサージ店の経営」を含まなければならない。

「あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう、柔道整復施術所」(東京都福祉保健局)

STEP2.同業他社の事業目的をチェックする

会社設立時に事業目的を決めるときは、同業他社の事業目的をチェックすると良いでしょう。同じ事業や似た事業を営んでいる会社の定款を読めば、自社の事業目的のイメージも浮かびやすくなるはずです。

定款は会社のホームページから確認できることもありますが、ホームページで確認できない場合、手数料こそかかりますが法務省の法人登記簿で確認することもできます。

なお、本記事後半では業種別の事業目的一覧を紹介しているので、そちらも参考にしてみてください。

「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ」(法務省)

STEP3.事業拡大や将来のことも考える

会社設立時に事業目的を決めるときは、事業拡大や将来のことも考えましょう。事業目的は後から変えることもできますが、定款も変えなくてはいけないことになります。定款を変えるには登録免許税の3万円がかかりますし、そもそも定款はそう頻繁に変えるものでもありません。

会社設立後すぐに行う予定ではなくとも、将来的に行う可能性のある事業は記載しておきましょう。

STEP4.「前各号に附帯関連する一切の事業」を入れる

会社設立時に事業目的を決めたら、最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」と入れましょう。これを入れることで、事業目的に記載した内容と関連性のある業務を広くカバーできます。後から困らないように、必ず入れるようにしましょう。

事業目的を書くときの注意点

事業目的を考えるときは、次の注意点を頭に入れておきましょう。これらを守らないと会社の信用が下がったり、無駄な費用や手間がかかったりすることもあります。

【事業目的を書くときの注意点】
・事業目的を増やしすぎない
・事業目的は変更できるが、定款も変えなければならなくなる
・事業目的にない事業も行えるが、信用低下につながる可能性もある

事業目的を増やしすぎない

会社設立時に、事業目的を増やしすぎないようにしましょう。設立間もない会社や規模の大きくない会社にたくさんの事業があると、何をしようとしている会社なのかわかりづらくなってしまいます。将来行う予定の事業を少し記載しておくくらいなら問題ありませんが、記載する事業の増やしすぎは避けたいところです。

このような会社は「何に力を入れているのかわからない」「会社の実態がわからない」ということから、取引先や金融機関から信用を得にくくなるかもしれません。

事業目的は変更できるが、定款も変えなければならなくなる

会社設立後も事業目的は変更できますが、そのときは定款も変えなければなりません。定款を変えるには株主総会で決議を取らなければなりませんし、登録免許税の3万円もかかります。

なお、定款変更には特別決議が必要で、これは議決権の過半数を持つ株主が出席するものです。出席した株主の議決権3分の2以上の賛成も必要なので、そう簡単に変更できるものではないと思った方が良いでしょう。

事業目的にない事業も行えるが、信用低下につながる可能性もある

事業目的にない事業を行うことにより、法律に触れることはないでしょう。しかし、原則として事業目的にない事業は行わないものと考えた方が無難です。定款にない事業を始めるなら、定款を書き換えた方が良いでしょう。

定款にない事業から生じた収益は「営業外収益」となります。定款を書き換えて営業外収益を売上高(定款にある事業=本業で得た収益)にまとめた方が、本業の儲けが多いということになります。

定款にない事業から得た収益は、たいていの場合「雑収入」に分類されるでしょう。雑収入は基本的に課税対象であるため、消費税がかかります。「事業開始から2年以内」「課税売上高が1,000万円以下」の条件を満たせば消費税は免除されるため、これに当てはまるなら定款を変え、雑収入を売上高にした方が良いでしょう。

「No.6501 納税義務の免除」(国税庁)

【業種別】事業目的一覧

会社設立時に決める事業目的とは?決め方と、業種別の書き方一覧

会社設立時は、同業他社の事業目的や定款を参考にして、自社のものを考えるのが良いでしょう。しかし、その前に「一般的にはどのようなことを書いているのだろう?」と気になる方も多いでしょう。

事業目的の例を、業種別に一覧で紹介するので、会社設立を考えている方はチェックしてみてください。

【業種別・事業目的一覧】
・建設業
・製造業
・電気・ガス・熱供給・水道業
・情報通信業
・運輸業
・卸売業・小売業
・金融業・保険業
・不動産業
・宿泊業
・飲食業
・サービス業(生活関連)
・サービス業(人材関連)
・サービス業(エンタメ関連)
・サービス業(出版・広告関連)

建設業

・総合建設業
・とび・土木工事業
・土木工事
・建築工事
・〇〇工事の設計、施工、請負及び監理
・〇〇に関するコンサルティング

製造業

・〇〇の企画、製造、販売
※〇〇の部分にはアルコールや酒類、レクリエーション用具、セラミックス、キャラクター商品など自社で製造するものを記載します。「企画、製造、販売」は自社で行う工程を書きましょう

電気・ガス・熱供給・水道業

・太陽光発電、その他エネルギーに関わる製品・機器の工事、メンテナンス
・〇〇設備の輸出入、販売
※〇〇の部分には自社で扱う設備、製品を記載します。製造を行う場合は、製造業の事業目的例を参照してください

情報通信業

・ソフトウェア及びハードウェアの研究、開発、設計、製造、保守
・〇〇に関するコンサルティング
・EC(電子商取引)サイトの企画、制作、配信、運営
・コンピュータシステムによる〇〇及びそれに伴う業務の受託
・コールセンター
・ホームページの企画、デザイン

運輸業

・郵便物の保管
・一般貨物自動車運送
・貨物軽自動車運送
・特定貨物自動車運送
・宅配便の取り次ぎ

卸売業・小売業

・食料品の卸売り、小売り
・酒類の販売
・日用雑貨の販売
・衣料品、衣料雑貨品の企画、制作、販売
・コンビニエンスストアの経営
・スーパーマーケットの経営

金融業・保険業

・金融業
・銀行業
・損害保険代理業
・生命保険代理業
・少額短期保険代理業
・質屋営業法に基づく質屋業

不動産業

・不動産の売買、賃貸借、管理、仲介、分譲、保有及び運用
・宅地宅建取引
・不動産の鑑定
・不動産に関するコンサルティング
・マンション、オフィスビル等不動産の管理、賃貸
・ビルメンテナンス

宿泊業

・旅館、ホテル等宿泊施設の運営
・住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業

飲食業

・飲食店の経営
・コンビニエンスストアの経営
・テイクアウトによる弁当、惣菜等の販売

サービス業(生活関連)

・美容院、理容室等の理美容サービス業に関する店舗の運営
・クリーニング
・リネンサプライ
・日用雑貨等の宅配
・カルチャーセンターの運営
・結婚仲介

サービス業(人材関連)

・労働者派遣
・有料職業紹介
・人材の育成、能力開発及びカウンセリング
・研修、セミナー等の各種催事の企画、立案、実施、運営
・アウトソーシング

サービス業(エンタメ関連)

・演劇、映画その他各種の工業
・キャンプ場、公園等のレジャー施設の運営及び賃貸
・CD、DVD等の原盤及び関連商品の企画、制作、販売及び賃貸

サービス業(出版・広告関連)

・出版物の企画、編集、制作、出版及び販売
・電子出版物の企画、編集、制作及び販売

会社設立~経営に役立つ2大ツール

会社設立時に決める事業目的とは?決め方と、業種別の書き方一覧

会社で必要となるバックオフィス業務には、マネーフォワードやfreeeなどのツールが役立ちます。これらのサービスでは、会社設立に関する内容も提供していて、無料で簡単に会社設立の手続きを進められます。

会社設立後に必要となるバックオフィス業務も、マネーフォワードやfreeeなどを使えば効率化できるでしょう。このようなサービスを使うかどうか、早い段階で決め、統一しておけば、会社設立後の業務がスムーズになるはずです。

マネーフォワード クラウド会社設立

「マネーフォワード クラウド会社設立」は、コストも手間もかけずに会社設立ができるツールです。3ステップで会社設立ができるため、とにかく手軽です。

利用料は0円で、会社設立時に必要な書類を作れます。書類の作成は決められたフォームに必要項目を入力していくだけででき、その後も登記書類を準備するためのガイドに従って、スムーズに手続きを進められます。会社設立後の手続きをサポートしてくれる機能もあり、安心して利用できるでしょう。

電子定款の作成代行も5,000円なので、とにかく手間を省きたい人にはおすすめです。マネーフォワードは会計や人事、勤怠管理などさまざまなサービスを提供しています。会社設立後に役立つサービスも多く、これらに使うツールをマネーフォワードで統一するのも良いでしょう。

マネーフォワード クラウド会社設立

freee会社設立

「freee会社設立」もマネーフォワードと同じく、会計や人事、受発注管理用のツールなど、さまざまなサービスを提供しています。会社設立に関するサービスも豊富で、株式会社や合同会社の設立はもちろん、個人事業主の法人化(法人成り)にもおすすめです。

2020年3月、freee会社設立を利用して設立完了したユーザー730人へのアンケート結果によるとfreee会社設立を使って会社設立した社数は累計3万社以上、ユーザー満足度は93.3%にも上ります。利用料は無料で、会社設立に必要な書類を自分で作れるサービスです。

「起業ダンドリコーディネーター」というサービスを活用すれば、会社設立に関する一般的な悩みを相談することもできます。専任コーディネーターの相談は何度しても無料ですが、より専門的な相談がしたい場合は、税理士も紹介してもらうことまでできます。

まずはfreee会社設立の無料登録をしてみて、どのようなサービスがあるのか、何ができるのかをチェックしてみましょう。

freee会社設立

会社設立時は慎重に事業目的を決めよう

会社設立時は慎重に事業目的を決めましょう。事業目的は後から変更することもできますが、それには定款も変えなければなりません。定款を変えるにはそれなりの手間と費用がかかります。定款も事業目的も、そう頻繁に変えられるものではないことを覚えておきましょう。

まずは自社の主要業務と、将来、予定している事業をピックアップしてみてください。事業目的が多すぎるのも良くないので、本当に予定のある事業を選び、定款に記載します。

また、定款の最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」と記載するのも、忘れないようにしましょう。また、定款の最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」と記載するのも、忘れないようにしましょう。こういった手続きに不安を感じたら、フランチャイズに加盟するというのも手です。フランチャイズ本部のサポートに、開業にかかる準備全般が含まれている場合もあります。フランチャイズ本部のサポートを活用して賢くビジネスを開始する方法も検討してみましょう。

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<文/赤塚元基>

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